01Rtoasterのリブランドに込めた想い~いま、Rtoasterが目指すもの

2020年10月、これまでプライベートDMPとして成長を続けてきた「Rtoaster」がリブランドを発表しました。2006年にレコメンデーション・パーソナライゼーションの先駆けとなるプロダクトとして誕生してから14年。近年はプライベートDMPとして機能を拡張しながら事業を広げてきました。

そのRtoasterがなぜ今リブランディングを決めたのか、その背景にはどのような想いがあったのか。プロダクト開発部長を務める上川晃二朗さんに聞きました。

開発者プロフィール

株式会社ブレインパッド

プロダクト開発部長
上川晃二朗

事業会社でテクニカルサポート、マーケティング、商品企画などを経験後、さらに新しいものを生み出すことに興味をいだき、ブレインパッドに入社。コンサルタントを経て、自社製品Rtoasterのプロダクトオーナーを務める。

レコメンドエンジンやプライベートDMPから、さらに広範な価値提供へ

── 近年はマーケティングの領域においてもDXの推進が声高に叫ばれるようになってきました。デジタルシフトが加速する中で、今Rtoasterにはどのようなことが求められるようになっていますか?

もともとレコメンデーションやパーソナライゼーションに強みを持ったプロダクトとして誕生したこともあり、データを基に顧客一人ひとりに合ったコミュニケーションを設計できる点が大きな特徴でした。ダイレクトマーケティングのニーズと親和性が高く、それに応える形でサービス自体も成長してきました。

ただ近年はいわゆるマーケティングだけでなく、より広い範囲で「顧客のデータや製品のデータを組み合わせながら最適解を求めていきたい」という要望が増えているように感じます。

データを中核に据えて顧客体験全体を設計し、顧客とのコミュニケーションや社内での意思決定を進めていく。つまりデータ活用の範囲が広がってきているんです。

── その中でRtoasterは「レコメンドエンジンを搭載したプライベートDMP」としてお客様の課題解決に寄り添いながら成長を続けてきました

10年以上に渡ってサービスを提供し続けてきたことは私たちの強みである反面、昔から知ってくださっている方からは未だに「レコメンドエンジン」として認識されていることも多いのが実情です。

これは非常に嬉しい反面、現在のRtoasterにとって、レコメンドエンジンは提供できる価値の一部でしかありません。

顧客のデータを収集した上で個々の行動や属性に基づいて提案を分けていく、あるいは集めたデータを分析・加工することで顧客のことをさらに深く理解していく──。そのようにマーケティング領域全般に渡って広く価値を提供していきたいという想いを持っています。

レコメンドエンジンはRtoasterの一部であり、さらに広い範囲のデータ活用シーンで利用いただける。それをより広く知っていただきたい、と以前から課題を感じていました。

── その課題感がリブランディングにも繋がっていくわけですね。実際に社内で検討し始めたのはいつ頃だったのでしょうか?

レコメンドエンジンやプライベートDMPという打ち出し方が「必ずしも現在の提供価値に合っていない」という声は2年ほど前から社内で出ていました。

そもそもDMPという言葉が国内で使われるようになったのは2012年頃のこと。当時のDMP(プライベートDMP)は「ユーザーをセグメントごとに分類して捉える」仕組みとして考えられており、実際にDMPを用いて実現できることもその範囲に限られていました。

マーケティング施策に使うだけであればそれでも十分でしたが、次第に一人ひとりの顧客の情報を正しく理解した上で、別の領域でもデータを活用したいという要望が増えていった。それに対応する形で「CDP」という概念が登場し、“プライベートDMPの発展系”と言われるようになったんです。

すでにRtoasterでもセグメントレベルの施策だけでなく、個々の顧客を捉えながらレコメンドの仕組みを作ったり、データを統合して顧客を深く分析したりといったところまで踏み込んで機能開発を進めていました。その方が提供できる価値が広がり強いプロダクトになりますし、お客様がデータを使って「確からしい解」にたどりつくサポートができるはずだと。

── RtoasterもレコメンドエンジンやプライベートDMPを超えるプロダクトに進化していたからこそ、従来のイメージを脱却する必要があったんですね

たとえばマーケティングオートメーションツールのように顧客の傾向を踏まえてシナリオを設計し、適切なオファーを出し分ける。Web接客のように画面に表示するメッセージをユーザーごとに変えてみる。そういった機能は以前からRtoasterに搭載されていたものです。

もちろん「レコメンドの精度を上げていきたい」といったレコメンドエンジンに関するリクエストも嬉しいのですが、私たちとしてはその他の機能にも同じように自信を持っています。Rtoasterとして提供できる価値を狭めないためにも、ブランドそのものを変えていくことで、社外からの認識や社内での意識を変えていこうと考えました。

データでお客様の成果に寄り添う、新Rtoasterが担う役割

── 新Rtoasterとしてはどのような役割を担っていきたいと考えていますか?

