株式会社スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー

  • 卸売・小売・流通業
  • 商品開発
  • ブランド調査
  • マーケティング
  • 消費者の動向検知

株式会社スタイリングライフ・ホールディングス
BCLカンパニー

商品開発本部企画2部 部長 兼 ブランド戦略部
ブランドマネージャー 齊藤 久美子 氏
商品開発本部企画2部 課長 西村 都美 氏

株式会社ブレインパッド
DXオファリング推進 副リード 小堺 秀真
カスタマーエンゲージメントグループ
グループリーダー 新谷 照信

スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー

事例のポイント

  • 「Brandwatch」を活用した高度分析への挑戦の背景と決断、社内の活用浸透について
  • 「サボリーノ」商品のリニューアルにおいて、利用シーンと消費者心理に基づく意思決定のポイント
  • 「クレンジングリサーチ」の商品改良において、低迷していたシリーズをソーシャルデータを駆使して復活に至る過程の詳細
  • 成功と失敗の原因を振り返ることで次の成長につなげる、レベルアップしていくためのWhyの導き方

株式会社スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニーのご紹介

株式会社ブレインパッド・小堺秀真(以下、小堺):最初にBCLカンパニー(以下BCL)様の概要を教えてください。

株式会社スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー・齊藤久美子氏(以下、齊藤氏):化粧品の製造販売を行っている会社です。「サボリーノ」「クレンジングリサーチ」をはじめとしたドラッグストアやバラエティショップ向けの多数のセルフコスメブランドと、直営店で販売している「ROAliv」等、合わせて約50のブランドを展開しています。販売経路は国内だけでなく、台湾や東南アジアを中心に海外にもあります。

BCLカンパニーがソーシャルデータを活用する背景

簡単なツールからソーシャルデータ分析を始めない

小堺:ソーシャルデータの活用に至った背景を教えてください。

齊藤氏:商品開発のアイデアの元が少しでも多く見つかるほうが絶対にいい、ということがまずあります。そして自分が思いつたことが、今世の中のどこにいるのかを把握しないといけません。企画した商品をリリースするタイミングが早すぎても遅すぎても良くないです。経験と勘に頼ってタイミングを外してきた過去があるから根拠が欲しかったということがあります。あるいはもう少し続くトレンドだったのに途中でやめてしまったこともあります。そういった“もったいなさ”をなくしたい気持ちもありました。

 

 

小堺:会社としても企画開発した商品のヒット率を上げたいという意思があり、トレンドをどうやって読むのかということが御社の経営課題になっていたかとおもいます。そこでトレンドをデータとして見られるソーシャルデータ活用ツールのニーズがあったということですね。

世に出すのが早すぎたとか止めるのが早すぎたというお話がありました。その「早すぎた」という判断はどうやってくだしていたのでしょうか。

齊藤氏:その辺は実際の市場のトレンドを見て、出すのが早すぎたとか遅すぎた、あるいは止めるのが早かったという反省をしてきました。Brandwatchを導入してからは、たとえば「成分に関する投稿」をSNS上で把握できるようになったので、リリースや撤退のタイミングを間違えることが少なくなりました。

 

BCLカンパニーがソーシャルリスニングツール「Brandwatch」を採用した理由

小堺:ソーシャルデータ活用のツールはBrandwatch以外にも数多くあります。その中でBrandwatchを選んだ比較基準は何だったのでしょうか。

齊藤氏生の情報(データ)をそのまま活用できること、さらに分析が細かくできるところが良いと感じました。自分たちで生データからダッシュボードを作るような使い方になるので習得は難しかったです。しかし、使いこなしているメンバーが成果を上げているのを見ていると、導入したかいがあったと思うし、メンバーが急速に成長している実感もあります。

小堺:そのような難しいツールを導入する意思決定は、覚悟が必要だったと思うのですが。

齊藤氏:本当に難しくて誰も活用できず、根付かなかったらそのときはやめたらいいという気持ちもありました。簡便なツールもあったのですが、そういうところからスタートしてそれに慣れてしまうと、高度な分析に進むのが大変だと考えました。

小堺:齊藤様からBrandwatchの活用を言われたとき、西村様はどう思いましたか。

西村氏:導入前のブレインパッド様のオリエンテーションで旅行会社様での事例を拝見し、こんな風に新発見ができたらすごいなと思いました。ですからけっこう良いツールを導入してもらえたと思ったのですが、実際に活用するとなると半年ぐらいはかなり難しいと感じ、苦戦することもありました。

でも、活用に離脱しかけた人も自分の仕事に役立つ発見があると、またやろうという気持ちになって結局活用し続けるようになりました。ブレインパッドの新谷様がオフラインで月2回程来てくださったので、行き詰ったときにすぐ質問・解決して次に進んでいける環境を作ってくださったのも良かったです。実務に活かせる程度に使いこなせるようになるまで1年近くかかりましたが、部内でBrandwatchを活用する習慣ができました。

小堺:活用しているうちに慣れてきたという感覚ですか。

齊藤氏:そうですね。若いメンバーが多く、感性や見方が鋭いことと、気づきが周りの社員と共有できたことなどが大きかったです。

西村氏知りたいことが尽きないという探求心もみんなに共通しているのでしょう。POSデータを見てもなんでこの商品が売れるのか、売れないのかよくわからないけれど、Brandwatchで分析すればお客様の気持ちがもっとわかるかもしれないという感じで活用しています。

小堺:なぜ知りたいことが尽きないのでしょうか。

齊藤氏:自分の担当する商品をもっと売れるものにしたいからです。例えば、これまでは競合の状況を掴むのが困難でした。しかしBrandwatchを活用すると他社のもっと売れていている商品がSNS上でどんな施策をやっているかがわかるため、自社でもこんなやり方をしてみようといった仮説が立てられるようになったのです。

