メールマーケティングとは?基本から改善ポイントまでわかりやすく解説
「メールマーケティングって、今さら始めても効果あるの? SNSで十分じゃない?」
「メールマーケティングをやっているけど成果につながっていない。成果を出すにはどうすれば?」
このように悩まれているマーケターは多いのではないでしょうか。
Web施策が多様化する現代でも、メールマーケティングは非常に費用対効果の高い手法として健在です。
なぜなら、ほかのツールでは難しい「1対1の深い関係」を築き、顧客をファンに変え、長期的な売上へとつなげる力がメールにはあるからです。
「でも、何から手をつければ?」「専門知識がないと難しそう……」
という方は、ぜひ本記事をご一読ください。この記事では、メールマーケティングの基本から手法の種類、効果的なメール作成のコツ、注意点まで体系的に解説します。
顧客に喜ばれ、成果につながるメール施策を打つためにお役立てください。
【目次】
1. 今でも重要なメールマーケティングの基本
メールマーケティングは、Webマーケティングの中でも長い歴史を持ちながら、現在も高い効果を発揮し続けている施策です。
まずはメールマーケティングの基本について、押さえましょう。
1. メールマーケティングは顧客と直接つながる強力な手段
2. リード獲得・育成・販売促進・顧客維持など柔軟に活用できる
3. 低コストで高いROIが期待できる
1-1. メールマーケティングは顧客と直接つながる強力な手段
メールは、企業と顧客を直接つなぐ重要なコミュニケーションチャネルです。メールを活用したマーケティングには、特有のメリットがあります。
【メールマーケティング特有のメリット】
●コントロール性
メールは、SNSなどのプラットフォームと違い、運営会社などによる変更の影響を受けず、自社でコントロールできるメディアです。たとえばSNSは、アルゴリズム変更で突然リーチが減少するリスクがありますが、メールはそのような外部要因に左右されません。
●パーソナライズ機能
受信者の名前や過去の購買履歴、閲覧行動などのデータに基づいて、一人ひとりに合わせたメッセージをカスタマイズできます。マーケティングオートメーション(MA)を活用すれば、顧客セグメントごとに異なるコンテンツを自動で配信できるため、顧客体験を向上できます。
●ダイレクト性
直接顧客にアプローチできるため、マーケティングメッセージを確実に届けられます。とくに重要なお知らせや限定オファーなど、確実に伝えたい情報の配信に適しています。
●測定可能
開封率・クリック率・コンバージョン率など、詳細な効果測定が可能です。データに基づいた改善を継続的に行えるため、効果を最大化するための施策を打ち出せます。
このように、メールマーケティングは顧客との関係構築ツールとして、非常に重要な役割を担います。
1-2. リード獲得・育成・販売促進・顧客維持など柔軟に活用できる
メールマーケティングは、カスタマージャーニーの各段階に合わせて、異なる目的で活用できる柔軟な手法です。
【メールマーケティングの活用例】
●リード獲得
見込み客にメルマガ登録やホワイトペーパーダウンロードを促し、メールアドレスを獲得します。この段階では、無料コンテンツや業界情報など、価値あるコンテンツと引き換えにメールアドレスを提供してもらうことが重要です。
●リード育成
獲得したリードに対して、有益な情報を定期的に提供し、徐々に商品・サービスへの興味を高めていきます。顧客の知識レベルや関心に合わせたコンテンツを段階的に提供しながら、購買検討を促していきます。
●販売促進
商品・サービスの特徴や利点を訴求し、購入につなげるための情報を提供します。限定オファーやタイムセールスなどの情報を配信して購買意欲を促進し、顧客の背中を押す効果を狙います。
●顧客維持
既存顧客向けに関連商品の案内やサポート情報を提供し、リピート購入や顧客満足度の向上につなげます。顧客のサクセスストーリーやアップセル・クロスセル情報など、顧客の成功を支援するコンテンツが効果的です。
さまざまな目的で活用されるメールマーケティングの効果を最大化するには、顧客のニーズと行動に合わせたシナリオ設計が不可欠となります。
1-3. 低コストで高いROIが期待できる
メールマーケティングは、ほかのデジタルマーケティング手法と比較して、低コストで高い投資対効果(ROI)を実現できる施策でもあります。
