【前編】RPAは業務DX化が途上である企業の何を変えるのか?その真の目的とは?

[執筆者]
DOORS編集部

RPAサービス「BizRobo!(ビズロボ)」を展開するRPAテクノロジーズ社が昨年開催されたオンラインカンファレンス「BizRobo! LAND ONLINE 2020」。その中の1つのセッションとして、アパレル製品・雑貨洋品等の企画・販売を行っている株式会社ジョイックスコーポレーションのIT戦略室室長・村上太一氏とブレインパッドデータエンジニアリング本部RPAソリューション部長・山内康志が登場。

テーマは「RPAは業務DX化が途上である企業の何を変えるのか?その真の目的とは?~RPA起案から目標設定、推進のポイントと解説~」。RPAを単なる業務の置き換えではなく“業務DX化の一手段”として活用する企業が増えている中で、ジョイックスコーポレーション様ではどのように業務のDXやRPAと向き合ってこられたのか。導入から現在に至るまでご支援を続けている弊社山内が聞きました。

「業務DX化」の手段としてのRPA

山内 RPAの認知が進んで、本格活用のフェーズに入ってきました。単なる業務の置き換えというより、「業務DX」の中でRPAを検討する企業が増えてきています。

RPAのハイプサイクルを見てみますと、2017年頃には「魔法の箱」のように捉えられた時期があり、その後は本格展開に苦戦する企業も出てきて「幻滅期」に入っていました。最近では、RPAの使い方や改善の必要性に対する認識が高まる「普及期」に入ってきたと考えています。RPAが、業務DXを推進する1つのツールとして使われるようになってきました。

本日は、ジョイックスコーポレーションの村上様に3つのテーマでお話しいただきます。「大方針となる『攻めの姿勢』」「ITを駆使した業務改善」「RPA導入は業務DX化の一手段」です。

村上氏 (近年アパレル産業全体が厳しい立場に置かれている中で)ちょうど転換期を迎えているという背景がありました。その中で我々がやるべき1番の重点施策はITを駆使した攻めの姿勢であるということが掲げられまして、私が所属しているIT戦略室自体もこの年度に新しく新設された部署という形になります。
攻めの戦略を打ち出す中で、将来的な人材確保と育成を重視していました。アパレル企業は「IT企業から見れば1周ぐらい遅れている」とも言われており、ITを基盤に人材のリテラシーを上げていくことが大切でした。

その際、単に働き方改革や業務改革を求めるのではなく、具体的に経営層からいくつかのツールや環境を提供しており、RPAはそのうちの1つという位置付けでした。

株式会社ジョイックスコーポレーション IT戦略室室長 村上太一氏

山内 ジョイックス様に伺う中で、決してITと具体的に結びついていたわけではないのですが、それでも業務を効率化するための方法論がマニュアルとしてすごくまとまっていると感じていました。そのため、弊社からITの特性を伝えて「勘所」を理解していただければ、RPAのようなツールの導入もやりやすいと考えていました。

村上氏 まず前提として、弊社ではIT化、特にRPA化によって夢のように業務がガラッと変わっていくとは思っていませんでした。これは決して悪い意味ではなく、実際の受け手側のスキルやノウハウ、RPAを組み込んでいく際の勘所などが必要になる中で、まずは自分たちの業務をしっかり可視化しなければならないと考えていたからです。

我々は1,000人近くの規模の会社で、20以上の部署が存在します。おそらく全部の部署の業務を細かく分かっている人員はほぼいないんですね。なので、まずはこれをしっかりと可視化していく必要がありました。

その結果として、RPAを導入する過程で会社の新しい課題が見つかったり、人員配置のきっかけになったりしました。我々にとって、今回の取り組みは多少オーバーな表現をすれば構造改革のようなものです。その具体的な策として、業務の可視化や適切な人員配置、社員のスキルアップのための教育プランなどが見えてきたことも、今回RPAに取り組んだ効果の1つだと思っています。

山内 RPAの効果検証について、弊社からは「業務の可視化も1つの価値ですよ」とお伝えすることがあります。中にはなかなかご理解いただけないお客様もいるのですが、ジョイックスコーポレーション様にはことのほか強く響いたようで、非常に印象的でした。その背景として、今村上様がおっしゃったような事情があったわけですね。

