データサイエンスはチーム構築でビジネスに活用~必要な人材とスキルとは~

 

「データサイエンスチーム」とは、データを分析し、ビジネスに活用する目的で編成した組織です。データ量の増大や複雑化に伴い、データサイエンティストを必要とする企業が増えています。この記事では、チームとしてデータサイエンスを実践する方法を解説しています。ビッグデータを活用し、ビジネスに役立てたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

目次

 

データサイエンスとは

そもそも、データサイエンスとはいったい何なのでしょうか。いろいろな定義ができますが、本稿での定義は「データを起点に新しい価値を生む実学」とします。例えば、誰がどんな物を買っているのか、といったデータを軸にして現実の社会を分析することで、「この人はこんな商品も好きな可能性が高い」といった新しい視点が得られます。その視点に基づいて新しい販売戦略を立てれば売り上げが増える、つまり新しい価値が生まれると言えます。経験や勘に基づいて戦略を立てる場合に比べて、生産性も向上するかもしれません。体系だった理論を持つ「サイエンス」でありながら、ビジネスでも大いに役立つため、「実学」なのです。

データサイエンスではIT技術を利用し、データを収集・分析・解析して、データの新たな活用方法を発見します。この分野では、株価や気温などの数値データだけでなく、テキストデータ、音声、画像や動画データ等も分析の対象となります。

なぜデータサイエンスが必要?

インターネットやスマートフォンの普及、IT技術の進化などにより情報量が飛躍的に増えて、データは複雑化しています。取得した情報をデータ化・分析・活用してビジネス上の生産性や効率性を上げたり、新しい価値を創造する方法としてデータサイエンスの重要度が高まってきております。

データサイエンスをどのように活用?

データサイエンスは攻めと守りの双方での活用が可能です。ここでいう攻めのデータ活用とは、顧客体験価値の向上や新規ビジネスの創出に繋がるような分析のことを指し、守りのデータ活用とは、業務オペレーションの改善や業務効率の向上に繋がるような分析のことを指します。

具体的な攻めのデータ活用例は下記が挙げられます。キーワードは「収益向上」「付加価値創出」「差別化」です。

  • ・顧客分析、顧客満足度向上
  • ・マーケティング/広告
  • ・製品・サービス開発
  • ・需要予測
  • ・テレマティクス
  • ・防犯、防災軽減、テロ対策

また守りとしては下記が挙げられます。キーワードは「リスク低減」「コスト削減」「自動化」です。

  • ・リモート監視/操作
  • ・運用保守の自動化
  • ・故障予知
  • ・資源の稼働率向上
  • ・安全対策、セキュリティ対策
  • ・RPAによる稼働リソース軽減

 

データサイエンスの活用にはチーム構築が不可欠

データサイエンスを活用するためには、チームを構築する必要があります。ここでは、データサイエンティストに求められるスキルや、チームの必要性について解説します。

データサイエンティストに求められるスキル

データサイエンティストとは、ビッグデータを整理・分析し、ビジネスなどに有効活用できる価値や知見をみつけだす人材です。データサイエンティストは、「統計学やエンジニアリングなどに優れた人材」と定義され、さまざまなスキルが求められます。データサイエンティスト協会では、スキルセットとして3つの要素を定めています。

・データサイエンス力

データサイエンス力は、AIやデータマイニング、数学や統計学の手法です。データサイエンスでは、さまざまな分析手法を使いわける能力が重要とされているため、それぞれの手法を熟知している必要があります。

・データエンジニアリング力

データエンジニアリング力は、ビッグデータの操作や処理に関する知識とスキルです。ビッグデータは容量が大きく、扱いが難しいため、操作するための特別な技術が必要です。また、データ抽出や、データベース構築に対する深い理解も必要です。

・ビジネス力

データを分析し事業に貢献するためには、分析対象のビジネスや業界に精通し、課題の背景を理解しなければなりません。また、分析結果をわかりやすく伝えることも求められるため、プレゼンテーション能力も求められます。

データサイエンスの担い手の不足

経済産業省では、データ活用の人材(ビッグデータ・IoT・人工知能など)は、2020年時点で4.5万人、2030年には14.5万人もの人材が不足すると試算しています。高まるデータサイエンス活用ニーズに対して、多くの企業でその担い手の不足が予測される中、社内の既存人材の育成、採用、外注によるリソース確保が急務となってきております。

