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新型コロナウイルスに伴う活動自粛に関するマーケットリサーチ ~自粛生活が引き起こす人々の意識の変化~

日本における新型コロナの影響

 全国に発令されていた非常事態宣言が5月31日まで再延長されることとなりました。
都道府県では引き続き強い警戒態勢を引き、その他の地域では感染人数を注視しつつ一定緩和を容認するなど出口戦略を模索している状況です。
国民には「新しい生活様式」を提示して感染者の増加を抑えつつ、経済のインパクトを最小限に抑えるための試行錯誤が行われています。

 我々ブレインパッドはビッグデータを解析し、ビジネスや社会に役立てていくことをビジョンとして掲げています。
今回はパートナーである Brandwatch とともに、サーベイ機能である Brandwatch Qriously と ソーシャルメディア分析機能である Brandwatch Consumer Research
(※1)を活用して、市場の声の収集と分析を行いました。

※1:Brandwatch Cnsumer Researchは Brandwatch が提唱する 「Digita Consumer Intelligence(DCI)」の概念をベースにデータエンジニアリングや人工知能(AI)、社内の市場調査やブランド戦略のエキスパートを有するユニークな企業で、10億もの消費者の声をデータとして構造化し、意味のある知見に変換して企業に提供しています。(Brandwatchの未来:Digital Consumer Intelligence(DCI))

 

Brandwatch Qriouslyについて

 マーケットリサーチではBrandwatch Qriously を活用しました(※2)
この仕組みはデジタル時代の市場調査で、スマートフォンのアプリ内の広告スペースを使用して調査を行うことで、世界 20億人の潜在的な回答者にリーチでき、以下のような特徴があります。

  • 「広告ネットワークを介して、リアルタイムで調査を実施し、結果を確認」
  • 「アプリ広告を介して調査し入手困難な市場・国からもデータを収集が可能」
  • 「回答へのインセンティブが発生しないため、調査結果に偏りがでない」  
  • 「回答者のエリアをから回答内容の関係性などの調査が簡単に行える」

※2:Qriously は世論調査の精度向上、および世論調査の実施・分析方法の社会認知向上を目的としている、英国世論調査協議会(British Polling Council)に所属しており、科学的な意思決定を目指したソリューションの提供を行っています。(Brandwatch Qriouslyでできる 7つのクールなこと ~ 20億人にリアルタイムで質問できます ~)

 

アンケートの内容について

 Brandwatch Qriouslyのサーベイについては以下のような条件で行われました。

  • 対象:18歳以上
  • 場所:日本国内
  • サンプル数:1753サンプル(※3)
  • 設問数10問(うち4問は年齢、性別、職業、家族構成などの属性に関する質問)
  • 期間は2020年4月30日~5月10日までの結果です。

 Qriouslyでは機能として、米国国勢調査局のデータベース(International Data Base)を用い、性別と年齢からアンケート結果のウェイトバックを行う事ができます。
今回はこの機能を使い日本全国の推定を行いました。

※3 Qriouslyは個人が特定できる情報の収集などは行っておりません。

 

アンケート結果

 今回のアンケートを行った各設問の回答は以下のような内容となります。

質問:平日(出勤日)の自粛状況を教えてください。

 全国で非常事態宣言が発令され、多くの企業が国や自治体から在宅勤務の促進を強く要請されています。
そのような状況において平日の自粛は以下のようになっています。

 


この結果を見ると「毎日自粛している」という回答が一番多くなっており、次いで「自粛していない」が19%「週に3日以上在宅」が17%と続きます。
このような状況であっても19%が「自粛をしていない」という点では、ある意味驚きでもありますが、仕事内容などによっては避けられない場合もありそうです。

 Brandwatch Consumer Research を使い、Twitter に投稿される位置情報アプリ(Swarm)から発信される投稿を調べると、週末に出かけた際の投稿が多いようです。
非常事態宣言が発令されてからは投稿数が急減しています。
しかしながら3月末の3連休でかなりの投稿があり、桜の開花などに伴い、直前の数週間と比較して多くの外出があったようです。
この時点での ”ゆるみ” があったと言えそうです。

 

質問:あなたの自粛理由を教えてください 。

 日本は諸外国と異なり、個人の行動を罰則付きで制限するような法律を持っていません。
あくまでも強く自粛を要請するという事にとどまっています。このことからも自主的に行動を制限する理由が重要です。
自粛の理由は様々と思われますが、以下の回答を見ると「自分が感染しないため」が多く、その次は「社会に感染を広げないため」「家族が感染しないため」となっています。

 