個人的に1番重要視しているのはRtoasterと、ブレインパッドのサービスを受けることでお客様の成果が出ること。担当者の方の好奇心が刺激されたり、成長や昇進にも繋がったりするような存在にまでなっていけると良いですよね。

極端な話、その結果として「Rtoasterから卒業する」というお客様が出てきてもいいと思っています。

データを膨大に蓄積するだけでなく具体的なアクションに繋がり、成果が達成される。データから価値を引き出すプラットフォームにしていきたいです。

実はRtoasterのラインナップを見ると、一見重複しているように思える機能も搭載されています。それはお客様ごとに求める成果やサービスの状況が異なるから。導入編として使いやすさを重視した機能から、少し難易度は高いものの高度な施策が実施できる上級者向けの機能まで、自分たちの状況に合ったものを柔軟に使い分けられる仕様になっています。

──  確かにRtoasterで培った技術から生まれたマッチングエンジン「Conomi」など、お客様の深い要求に対しても応えられるような環境が整ってきていますよね

通常のレコメンドエンジンは顧客が「何を見たか」「何を買ったか」などのイベントに基づいて学習・計算されています。

ただお客様の製品の特性と、その製品を選ぶ顧客側の特性をフィットさせるには、それだけでは足りないことも多いんです。結果的にレコメンドの質が満足できるレベルでなければ、顧客がサイトを離れる原因にもなってしまう。そのような行動を防ぐため、Rtoasterには独自のレコメンドロジックを作れる仕組みが備わっています。

たとえばエノテカ株式会社が運営する日本最大級のワイン専門通販サイト「エノテカ・オンライン」の事例では、“熟練のソムリエのようなおもてなし”をWeb上で再現することを目指しました。

ワインの生産地域や品種等の情報からワインの味わいを自動的に数値化する仕組みを用いて、2,000種以上のワインに関する「味わいデータベース」を作成。そのデータを基にワインと人をマッチングする独自のアルゴリズムを開発したところ、商品購入数が約1.5倍に増えたんです。

事業者側の視点では汎用的なエンジンのみを提供する方が簡単なので、Rtoasterのアプローチは非効率だと思われるかもしれません。ただ良質な店員さんの接客になぞらえると、まずはお客様の人となりや服装なども把握した上で、一人ひとりに合わせて「何をお探しですか」「それではこの商品はいかがでしょうか」と会話を進めていきますよね。

レコメンドエンジンも同様で、簡単に成果に結びつくものではないんです。仮に非効率だとしても、顧客体験を少しでも良いものにしていく上で必要なことをとことん追求して、プロダクトに落とし込んでいます。

マーケティングにおけるCXとDX、双方を実現できる基盤へ

── 最後に改めてリブランドへ込めた想いを教えてください

最適な顧客体験を構築していくための基盤と、企業内でデータを活用していくための基盤の両輪を回していけるようなプラットフォームを提供していきたいという想いが強いです。

前者はマーケティング領域で「CX(カスタマーエクスペリエンス)」と言われる、顧客接点側の営みに関するもの。一方で近年マーケティングDXという言葉も使われているように、企業内部でデータに基づいた意思決定やサービス構築を推進していくための基盤も必要です。

DXの文脈ではデータを用いて既存のサービスをどのように良くしていくか、今の業務をいかに効率化していくかというお題に伴走していくという観点が1つ。加えてお客様が何か新しいビジネスやサービスに挑戦する際にもRtoasterが貢献できると考えています。

今や新たに立ち上げたサービスの初速を上げていく上でも、データ活用は欠かせません。「このツールを使うことで自分たちが考えているサービスの幅が広がる」といったように、まずはRtoasterを入れておけば大丈夫だと思ってもらえる存在になりたいですね。

── 単なるオペレーションのIT化やコスト削減に留まらず、データを軸にビジネスや組織を設計していくところまでサポートしていきたいと

Rtoasterから卒業するお客様が出てきても良いと言いましたが、その一方でお客様がデータに基づいてビジネスを推進していくのであれば、何らかの形で継続的に価値が提供できるとも考えています。

ユーザーのデータを収集する、そのデータを扱える形へと加工する、加工されたデータを基に施策を実行する、そのサイクルを回し続ける──。このような仕組みをゼロから作るのは負担が大きく、費用や多くの時間も消費してしまう。頑張って完成させたとしても、継続的にメンテナンスや拡張し続けるのは大変です。

もしRtoasterを活用することでやりたい領域を一通りカバーできるとすれば、後は足りない部分だけを自分たちで作ればいいですよね。「本来お客様が時間をかけてやる必要のあった工程を大幅にスキップできる」という特徴は今後しっかり伝えていきたいです。

── 各社にフィットしたテクノロジースタックの構築、という表現も使われていますね

「今の自分たちにはここまでは必要ない」「まずはこの機能をピンポイントで使いたい」といったように、お客様のユースケースに合わせて必要な機能だけを使えるようにしています。そのような意図や構造もあり、今回のリブランディングでRtoasterは3つの機能群を束ねるブランドという位置付けに変えました。

必要な機能をお客様側で構築しているシステムや導入済みのツールと繋ぎこみ、理想のテクノロジースタックを実現できる。そのような使われ方もさらに多くのお客様に広げていき、成果やデータ活用に楽しさを実感していただきたいと考えています。

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