SNSで見かけた情報を単に見ているだけだと全体像がわからず、結局何をしていいのかもわからなくなるのですが、Brandwatchで分析すると「この施策の結果、これだけ伸びている。ではこの媒体でもう少しお金をかけてみようか」となります。仕掛けたことに対して、どういう反応があったかが見えるので、業績を向上させることにつながるわけです。自分の仮説やアイデアの根拠を探求するにはどうしても高度な分析が必要になります。仮説の検証を繰り返すことで自分の担当するブランドが成長するキッカケを探求することが楽しいということですね。

小堺:その結果、自分の評価も上がるわけですから、多少難しくても面倒でもやってみようとなるわけですね。

齊藤氏:特に販促系は施策と成果の関係がクリアにわかりますから、なおさらです。

ロングセラー商品のリニューアルにBrandwatchをフル活用

伝え方も成分もソーシャルデータ分析を元にリニューアル

小堺:具体的なブランド・商品でどんな分析をしたかを教えていただけますか。

齊藤氏:サボリーノのブランドマネージャーをしており、リニューアルに向けて自分たちで分析もしましたし、コンサルティング会社様に協力してもらって市場分析や競合分析もしました。

商品開発の初期段階では、SNSでサボリーノがどのように語られているかをまずざっくり把握しました。「朝用」「時短」「手軽」など想定していたキーワードが頻繁に投稿されていたことは予想どおりでした。意外だったのは、サボリーノに関する投稿量の多さです。競合する大きなブランドがいくつかあるのですが、それらに数で劣ることなく、またキャンペーン等とは無関係のお客様の自発的な投稿も多かったのです。シートマスクの売上ランキングではそれほど上位ではないのですが、いわゆる「ロイヤル顧客」の比率が極めて高いブランドだとわかりました。

サボリーノという名前からやはり忙しい朝や疲れた夜の時短効果を期待して購入いただいている方がほとんどだったのですが、ロイヤルティーが高まるタイミングについての言及(投稿)で「美容のモチベーションが上がっている」というのがあったのです。美容に対するモチベーションが高まっているから、朝にサボリーノでマスクする、そうすると自己肯定感も高まると言うのですね。これまでの時短効果を後押しするだけではなく「美容のモチベーションが上がっているタイミングでの使用」という新たなニーズの発見を取り込んで商品のリニューアルを企画しました。

小堺:新たなニーズの発見以外に商品リニューアルに際してソーシャルデータ分析から得られた改善ポイントを具体的に教えていただけますか。

齊藤氏:パッケージに「1分でスキンケア完了」「洗顔いらず」などとありますが、その「1分」や「洗顔いらず」を大きな文字にして強調しているところですね。そもそも「サボリーノ」と命名したわけですから、「1分でいい」とか「洗顔いらず」ということは、我々開発者にとっては「あたりまえのことだ」という認識があったのです。ところがソーシャルデータを分析するとお客様は意外とそのことを知りませんでした。

※ソーシャルデータ分析の結果から「サボリーノ」パッケージ内の1分、洗顔いらずの文言を強調

 

小堺:開発者の思い込みがあったとしても、普段からお客様の心理の動きをソーシャルデータでキャッチしようとしているから、気づいたらすぐに改めようとなるわけですね。商品そのものはあまり変わっていなかったとしても、伝え方を変えることで十分リニューアルになる――そういう新しい伝え方を導き出すためにソーシャルデータ分析が役に立ったということですね。

商品そのものについてもソーシャルデータ分析で大きく変わったことはありますか。

齊藤氏:「保湿力が物足りない」という意見(投稿)が多く見られたので、しっかりとアップしました。ロングセラー商品のリニューアルでは、中身(使用感)は大きく変えないというセオリーがあるのですが、Brandwatchの分析結果を踏まえてあえてそのセオリーには今回従わない意思決定をしました。

なぜなら、サボリーノは「ロイヤル顧客」の比率が極めて高いブランドという分析結果もあり10年もご使用いただいている商品であれば、お客様の平均年齢もそれに伴って上がっていきますので、パワーアップも必要かと考えました。

企画の社内決済をスムーズにしプロモーション・営業連携強化にBrandwatchを活用

小堺:サボリーノは御社の主力ブランドの1つであり、SNSでの投稿も多いということですが、西村様の担当されているブランドではどうだったのでしょうか。

西村氏:私の担当するクレンジングリサーチは20年以上売れている洗顔料シリーズですが、サボリーノとは相反してSNSにほとんど投稿されていない状況でした。緑の容器にリンゴの絵とAHAという大きなロゴがアイコンの商品で、全国のドラッグストアで展開されているので見たことある人は多いけど、話題にならない…。Brandwatchを導入する前の時期ですが、コロナの影響もあって売上が落ちているタイミングで発売したのがこちらの黄色の容器に大きくCと書かれた洗顔です。

 

ちょうどコロナ禍でビタミンCのサプリメントが流行っており、スキンケアでもビタミンC配合の商品が増えてきたタイミングでしたので、新商品にビタミンCを配合し、シトラスの香りにしました。SNSで話題になっているビタミンCを取り入れることで、ブランドに鮮度とSNSでの話題性を作る狙いでした。それまでのブランドイメージにはないカラーですが、一目でビタミンCを連想できるレモンのような鮮やかな黄色いパッケージにしたのもポイントです。ビタミンCを出すタイミングとしては少し遅いかなとも思ったのですが、出して見たらこの黄色が売り場でよく目立ち、とても売れました。期間限定で発売したのですが、売れ行きがよかったのですぐに定番化が決まりました。

商品は売れましたが、私も会社としても「今後もビタミンCブームは続くのか?」という疑問があったので、Brandwatchで分析したところ、投稿量の推移や投稿内容からまだまだ続きそうだという予想を立てられたので、その後もビタミンC配合の新商品をいくつか開発しました。営業からの「これいつまで売れるの?」にも答えやすくなりました。

