大日本印刷 (DNP)

大日本印刷株式会社

  • マーケティング・プロモーション事業
  • UGCの収集
  • プロモーションの効果測定
  • 消費者の動向検知
  • その他




大日本印刷株式会社

写真左から
情報イノベーション事業部
第1CXセンター 岩橋 里紗 氏
第1CXセンター 前田 杏子 氏
第1CXセンター 小副川 友哉 氏
第1CXセンター 伊藤 大樹 氏

大日本印刷 (DNP)

事例のポイント

大型&新規コンペティションへの参加・提案機会が増加。

  • 説得力のある提案には消費者の購買時点のデータではなく、「購入前」「購入後の利用」=「生活者の声」が重要
  • 「購入前」「購入後の利用」での生活者のマスデータだけでなく、N1情報の深堀で、新しい視点、ヒットの糸口を見つける

Brandwatch活用は全社的な提案力の底上げにつながる。

  • 「全員ゆるやかなアナリストになる」ことを前提に能動的なツールの活用体制を整える

DNPのご紹介

岩橋氏:大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、印刷技術と情報技術の強みを生かして、より良い社会の実現にむけた新しい価値の創出に取り組むべくさまざまな事業展開をしています。出版関連事業や包装関連事業などの他に、マーケティングやセキュリティソリューション、IoTやモビリティ、環境関連などの情報コミュニケーション事業まで、多岐にわたるプロダクトとソリューションをご提供しています。

私たちの所属する情報イノベーション事業部は、戦略的ソリューション開発・製造体制の整備と個別企業のCX改善パートナーとしての取組みを強化しています。役割としては、マーケティング戦略立案・コンサルテーション・実施施策プランニングと大型複合案件のプロジェクトマネジメントを行っています。

ソーシャルリスニング・ソーシャルアナリティクス(以下、ソーシャルリスニング)は、精度の高い提案をするためのユーザー調査と、CXの課題抽出を実現する具体的な武器として活用しています。その他、自社プロダクト開発のための生活者調査にも活用しています。

Brandwatch活用の背景(課題)

岩橋氏:私たちの部門に求められているのは、CXを最大化するために、さまざまなデータを見つつ、コミュニケーションの全体プランを提案することです。Webリサーチにはかなり長く取り組んできましたが、今は生活者の検索行動がかなり変わっていますので、生活者ニーズを把握する手段のひとつとしてSNSなどオンライン上の声を活用し始めました。

プランニングでは、私たちがこれまで培ってきたノウハウはもちろん市場や競合の状況を加味し、お取引先のお客様の情報に加えて「生活者の声」があることで、お取引先に気づきと納得感を得ていただくことが重要です。

 

 
伊藤氏:今はお取引先も1stパーティーデータ(お客様の情報)をお持ちですから、先方が知らないような「生活者」のインサイトと、そこからの考察が必要です。そういう意味で、「生活者の声」は非常に重要ですし、そこに私たちの考察なども交えて提案できると、説得力が増すのではないかなと思っています。

 

 

 

小副川氏:「この商品はこの年代の男性に売れている」などの事実はセールスデータなどから考察はできます。ただ、購入した人たちは何が好きなのかというインサイトは、Twitterなどお客様の反応を直接見ることができるSNSの場にヒントがあり、それらを活用するためのツールが必要でした。

 

 

 

前田氏:私が担当している業界では、「業界内での仮説」のようなものがあります。業界内で当たり前に考えられていることが、生活者にとっても当たり前なのか、お取引先側が不安になることもあります。ツールを使って生活者の声を抽出し、提示することで、お取引先の疑問や不安を解消することができ、提案の説得力も増すと考えています。

DNPがBrandwatchを採用した理由

岩橋氏:どのツールを選ぶかという場面では、実は国内外のツールを10社ほど検討しました。最終的にBrandwatchを選んだ理由としては、以下のようなものがあります。

  • Twitterのデータを過去も含めて全量見ることができる(*1)(*2)
  • 複数部門で利用想定だったため、利用者変更が柔軟にできる
  • UIがわかりやすく、みんなで使うことができる

*1 過去分も含めたTwitterの全量データにアクセスできます。ダッシュボードでの一覧表示やダウンロードはできません。
*2 「全量アクセス」に非公開や削除された投稿は含まれません