チームで取り組む

データサイエンスのビジネス活用を図る上では実に幅広い知識・経験・技術が高度に要求されます。しかしながら全てのスキルセットを一人が網羅することは稀、というより不可能に近いので、それぞれの強みを持ち寄ったチーム編成で取り組むことが重要となります。データに基づく問題解決プロセスのフレームワークとして下記のようなプロセスを踏むPPDACサイクルがあります。

1.Problem(課題を特定する)
2.Plan(分析計画を立てる)
3.Data(データを準備する)
4.Anaysis(分析を実行する)
5.Conclusion(結論/知見を導出し、次回のサイクルに繋げる)
これらを実行していくことがデータサイエンスチームのミッションになるので、各フェーズにおいての必要十分なリソース確保を意識してください。また組織として真にデータ活用を推進するためには、チームを取り囲む周辺部署との協力体制作りも必要となります。

データサイエンスチームの構築

データサイエンスチームの構築において求められるスキルや、必要なメンバーについて解説します。

目標により異なる求められるスキル

目標によって、求められるスキルは異なります。どのようなスキルが求められるか、具体的に解説します。

・データマネジメント

データマネジメントには、プログラミングやデータベースに関するスキルが必要です。目標に応じたデータの収集やクリーニングを行って、データ分析がスムーズに進むようにします。そのため、ビッグデータを処理するシステムの開発から構築、システムの保守まで、幅広くこなすスキルが求められます。

・データ分析

収集したデータを分析するためには、統計学や数学などの専門知識が必要です。隠されたパターンを、データ分析によってみつけだすために、アルゴリズムや機械学習の知識とスキルも求められます。また、さまざまなプログラミング言語や、ビッグデータの管理、使用する分析ツールについての知識も必要です。

・企画力

データを活用するためには、ビジネスへの深い理解や、企業のニーズを把握するスキルが重要です。
ニーズや分析目的を把握した上で、どのようにデータを活用するのかを企画する力が求められます。また、データ分析の方向性を導くリーダーシップや、コミュニケーション能力も重要です。

・目標により異なる求められるスキル

データ分析の目標は、「課題解決」「プロジェクト遂行」「全社提案」「イノベーション創出」の4種類です。それぞれの目的によって、最適な組織、求められるスキルが異なります。

課題解決とは、緊急性の高い課題の解決を指し、データ収集や統計解析スキルが必要です。短期間で成果を出すことが求められるため、タスク管理能力も備えていなければなりません。プロジェクト遂行とは、既存の解決策を洗練化したり、他セグメントへ展開したりすることです。課題解決と同様に、データ収集や統計解析スキルが求められます。

全社提案は、自社ビジネス強化のための案件創出を目的としているため、現場オペレーションへの理解や知識が不可欠です。イノベーション創出は、現場のマインドやサービスモデルの変革が目的です。経営的視点や論理的思考などが求められます。

データサイエンスチームに必要なメンバー

データサイエンスチームとして、網羅すべき役割/機能についてここでは触れていきます。実務上では一人のメンバーが複数の役割/機能を兼ねることが多くなってくると思いますが、データサイエンスをビジネス活用していくことを考えるとどれも必要なものなので、十分考慮した上でチームビルディングをしていくことが望まれます。

・ビジネスリーダー

組織横断でデータ活用をリードします。そもそもデータサイエンスチームがどんな組織課題について取り組んでいくかを、組織内の意見集約も図りながら、決定していきます。また出てきたアウトプットはそれだけではマネタイズされないので、その後の活用についても実行部門への連携役として中心的な役割を担います。組織全体に対してデータ活用の有用性を説き、目線を引き上げるエバンジェリストのような役割も期待されます。

・アナリティクス・トランスレーター

調整役として重要な役割を担うアナリティクス・トランスレーターは、データサイエンティストやエンジニアなどの専門家と、ビジネスの専門家の橋渡しを行います。ビジネスサイドで出てきた課題感を分析的なアプローチへと置換を行い、解決への道筋をつけると同時に、分析により出てきたアウトプットを分かりすくビジネスサイドに伝えます。ビッグデータを活用したデータサイエンスは高度に複雑化しやすく、関係者や機能が多いからこそ、分析から得られたインサイトをその名の通り「翻訳」することの重要性が向上してきております。