齊藤氏:ロングセラーではありましたが低迷していたシリーズで、ジリジリと衰退期に入りかけていたところから復活の糸口をみつけられたのはよかったです。

小堺:Brandwatchを導入して、やりやすくなったことはありますか。

西村氏:クレンジングリサーチについては、トレンド性のある成分を取り入れる手法が成功したので、その後もレチノール配合の洗顔や炭・泥配合の黒い洗顔をローンチし、今は洗顔だけで7アイテムが出ています。他社がすでに同じ成分の商品を上市していると開発会議で「周回遅れでそれをやるの?」といった批判を受けることもありましたが、私の頭の中にはBrandwatchから導きだしたトレンドの流れみたいなものがあったので、売れる自信が多少なりともありましたし、結局は売れました。その後の開発会議では、先んじてBrandwatchの分析結果を出すようにしています。

小堺:なるほど。社内プレゼンの武器になっているわけですね。世の中に出す前に社内を通さないといけないわけで、根拠を出せと言われたときにBrandwatchでの分析データを見せることで、今まで通らなかったことが通るようなったということでしょうか。

齊藤氏:Brandwatchを導入してからは、数多くのデータを提示しながらプレゼンをするようになったので、企画に対して「本当に大丈夫なのか?」と言う経営陣がほぼいなくなりました。経営陣も独自の感性をもっています。これまではその感覚に合致しないと決裁が通らないことも多かったです。それが良い悪いということではなく、私たちも議論できるだけのデータ(根拠)を持っていなかったので、結局は感性と感性の戦いになっていました。

今はブランド全体のあり方については意見を出してくれますが、商品が本当に売れるのか問われるようなことはほとんどなくなりましたね。

小堺:マーケットの声、お客様の声の威力は絶大ということですね。

齊藤氏:以前は自分の企画を補強するために自己に都合のよいデータを活用することも少しありましたが、根拠としては弱いわけです。その点ソーシャルデータはお客様の声なので根拠として非常に強力です。

Brandwatch の評価と今後の展望

企画にデータを活かすことを日常化するには?

齊藤氏:たとえば事前調査ではこれはけっこう売れると思っていた商品が、市場に出してみたら思ったよりも奮わないということが最近ありました。その際には競合が実施している施策に対する投稿量と施策内容を見て、私たちはそれに対してどこまでやっているのかを比較したのです。以前は、「何か売れてないね。ダメだ」で終わりだったのが、しっかり振り返りできるようになり、次につなげられるようになった――これはとても重要なことだと思います。

小堺:データを見る感覚と声を拾う感覚が日常に根付き始めているわけですね。

齊藤氏企画書には必ず分析データを入れるというルールを作り、人事評価の項目にも入れました。仕組み化したわけです。本人が絶対おもしろいと思った企画でも、バックボーンになる数字を出すために調べたら「ちょっと違うな」と気づくこともあり、もう1度考え直すといったことが定着しています。

小堺:Brandwatchを商品開発に活かすプロセスが改めて理解できました。

ところで商品企画での定性調査と言うと、デプスインタビューが定番と思います。Brandwatchを導入したことによってデプスインタビューのあり方が変わった、あるいは不要になったといったことはありましたか。

齊藤氏:そもそもデプスインタビューとソーシャルデータ分析では顧客サンプルの取り方も違うので、お互い補完するものになると思います。

小堺:なるほど。武器が1つ増えたということですね。

失敗した商品を振り返るのは嫌だが、それが成長の糧になる

小堺:今後齊藤様や西村様の後継者を育成していくことも必要なのではと思います。そのためにどのようなことを考えておられますか。

西村氏過去にヒットした商品とそうではなかった商品を比較してみると、どんなに新規性や差別化ポイントがあっても、お客様のニーズとしっかり向き合えていなかったことが失敗の要因であることがほとんどです。要するに売れなかったものはニーズがなかったのです。こんなことはどのマーケティングの教科書にも書いてあるようなことですが、Brandwatchでソーシャルデータ活用し始めたこの1年半は、ニーズと向き合うことの大切さを今まで以上に強く実感しています。

私よりも若いメンバーは今からそれができるので、ソーシャルデータの活用を続けていればもっともっとニーズに寄り添った良い商品を自分のキャリアの中で生み出せるだろうなと思っています。ですからお客様のニーズと向き合うことを続けてほしいです。

齊藤氏:先ほど質問にあったデプスインタビューも含めて調査全般を経験することがまず大事だと思います。Brandwatchだけに頼ると、これも調べたほうがいいということを見落とすし、全体を見失うこともあると思います。ただBrandwatchを活用することで、メンバー全体が成長してきています。ソーシャルデータ分析自体の新しさもありますが、自分たちのやってきたことをしっかり振り返れることが大きいです。

当社は次々と商品を出せるところがあるので、そのぶん失敗も多いのです。その失敗の原因を「営業が売ってくれなかった」とか「販促費がかけられなかった」とか周りの要因のせいにしてしまうこともありますが、それを続けるだけでは自分ごととして振り返ることができません。売れなかった自分の商品をBrandwatchを活用して振り返ることで、成長につなげなければなりません。

新しい成分や新しい技術も大事ですが、それに溺れてしまうとお客様はなぜ欲しいのか、なぜ使いたいかが忘れがちになります。「なぜ」と合致しない商品は絶対売れないです。

小堺:やはりWhyが大切ですね。なぜお客様はそれを求めているのかが重要で、その素材を使いたいから買うわけではないということです。

齊藤氏:そうですね。Whyを分析できるのがBrandwatchの良いところです。

小堺:Whyをしっかり分析して、企画力を上げつつ、しっかり振り返りをして仮説の正しさを検証し、反省を繰り返すことでレベルアップしていく――そのことにBrandwatchは活用できるということでしょうか。