全社的な提案力の底上げにつながる能動的な活用体制構築

岩橋氏お取引先からお声がかかるのを待つのでなく、私たちが先に課題に気づいて、能動的に提案したいと考えています。そのための提案力の底上げ、スピーディーな提案を行うために、「生活者の声」の分析を誰もが実施できるようにしたいと考え、「全員ゆるやかなアナリスト」を目指す体制を整えました。

具体的には、有志によるタスクチームを作りました。各部に「チャレンジ精神のある人をチームに入れたい」と相談をもちかけ、手を上げてもらいました。まずはこのツールを使ってみてねと言っても急には使えないと思うので、やることを決めて集まったメンバーで取り組んでもらいました。

岩橋氏タスクチームのメンバーは現在1期と2期で構成しています。半年間で1期としており、1期のメンバーはブレインパッドの有償トレーニングを受けました。これで、かなり使いこなせるようになりました。2期のメンバーには1期の人とペアを組んでもらい、1期の人がアドバイスしつつ進めるという体制で進めております。
1期の人には、他の部門に配信するためのレクチャー動画作りも担当してもらっています。「タグの説明」や「カテゴリの説明」など、手分けして動画を作り、共有しています。

現状、社内でBrandwatchを使う人は、数十人いると思います。もちろん、使い方がライトな人も、難しいことまで使いこなしている人もいます。

Brandwatchの具体的活用方法

岩橋氏:前述の「全員ゆるやかなアナリスト」を目指す体制でご説明したようにBrandwatchは、お取引先や企画領域でまだお取引のない企業様へのご提案に活用しています。私たちが彼らより前に課題に気づき、事前に調べられるところは調べてご提案をするためにBrandwatchを活用しています。

具体的には、「課題仮説立案/ヒアリング精度向上」「提案の裏付け、切り口探し」「実施施策の効果検証」の3つ軸があります。


 

 

 

活用シーン①:課題仮説立案、ヒアリング精度向上

前田氏:既存のお取引先である美容系商品のメーカーから、「男性向け新商品が出るので、コンセプトとパッケージデザインのコンペに…」と声がかかった事例です。

そのお取引先の中ですでにターゲット像の仮説があり、その仮説にもとづいた人物像として、特定の若手有名俳優の名前が挙がっていました。そこで、ターゲット像と近しいフォロワーが何に興味があるのか調査するために、その俳優の公式Twitterの男性フォロワーがどんなツイートをしているのか、分析することにしました。

分析を開始した際は、どのような内容のツイートが多いのかをうまく絞り込むのは至難の業でした。美容系ですからファッション関係に興味があるフォロワーに絞ったり、商品のキーワードになっていた言葉でツイートを絞り込んだりしましたが、それでもツイート内容の傾向を把握できずにいました。

困っていたところ、他のメンバーがフォロワーがリツイートした上位投稿を分析しており、同じ方法を試してみました。すると、フォロワーの興味の方向性が見え、それがお取引先の仮説にも沿っていることがわかりました。提案では、パッケージデザインやコンセプト作成の裏付けとしてデータを活用し、説得力を増すことができました。その時は受注できませんでしたが、お取引先からは裏付けデータのある提案を評価してもらい、さまざまなコンペにお声がかかるようになりました。

活用シーン②提案の裏付け、切り口探し

伊藤氏:ある食品メーカーで、包装材などの製造物関連のお取引はありましたが、プロモーション領域でもご支援できないかと考え、ロングセラー商品について新しい視点のプロモーション提案を行った事例です。コンペがあったわけではなく、今後コンペがあったらお声をかけてもらえるような関係性を築きたい、このような提案ができます、と知っていただくことが目的です。個人的にも、ソーシャルリスニングをどのように活用すれば成果を出せるのか、試したいと考えていたところでした。

提案したのはスキームです。新しい領域へのアプローチで最初から多額の予算を投下していただくのは両社にとってハードルが高いと思います。そこで、「小さい気づき⇒少額で実施可能な施策⇒小さい気づきに社会的ニーズがあることの確認(効果分析)⇒施策のスケールアップ」というPDCAを回しながら、段階的に大きくしていくスキームを提案したいと考えました。その中で、ソーシャルリスニングは、気づきの発見と効果分析に活用できないかと考えていました。ただ、スキームといっても具体的な内容がないとイメージしにくいので、そのお取引先のロングセラー商品について、ユーザーのSNSへの投稿内容から、「実は、ユーザーはこのように利用しているのか」という小さな気づきを得て、新たなプロモーション施策を提案しました。

