データサイエンティスト育成講座 株式会社ブレインパッド

イベント通信

公開講座(2023年6月)開催レポート


2023年07月24日


こんにちは!ブレインパッド、データ活用人材育成サービスの鈴木です。

いよいよ梅雨が明けて夏本番ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて本日は、6月1日(木)~15日(木)に開催されたデータサイエンティスト入門研修(公開講座)の研修内容と、いまビジネス現場に求められているDX人材の捉え方や学び方も交えてお伝えします。

トピック:
1.DX人材育成に関する現場のホンネ
2.経済産業省が掲げた「デジタルスキル標準」が示唆するもの
3.当社のデータサイエンティスト入門研修(公開講座)の特徴
4.デジタルスキル標準とブレインパッドの公開講座とのつながり
5.さらに高度な知識・スキルを身に付けるには
6.まとめ

 

1.DX人材育成に関する現場のホンネ

デジタル技術の進化と普及に伴い、ChatGPTなどの生成AIに代表されるようなIT技術が容易く使える社会に変化するのと相俟って、組織内におけるデータ活用意識の高まりやビジネス現場への実装可能性が実感できるように環境が整ってきました。

これまで当社にもDX推進や現場のデジタル施策を目的とする相談が多く寄せられますが、複数企業のDX部門のご担当者とお話しをさせていただくと、まだ多くの企業で「依然としてDXの素養や専門性を持った人材が不足している」という課題を抱えているケースが後を絶ちません。

では、先ほど挙げられた「DXの素養や専門性」とは具体的にどのようなものと捉えることができるのでしょうか?

 

2.経済産業省が掲げた「デジタルスキル標準」が示唆するもの

2022年11月、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、人材の重要性を踏まえ人材育成の指針となる「デジタルスキル標準」「デジタルスキル標準」をとりまとめました。

デジタルスキル標準とは、「DXリテラシー標準」「DX推進スキル標準」の2つの要素で構成されています。

図1_DXリテラシー標準とDX推進スキル標準

図1_DXリテラシー標準とDX推進スキル標準

(出所)経済産業省・IPA 「デジタルスキル標準」
https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/ps6vr700000083ki-att/000106872.pdf

 

前者のDXリテラシー標準は、全てのビジネスパーソン向けに、「DXに参画し、その成果を仕事や生活で役立てるうえで必要となるマインド・スタンスや知識・スキルを示す、学びの指針」としてまとめたものです。

後者のDX推進スキル標準は、5つの人材類型ごとに修得すべき知識やスキル、役割が定められ、さらに細分化したロールが設定されています。各「ロール」に必要となるスキルが、共通スキルリストとしてカテゴリー毎に「重要度」を付けて示されています(図2参照)。

図2_「DX推進スキル標準」の構成

図2_「DX推進スキル標準」の構成

(出所)経済産業省・IPA 「デジタルスキル標準」
https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/ps6vr700000083ki-att/000106872.pdf

 

その中でも「データ活用」領域は、サブカテゴリーとして「データ・AIの戦略的活用」、「AI・ データサイエンス」、「データ エンジニアリング」に分類され、さらに7つの細かいスキル項目が設定されています。(図3参照)。

図3_DX推進スキル標準 共通スキルリスト一覧(「データ活用」)

図3_DX推進スキル標準 共通スキルリスト一覧(「データ活用」)

 

今回策定された「DXリテラシー標準」と「DX推進スキル標準」に共通していることは、DX推進に関わる基礎的な知識やスキルが提示され学びの指針となっていることです。これらのスキル標準からいえることは、データ活用の取り組みが言わば、実践フェーズに入ったことを示唆しており、具体的なプロジェクト推進においては一歩進んだ組織的な取り組みが必要となってくることを表していると捉えることができるでしょう。
それでは、デジタルスキル標準に適った学び方として今後どのような取り組みが必要になってくるのでしょうか。 

 

3.当社のデータサイエンティスト入門研修(公開講座)の特徴

ブレインパッド創業来、幅広い業種に提供してきたデータ活用・分析サービスの実績とノウハウを凝縮して作成されたプログラムです。公開講座(下図の赤枠内)では、データサイエンスの基礎リテラシーを習得する「これからはじめるデータサイエンス入門」から、各専門分野の基礎を学ぶ「SQLによる集計・分析」、「現場で活かせる統計解析実践」、「機械学習による問題解決実践」、「Pythonではじめるディープラーニング実践:画像解析入門」の合わせて5つ講座を定期的に開催しています。

図4_ブレインパッドの人材育成プログラムの全体像

図4_ブレインパッドの人材育成プログラムの全体像

 

4.デジタルスキル標準とブレインパッドの公開講座とのつながり

ここまで「デジタルスキル標準」とブレインパッドの公開講座のご紹介をさせていただきました。それでは、両者のつながりについて見ていきましょう。

紙幅の関係から5つすべての公開講座について取り上げることは残念ながらできませんので、本記事では、最初に受講していただきたい「これからはじめるデータサイエンス入門」を中心に見ていきましょう。