齊藤氏:そうですね。そもそも売れなかった商品を振り返るのは誰しも嫌です。だから誰かのせいにしたくなってしまいますが、それを止めてうまくいかなかった原因に向き合うことがやはり成長の糧になるのですね。

小堺:失敗したときに一度立ち止まって、「実はこういう間違いをしていた。それを繰り返さないように次回からはこうしよう」という成長につなげるための確認ツールにBrandwatchはなり得るということですね。

今日は良いお話をたくさん聞くことができました。お忙しい中、お二人とも本当にありがとうございました。

*文中に掲載されている会社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。
*文中に掲載されている情報は、発表日現在の情報です。情報は予告なく変更される可能性がございます。

ライオン株式会社

  • 製造業
  • 商品開発
  • ブランド調査
  • マーケティング
  • 消費者の動向検知

ライオン株式会社

写真右から
ビジネス開発センター コンシューマーナレッジ マネジャー 米谷 紘 様
ビジネス開発センター コンシューマーナレッジ 松本 拓子 様
ビジネス開発センター コンシューマーナレッジ 清水 まりん 様
ビジネス開発センター コンシューマーナレッジ 黄 裕香 様

株式会社ブレインパッド
プロダクトビジネス本部 SNSインテリジェンス・ソリューション部 飯塚 有菜
ビジネス統括本部 マーケティングソリューション営業部 2グループ 楠 龍平

ライオン

事例のポイント

  •  日用品メーカーの ライオンが「お客様が次に何を求めているのか」先行情報を幅広く収集し、変化を敏感に感じとっていくために、Brandwatchを採用。
  •  「お客様の解決したい問題、実現したいコト」をより深く、速く理解するために、捉えられていないお客様の声を発見し、その背後にある真実を読み解くことで提案価値の仮説を導出し、発信。
  •  ソーシャルリスニング(SNS)では洗濯、掃除などの一般的なカテゴリの枠を超え、お客様の求めているコトを掴むために、Brandwatchの強みを活かした複数の分析軸の掛け合わせにより、お客様の真実に迫るアプローチ方法を導出。
  •  「(1)Brandwatchのプロであるブレインパッド様から分析の型を学ぶ」「(2)その後自分なりの工夫をそこに積み重ねて発展させる」「(3)自ら新しいアプローチ方法を生み出す」という3ステップで分析のナレッジを蓄積し、社内での活用を浸透化。

ライオン株式会社のご紹介

米谷氏:ビジネス開発センター コンシューマーナレッジの私たちのグループでは、お客様の生の声を広く集めることで日々の生活の理解を深め、お客様の解決したい問題、実現したいコトを発見し、新しい提案価値に繋げることをミッションとしています。デジタル化の進展により、日々の生活から生み出されるデータを有機的に活用し、関連部門のメンバーともディスカッションしながら、データの背後にある真実を読み解くことでお客様の理解を深めることが、我々の重要な役割と考えています。また、マーケティングに活用されるデータは、これまでリサーチ部門が扱ってきたデータと比較しても、データ量が格段に多くなってきています。そのため、人手の作業では難しいデータ間の関係性、構造を探索的に掴むことにAI(機械学習)も活用し、アナリスト×AIのハイブリッドな分析アプローチにも取り組んでいます。

ソーシャルリスニング(SNS)を実践する背景

米谷氏:お客様の変化が速い時代には、過去のデータだけではなく、お客様が次に何を求めているのか、先行情報を幅広く収集し、変化を敏感に感じとっていくことが大切ではないかと考えていました。社会の動きや生活のトレンドなどを自分の目で直に見ることや 、なるべく生の一次情報に触れ、そこから「仮説」を導き出すことが大事だと考えています。ソーシャルメディア(SNS)上でのお客様の声もそのなかの一つの大切な声(情報)と捉えています。

ソーシャルメディアには、自社の製品・サービスとは直接的には関わらない社会、生活などの多面的なお客様の声も多く集まります。「家事」「衛生・清潔」など、製品・サービス軸だけでなく、より広く新鮮な情報を多面的に収集し、傾聴(リスニング)することでお客様の解決したい問題、実現したいコトをより速く捉えていくことが課題でした。

 

ライオンがソーシャルリスニングツール「Brandwatch」を採用した理由

お客様の解決したい問題、実現したいコトを捉える分析

清水氏:製品軸でお客様の声や反応を捉えていく分析では、カテゴリや製品についてどのようなことを投稿しているお客様が多いのかを把握し、気になる個々の文脈を理解するというアプローチ方法で問題ありませんでした。しかし、例えば「洗濯」というキーワードで投稿を見ていくと、製品軸とは比較にならない情報量のお客様の声が抽出されます。そこから、気になる文脈を探索し、個々の文脈を確認していくには多くの時間と手間もかかります。そこで、事前の仮説を切り口に、コト軸の文脈を分析する軸(例:洗濯×雨など)をスピーディに作ることができ、お客様の悩みに深く切り込むことができる機能を有するツールが必要であると考えていました。

 

米谷氏:製品軸でお客様の声や反応を捉えていくことに加え、お客様の解決したい問題、実現したいコトをより速く捉えていく課題を抱えていたとき、2019年にマーケティング領域の展示会でブレインパッド様のブースに立ち寄り、Brandwatchを紹介いただきました。試用期間経て、Brandwatchを本導入することとなり、清水がBrandwatchの活用を主導することで、社内に浸透していくようになりました。

