【後編】RPAは業務DX化が途上である企業の何を変えるのか?その真の目的とは?

[執筆者]
DOORS編集部

RPAソリューションを導入するには、経営層にその必要性を認識してもらう必要があります。さらに、RPA化を通じた業務DX化がなぜ必要か、どう進めるのかを担当チームが社内全体に伝えて、社内の改革をやりきらなければ意味がありません。

こうしたRPA化および業務変革の進め方や当事者としての意識の持ち方について、株式会社ジョイックスコーポレーションのIT戦略室室長・村上太一氏にブレインパッドデータエンジニアリング本部RPAソリューション部長・山内康志がお話を伺いました。

前編はこちら

RPAソリューションを社内で起案するにあたって心がけたこと

山内 システム投資まではいかなくても、RPAソリューションの導入にはそれなりに費用がかかります。またプログラミングが不要だからこそ、説明しづらい部分もあるのではないかと考えています。

では、実際に経営層へRPAソリューションを起案していく際にどのような点を心がけていたのか。基本方針としては、

  1. ITを駆使した業務改革としてRPAに取り組む
  2. 導入≠完了、業務改善活動として取り組んでいく
  3. 隠れた業務課題の可視化を進めて、解消・解決を進める

という3点がありました。

さらに、具体的に心がけたこととして4点挙げられていました。こちらについて、村上様からお話しいただけますでしょうか。

村上氏 順を追ってお伝えします。

1.予算枠、予算確保

費用が決して安いものではないからこそ、最初に定量的な目標だけでなく「社員の満足度向上に繋がる」「スキル向上を実感できる」といった定性的な目標を掲げました。

2.予算化プロセスの透明化

感覚で決めるのではなく、時間をかけて「提案依頼書(RFP)」を用意した上でコンペを実施し、納得できる企業に依頼をしました。RPAソリューションを提供する会社は、今や数多くありますからね。

時間や手間はかかるのですが、プロジェクトを後戻りさせないためにも、経営者に理解されやすいよう客観的な選定項目や基準をしっかり決めた方がいいと思います。弊社(ジョイックスコーポレーション様)の場合は、①コスト、②ロボットを使いこなす難易度がこちらのリテラシーに合っているのか、③提案内容がこちらに合わせて内製化に向けたサポート能力を持っているのか、という3点を基準としました。

3.社員スキル向上、キャリアプラン策定

あくまでもアパレル企業ですので、(IT企業に比べて)最初のスタートラインやゴールを低いところに設定しています。最低限、システムに使われるのではなく、システムをちゃんと使いこなせるようなスキルを身に付けるというのを最初から目標に掲げて、社内で展開してきました。

「RPAをしっかりと使いこなせる」という目標は、アパレル企業のITリテラシーを上げるという観点でも取り組みやすく、ちょうどいいと思いました。一見RPAとは距離があるようにも思われるかもしれませんが、当初から社内のITリテラシーを底上げするための1つの通過点として「RPAを使いこなせること」を設定していたことが、効果に繋がっていると考えています。

4.トップダウンとボトムアップの両軸

先ほどお伝えしましたが、きっかけとしては経営層に話をして、トップダウンから始めるべきだとは思います。しかし、弊社のように1,000人規模の組織になるとトップダウンだけでは浸透しません。粘り強くコミュニケーションを取りながら、各部署から自発的にRPA化のアイデアが出てくるような空気を作りました。

現在は本格導入から8カ月になりますが、この点については期待以上に効果を感じています。まずは我々を中心にRPAを使いこなせる部署を増やしながら、次の段階では社内の20を超える部署のリテラシーを底上げしていけるように啓蒙していきたいと考えています。

山内 ジョイックスコーポレーション様のWebセミナー参加率が上がっていたり、現場のメンバーから「楽しそうに取り組まれている」というお話しを受けていたりします。その意味では、弊社でもジョイックスコーポレーション様の変化を見ることができ、うれしく思います。

村上氏 RPAソリューションの本格導入から8カ月が経過し、現場の業務ヒアリングも約9割が完了しました。こちらからトップダウンで「課題を出しなさい」と言わなくても実際に現場からボトムアップで自発的に依頼がくるなど、業務効率DX化の戦略が浸透しつつあり、社内が大きく変化し始めていることを強く実感しています。

今は浮き彫りになった課題に対して順次スケジュール化を進めている状況です。

左:株式会社ジョイックスコーポレーション IT戦略室室長 村上太一氏
右:株式会社ブレインパッド データエンジニアリング本部 RPAソリューション部長 山内康志

業務DX化として得られたもの

山内 これまでの期間を振り返って、業務DX化として得られたものを村上氏から以下の通り4つ挙げていただきました。

  1. 自社の現状把握
  2. 業務DX化推進メンバーの成長
  3. RPA化だけでなく業務課題や改善アクションを合わせて推進
  4. 改めて業務DX化の一手段としてRPAを推進