お取引先からは「それはわれわれも気づいていなかった」と評価していただきました。成果として、直接的には案件化に至らなかったのですが、DNPのプレゼンスを上げることができ、後日別ブランドのコンペへの招待につながったと考えています。

活用シーン③実施施策の効果検証

小副川氏:家電メーカーの商品プロモーションの事例です。売り場のプロモーションを受託していましたが、イベントなど別領域のプロモーションにも携わることになりました。そこで、どのようなターゲットにどのように訴求すれば売り上げ増になるかという仮説を立案し、そのプロモーションの効果測定のためにBrandwatchを活用しました。

その商品の課題として、「購入してほしいターゲット層に購入いただけていない」ということがありました。それに対し、その商品のある機能に興味のありそうなターゲット、例えばキャンプ好きの人をターゲットにするなど、お客様の趣味嗜好をベースにしたコミュニケーションを展開できる、生活に寄り添った形のイベントを開催しました。

そして、仮説とターゲティングが合っているかどうか、イベントの効果を検証するために、設定したターゲット像に絞ってSNSユーザーのパネル(セグメント)を作り確認しました。また、イベント後に態度変容があったかどうか、どのようなリアクションがあったかを、N1投稿でも効果検証を行いました。最終的には、それを改善提案のPDCAサイクルを回すために活用するという形です。

Brandwatchの評価と今後の展望

岩橋氏:「ソーシャルリスニングで何でもわかると思わない」というのは、結構大事かなと思っています。あくまで、生活者を描き出すさまざまなデータのひとつであって、ソーシャルリスニングが不得意なことや、Webリサーチでやった方が早いこともあります。それをわかったうえで、何をソーシャルリスニングで導かせるのかをきちんと決めて対峙(たいじ)することが大事だと思っています

また、これはソーシャルリスニングに限らず、ユーザー調査は要件定義が重要というのは実感しています。丸腰でクエリを作らない、ということです。

前田氏:私は施策に直接結びつけるより、きっかけやアイデアを得る使い方も良いと感じています。その際は調べ方の手順も重要になります。例えば、商品をサンプリングする場所を提案する際には、場所や施設ではなく、一度「楽しい」とか「サイコー」のような、人の心の動きを表す言葉でツイートを抽出し、そのツイート内容から連想される場所を探すことで、提案アイデアを導き出すことができます。

伊藤氏:SNSに懐疑的な人はいるので、そういう人に、「500人中の300人がこう言っていますので、このような傾向が見られます」と言っても、「そもそも、その500という数は信じられるのか? 偏った人なのではないか?」と言われてしまいます。定量データに偏りすぎず、お取引先もまだ気づいていない定性データでの小さな気づきを通じて、お取引先にどうインパクトと納得感を持っていただくかに注力した方がソーシャルリスニングの強みが生かせるのではないかと考えています。

また、ソーシャルリスニングでは期待通りの結果を導き出せないこともあります。ただ、Brandwatchを活用する中で時間をかければ結果にたどり着けるものか、時間をかけても難しそうかの判断が早くなり、より効率的・効果的な活用ができるようになりました。

小副川氏:ダッシュボードの使い方の部分ですが、レポートとして可視化した時に、競合との比較などをTwitterで検索して調べるのと比べたら、格段に質の高いものができます。お取引先に見せた時にも、理解してもらいやすいです。

反面、プロモーション内容によっては投稿されにくい場合もあり、N1の分析ではイベントの評価を測りにくい場合などもあります。

岩橋氏:そのようなイベント施策の検証では、ハッシュタグを決めるなど、拡散させやすくする仕掛けを入れることで解決できるかもしれませんし、伊藤が言っていたスキームのように、これからは効果検証を前提としたキャンペーンの提案なども増やしていければと思います。加えてソーシャルリスニングを活用することでターゲット層に今回の施策が想定通り届いているか、狙った通りに生活者が評価しているのかという分析ができるので、これまで以上に効果検証の質が高められ、次につながっていくかと思います。今後ともより良い社会の実現にむけた新しい価値の創出に取り組むべくCXを最大化するパートナーとしての取組みを強化していければと思います。

掲載日:2022年8月25日
*文中に掲載されている会社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。
*文中に掲載されている情報は、発表日現在の情報です。情報は予告なく変更される可能性がございます。
 
 

 

 

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株式会社ミクシィ

  • 情報サービス・ゲーム業
  • UGCの収集
  • プロモーションの効果測定
  • 商品開発
  • コンテンツ戦略
  • 消費者の動向検知
  • その他