【メールマーケティングの費用対効果】
●低い配信コスト
1通あたりの配信コストは1円未満と非常に低コストです。広告配信や郵送DMなどと比較して、圧倒的に低いコストで顧客に接触できます。
●再現性の高さ
一度効果的なメールテンプレートやシナリオを構築すれば繰り返し活用でき、効率的に運用できます。さらに自動化機能も活用すれば、人的リソースを最小限に抑えながら効果的なコミュニケーションを実現できます。
●スケーラビリティ
配信数が増えても比例的にコストが上がるわけではなく、規模の経済(economic of scale)がはたらきます。多くのメール配信ツールは配信数が増えるほど1通あたりの単価が下がる料金体系になっているため、規模拡大とともに効率が上がる傾向があります。
続いて以下では、具体的なメールマーケティングの手法について解説します。
2. まず押さえたい6種類のメールマーケティング手法
メールマーケティングには複数の種類があり、それぞれ目的や特徴が異なります。効果的なメールマーケティング戦略を構築するには、各タイプの特性を理解し、ビジネス目標に合わせて適切に組み合わせることが重要です。
ここでは以下6種類のメールマーケティング手法を押さえましょう。
1. メールマガジン
2. プロモーションメール
3. ステップメール
4. トリガーメール
5. ターゲティングメール
6. パーソナライズメール
2-1. メールマガジン
メールマガジンは、定期的に配信する情報提供型のメールです。業界トレンド・自社の最新情報・役立つノウハウなど、読者に価値ある情報を継続的に届けます。
【メールマガジンの特徴と活用法】
●ブランド認知の強化
定期的な情報発信により、受信者の記憶に自社ブランドを定着させます。「毎週月曜日・朝8時」など一定頻度での配信により、顧客との継続的な接点を維持できます。
●信頼関係の構築
有益なコンテンツの無料提供によって、専門性や誠実さをアピールできます。読者が「この会社は本当に役立つ情報を提供してくれる」と感じれば、将来的な商品購入につながります。
●コンテンツマーケティングとの連携
自社のブログやSNS・YouTubeと連動させると、より包括的な情報発信が実現します。各チャネルの特性を活かしながら、相互送客でエンゲージメントを高めましょう。
メールマガジンは、かならずしも販売を直接的な目的としない点が特徴です。顧客との関係構築や自社の専門性アピールに重点を置き、長期的な信頼関係を築くことを目指します。
2-2. プロモーションメール
プロモーションメールは、商品・サービスの販売促進を直接的な目的としたメールです。限定セールの告知・新商品の紹介・特別クーポンの配布など、具体的なアクションを促します。
【プロモーションメールの構成要素】
●明確な訴求点
割引率・期間限定・数量限定など、行動を促す要素を明確に伝えます。「30%OFF」「今週末限定」などの具体的な数字や期限を示し、即時の行動を促進します。
●シンプルな導線
「今すぐ購入」などの明確なCTA(行動喚起)ボタンを設置します。ユーザーが迷わずに次のステップに進めるよう、シンプルで直感的な設計をします。
●購買欲を刺激するビジュアル
商品画像や使用シーンの写真など、視覚的に訴求力の高い素材を活用します。たとえば消費財では、実際の使用イメージを想起させる画像が購買意欲を高めます。
プロモーションメールは強力な売上向上効果を持ちますが、頻度の調整が重要です。過剰な配信は顧客に嫌悪感を抱かせるリスクがあるため、ほかのメールタイプとバランスよく組み合わせて活用しましょう。
2-3. ステップメール
ステップメールは、事前に設計した順序で複数のメールを配信する手法です。新規登録者の顧客育成や商品購入へのステップアップなど、計画的なコミュニケーションに効果的です。
【ステップメール設計のポイント】
●段階的な情報提供
基礎知識から専門的内容へと徐々に深めていく構成が効果的です。受信者の理解度や興味に合わせて、適切なペースで情報量を増やしていきましょう。
●心理的ハードルの解消
購入前の不安や疑問を先回りして解消する内容を盛り込みます。「よくある質問」などのコンテンツを通じて、購入決定の妨げとなる要素を取り除きましょう。
●適切な間隔設定
メール配信期間の間隔は、内容やターゲットに合わせて調整します。情報消化に必要な時間を考慮しながら、長すぎず短すぎない間隔設定をしましょう。