 政府や会社からの指示、マスコミの影響などは少数派であり、その感染のリスクを理解し感染を防ぐために自粛に協力していると思われます。

 Brandwatchを利用し、自粛に関するキーワード( 自粛 NOT (RT OR “http”) )でTwitterの検索を行いました。
投稿を見ると、自粛の理由としては『自分、家族、子供に感染が及ばないよう自粛』という意見が多く見られました。
家族を守ることが大きな理由となっているようです。

 以下は投稿から、キーワード、絵文字、フレーズのトピック抽出の結果です。

 

 ”自粛警察” というフレーズがトピッククラウドに出ています。
SNS上での投稿を調査すると、『自分勝手な人々が許せない』という気持ちからストレスが発生している傾向もあるようです。
公園の砂場にカッターの刃を置くなどの悪質ないたずらや、ガイドラインに沿って営業中の店舗のガラスを割るなど、行き過ぎた自粛強要に波紋が広がっています。
このような行動を ”自粛警察” と呼び、自重を呼びかける投稿が多くなっていました。

 その様な中、以下の様に今回の新型コロナの状況下での行動を4つのセグメントに分けて分析をしている投稿も見られ、「リツイート」と「いいね」を合わせて15万以上の賛同を得られていました。
多くの人が、新型コロナに対する自粛の姿勢、またマスコミの報道の姿勢など共感が集まっているようです。

 

質問:あなたの自粛はどのくらい続いていますか?最も近しい項目を選択ください。

 非常事態宣言が強制的ではない日本において、その自粛のタイミングも企業や個人に任されています。
在宅勤務の準備の整った企業や個人、休校となった学生から自粛生活をスタートしています。
これらがより早い段階からスタートできていれば、感染の広がりにも影響を及ぼすと考えられます。

 

 回答では「1ヶ月以上」が最も多くなっており、非常事態宣言が発令後に在宅をスタートし、外部との接触がかなり減っていると考えられます。

 「1週間程度」「数日間」と自粛期間が極めて短い層も14%ほどいることが分かり、全国民が自粛を同時にスタートするのは難しいこともわかります。

 

質問:今の自粛生活にストレスを感じていますか?

 今回の非常事態宣言により、自粛生活の不便さ、経済的な不安、物品の不足で大きなストレスがかかっていると考えられます。
この質問ではそのようなストレス度合いを質問しています。

 

 長い自粛生活で約14%が「非常に強いストレス」、45%が「ストレスを感じる」と、全体の約60%がストレスを感じているようです。
逆に32%は「ストレスは無い」、5%が「非常にストレスが減った」、4%が「ストレスが減った」と回答していて、合わせると約40%がストレスもなく、むしろ減っている層もいることが分かります。

 ストレスは職業によって大きく変わると思われるため、職業ごとの構成比を算出しました。

 

 職業によってストレスの具合が異なっており、特に「主婦」については12%が「非常に強くストレスを感じる」、60%が「ストレスを感じる」と回答し、72%がストレスを感じている状況です。
自粛生活で家事が増えたり、買い物が不自由になるなどネガティブな影響を受けているようです。

 ワードクラウドではニュースなどの目や耳から入ってくる情報が不安・ストレスの原因でもあるようです。
家族との関係(コロナDV、コロナ離婚、一人になれる時間がない)や、自粛が子供に及ぼす影響などの不安要素が多く報道されているため、その点がストレスを増やしている可能性があるようです。

 

 以下のようにSNSでストレスに関する投稿は現在も増加傾向のままです。

 

キーワード (ストレス NOT (RT OR “http”))で検索をした結果。

 

 生活の中で明確な自粛の適用範囲やルールがわからず、周囲との認識齟齬をストレスに感じているようです。このような状況で『子供を連れての外出』『子供を外で遊ばせる』という点で議論が起こりました。
主婦や子供などにも適切な環境やルールを設け、周知・アナウンスすることにより、余計な衝突を避けることができるかもしれません。

 

 

質問:自粛生活をあとどのくらい続けられますか?

 一般的なインフルエンザと違い、新型コロナ(COVID-19)はワクチンがまだ開発されていません。
感染のリスクが絶えず続いており、決定的な解決策が無いという状況下において、自粛生活がどこまで継続できるかを聞いてみました。

 回答の状況は「1ヶ月以上」「1ヶ月程度」が59%となっていて、自粛生活に慣れてきているとも考えられます。
逆に「もう限界」「1週間程度」「数日」という極端に短い層の回答も22%あり、限界に近づきつつある層もあるようです。

 

 自粛が続けられるかは職業によって大きく違うと想定されるため、質問「職業を教えてください。最も近しい項目を選択ください。」と掛け合わせてみると、以下のような回答となりました。

 

