ブレインパッドとADKマーケティング・ソリューションズ、
AIが制作物の倫理的な問題の有無を一次判定し、
担当者の最終判断を支援する「エージェント“リンリー”」を開発
- マルチモーダルAIで倫理チェックの工数を40%削減、提供開始 -
株式会社ブレインパッド(本社:東京都港区、代表取締役社長 CEO:関口 朋宏、以下:ブレインパッド)は、株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ(以下:ADK MS)と共同で、ゲーム業界やコンテンツ産業をターゲットに、制作物に含まれる倫理的な問題の有無を、クライアント企業様から提供を受けた基準に基づき、AIが一次判定することで担当者の最終判断を支援する「エージェント“リンリー”」を開発したことを発表します。

エージェント“リンリー”のイメージ図
ブレインパッドは、2024年5月に、IP(知的財産)ビジネスを対象としたマーケティングソリューションやメソドロジーの開発に向けて、ADK MSとの協業を発表(*1)しています。加えて、両社は生成AIの活用推進を目的に「共創Labo」を設立し、マルチモーダルAI(*2)を活用して編集・参照業務の効率化を支援するツール「Vision Link AI(*3)」を共同開発し、ゲーム業界、コンテンツ産業などのエンターテインメント業界へ展開を図ってきました。
「エージェント“リンリー”」は、「Vision Link AI」の紹介を進める中で、クライアントより要望を受けて開発されました。このエージェントにより、従来は人が従事せざるを得なかった制作物の倫理チェックを、生成AIによって一部代替することが可能となります。クライアント企業様にて明文化し、提供を受けたガイドラインや基準を学習した生成AIが、制作物に含まれる内容を一次判定することで、担当者の負担軽減を可能にします。
「エージェント“リンリー”」の開発背景と特徴
一つのハンドサインを例にとっても、そのサインが意味するところや捉え方は国・地域によって異なります。従来、制作物の倫理チェックには、多くの知識と細部にわたるこまめな確認が必要であることから、その作業は属人化されやすく、また大きな工数がかかっていました。
「Vision Link AI」は、編集業務や販促企画時に過去の膨大なコンテンツを参照できるよう、タグ付けなしでアップロードした画像・イラスト・映像を、マルチモーダルAIにより意味づけできるように開発されました。そして同ツールが有する「画像から意味を理解する」という特徴をふまえて、「このツールを用いてゲーム開発の成果物に倫理的な問題がないかを確認できないか」との相談が寄せられたことから、「Vision Link AI」の機能を参考にした「エージェント“リンリー”」の開発と検証が進められました。
「エージェント“リンリー”」は、ガイドラインや 国/地域/人種/コミュニティごとの倫理的な基準、およびゲームタイトルに付与される年齢制限の基準を学習し、画像・テキスト・動画すべての制作物を対象に、倫理的な問題の有無を判断します。2024年8月~12月にかけては、検証結果を受けてPoC(概念実証)を行いました。大手ゲーム会社とのPoCでは、倫理チェックに関する工数を40%削減できるとの試算結果が出ています。(提供いただいた倫理基準を組込み、ワークフローをヒアリングしたうえで試算したものです)
また、本ツールは海外の国/地域/文化での倫理基準も、クライアント企業様のチェック担当者監修のもとでチェック基準を設けることによりアラートを出すことが可能な仕様としています。
今後の展開
「エージェント“リンリー”」により、コンテンツの開発現場においても制作物の倫理問題の有無を細かく確認できるようになることから、開発リードタイムの短縮も期待されます。既に大手ゲーム会社への導入が決定しており、今後はゲーム業界だけでなく、コンテンツ業界への導入や、チェック対象の広範囲化を予定しております。
株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ
データ&ソリューション開発ソリューション統括担当 兼MI本部長 竹下伸哉氏 コメント
IP・コンテンツビジネスの知見と経験を有する当社はファンとの絆を深め、ファンと共に新しい価値を生み出すことで、ビジネスの持続的成長に貢献し続けています。今回の「エージェント“リンリー”」は作品リリース後の炎上によりファンとの関係性が崩れてしまうことを、事前に防げる可能性があると思っています。多くの方に長く愛される作品のお手伝いができるよう、引き続きブレインパッドとともにエンターテイメント業界に貢献してまいります。
株式会社ブレインパッド 代表取締役社長 CEO 関口朋宏 コメント
ブレインパッドは企業に「データ活用」というチカラを加え、その効能を隅々にまで巡らせることが、日本のビジネスを成功に導くチャンスになると信じています。ADK MSとの「共創Labo」の設立後、IPビジネスに関わる皆さまから多くのご相談をいただきましたのは、この領域においても生成AIの活用が期待されていることの表れだと思っています。今回の「エージェント“リンリー”」は、倫理チェックの有無を確認する担当者の工数削減だけでなく、日本が世界に誇る作品が生み出されるスピードの向上にもつながると思います。引き続きADK MSとともに、日本のIPビジネスの成長に貢献してまいります。
今後も、ブレインパッドは、ADK MSと一緒に、日本のIPビジネスの活性化を目指し、データ活用と広告・マーケティングコミュニケーションの双方で日本のエンターテインメント業界を支援してまいります。
(*1)2024年5月29日発表 ブレインパッドとADK MS、IPビジネス向けのAI活用にて協業https://www.brainpad.co.jp/news/2024/05/29/21635
(*2)「マルチモーダルAI」とは、異なる種類の情報をまとめて扱うAIのこと。画像・音・テキストなど単一種類の情報から学習するのではなく、複数の種類の情報を一緒に学習して、より高度な情報処理を行う。
(*3)「マルチモーダルAI」を活用して、編集・参照など業務の効率化を支援するツール。アップロードした画像・イラスト・映像をAIが意味づけし、フリーワードで検索可能にすることや、編集業務や販促企画時に過去のアセットを容易に検索・活用できるようになる。タグ付けなしで画像などの非構造データの検索を可能とし、過去のアセットから情報を容易に抽出できるようにすることで、業務工数や負担を最小化できる。
「エージェント“リンリー”」に関する詳細は、こちらよりご覧いただけます。
ブレインパッド:「エンターテインメント業向け ソリューション エージェント“リンリー”」https://www.brainpad.co.jp/services/professionals/entertainment_solution/lynley/
ご参考情報
● 株式会社ブレインパッドについて
ブレインパッドは2004年創業の日本を代表するデータ/AI活用のリーディングカンパニーです。近年は「分析/コンサルティング/SI」「人材育成・教育」「SaaS」の三位一体のビジネスモデルを武器に、企業の内なるIT力を高める「データ活用の民主化と内製化支援」に注力しています。支援実績は金融・小売・メーカー・サービスなど幅広い業種を対象に1,400社を超え、データの力をビジネス創造と企業価値向上につなげるお手伝いをしています。
本社所在地:東京都港区六本木三丁目1番1号 六本木ティーキューブ
上場市場:東京証券取引所 プライム市場(証券コード 3655)
設立:2004年3月
代表者:代表取締役社長 CEO 関口 朋宏
資本金:597百万円(2024年6月30日現在)
従業員数:545名(連結、2024年6月30日現在)
事業内容:データ活用を通じて企業の経営改善を支援するプロフェッショナルサービス、プロダクトサービス
*本ニュースリリースに記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
*本ニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
以上