●行動分析に基づく改善
開封率やクリック率などの指標を分析し、内容を継続的に改善します。どのステップでの離脱が多いかを分析し、そのポイントを強化しましょう。
ステップメールの最大の利点は、一度構築すれば自動的に機能する点です。新規顧客のナーチャリングや商品理解の促進にとくに効果を発揮します。
2-4. トリガーメール
トリガーメールは、特定の行動や条件をきっかけに自動送信されるメールです。カート放棄・会員登録・誕生日など、ユーザーのアクションや特定の日付に連動して配信します。
【効果的なトリガーメールのシナリオ】
●カゴ落ちフォロー
カートイン後、購入手続きを中断したユーザーに購入完了を促します。「カートに商品が残っています」という通知に加え、少額割引や送料無料などの特典を提供すると効果的です。
●会員登録感謝
新規登録者に歓迎メッセージと次のステップを案内します。初回購入特典や有用なコンテンツへの誘導を含め、スムーズなオンボーディング(商品・サービスの利用開始)を目指します。
●誕生日・記念日お祝い
特別な日に合わせた特典や祝福メッセージを送信します。顧客データを活用した心遣いは、感情的なつながりを生み出し、顧客ロイヤルティ(愛着や信頼)を高めます。
●購入後フォロー
商品到着確認や使い方のヒントなど、購入後の満足度を高める情報を提供します。適切なタイミングでのアフターフォローは、リピート購入やクロスセルの機会を創出します。
トリガーメールは、リアルタイムな対応がポイントです。ユーザーの行動直後のタイミングで送信すると、開封率やコンバージョン率が一般的なメールより高くなる傾向があります。
2-5. ターゲティングメール
ターゲティングメールは、顧客データに基づいて特定のセグメントに向けて最適化して配信するメールです。購買履歴・閲覧行動・デモグラフィック情報などを分析し、ターゲット層ごとに内容をカスタマイズします。
【ターゲティング戦略の例】
●購買履歴分析
過去の購入商品に基づいた関連商品を提案します。「これを買った人はこれも買っています」という形式のレコメンデーションは高い反応率が期待できます。
●ロイヤルティ別戦略
優良顧客・休眠顧客・新規顧客など、ステータス別にアプローチを変えます。とくにVIP顧客には限定特典や先行案内を提供し、特別感を演出しましょう。
●地域・年齢層・ライフスタイル別最適化
地域特有のイベントや世代別のトレンド、家族構成などの属性別にメールを配信します。属性に合わせた内容や表現は、共感されやすくなります。
ターゲティングメールは、「必要な人に必要な情報」を届ける点が最大の強みです。全体へ一括送信するメールよりも高いパフォーマンスが期待でき、顧客満足度の向上にもつながります。
2-6. パーソナライズメール
パーソナライズメールは、前述のターゲティングメールをさらに進化させ、受信者一人ひとりのデータに基づいて個別に最適化して配信するメールです。名前の挿入だけでなく、興味・行動履歴・購入パターンなどを活用した高度な個別対応がポイントとなります。
【パーソナライゼーションの具体例】
●基本的パーソナライズ
名前や会社名の挿入など、単純でも効果的な要素から始めます。件名や本文の書き出しだけでなく、文中にも自然に挿入しましょう。
●行動履歴の活用
閲覧商品・購入履歴・サイト内での行動などに基づいた提案を行います。「最近ご覧になった商品」や「○○様へのおすすめ」などのセクションは高いクリック率を生み出します。
●予測分析の導入
AIや機械学習を活用した将来ニーズの予測と先回りした提案を行います。購入サイクルや季節的なニーズを分析し、最適なタイミングで次の購入を促します。
●ダイナミックコンテンツ
受信時に最新データに基づいて内容が変化する動的なメールを配信する手法もあります。たとえば、天候や在庫状況などによってリアルタイムに最適化されるコンテンツは高い訴求力を持ちます。
パーソナライズメールは顧客との深い関係構築に効果的です。一人ひとりに合わせた体験提供を通じて、「自分を理解してくれている」という感覚を生み出し、信頼感や愛着を高めます。
なお、これらの多様なメールマーケティング施策を効率的に実現するには、マーケティングオートメーション(MA)の活用が最適です。マーケティングオートメーション(MA)はデータ収集・分析から自動配信までを一元管理でき、人的リソースを最小限に抑えながら高度なマーケティングを展開できます。