村上氏 「自社の現状把握」と「メンバーの成長」は相関関係が強いと考えています。業務DX化には欠かせない現状把握のレベルが上がれば上がるほど、自然とメンバーの成長にも繋がるためです。

PDCAを繰り返す中で現状把握能力が上がっていくと、「業務のどこをどのような形で切り取ってロボット化すると効果的なのか」がより高い精度で判断できるようになっていきますよね。
RPAにおいても現場のディティールに真実があるというのは変わらなくて、現場の細かい業務をどのようなオペレーションに落とし込んでいくのか。ディティールが分かってくると、感覚的に「この業務はロボットにもできそうだな」というところが見えるようになってくるのです。

実際にRPAを使って業務DXに取り組む上では「システムに業務を合わせること」が必要な場面も出てきます。時には「この業務のやり方を変えてください」と社内で交渉をしなければならない時もあり、その交渉技術が身に付くこともメンバーの成長を感じる1つの事例です。

現在、実際にRPA化をしてロボットを動かせている事例が9個あるほか、それ以外でも大小含めていくつかの業務課題の発見に繋がりました。RPAを軸に今までとは違った視点で業務を分析していくことで新たな課題を見つけられたことについては、経営層も大きな手応えを感じています。

業務DXの1つの手段という形でRPAを導入するにあたり、稟議を通す際にもRPAがどのように役立つのかを時間をかけて検討してきました。その上で実際に推進する中で、「業務が簡略化される」「人的なコストが削減できる」「(業務が削減されることで)ワークライフバランスが取れる」といったRPAの定量的な効果以外の部分でも効果を実感できています。

「自分たちが中心になって/自分ゴト化して」進めなければならない

山内 「自分たち自身が中心となって進めないといけない(自分ゴト化)」というのがキーワードだとお思います。これは実際に当社がジョイックスコーポレーション様に業務のヒアリングをしていた際に、村上様からいただいた言葉です。

村上氏  RPAに限って言えば、実はフルアウトソースでやっていくという選択肢もなしではないと思っています。しかし、我々はRPAに留まらず、多少オーバーな表現をすればITをベースに会社の構造改革を進めていくんだという想いでした。自社の構造改革を他社にお任せするのは、やっぱり違うと思うんです。自分たちで苦しみながら課題に取り組み、そこで持ち帰ったものをブレインパッドさんに相談して、お叱りを受けたりアドバイスをもらったりしながら、我々で進めていく。自分たちが成長という糧を得ながら、ノウハウを蓄積していくということをしなければ絶対にダメだと考えていました。
RPA、業務DXは誰のものかというと、これは間違いなく我々自身のものです。成果を得るためには、苦しみも味わわなければならないということで、ここだけは自分たちでやることを意識していました。

まとめ

山内 こちらの4つがまとめとなります。特に、村上様を中心にさまざまな方々が楽しんで取り組んでおられるのが非常に印象的でした。

村上氏  我々自身、決してITリテラシーが高い会社ではありません。それでもできる限りの試行錯誤を進めながら内製化して、自走していこうと取り組んできたことが形になりつつある。そういった意味では、皆様には我々でもできましたよとお伝えしたいです。(きちんと取り組めれば)必ず効果は出るので、あまり悩まずに楽観的に楽しくやっていこうというスタンスが非常に大事と思っております。

山内 弊社としては、クライアント様と「ワンチーム」を組成し、内製化を支援するスタンスにこだわっています。ジョイックスコーポレーション様と今回ビジネスをさせていただいて、RPAのみならず非常に全体設計をしっかりされている印象を受けました。導入からまだ8カ月で、我々のご支援のしどころもたくさんあるかと思います。
本日はありがとうございました。

WRITER執筆者プロフィール

株式会社ブレインパッド

DOORS編集部

ブレインパッドのマーケティング本部が中心となり、主にDXにまつわるティップス記事を執筆。また、ビジネス総合誌で実績十分のライター、AI、ディープラーニングへの知見が深いライターなど、外部クリエイターの協力も得て、様々な記事を制作中。

MAIL MAGAZINEメールマガジン

イベントやセミナーの開催予定、
最新特集記事の情報をお届けいたします。

TREND人気ワード・タグ

BEST PRACTICEベストプラクティス

ブレインパッド社員が考えることから探す

業態・業種から探す

課題から探す

テクノロジーから探す

製品・サービスから探す

データ活用のプロが考える、エンジニアリング視点の記事や、新規ビジネスの創出に関する記事まで幅広い特集を配信!

業界の最先端をいく、100名を超える当社に在籍のAIおよびデータ活用スペシャリストが原稿を執筆!

ベストなDXへの入り口が見つかるメディア

DOORS

BrainPad

MAIL MAGAZINEメールマガジン

登録が完了しました。

メールマガジンのご登録ありがとうございます。
最新特集記事の情報をお届けしますので、
お楽しみにお待ちください。

MAIL MAGAZINEメールマガジン

登録エラーです。