株式会社ミクシィ

モンスト事業本部
マーケティング部 マーケティング戦略G
檜田拓也 氏

ミクシィ

事例のポイント

  • 長年愛されるタイトルをユーザーに提供し続けているモンスト事業本部がBrandwatchを採用。
  • Brandwatchなら、ゲーム開発の企画におけるユーザーのニーズ調査からプロモーションの効果測定までをスピーディーかつ正確に実行できる。
  • 企画段階においてこれまで外部に依頼していた市場調査をすべてBrandwatchに切り替え大幅にコストを削減。
  • 莫大な予算を費やすゲーム開発において企画段階でユーザーのニーズは何かを言語化(定量化)することがその後の開発をスムーズにする。

株式会社ミクシィのご紹介

檜田氏:株式会社ミクシィ(以下、ミクシィ)はSNSのmixiからスタートしていますが、今はゲーム、スポーツ、ライフスタイルなど多様な分野でサービスを提供しています。ひと言で言うと、ユーザーのコミュニケーションを豊かにする会社です

ミクシィが提供しているゲームは、自分たちがこんなゲームがあるとユーザーが喜ぶのではないか、というプロダクトアウト視点と、ユーザーが求めていることに応えるというマーケットイン視点の両軸での開発が基本的な方針です。企業理念として「ユーザーサプライズファースト」という言葉を掲げており、コミュニケーション軸での遊び方でユーザーにびっくり/楽しいを届けることを目指しています。そのためには、企画段階からどのようなタイプのユーザーがいて、何を求めているかを知ることから始める必要があります。

ミクシィが提供しているゲームタイトルは複数ありますが、私が所属しているのはモンスト事業本部です。「モンスターストライク(以下、モンスト)」は、皆さまからはモンストの愛称で呼ばれていますが、このタイトルは2013年に配信を開始し、2021年10月に8周年を迎えた弊社の主力タイトルです。

しかし、「ユーザーサプライズファースト」を体現するためにも、次々と新しいタイトルを出さなければなりません。スピンオフの新規タイトルの企画は、常に考えています。

私自身は、さまざまな業界でデータ分析に携わり、ゲーム業界での分析歴は約8年になります。モンスト事業本部では、プロデューサーが考えた新規タイトルの企画の精度を高めるためのユーザーリサーチと、マーケティング(送客)を担当しています。

ミクシィが抱えていた課題

檜田氏:まず、ゲーム開発のどのタイミングでユーザーの声を集めているかというお話ですが、新規ゲームをリリースするまでの工程は大きくは以下のような流れです。

①企画立案

②モック開発(遊び方の基本動作)とα開発(キャラ育成やメンバー編成など、ゲームの周辺部分)

③β開発(商材であるキャラクター)

④収益性調査(そのタイトルにお金を払っていただけそうか)

⑤プロモーション

檜田氏:各プロジェクトオーナーが企画を考えて提案した中から、有望そうなものがモック開発に進みますが、「面白いから」という理由や情熱だけでは企画は通りません。一般的なIT企業と同様に、モンスト事業本部でも企画の初期段階から「ターゲット」「ニーズ」「新規ゲームをリリースすることで得られる効果」などの要素をロジカルに組み立て上層部に企画を提案・説明する必要があります。そのためにユーザーのニーズ(市場)調査が必要となります。上記②以降の工程においてもユーザーニーズの調査がしっかり行われていなければ、スムーズにプロジェクトが進みません。そして何より「ユーザーサプライズファースト」を体現したゲーム開発には、社内でとことんユーザーニーズを把握し共通認識を持つ必要があります。

以前は、企画立案のために外部の調査会社にユーザー調査を依頼していました。1回の調査で200~300万円程の費用がかかります。企画を考える数は特に制限しておりませんので、100個の企画があったら調査を100件依頼するのかとなってしまいますが、それは予算的に無理です。そこで、外部に依頼する調査の数を減らしたいというのが、まず課題としてありました。

もうひとつは、調査自体の内容です。あくまでも私の経験からですが、一般的な調査会社はゲーム業界についての知識があまりないように思います。そのため、調査の前に行う調査票を作成するのに非常に時間がかかります。「一般消費財なら調査の際にユーザーには、このような聞き方でいいけれど、ゲームについてはこれだと知りたいことが分からない」ということが多く、そのやり取りに時間がかかります。また、集まった調査結果を調査会社に集計いただく際も、ゲームという勘所がないと、納得のいく分析結果をいただけないケースも多く、手戻りが発生していました。調査票作成から実施、レポート(結果)を受け取るまで2ヶ月程度かかります。変化の激しいスマホゲームの世界では、納得のいくユーザー調査ができずに2ヶ月かかることは機会損失になります。