具体的なソリューションとしては、ブレインパッドの「Probance(プロバンス)」があります。
Probanceは、「AIを活用して顧客一人ひとりに最適化されたマーケティング施策を自動化するプラットフォーム」です。詳しくは以下の資料にてご確認いただけます。
3. 開封されクリックされるメールにするための4つの改善ポイント
どのような手法でメールマーケティングを展開するにせよ、まずは送信したメールを開封してもらい、コンテンツへのリンクをクリックしてもらう必要があります。
「思ったように効果が出ない」というとき、どこを改善すればいいのか、ポイントをお伝えします。
1. 【件名】数字や具体性で開封率を向上させる
2. 【本文】結論ファーストとPREP法でわかりやすさを追求する
3. 【CTA】ボタンに明確な文言と目立つデザインでクリックを導く
4. 【スマホ最適化】レスポンシブで表示崩れを防ぐ
3-1. 【件名】数字や具体性で開封率を向上させる
メールの件名は、受信者が開封するかどうかを決める最も重要な要素です。受信箱に並ぶ多くのメールの中から選ばれるためには、受信者の興味を引く魅力的な件名が不可欠です。
【効果的な件名作成の3つのポイント】
●数字の活用
「売上を伸ばす方法」より「売上を32%伸ばす5つの方法」のほうが具体的で信頼性が高まります。数字は視覚的にも目立ち、具体的な価値や結果を示唆するため、開封率が向上します。
●表現の具体性と明確さ
抽象的な表現より具体的な表現のほうが開封率が高まります。「ビジネス改善のヒント」より「会議時間を半分に減らす実践テクニック」のように、具体的なベネフィットを明示すると、受信者の関心を引きつけられます。
●緊急性と希少性
「本日限り」「残り3席」など、緊急性や希少性を示す表現は行動を促します。ただし、過度な使用や根拠のない表現は信頼を損なう可能性があるため、事実に基づいた表現にとどめることが重要です。
件名の重要な要素は冒頭15文字以内に収め、スマホの表示でも見切れないようにします。また、「!」や「?」などの記号は1つまでにとどめ、過度な絵文字の使用は避けるなど、迷惑メールと判断されるリスクを減らす工夫も必要です。
3-2. 【本文】結論ファーストとPREP法でわかりやすさを追求する
メール本文は、受信者の時間を尊重し、短時間で価値を伝えられる構成にすることが重要です。
【効果的なメール本文作成テクニック】
●結論ファースト
最も重要なメッセージや提案を冒頭に置きます。多くの読者はメールの冒頭部分しか読まないため、最初の2〜3行で核心に触れることが重要です。とくにBtoBの商材では、内容を順序立てて説明するより、結論から伝えるほうが好印象を与えられます。
●PREP法の活用
Point(要点)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(要点の繰り返し)という構成で書くと、論理的でわかりやすい文章になります。この構成法を用いると、通常の文章と比較してメッセージの理解度が高まります。
●適切な文章量
文章量は目的に合わせて調整します。メールマガジンなら800〜1,000字程度、セールスメールなら500字程度が目安です。長文になる場合は、改行や記号を適切に使い、読みやすさに配慮します。
●視覚的な階層化
見出し、小見出し、太字、箇条書きなどを活用して情報を階層化します。ユーザーの視線の動きを意識し、視線の流れの中に重要なメッセージやCTAを配置すると効果的です。
加えて、読み手を意識したシンプルな言葉遣いも重要です。業界用語や専門用語は必要最小限にとどめ、中学生でも理解できるような言葉選びを心がけると、より多くの人に伝わるメッセージになります。
3-3. 【CTA】ボタンに明確な文言と目立つデザインでクリックを導く
CTAボタンは、読者を次のステップへと誘導する重要な要素です。適切なデザインと文言選びにより、コンバージョン率を大きく向上させましょう。
【効果的なCTAボタンの設計】
●アクション指向の文言
「詳細はこちら」のような一般的な表現より、「無料サンプルを請求する」「30日間無料で試す」など、具体的なアクションと価値を示す文言を使います。アクション指向の文言は、一般的な文言と比較してクリック率が高くなります。