ソーシャルリスニングの分析スピードと質を高められる

新しいツールが浸透するきっかけと取組み

清水氏:私は入社後にコンシューマーナレッジの現在所属するグループに配属となり、今回の「お客様の解決したい問題、実現したいコトを発見するアプローチ手法の開発」が、自分が主担当となる初めてのプロジェクトでした。そのため「失敗を恐れずに、お客様が今何を求めているのかを理解するために、新しいツールをマスターして、これを自分の強みにしよう」と考え、プロジェクトに取り組んでいきました。Brandwatchを活用したリサーチやアナリティクスについて何も知らなかったので、Brandwatchのイロハを飯塚さん(ブレインパッド カスタマーサクセス部)に徹底的に教えてもらいながら、ツールの習熟度を高めていきました。

Brandwatchは、SNSデータ全体を俯瞰的に見て、そこから初期仮説を基に複数の軸をつくって、生活文脈を絞り込んでいくことがスピーディにできます。気になる文脈を個別に確認することで、データの裏にある深層心理を読み解き、お客様の理解をより深めることができると感じています。個々の生活文脈における問題や、お客様があきらめている課題を把握し、全体の定量的な傾向とも比較しながら分析をすることができる高いユーザビリティを備えているので、私たちのグループのミッションを実現していくためにとてもフィットしていました。

Brandwatchを活用した分析ナレッジの蓄積と活用浸透化

ステップを分けて活用をすすめ、ノウハウを蓄積

米谷氏:「お客様の解決したい問題、実現したいコトを発見するアプローチ手法の開発と展開」をするツールとしてのBrandwatchを定着化させるアプローチ方法として、大きく3ステップで進めていきました。

 

(1)Brandwatchのプロであるブレインパッド様から分析の基礎や型として普遍となるものを学ぶ (2)その後自分なりの工夫をそこに積み重ねて発展させる (3)自ら新しいアプローチ方法を生み出すという3つのステップです。現在は、担当する分野ごとにBrandwatchを活用して分析レポートを作成し、ブレインパッド様とのレビューとディスカッションをさせていただきながら、ツール活用の習熟度と分析の質を高めるための取組を行っています。これにより、ツール活用と分析のナレッジを組織的に蓄積していくようにしています。

Brandwatchを活用し生活文脈理解の解像度を上げる

清水氏:全体俯瞰と具体的な生活文脈を行き来しながら、お客様のいま抱える問題を見つけるための分析の型をブレインパッド様と協働的に考え、つくっていきました。

 

実は、ブレインパッド様から「週に何時間くらい分析する時間が取れますか?」と質問をいただき、「その時の状況にもよるが、少ないと週に1時間程度」と答えました。このようなユーザ企業の状況やニーズを真摯に聞いていただき、ブレインパッド様側で、事前に分析のためのデータクレンジング、アラートの設定、カテゴリの追加などをおこない、分析の時間が週に1時間であっても、分析レポートまでアウトプットすることが可能か、事前に緻密に試行、テストいただき、提供してくださっていることを知り、感銘を受けました。

例えば、「毎日の洗濯について今どんなお困りごとがあるかな」という情報を収集すると、家事としての洗濯ではない「心の洗濯」などのデータなども含まれてしまいます。家事としての洗濯という行為に関する投稿だけに絞るために、100個以上のカテゴリを作っています。その後、洗濯機の話題なのか、洗濯物の乾燥の話題なのか、洗濯物の取り込みの話題なのかなど、洗濯ひとつとっても、どのようなシーンでの悩みなのかを柔軟かつスピーディに分類することがブレインパッド様のご支援で可能になり、分析の質だけでなく、効率もより高めることができていると感じています。

米谷氏:我々のチームは、課題の設定⇒分析設計⇒データ加工・集計⇒分析⇒レポーティングと、カバーする業務範囲が広く、特にSNSのデータは分析する前のデータ加工・集計の負荷が大きいと感じています。しかし、そこを疎かにするとお客様の深層心理にも近づけない。必ずしも目に見えない工程かもしれませんが、このようなデータクレンジングについてもブレインパッド様には真摯にノウハウを提供いただき、分析のためのデータの精度を上げていただけました。

清水氏:Brandwatchの活用は、既存事業領域だけでなく、新規事業の種の探索へも活用を広げています。特に新規事業はリサーチに多くのコストをかけられず、かつ決まった分析の型がありません。そのため、多様なデータへの切り口を作ることができ分析の柔軟性が高く、内製での分析ができるBrandwatchは適していました。生活のなかで実現したいコト、深い悩みを捉え、単に「○○という悩みがあります」だけではなく、「その悩みはこのようなセグメントに同様に感じられていそうだ」というところまで、定量的に伝えることができてきています。このような分析結果を関連部門へレポーティングしていくなかで、「担当する市場・カテゴリにかかわる領域でお客様がいま抱えている悩みなどをより理解し ていきたい」という会話 が社内でも増えていると実感しています。

Brandwatchの具体的活用方法

一般的なカテゴリの枠を超え、お客様の求めているコトを掴む

黄氏:私が担当しているのは「掃除」のカテゴリです。私はよく「掃除」以外の他のカテゴリも見るのですが、どのような切り口、軸で生活文脈のデータを深掘りしていくのが有効かはカテゴリごとに違います。その中から自分なりに分析軸を組み合わせ、今は自己流の型がつくれてきていると感じています。自分なりの使い方ができるのがBrandwatchの面白いところだと思います。

例えば、「カビ」「臭い」などは掃除カテゴリで一般的なワードです。そこにライフステージを組み合わせてみると、生活シーンのなかでのそれぞれの悩みが見えてきます。同年代女性でも妊婦と子あり女性では悩みが違うことがありますし、他にも、そのときの分析の目的や事前に持つ仮説をもとに、季節性や情緒を掛け合わせることで、お客様がいま家事や掃除のシーンで抱えるインサイトや、未解決になっている問題を捉え、社内に発信・共有していくことに取り組んでいます。