そこで、ソーシャルリスニングツールを使うといいのではないかと考えました。スマホゲームのユーザーとSNSのユーザーの親和性は高く、以前からプロモーションの効果測定に活用していたツールもあったからです。しかしこのツールには、以下のような課題がありました。

・ゲームプレーヤーの特性やニーズを深掘りできない。

・他の部署でも活用しているため、分析のタイミングが重なると利用できるデータ量を超えないように気を遣う(データ量を超えると追加料金が発生するため)

・UIが使いにくい、サポートは画面設定支援のみで分析のご相談ができない。
 

 

 

モンスト事業本部がBrandwatchを採用した理由

Brandwatchを採用した理由①:ゲームユーザーのニーズ調査をスピーディーに実行

檜田氏:以前のツールでは、あらかじめツール内で設定されたものしか調査出来なかったのですが、Brandwatchは、「こういう言葉をつぶやく人はこういう人であろうという仮説」や自分たちが考えたカテゴリを自社内で自由に設定していくことができます。すでに申し上げた通り変化の激しいスマホゲームの世界で納得のいく調査をスピーディーに行うためには調査の内製化を行った方が良いと考えました。そこで「Brandwatch」を活用すれば、ほぼリアルタイムでSNSデータからユーザーニーズの分析結果が得られるだけでなく、ゲーム業界特有の切り口を設定するなど自由度の高い調査を実施できるため企画の精度が高められます。そして、これまでの企画立案期間を半分に短縮できることが採用の一番の理由です。

Brandwatchを採用した理由②:市場調査をより格安で各工程で必要な調査が可能

檜田氏: Brandwatchは、これまで外部に依頼していた市場調査費用を大幅に削減でき、いつでも自分で納得いく調査ができます。

調査会社に依頼するのと違って、ほぼリアルタイムで分析結果が得られるので、現在は、企画段階ではすべてBrandwatchを活用しています。上記の工程④の収益性調査のみ直接ユーザーに聞かなければ分からないため、外部調査を行っていますが、ゲーム開発が進んで、正式リリースやプロモーションの段階になったら、再びBrandwatchを活用できます。

Brandwatchを採用した理由③:データ量を気にせず使えてUIが直感的

檜田氏:以前のツールではデータの使いすぎに気をつけなければいけなかった(データ量を超えると追加料金が発生するため)のですが、Brandwatchは課金体系が違うため、それが必要なくなりました。また、過去に遡ったデータでも同じように活用できるようになりました。コスト的に、とても安くなっています。好みの問題もあるのですが、操作画面の色使いも見やすいですし、メニューの配置も直感的にどう操作すればいいのか分かりやすい。そこも気に入っています。

Brandwatchの具体的活用方法

Step1:どんなタイプのゲームを企画すればいいか指標を作る

檜田氏:スピンオフのゲームは、モンストで遊んだことのない人や、一度遊んだけれどやめてしまった人に遊んでいただけるゲームを作るのが目的です。そのために、何をして遊びたいと思っている人が世の中に多いのかを知る必要があります。

パズルゲーム、育成ゲーム、バトルゲームなど、いろいろなカテゴリがありますが、APP ANNIEでダウンロード数を見て、どのジャンルがユーザーにヒットしているかを見るというのは、多分どのゲーム会社もやっていると思います。我々は、それだけでなく、実際に人気コンテンツのユーザーはどういうタイプの人で、モンストのユーザーとはどう違うのか、ニーズは何なのかの言語化(定量化)を通じてユーザーニーズを把握し、企画をブラッシュアップしていきます。

例えば、今「パズドラ」さんが人気だなと思えば、パズドラさんのユーザーはどんな人なのか、モンストのユーザーとどう違うのかを比較します。その結果、どうやらユーザーは別の層らしいので、モンスト×パズルでゲームを企画してみようという話になるわけです。

Brandwatchは時間を指定してツイートを分析することもできるので、現在のツイートを分析すると、今どういう人が多いのかを把握できますし、半年前のデータ、1年前のデータ、2年前のデータなど、時間軸を区切って分析すると、どのようにユーザーニーズが変化してきたかもすぐに分かります。