●視覚的に目立たせる
CTAボタンは、周囲のデザインとコントラストをつけた色使いや、適切なサイズ設定(縦40ピクセル、横150〜300ピクセル程度)で視認性を高めます。ボタンの周囲に余白を設けて視線を誘導し、クリック率の向上を狙いましょう。
●配置する位置
CTAボタンは本文の流れに沿った自然な位置に配置します。一般的には本文を読んだ後の下部に配置するケースが多いものの、重要度が高い場合は上部にも配置すると効果的です。
CTAボタンのデザインや文言は、定期的にA/Bテストを行い、効果検証することをおすすめします。小さな変更でも大きな結果の違いが生まれることがあり、継続的な最適化が重要です。
3-4. 【スマホ最適化】レスポンシブで表示崩れを防ぐ
現代のメールマーケティングにおいて、スマートフォン対応は選択肢ではなく必須条件です。多くのユーザーがモバイルデバイスでメールを確認しており、スマホで見やすいデザインを実現することが開封率やクリック率の向上につながります。
【スマホ最適化のポイント】
●シンプルな1カラム構成
モバイル画面は横幅が限られるため、複数カラムのレイアウトではなく、シンプルな1カラム構成を基本とします。
●レスポンシブデザイン
HTMLメールの場合は、画面サイズに応じて自動的にレイアウトが調整されるレスポンシブデザインを採用します。デスクトップとモバイルの両方で最適な表示を実現しましょう。
●タッチしやすいサイズ設計
リンクやボタンは指でタップしやすい大きさ(最低44×44ピクセル)にし、周囲のリンクと十分な間隔を設けます。小さすぎるリンクやボタンは誤タップを招き、UX(ユーザー体験)を低下させる原因になります。
実際の配信前には、さまざまなデバイスと電子メールクライアント(Gmail・Outlook・iPhoneメールなど)でテスト表示し、表示崩れがないことを確認することが重要です。画像の表示・フォントの見え方・レイアウトの崩れなどを細かくチェックしましょう。
4. 失敗しないメールマーケティング運用上の注意点
メールマーケティングを効果的に運用するには、法令遵守や受信者の信頼を獲得するための基本的なルールを理解しておくことが重要です。失敗や問題を未然に防ぐための注意点を押さえておきましょう。
1. 配信同意(オプトイン)を得たアドレスにのみ送信する
2. 配信停止(オプトアウト)の方法はわかりやすく明記する
3. 一方的な売り込みではなく読者に価値ある情報を提供する
4-1. 配信同意(オプトイン)を得たアドレスにのみ送信する
メールマーケティングの重要な基本は、受信者の明示的な同意を得てから配信することです。同意なしの配信は法的リスクだけでなく、ブランドイメージの低下や到達率の悪化などの実害をもたらします。
【適切なオプトイン取得方法】
●明示的に同意を取得する
「メールマガジンを受け取る」などのチェックボックスにチェックを入れる形で、明示的な同意を取得します。特定電子メール法では「あらかじめ送信に同意している者」にのみ送信できると定められています。
●同意範囲を明確にする
どのような内容のメールを、どのくらいの頻度で送信するかを事前に明示します。「週1回のメールマガジン」「月2回のセール情報」など、具体的な説明を提示しておくと受信者の期待値を適切に設定できます。
●同意証拠を保管する
いつ、どのような形で同意を得たかの記録(同意の時期や方法など)を保管します。万一トラブルが発生した場合や、監査が入った場合に、適切な同意プロセスを証明できるようにしておきます。
●ダブルオプトインを活用する
メルマガ登録後に確認メールを送信し、そのリンクをクリックして初めて登録完了とするダブルオプトイン方式を採用します。不正確なアドレスや第三者による登録を防ぎ、確実に同意を得た受信者だけにリストを限定できます。
オプトイン取得の際は、プライバシーポリシーも明示し、個人情報の取り扱いについても透明性を確保することが重要です。受信者との信頼関係構築の第一歩として、適切な同意取得プロセスを設計しましょう。
参考:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」
4-2. 配信停止(オプトアウト)の方法はわかりやすく明記する