RPA化に何を期待するか

山内 次に「業務DX化から見たRPA」として、RPA化の目標と期待値についてです。ジョイックスコーポレーション様の資料には、以下のように「業務そのものの見直し」「ITリテラシーの向上」「人材育成」とありました。

この3つは一見するとRPA化ではないのですが、その狙いについて教えていただけますでしょうか。

村上氏 先ほどお伝えした通り、RPA化すること自体は目的ではありません。あくまで、攻めの姿勢の戦略における1つのツールなのです。

バーティカルに組織が動いている中で、いきなり全部署に業務を可視化させてくださいというのは難しいです。でも今回はRPAツールを使って自動化をしていくという具体的な話を基に会話を続けていくことで、各業務の可視化が進み始めました。それも普段やっているように上からの視点で見るのではなく、横から、下からの視点で業務が分析されていったというところに大きな成果が挙がっています。

私が率いるIT戦略室でも「この新しいツールを使って業務を変革していくんだ」という気持ちが芽生え、各メンバーが楽しみながら技術を学んでいます。まだ全部署とはいきませんが、リテラシーを向上させるきっかけが作れています。ITリテラシーを上げていくツールという観点では、RPAは比較的優しいツールであるのではないかと考えています。

山内 弊社からも、最初にRPA化の効果検証をやろうというお話しの中で、単なるRPA導入に留まらず、業務可視化やプロセスの整理・見直しが必要と徹底的にお伝えしました。実際に半年ほどかけて支援させていただき、アウトプットとして村上様がおっしゃったような内容があったわけですね。

RPA化を通して得られたもの

山内 業務のRPA化に取り組んできた結果得られたものについて、「時間短縮、業務精度、ITリテラシーの向上」「業務最適化としてのRPA認知」「『対象業務分析』の重要性」の3点を挙げられています。こちらについてお話しいただけますか。

村上氏 特にリテラシーの向上に関して、効果を感じたことの1つが業務設計です。業務の可視化と言葉にするととても簡単に聞こえますが、普段やっている業務をロボットにはめ込む時の新しいシナリオ作りというのが実はかなり難しいんです。

そして、どのような場所をRPA化の対象に選んで、具体的にどのようにロボットに置き換えていくのか。たとえば10個の工程があった時に、9個ははまるけど1個はできないとします。そこで「じゃあ、RPA化はやめよう」ではなくて、細切れでもいいので、うまくRPAを業務の中にワークフローとして組み込んでいけるか。そこについては社内でも日に日にノウハウが溜まってきています。

RPAテクノロジーズ様のロボット自体は非常に扱いやすく、ゴリゴリにプログラムをやった経験者でないと分からないというものではありません。そこは期待通りだったのですが、むしろRPAを土台に置いた業務設計に関するリテラシーの向上が、当初の予測を超えていました。得るものがたくさんあったと感じています。

山内 プログラム知識がなくても使えるというのはおっしゃる通りなのですが、その言葉に釣られてRPA化の難しさを理解されていない企業も多くありました。そこで今回は、この難しさも合わせて知っていただきたくて、長めのトライアル期間を取っていただいたのですね。

業務整理の重要性についてもご認識の通りで、私たちもお客様ごとに突っ込んでディスカッションさせていただいています。

村上氏 業務最適化を推進する上で、実は社内では「RPA」という言葉をあまり使いませんでした。IT業界特有のアルファベット3文字のキーワードが、一般企業では必ずしも浸透しやすいわけではないのですね。RPAという言葉を伝えるのではなく、どのように業務をステップアップさせていくかに軸を置いて、社内の空気づくりを進めていきました。

後編では、RPA化を通じた業務変革の進め方と当事者としての意識の持ち方について、村上様からさらに深掘りしたかたちでお話いただきます。

WRITER執筆者プロフィール

株式会社ブレインパッド

DOORS編集部

ブレインパッドのマーケティング本部が中心となり、主にDXにまつわるティップス記事を執筆。また、ビジネス総合誌で実績十分のライター、AI、ディープラーニングへの知見が深いライターなど、外部クリエイターの協力も得て、様々な記事を制作中。

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