・ビジュアライゼーションアナリスト

データを可視化し、レポートやダッシュボードを作成します。データサイエンスは何も難しい統計や機械学習だけではありません。日々の業務成果をデータとしてモニタリングしていき、多くのユーザーに対して、ビジネスアクションのブラッシュアップを促し、分かりやすく可視化していく活動も立派なデータサイエンスです。

・ワークフローインテグレーター

意思決定をサポートするツールやソリューションを導入したり、運用フローの設計を行っていきます。データ活用を進めていくと、作業の効率性やcapabitilyの拡大という課題に直面し、ツール化を検討することが多くなってきます。ツールを導入するだけではなく、その運用体制についても考慮に入れてください。組織フェーズを見極めながら、ツールを選定していくと良いでしょう。

・データサイエンティスト

データサイエンティストは、統計学や数学、プログラミングなど、幅広い知識を用いて、モデリングやアルゴリズム開発を行っていきます。様々な角度からデータを確かめて、それが意味することを判断し、データから導き出されるパターンから将来の予測などを実施します。CRISP-DM(CRoss-Industry Standard Process for Data Mining)のプロセスに沿ってプロジェクトを進行していきます。CRISP-DMは下記のようなステップで表現されます。

  1. 1.ビジネス課題の理解
  2. 2.データ理解
  3. 3.データの準備
  4. 4.モデル作成
  5. 5.評価
  6. 6.展開/共有

 

・データエンジニア

データエンジニアは、データの入出力を管理します。さまざまなシステムやフォーマットにて散らばっているデータを収集し、データレイクやデータウェアハウスを構築したり、データサイエンティストが作成したモデルを、その意味することを理解しながら、実際の業務システムへ落とし込みも担います。

・データアーキテクト

現在と将来のデータ品質と一貫性を担保します。昨今DX(デジタルトランスフォーメーション)が多くの組織において取り組まれており、蓄積/分析の対象となりうるデータは多岐に渡ってきております。将来のビジネスユースを見越しながら、蓄積すべきデータや管理体制を設計し、正しいfactを基にデータサイエンス活用ができるよう支えていく環境を整えていくことが求められます。

チーム編成のポイント

データサイエンスにおいては、必要な業務を1人で遂行するのは現実的に難しいため、チームを組むことが前提になります。ここでは、チーム編成時に押さえたいポイントを解説します。

・役割を明確にする

はじめに、役割を明確にしましょう。必要な工程と、それを行うためのスキルを明確にしてから、メンバーを決めることが大切です。役割が曖昧な状態でメンバーを集めると、必要なスキルを持つ人材がいないという事態になる可能性もあります。各メンバーが、やるべきことをしっかりと把握することも重要です。

・他領域への興味関心がある人材の選定

データサイエンスは、さまざまな領域や分野にまたがっています。それぞれに精通した人材であることはもちろん、自分の専門外の領域や分野への、興味関心がある人材を選ぶことも大切です。自分の担当領域以外の知識や、流れなどを把握することにより、効率的に業務が進みます。

データサイエンスチームとして取り組むポイント

データサイエンスチームとして取り組む際には、2つのポイントがあります。それぞれのポイントを具体的に解説します。

優先度を設定する

データサイエンスによる解決を必要とする課題は多いものの、現状は人材が足りていないため、優先度を設定しましょう。分析結果による影響が大きい課題や、実行できる可能性の高い課題から優先して着手すると、効率的にデータ分析が行えるでしょう。

柔軟なスケジューリング

スケジューリングには、柔軟性が必要です。データ分析にはスピードと正確性の維持が重要であるため、それらの点について、相談しながら進めましょう。また、業種によって分析頻度や深度が異なる場合もあるため、業種にあったスケジューリングが求められます。

まとめ

データサイエンスには、さまざまな領域や分野の知識とスキルが必要です。1人ですべての領域を網羅するのは難しいため、それぞれのスキルを持った人材を集めて、データサイエンスチームで取り組みましょう。しかし、スキルのある人材がいない、育成方法がわからないという企業も多いことでしょう。

ブレインパッドのデータ活用人材サービスでは、実践的なデータ活用人材の育成プログラムを提供しています。企業や組織内でデータ活用できる人材を増やし、ビジネスの課題解決に繋げられます。データサイエンスへの取り組みをお考えなら、ぜひ一度ご相談ください。

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