まだ社内で捉えられていない、気がついていない「お客様が次に何を求めているのか」を発信できるのが私たちの価値だと思うので、お客様視点になりきりお客様の求めている真実を掴むことを常に意識して分析に取り組んでいます。

まだ捉えられていないお客様の声を発見し、データの背後にある真実を読み解く

松本氏:私が担当しているのは「衛生・清潔」のカテゴリです。分析を始めた当初はお客様が真に抱えている悩みや問題を発見していくことに苦労していました。しかしある時、「衛生・清潔領域の多くの生活文脈があるが、これをくまなく見続けた先に、新たな発見が本当にあるのだろうか」と疑問を持ちました。
そのときに、担当のブレインパッド楠さんに「本当に捉えるべきお客様の悩みが埋もれないように、すでに捉えている文脈をキーワードで特定し、分類しながら分析おこなう手法がある」と教えていただき、実践していきました。
相関性が低そうな言葉を一括で特定して、それ以外の文脈をさまざまな軸で分析することで、お客様の深層心理、本当に悩んでいそうなコトに近づけている 実感を持つようになりました。

「条件を工夫して必要なものを取り出す」のではなく、「グルーピングして既知のものを除外する」という発想はなかったので、教えていただいて頭の中も、自分自身がやるべきこともクリアになりました。

キーワード分析

松本氏:最近面白かったのは、普段身につけるものをキーワードにした分析です。身につけるものの衛生に対する感覚が変わってきていると感じたためです。例えば、「衛生」×「スマホ」「めがね」などのキーワードで分析をしたところ、意外にも「外出先から帰宅したときの新たな顧客体験」の仮説が見えてきました。キーワードの掛け合わせからこれまで捉えられていなかった生活導線の仮説を見つけることができ、とても興味深かったです。

実は半年くらい前にも「手指消毒疲れ」という感覚が生まれているのではないかという仮説が社内であがり、分析をしたことがあります。その結果、確かに手指消毒を行うことにお客様は疲れていそうだということは分かったのですが、それ以上深く仮説を検証することは出来ませんでした。
しかしBrandwatch導入後の分析のなかでは、「手指消毒には確かに疲れているが、物の消毒の意識が高まっている」という仮説の深堀をすることができ、データの背後にある真実を深く読み解くことに近づけていると実感しています。

Brandwatch の評価と今後の展望

松本氏:私も以前、 事業部門でマーケティング実務を担当していましたが、業務内容は多岐にわたるため、お客様が普段どのようなことを考えているかデータをじっくり見て考える時間を十分に持つことはそう簡単ではないと感じていました。そのため、私たちが報告する生活者のリアルな声のレポートは社内でも有用だという声をいただけています。

清水氏:現在は生活者の今の悩みや、解決したいコトをメインで分析していますが、少し先の「未来の生活者の悩み」を捉えるにはどうしたら良いのかを考えています。
定量、定性の両アプローチを掛け合わせ、少し先の未来を捉えるような分析アプローチができたらと思っています。

黄氏:事業部門とも連携して、本取り組みと連動した成功事例を一つでも多く作っていきたいと考えています。捉えたお客様の悩みを実際に製品、サービスを通じて解決していくことにつなげていくことができて、初めて本当の意味での成果だと思うので、ここは拘って今後も取り組んでいきたいと考えています。

松本氏:今後社内のより多くの部門にお客様が今、そして次に何を求めているのかを発信、共有していきたいと考えています。製品に関する反応だけを見ていても見えてこないものがBrandwatchを活用した本取組みで発見できてきていると感じています。これが起点になってお客様への新しい価値提案に繋がり、それがお客様の生活にこのように寄与した、という成果が見えるよう、取組みを拡大していきたいです。

米谷氏:ライオンのパーパスである「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」を実践していくために、変化する社会課題に対応しながら、「お客様が次に何を求めているのか」を深く理解し、楽しく、前向きなより良い習慣を提案していくことに、本取組を通じて貢献していきたいと考えています。

掲載日:2023年3月3日
*文中に掲載されている会社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。
*文中に掲載されている情報は、発表日現在の情報です。情報は予告なく変更される可能性がございます。

株式会社ミクシィ

  • 情報サービス・ゲーム業
  • UGCの収集
  • プロモーションの効果測定
  • 商品開発
  • コンテンツ戦略
  • 消費者の動向検知
  • その他




株式会社ミクシィ

モンスト事業本部
マーケティング部 マーケティング戦略G
檜田拓也 氏

ミクシィ

事例のポイント

  • 長年愛されるタイトルをユーザーに提供し続けているモンスト事業本部がBrandwatchを採用。
  • Brandwatchなら、ゲーム開発の企画におけるユーザーのニーズ調査からプロモーションの効果測定までをスピーディーかつ正確に実行できる。
  • 企画段階においてこれまで外部に依頼していた市場調査をすべてBrandwatchに切り替え大幅にコストを削減。
  • 莫大な予算を費やすゲーム開発において企画段階でユーザーのニーズは何かを言語化(定量化)することがその後の開発をスムーズにする。

株式会社ミクシィのご紹介

檜田氏:株式会社ミクシィ(以下、ミクシィ)はSNSのmixiからスタートしていますが、今はゲーム、スポーツ、ライフスタイルなど多様な分野でサービスを提供しています。ひと言で言うと、ユーザーのコミュニケーションを豊かにする会社です

ミクシィが提供しているゲームは、自分たちがこんなゲームがあるとユーザーが喜ぶのではないか、というプロダクトアウト視点と、ユーザーが求めていることに応えるというマーケットイン視点の両軸での開発が基本的な方針です。企業理念として「ユーザーサプライズファースト」という言葉を掲げており、コミュニケーション軸での遊び方でユーザーにびっくり/楽しいを届けることを目指しています。そのためには、企画段階からどのようなタイプのユーザーがいて、何を求めているかを知ることから始める必要があります。