メール受信を継続するかどうかは、受信者の選択に委ねられるべき事項です。配信停止(オプトアウト)の方法を明確かつ簡単に提供することは、法的義務であると同時に信頼構築のベースとなります。
【効果的なオプトアウト設計】
●配信停止リンクをわかりやすくする
配信停止リンクは、メールの下部などの見つけやすい場所に配置します。小さな文字や背景と同化する色で隠すような表現は避け、通常の文字サイズと識別しやすい色で明示しましょう。
●ワンクリックで停止できるようにする
複雑な手続きや多数のステップを要求せず、1〜2クリックで簡単に配信停止できる仕組みを用意します。ID・パスワードの入力要求や、複数ページを経由する煩雑な手続きはユーザー体験を損ない、不満や苦情の原因になります。
●配信停止の理由を収集する
配信停止の意思確認とともに、なぜ配信停止を希望するのか(頻度が多い、内容に興味がないなど)の理由を任意で収集します。この情報はメールマーケティングの改善に役立ちます。
●折衷案として配信頻度の選択肢を設ける
完全な配信停止だけでなく、「月1回にする」「特定カテゴリのみ受け取る」など、柔軟な選択肢を提供して、完全な解除を防ぐ工夫も効果的です。
配信停止リクエストには迅速に対応し、停止処理を完了させることが重要です。配信停止後に再度勧誘のメールを送ることは、法律違反となる可能性があるため注意が必要です。
4-3. 一方的な売り込みではなく読者に価値ある情報を提供する
メールマーケティングに取り組むうちに陥りがちな罠は、短期的な売上に結びつくメールに重点が移ることです。
しかし、成功するメールマーケティングの鍵は、一方的な製品・サービスの宣伝ではなく、受信者にとって価値ある情報を提供することにあります。
【価値提供型メールのヒント】
●80/20の法則
全体の80%は価値ある情報提供、20%を自社製品・サービスの紹介にあてる配分が理想的です。過度なセールスメッセージは開封率やクリック率の低下、配信停止の増加につながります。
●課題解決型コンテンツ
受信者が抱える課題やニーズを解決する情報を提供します。「○○の問題を解決する3つの方法」「○○を効率化するためのチェックリスト」など、実用的な価値を提供するコンテンツは高い評価を得やすくなります。
●独自の洞察提供
業界の動向や情報の単なる転載ではなく、自社ならではの視点や解釈を加えた独自の洞察を提供します。「○○のトレンドに対する当社の見解」「敏感肌の店長が教える肌荒れを予防 3つのポイント」など、付加価値のある情報発信が差別化につながります。
●ストーリーテリング
数字やデータだけでなく、顧客の成功事例や体験談をストーリー形式で伝え、感情的な共感を生み出します。「○○様が抱えていた課題をどう解決したか」のような具体的なストーリーは、抽象的な説明より記憶に残りやすくなります。
受信者にとって「開封する価値がある」と認識されるメールを継続的に送信することが大切です。それが、開封率の向上、ブランド信頼度の強化、最終的な購買行動の促進につながります。常に「この情報は受信者にとって役立つか?」という視点で自社のメールマーケティングを検証しましょう。
5. まとめ
本記事では「メールマーケティング」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
まず押さえたい6種類のメールマーケティング手法として以下を解説しました。
1. メールマガジン
2. プロモーションメール
3. ステップメール
4. トリガーメール
5. ターゲティングメール
6. パーソナライズメール
開封されクリックされるメールにするための改善ポイントは、以下のとおりです。
1. 件名は数字や具体性で開封率を向上させる
2. 本文は結論ファーストとPREP法でわかりやすさを追求する
3. CTAボタンは明確な文言と目立つデザインでクリックを導く
4. スマホ最適化(レスポンシブ)で表示崩れを防ぐ
失敗しないメールマーケティング運用上の注意点は、以下のとおりです。
1. 配信同意(オプトイン)を得たアドレスにのみ送信する
2. 配信停止(オプトアウト)の方法はわかりやすく明記する
3. 一方的な売り込みではなく読者に価値ある情報を提供する
メールマーケティングは、顧客との関係性を深めるうえで欠かせない施策です。本記事で紹介した基礎知識とテクニックを活用し、効果的なメールマーケティングを実践してください。