Step2:考えた企画がユーザーニーズを本当に満たせるか?の精度を上げる

檜田氏:例えば、ゲームプレーヤーのタイプを分ける「バートルの4分類」という有名な指標があります。以下のような分類です。

 アチーバー(Achiever):クエストやミッション達成に喜びを覚える

 エクスプローラー(Explore):探索や研究をし好奇心を満たすのが好き

 ソーシャライザー(Socializer):コミュニケーションを楽しむ

 キラー(Killer):対戦好きで勝つことに喜びを感じる

この4分類の中で例えば、アチーバーに分類された人のニーズまではわかりません。重要なのはニーズを言語化(定量化)して深掘ることです。そこでブレインパッドのカスタマーサクセスの方からニーズを深掘りするためにユーザーの価値観やパーソナリティなど、関連しそうなカテゴリをいくつか提案してもらいました。さらにアチーバーならこういう言葉をつぶやくだろうというものを設定してダッシュボードに作り込んでいただきました。この分析結果を見ると、アチーバーでもどのようなユーザーがいて、その人たちはどのようなニーズがあるのかまで深掘ることができます。これは、他のツールではできませんでした。

この部分の調査を外部に依頼していると、もちろん時間がかかることも困るのですが、モック開発をした結果、少し方針変更しようとなった場合に、調査費用が無駄になってしまうことや再調査が必要となります。しかし、Brandwatchなら、変更した方針に沿った切り口にダッシュボードを切り替えればいいだけなので、調査が無駄になってしまうことや再調査をする必要もありません。

ゲーム開発全体では何億もの予算を投下します。そこで勝ち筋の高い企画にしぼって開発に着手するわけですが、モック開発の段階でも数千万円ほどの費用がかかるため、企画として提案されたものすべてがそこへ進めるわけではありません。企画段階からユーザーニーズをしっかりと言語化(定量化)していれば、モック開発の費用も無駄にならないと思っています。

Step3:一般的なソーシャルリスニングツールとしての活用

檜田氏:企画の部分だけでなく、先ほど言ったようにリリース時のプロモーションの効果測定にも活用できますし、もちろんモンスト本体のSNSモニタリングにも活用しています。

Brandwatch 効果と今後の展望

檜田氏:プロジェクトオーナーにとっては、企画を立てるまでの調査にかかる時間が短縮できるうえ、社内での新規タイトル企画には「どんなユーザーで、そのユーザーにどんなニーズがあるのか」を言語化(定量化)できているためプロジェクトを円滑に進めるというメリットがあります。いろいろな会社が発表している調査データを企画書に切り貼りして伝えるより、SNSの生の声から導き出したデータで伝える方が、当たり前ですが説得力があります。

その結果、企画からリリースまでの時間が短縮できていると思います。我々は遊び方で楽しさを提供しようという方針ですから、早くリリースして、遊んでいただいて、フィードバックをいただきたい。一般的には、ゲームの開発期間は5~6年だと思いますが、我々はだいたい1年半です。そのスピード感のためには、ユーザーニーズが得られない調査に時間をあまりかけることはできません。

会社にとっては、きちんとユーザーニーズを言語化(定量化)したうえで共通認識を持って開発し、時間をかけずタイミングよくリリースしたゲームですから、成功の確度も上がると思います。企画から一貫してユーザーニーズの調査を行っているので、新規ゲームのリリース前後のプロモーションの効果測定においても、キャンペーンがうまくいった・いかなかったに留まらず、ユーザーニーズを満たしているか、ニーズとの乖離はどこなのかといった調査に「Brandwatch」が活用できるので、モンスト事業の市場調査の精度向上と効率化に大きく貢献しています。

実は、Brandwatchの担当としては、私一人しかいません。他のツールでは「こういう設定で調査できると思います、説明書はこれです」というサポートだったので、分析の相談ができなかったのです。Brandwatchを活用してからは、ブレインパッドのカスタマーサクセスの方がしっかり伴走して、新しいカテゴリの設定やクエリを一緒に考えたり、的確なアドバイスやサポートに助けられました。ブレインパッドに作成してもらったダッシュボードは今でもフル活用しています。

今後もBrandwatchなどのソーシャルリスニングを活用して、もちろん必要に応じて外部調査を活用しつつ、ユーザーの解像度を上げ、事業の成功確度を上げていきたいと考えています。

掲載日:2022年年1月13日
*文中に掲載されている会社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。
*文中に掲載されている情報は、発表日現在の情報です。情報は予告なく変更される可能性がございます。
 
 

 

 

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