・「これからはじめるデータサイエンス入門 」の概要と位置付け
本講座は、データ分析の基礎となるデータの集計・可視化を用いて統計的なモノの見方や表現方法を身につけ、データを活用して適切な意思決定ができるようになることを目指す講座です。DX推進におけるスタート地点に立つビジネスパーソンの方に、プログラミングは用いずに、ビジネスパーソンであれば誰でも使用できるExcelを用いて、ビジネス上の課題に対する意思決定を習得できる内容となっています。データ分析の専門家ばかりでなく、多くの業界・業種のビジネスパーソンにご受講いただいております。

研修の進め方:
データ分析の標準プロセスであるPPDACサイクル、Excelハンズオンによる集計・可視化の4つのポイント(分布、比較、関係性、傾向の把握)を学習し、データサイエンスの概要や統計学の初歩等を解説する講義だけにとどまらず、実践型の演習(課題の抽出、要因探索、施策の提案)で、実務で活用できる知識とスキルを身に付けることができるように工夫しています。

DX推進において、データ活用は成否を決める重要な要素です。「DX推進スキル標準」においても、どの「人材類型」でも「重要度」が高く付けられているカテゴリーが「データ活用」です。そこで、本記事ではカテゴリー「データ活用」に注目していきます。

【講義パート】

➀データサイエンスの基礎 
データサイエンスの歴史や、ビジネスにおける活用シーン等を学びます。
この章の学習内容は、DX推進スキル標準のデータ・AI活用戦略という項目に該当します。

図5_テキストの例:「データ活用のタイプ」

図5_テキストの例:「データ活用のタイプ」

➁PPDACサイクル
実務でデータ分析を活用するには、まず業務上の課題を抽出して整理することから始め、分析方針を設計します。それからデータを収集します。次に分析を行い、分析結果の評価をフィードバックするという一連のサイクルを反復することが肝要です。

こうしたデータ分析の標準的なサイクルを講義パートで学び、そして研修2日目の総合演習で実践していきます。

➂具体的な問題解決アプローチ 
問題解決のためには現状把握が重要であり、そのためにはデータの可視化が有効な手段です。身の回りのデータには様々な種類があることを学んだ後に、データの種類に応じて適切な可視化の手法をExcelを用いたハンズオンで進めていきます。

次にクロス集計表の見方について、陥りやすいミスを例に取りながら学びます。さらに、確率分布を用いて問題解決する方法について、受講生の方に問題を解いていただきながら解説をすすめていきます。

この章の学習内容は、「DX推進スキル標準」では「数理統計・多変量解析・データ可視化」のうち「データ可視化」について学ぶことができます。

図6_テキストの例:「ハンズオン ヒストグラム」

図6_テキストの例:「ハンズオン ヒストグラム」

④相関と因果関係
相関と因果関係は、見分けることが難しい問題のひとつです。多数の具体例や問題(図6)を用いて解説しています。

図7_テキストの例:「クイズ 因果関係は?」

図7_テキストの例:「クイズ 因果関係は?」

⑤データから未来を予測する
データ分析を行ううえで最も重要な集計・可視化をここまででしっかり学んできましたが、その応用の一つとしてデータを使って未来を予測することができること(回帰分析)を紹介します。

「DX推進スキル標準」では、「数理統計・多変量解析・データ可視化」のなかの「多変量解析」のうち回帰分析についての紹介になります。

ここまで、講義内容が「DX推進スキル標準」のどのスキル項目に対応しているかを研修の流れに沿ってご説明致しました。


講義に続いて、次はいよいよ総合演習に入ります。講義で学んだことを総動員して、データを使ってご自身で分析を行い、知識・スキルを定着させます。

 

【演習パート】

プロジェクトベースの演習課題
総合演習課題は、過去の分析プロジェクトで得たノウハウをケーススタディ化したものです。演習課題の内容は、データを使って現状を把握し、その要因を探索して売上増加に向けた施策を提案するというものです。

図8_総合演習のテーマ例 「課題」の説明パート

図8_総合演習のテーマ例 「課題」の説明パート

演習では、データ分析の一連のサイクルを実際に体験することによって、単に知っているというレベルからより実践的な知識・スキルを習得できるようにしています。そうした体験を通じて、次の「DX推進スキル標準」のスキル項目の習得を目指します。

・「データ理解・活用」は、「グラフ・図表等を含む統計情報や各種分析手法を適用した データ分析結果を正確に理解し、その意味や背景を深く洞察 するスキル」です。演習では、分析する対象のデータを理解したり、確認をすることが重要であり、これを怠ると分析で思わぬ落とし穴に入ってしまうこともあることを体験していただきます。

・「データ・AI活用戦略」は、「事業戦略や組織的課題、顧客ニーズ等を踏まえて、データ・AI 技術を活用した課題解決方法や新たなビジネスモデルを提案するスキル」です。演習では、現状分析とその要因探索の結果から、施策の提案まで考えていきます。その過程で、データを分析した結果に基づいて課題解決に向けた施策を提案する(=データを活用した適切な意思決定支援)スキルを磨いていただきます。
※本講座では、AI技術を活用した課題解決やビジネスモデル提案については取り上げておりません。