 「会社役員/経営者」「会社員」「学生」などについては「1ヶ月程度」「1ヶ月以上」の割合が60%以上と多くなっており、収入・生活が安定している層は自粛状況に耐えられる状況であると思われます。
しかしながら「自営業」「パート・アルバイト」「専業主婦(夫)」については「2週間程度」以下で回答している層が多く、長くは続けられないという状況が見られます。

 

自粛解除後、楽しみにしていることを教えてください。

 日常で楽しみにしていることを制限されるという事も大きなストレスになると考えられます。
自粛解除後に最も楽しみにしていることを聞いてみました。

 

 「旅行/帰省」、「外食」、「飲み会」、「エクササイズ・トレーニング」、「ショッピング」などが上位に出てくる結果となりました。

 世代別に何を楽しみにしているかを見てみると、世代によって異なる結果となっています。

 

 29歳以下の若い世代は「ライブ、観劇、コンサート」「カラオケ」などが多く、40代以上の世代は「旅行・帰省」「外食」「ショッピング」が多くなっており、70代以上の世代では「エクササイズ・トレーニング」が18%を占め、アクティブな活動を求めているようです。
新型コロナの影響が大きいフィットネス・宿泊業・旅行業ではアクティブなシニア層が戻ってくることが重要であると思われます。

 

 この点をSNSで調べてみると、旅行・ライブ・イベントなどのキーワードが出てきています。
また飲食店での食事などを楽しみにしている投稿が見られるため、このような業種での再開を欲しているようです。
その反面、自粛期間終了後には生活のために仕事を再開し、仕事量を増やすなどの投稿も多くみられました。

 

自粛でストレスにさらされた主婦層

主婦層のストレスの増大

 アンケートの結果から見ると、一番、ストレスにさらされたのは主婦層であると言えそうです。
TwitterのBIOから「主婦(夫)」と「会社員」を抽出し、ストレスに関する投稿を2019年12月29日の週を100%とした場合に、どれだけ変化があったかを比較してみました。
当初は両方ともストレス関連の投稿が伸びていますが、
3月の三連休明けに小池東京都知事が会見を開き、「緩み」への牽制をされたり、非常事態宣言後(4月6日~)、より強い自粛を求められたあたりから主婦によるストレスに関する投稿が一気に増えており、在宅勤務・休校で家事の増加や買物の制限が影響しているかもしれません。
そんな状況も最近になり、徐々に落ち着いてきているようです。

 

 主婦はアフターコロナに何をする?

 アンケート項目にあった、「自粛解除後、楽しみにしていることを教えてください。」を主婦に絞ってみると以下のようになりました。

 主婦層でも30歳未満は「旅行・帰省」「ショッピング」「カラオケ」などで、30代は「旅行」、40代~60代では「ショッピング」「外食」、70歳以上では「運動・トレーニング」などをしたいと考えているようです。
全体的には「旅行・帰省」「ショッピング」「外食」が多くなっています。

 

 

 この調査をもとに、Brandwatch Consumer Researchで、主婦層のオーディエンスに限定し、「旅行 AND 行きたい」で抽出した場合の結果が以下となりました。

 

 キーワードを見ると「海外」・「ハワイ」・「田舎」・「温泉」・「ドライブ」・「食べ」などのキーワードが出てきています。
また、「思い出」・「友達」・「旦那」などのキーワードも出てきているため、新型コロナが一段落したら、仲のいい友人や家族とのんびりと旅行や帰省をしたいという気持ちが表れているようです。
色々と大変だった時期を乗り越えた後には、このような家族サービスをしてみてはいかがでしょうか。

 

「COVID-19」がもたらすであろう今後の新しい生活

 多くの市民が自粛生活を耐えつつも、生活を取り戻していくことを強く要望していると思います。
一方、自粛生活を『1ヶ月程度』、『1か月以上』続けられるという回答をみると、経済的な安定を得られるような状況であれば、テレワーク、リモートワークなどが新たな働き方として定着していく可能性も考えられます。
”アフターコロナ”の生活は、”ビフォアーコロナ”と同じ生活ではないかもしれません。

 

 史上初のオリンピック延期、非常事態宣言やロックダウンによる生活の制限、経済収縮と株価低迷、ワクチンが無い状況でのウィルスとの戦いといった未曽有の事態に世界中が直面しています。
世界中で400万人以上が感染し、28万人以上が死亡しているという状況下での意思決定が、今後の政治・経済の方向性に大きな影響を及ぼしていくことは間違いありません。

 

 ブレインパッドとBrandwatchは、リアルタイムのサーベイによる情報収集と、ソーシャルメディアの膨大なビッグデータの解析により、重要な意思決定のための情報提供を今後も行っていきたいと考えております。

 

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