ミクシィが提供しているゲームタイトルは複数ありますが、私が所属しているのはモンスト事業本部です。「モンスターストライク(以下、モンスト)」は、皆さまからはモンストの愛称で呼ばれていますが、このタイトルは2013年に配信を開始し、2021年10月に8周年を迎えた弊社の主力タイトルです。

しかし、「ユーザーサプライズファースト」を体現するためにも、次々と新しいタイトルを出さなければなりません。スピンオフの新規タイトルの企画は、常に考えています。

私自身は、さまざまな業界でデータ分析に携わり、ゲーム業界での分析歴は約8年になります。モンスト事業本部では、プロデューサーが考えた新規タイトルの企画の精度を高めるためのユーザーリサーチと、マーケティング(送客)を担当しています。

ミクシィが抱えていた課題

檜田氏:まず、ゲーム開発のどのタイミングでユーザーの声を集めているかというお話ですが、新規ゲームをリリースするまでの工程は大きくは以下のような流れです。

①企画立案

②モック開発(遊び方の基本動作)とα開発(キャラ育成やメンバー編成など、ゲームの周辺部分)

③β開発(商材であるキャラクター)

④収益性調査(そのタイトルにお金を払っていただけそうか)

⑤プロモーション

檜田氏:各プロジェクトオーナーが企画を考えて提案した中から、有望そうなものがモック開発に進みますが、「面白いから」という理由や情熱だけでは企画は通りません。一般的なIT企業と同様に、モンスト事業本部でも企画の初期段階から「ターゲット」「ニーズ」「新規ゲームをリリースすることで得られる効果」などの要素をロジカルに組み立て上層部に企画を提案・説明する必要があります。そのためにユーザーのニーズ(市場)調査が必要となります。上記②以降の工程においてもユーザーニーズの調査がしっかり行われていなければ、スムーズにプロジェクトが進みません。そして何より「ユーザーサプライズファースト」を体現したゲーム開発には、社内でとことんユーザーニーズを把握し共通認識を持つ必要があります。

以前は、企画立案のために外部の調査会社にユーザー調査を依頼していました。1回の調査で200~300万円程の費用がかかります。企画を考える数は特に制限しておりませんので、100個の企画があったら調査を100件依頼するのかとなってしまいますが、それは予算的に無理です。そこで、外部に依頼する調査の数を減らしたいというのが、まず課題としてありました。

もうひとつは、調査自体の内容です。あくまでも私の経験からですが、一般的な調査会社はゲーム業界についての知識があまりないように思います。そのため、調査の前に行う調査票を作成するのに非常に時間がかかります。「一般消費財なら調査の際にユーザーには、このような聞き方でいいけれど、ゲームについてはこれだと知りたいことが分からない」ということが多く、そのやり取りに時間がかかります。また、集まった調査結果を調査会社に集計いただく際も、ゲームという勘所がないと、納得のいく分析結果をいただけないケースも多く、手戻りが発生していました。調査票作成から実施、レポート(結果)を受け取るまで2ヶ月程度かかります。変化の激しいスマホゲームの世界では、納得のいくユーザー調査ができずに2ヶ月かかることは機会損失になります。

そこで、ソーシャルリスニングツールを使うといいのではないかと考えました。スマホゲームのユーザーとSNSのユーザーの親和性は高く、以前からプロモーションの効果測定に活用していたツールもあったからです。しかしこのツールには、以下のような課題がありました。

・ゲームプレーヤーの特性やニーズを深掘りできない。

・他の部署でも活用しているため、分析のタイミングが重なると利用できるデータ量を超えないように気を遣う(データ量を超えると追加料金が発生するため)

・UIが使いにくい、サポートは画面設定支援のみで分析のご相談ができない。
 

 

 

モンスト事業本部がBrandwatchを採用した理由

Brandwatchを採用した理由①:ゲームユーザーのニーズ調査をスピーディーに実行

檜田氏:以前のツールでは、あらかじめツール内で設定されたものしか調査出来なかったのですが、Brandwatchは、「こういう言葉をつぶやく人はこういう人であろうという仮説」や自分たちが考えたカテゴリを自社内で自由に設定していくことができます。すでに申し上げた通り変化の激しいスマホゲームの世界で納得のいく調査をスピーディーに行うためには調査の内製化を行った方が良いと考えました。そこで「Brandwatch」を活用すれば、ほぼリアルタイムでSNSデータからユーザーニーズの分析結果が得られるだけでなく、ゲーム業界特有の切り口を設定するなど自由度の高い調査を実施できるため企画の精度が高められます。そして、これまでの企画立案期間を半分に短縮できることが採用の一番の理由です。

Brandwatchを採用した理由②:市場調査をより格安で各工程で必要な調査が可能

檜田氏: Brandwatchは、これまで外部に依頼していた市場調査費用を大幅に削減でき、いつでも自分で納得いく調査ができます。

調査会社に依頼するのと違って、ほぼリアルタイムで分析結果が得られるので、現在は、企画段階ではすべてBrandwatchを活用しています。上記の工程④の収益性調査のみ直接ユーザーに聞かなければ分からないため、外部調査を行っていますが、ゲーム開発が進んで、正式リリースやプロモーションの段階になったら、再びBrandwatchを活用できます。

Brandwatchを採用した理由③:データ量を気にせず使えてUIが直感的

檜田氏:以前のツールではデータの使いすぎに気をつけなければいけなかった(データ量を超えると追加料金が発生するため)のですが、Brandwatchは課金体系が違うため、それが必要なくなりました。また、過去に遡ったデータでも同じように活用できるようになりました。コスト的に、とても安くなっています。好みの問題もあるのですが、操作画面の色使いも見やすいですし、メニューの配置も直感的にどう操作すればいいのか分かりやすい。そこも気に入っています。