「データの可視化」は、問題解決にあたり業務上の課題等を可視化(見える化)することは、言うまでもなく重要です。演習では、分析や発表資料を作成する過程で、講義で学んだ可視化のスキルを定着していただくことができるようにしています。

実際にデータを分析してみると上述のようにさまざまな「スキル項目」を克服しなければなりません。頭では理解していても、総合演習の課題を解くのはかなりハードルが高いと感じられた方もいらっしゃるかもしれません。でも、ご安心ください。講師やティーチングアシスタントが、受講生の皆様の進捗状況をみながら、適宜アドバイスやサポートを手厚くさせていただいております。このアドバイスとサポートが、当社の研修の大きな特徴のひとつです。

図9_総合演習の成果物の例

図9_総合演習の成果物の例

【受講者からの受講後の評価コメント】

・分析のプロセスの重要性について
ー 受講者 Aさんの感想 「何のためにどのデータを比較・分析するか、事前によく考えること(設計すること)の重要性が身に沁みました。」
 <営業(自社製品・サービスの販売など)男性 30〜34歳>


・カリキュラムについて
ー 受講者 Bさんの感想 
「持っておくべき基礎が効率的に学べるよい内容だと思います。」
 <研究・開発(自社製品・サービスの研究開発など)男性 30〜34歳>


・総合演習(アドバイス等)について
ー 受講者 Cさんの感想
「演習内容で悩んでいる際、的確なアドバイスをいただき勉強になりました。」
 <ITエンジニア/プログラマ/インフラ(企画・開発・保守・運用など)男性 45〜49歳>

 

5.さらに高度な知識・スキルを身に付けるには

データサイエンスを習得するには、多くの項目を学ぶ必要があります。ブレインパッドの公開講座では「DX推進スキル標準」に示されたスキル項目が効率良く、また演習を通じて実践的に学べます。

SQLによる集計・分析」では、「データ活用基盤設計」のうち、「データ収集」としてSQLを用いたデータの抽出と加工を学びます。SQLの手法を学ぶだけでなく、演習課題を通じて集計に基づく現状把握と課題抽出や、 課題の要因探索と改善提案に取り組んでいただき、実践的なスキルの習得を目指します。

現場で活かせる統計解析実践」では、可視化・集計を行い、「性質・関係性の把握」、統計的なデータの扱い(「予測 (回帰・分類、評価)」、「推定・検定」)等を学びます。データハンドリングや、モデル作成について基本的な一連の流れを身につけること、および分析結果を統計的に正しく理解し、適切な意志決定を支援できるようになることを目指します。

機械学習による問題解決実践」では、機械学習モデルを構築し、評価する方法を試行錯誤を繰り返しながら学びます。機械学習の基本的な考え方と実行のプロセスを理解すること、および 機械学習を用いて事象をモデル化し、モデルによる予測から適切な意志決定を支援できることを目指します。 

Pythonではじめるディープラーニング実践:画像解析入門」では、画像解析を取り上げて、深層学習モデルを構築し評価する手法を学びます。自分で手を動かして、モデルを作成し評価することを繰り返すことで、ディープラーニングのモデルの構造や性質の理解を深めます。

図10_データスキル標準(カテゴリー「データ活用」)とデータサイエンティスト入門研修との対応

図10_データスキル標準(カテゴリー「データ活用」)とデータサイエンティスト入門研修との対応

(注)●:学習内容に含まれていることを表します。具体的な学習項目は各講座のサイトでご確認ください。

※上表では、分類を明確化するため、DX推進スキル標準における「数理統計・ 多変量解析・ データ可視化」を3つ、「機械学習・深層学習」を2つにそれぞれ分けて表示しています。

 

6.まとめ

「DX推進スキル標準」で示されている知識・スキル項目のうち「データ活用」を中心に、データサイエンティスト入門研修(公開講座)との関連性をみてきました。

当社の公開講座の特徴:

・コアスキルを効率的に学ぶことができる

・座学として学ぶだけでなく、手を動かして総合演習課題を解くことによって、実務でも活用できる実践的なスキルとして定着させることができる

・講師とティーチングアシスタントによる手厚いサポートとアドバイスが得られる

これまで書籍等で学んできたが、何を学んだら良いかがスッキリしなかった方、実際にデータ分析に取り組んで実践的な知識スキルを身に付けたい方、是非当社の研修をご検討ください。どのような研修を選べば良いかなど、ご不明な点があれば、当社までお気軽にお問い合わせくださいませ。

次回の開催は9月です。詳細なスケジュールは下記リンクからお確かめください。皆様のご参加をお待ちしております。

◆◆ 直近開催のブレインパッド講座「データサイエンティスト入門研修」のご案内 ◆◆

・2023年9月05日(火)~9月06日(水) 『これからはじめるデータサイエンス入門
・2023年9月07日(木)~9月08日(金) 『SQLによる集計・分析
・2023年9月11日(月)~9月13日(水) 『現場で活かせる統計解析実践
・2023年9月14日(木)~9月15日(金) 『機械学習による問題解決実践

お問い合わせ・お申込みをお待ちしております。