Brandwatchの具体的活用方法

Step1:どんなタイプのゲームを企画すればいいか指標を作る

檜田氏:スピンオフのゲームは、モンストで遊んだことのない人や、一度遊んだけれどやめてしまった人に遊んでいただけるゲームを作るのが目的です。そのために、何をして遊びたいと思っている人が世の中に多いのかを知る必要があります。

パズルゲーム、育成ゲーム、バトルゲームなど、いろいろなカテゴリがありますが、APP ANNIEでダウンロード数を見て、どのジャンルがユーザーにヒットしているかを見るというのは、多分どのゲーム会社もやっていると思います。我々は、それだけでなく、実際に人気コンテンツのユーザーはどういうタイプの人で、モンストのユーザーとはどう違うのか、ニーズは何なのかの言語化(定量化)を通じてユーザーニーズを把握し、企画をブラッシュアップしていきます。

例えば、今「パズドラ」さんが人気だなと思えば、パズドラさんのユーザーはどんな人なのか、モンストのユーザーとどう違うのかを比較します。その結果、どうやらユーザーは別の層らしいので、モンスト×パズルでゲームを企画してみようという話になるわけです。

Brandwatchは時間を指定してツイートを分析することもできるので、現在のツイートを分析すると、今どういう人が多いのかを把握できますし、半年前のデータ、1年前のデータ、2年前のデータなど、時間軸を区切って分析すると、どのようにユーザーニーズが変化してきたかもすぐに分かります。

Step2:考えた企画がユーザーニーズを本当に満たせるか?の精度を上げる

檜田氏:例えば、ゲームプレーヤーのタイプを分ける「バートルの4分類」という有名な指標があります。以下のような分類です。

 アチーバー(Achiever):クエストやミッション達成に喜びを覚える

 エクスプローラー(Explore):探索や研究をし好奇心を満たすのが好き

 ソーシャライザー(Socializer):コミュニケーションを楽しむ

 キラー(Killer):対戦好きで勝つことに喜びを感じる

この4分類の中で例えば、アチーバーに分類された人のニーズまではわかりません。重要なのはニーズを言語化(定量化)して深掘ることです。そこでブレインパッドのカスタマーサクセスの方からニーズを深掘りするためにユーザーの価値観やパーソナリティなど、関連しそうなカテゴリをいくつか提案してもらいました。さらにアチーバーならこういう言葉をつぶやくだろうというものを設定してダッシュボードに作り込んでいただきました。この分析結果を見ると、アチーバーでもどのようなユーザーがいて、その人たちはどのようなニーズがあるのかまで深掘ることができます。これは、他のツールではできませんでした。

この部分の調査を外部に依頼していると、もちろん時間がかかることも困るのですが、モック開発をした結果、少し方針変更しようとなった場合に、調査費用が無駄になってしまうことや再調査が必要となります。しかし、Brandwatchなら、変更した方針に沿った切り口にダッシュボードを切り替えればいいだけなので、調査が無駄になってしまうことや再調査をする必要もありません。

ゲーム開発全体では何億もの予算を投下します。そこで勝ち筋の高い企画にしぼって開発に着手するわけですが、モック開発の段階でも数千万円ほどの費用がかかるため、企画として提案されたものすべてがそこへ進めるわけではありません。企画段階からユーザーニーズをしっかりと言語化(定量化)していれば、モック開発の費用も無駄にならないと思っています。

Step3:一般的なソーシャルリスニングツールとしての活用

檜田氏:企画の部分だけでなく、先ほど言ったようにリリース時のプロモーションの効果測定にも活用できますし、もちろんモンスト本体のSNSモニタリングにも活用しています。

Brandwatch 効果と今後の展望

檜田氏:プロジェクトオーナーにとっては、企画を立てるまでの調査にかかる時間が短縮できるうえ、社内での新規タイトル企画には「どんなユーザーで、そのユーザーにどんなニーズがあるのか」を言語化(定量化)できているためプロジェクトを円滑に進めるというメリットがあります。いろいろな会社が発表している調査データを企画書に切り貼りして伝えるより、SNSの生の声から導き出したデータで伝える方が、当たり前ですが説得力があります。

その結果、企画からリリースまでの時間が短縮できていると思います。我々は遊び方で楽しさを提供しようという方針ですから、早くリリースして、遊んでいただいて、フィードバックをいただきたい。一般的には、ゲームの開発期間は5~6年だと思いますが、我々はだいたい1年半です。そのスピード感のためには、ユーザーニーズが得られない調査に時間をあまりかけることはできません。

会社にとっては、きちんとユーザーニーズを言語化(定量化)したうえで共通認識を持って開発し、時間をかけずタイミングよくリリースしたゲームですから、成功の確度も上がると思います。企画から一貫してユーザーニーズの調査を行っているので、新規ゲームのリリース前後のプロモーションの効果測定においても、キャンペーンがうまくいった・いかなかったに留まらず、ユーザーニーズを満たしているか、ニーズとの乖離はどこなのかといった調査に「Brandwatch」が活用できるので、モンスト事業の市場調査の精度向上と効率化に大きく貢献しています。

実は、Brandwatchの担当としては、私一人しかいません。他のツールでは「こういう設定で調査できると思います、説明書はこれです」というサポートだったので、分析の相談ができなかったのです。Brandwatchを活用してからは、ブレインパッドのカスタマーサクセスの方がしっかり伴走して、新しいカテゴリの設定やクエリを一緒に考えたり、的確なアドバイスやサポートに助けられました。ブレインパッドに作成してもらったダッシュボードは今でもフル活用しています。

今後もBrandwatchなどのソーシャルリスニングを活用して、もちろん必要に応じて外部調査を活用しつつ、ユーザーの解像度を上げ、事業の成功確度を上げていきたいと考えています。

掲載日:2022年年1月13日
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