OMOとは、オンラインとオフラインを1つのものとして捉えることです。「Online Merges with Offline」の頭文字をとり、OMOと表現されています。O2Oやオムニチャネルよりも新しい考え方として、OMOがあります。スマホ普及によりデジタルチャネルが生活に密接に関わっている現代において、OMOによるマーケティング施策が重要になってきています。
この記事では、マーケティングにOMOの考え方を導入しようと検討している企業に向けて、OMOの意味やポイントなどを解説します。OMOを実践するためにぜひ参考にしてください。
OMOとは?
そもそもOMOとはどのようなものなのでしょうか。ここでは、OMOの意味について解説します。
OMOの定義
OMOとは、オンラインとオフラインを1つのものとして捉えることです。「Online Merges with Offline」の頭文字をとり、OMOと表現されています。
多くの企業は、すでにオフライン・オンライン問わず複数のチャネルを使いながら商品やサービスを宣伝・販売しているでしょう。OMOは、チャネルごとの違いを顧客が意識せずシームレスに利用できるよう、オンラインとオフラインを隔てずに徹底した「顧客目線」「顧客体験志向」で、よりよい顧客体験を提供していこうという考え方です。
OMOの現状
中国は、世界で最もOMOが進んでいる国です。さまざまな技術が率先して活用されており、オンラインとオフラインを融合してマーケティングを進めています。「OMO」を提唱したのは、中国のシノベーションベンチャーズという企業の創業者である李開復と言われています。この企業は、成長が期待される企業へ出資するベンチャーキャピタルです。中国でOMOが知られるようになり、徐々にアメリカや日本でも注目されるようになりました。
OMOと似ている言葉と比較した場合の定義の違い
OMOは、ほかの用語とどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、定義の違いをそれぞれ解説します。
OMOとオムニチャネルの比較
オムニチャネルとは、実店舗やWebサイト、SNS、アプリ、カタログなど、あらゆる販売・流通チャネルをシームレスに統合して、顧客とさまざまな場所で接点を持とうとする考え方や戦略です。オムニチャネルではオンラインとオフラインを分けて考えた上で、顧客の購買行動を促すためにチャネルを連携させる企業目線の施策と言えます。
OMOも複数のチャネルを関連付ける考え方ですが、オムニチャネルとの違いは何を主軸として捉えているかです。オムニチャネルでは顧客の購買行動に着目し、スムーズに商品を購入できるようにすることを重要視しています。
一方、OMOが重視しているのは顧客体験です。ここでいう体験には、商品・サービスを知り、検討を経て購入し、実際に使用するまでの一連の流れを含みます。いわゆるCX(カスタマー・エクスペリエンス)のことです。OMOでは単に顧客が商品を便利に購入できるようにするだけでなく、顧客のあらゆる体験を中心に設計を行う点が特長です。
OMOとO2Oの比較
O2Oとは、オンラインからオフラインへ顧客を誘導する戦略です。たとえば、インターネット上の広告を通して実店舗への来店を促します。スマートフォンの位置情報を活用したり、SNSやクーポンアプリなどで情報発信したりする方法もあります。O2Oとは「Online to Offline」を略した表現です。
O2Oはオフラインへ顧客を集めるための方法であり、あくまでもオフラインを基準にした考え方だといえます。一方、OMOでは、顧客に商品を届けるうえでオフラインとオンラインを区別しません。顧客の目線に立ち、それぞれの顧客とって最も好ましい方法でサービスを提供できるようにします。
OMOに力を入れるメリット
OMOで重要なのは、顧客がオンラインとオフラインのどちらで自社の商品やサービスを購入するかではありません。顧客にとって最もよい体験をしてもらい、満足してもらうことを重視しています。
OMOの考え方に基づいたマーケティングを実施すれば、よりよい顧客体験を提供できます。そうすることで、顧客は何度も自社の商品やサービスを購入しやすくなるでしょう。結果的に売上や利益が上昇し、ビジネスの成長も期待できます。
OMOマーケティングによる施策の具体例
OMOマーケティングは具体的にどのように行われているのでしょうか。ここでは、具体例について紹介します。
チャットボット
チャットボットは、入力された質問に対してロボットがまるで人間のように返答する仕組みです。チャットボットを導入すれば、担当者の数が限られていても顧客に対してスムーズかつ丁寧な情報提供ができます。
チャットボットはECサイトに設置されているケースも多いですが、最近では実店舗にチャットボットを導入している企業も増えてきました。その場ですぐ疑問に答えられるため、顧客のニーズに対応しやすくなっています。たとえば、ECサイトの在庫やレビューなどをチェックできたり、それぞれの顧客におすすめの情報を提供できたりします。
サイネージ
サイネージとは、音や映像を流せる電子看板のことです。通常の看板よりも多くの情報を提供できるため、実店舗のなかにも設置しているところが多くなっています。
サイネージはチャットボットと組みあわせて活用される事例も多いです。AIカメラで顧客の様子を確認すれば、年齢や性別を自動的に分析して最適な商品を紹介できます。また、ECサイトの商品ページのURLをサイネージにQRコードとして表示すれば、顧客がその場でオンラインから注文できます。
サイネージは、情報をよりわかりやすく魅力的に伝えるために活用可能です。
モバイルオーダー
モバイルオーダーは、モバイル端末から事前に注文と決済を済ませる方法です。実店舗では商品を受け取るだけでいいため、顧客は会計や商品の準備などで待たされる心配がありません。スムーズに買い物ができ、顧客にとって便利です。
この場合、顧客は商品を受け取るために必ず実店舗へ足を運ぶ必要があります。来店の促進につながり、企業側は新しい情報提供の機会を得られます。ほかの商品やサービスにも興味をもってもらえれば、売上向上も期待できるでしょう。
ポイントの活用
商品やサービスを購入した顧客へポイントを進呈している企業も多いです。ポイントの付与はOMOの推進にも役立ちます。たとえば、ECサイトやアプリで貯めたポイントを実店舗でも使えるようにすれば、オンラインとオフラインの両方で顧客が買い物しやすくなります。反対に、実店舗で貯めたポイントをECサイトで使用できるようにすることも有効です。
「ポイントを利用できるから」という理由で商品やサービスを購入する顧客も多くなっています。
OMO事例については、こちらの記事もぜひご覧ください。
【関連】OMO導入成功事例-海外・国内など12事例から成功のヒントを得る
OMOマーケティングを実施するために必要なこと
OMOマーケティングを実施するには、さまざまな準備が必要です。ここでは、必要な準備について解説します。
データベースの構築
OMOでは顧客のニーズを正しく把握するため、顧客についての幅広いデータを収集・蓄積・分析する必要があります。ECサイト、実店舗、外商など各チャネルから得られたデータをまとめて管理し、チャネルを区別せずに有効活用すべきです。そのためには、データを管理するためのデータベースが必要になります。
データを活用するすべての担当者がスムーズに利用できるよう、自社にとって最適なデータベースを構築しましょう。ほかのシステムと連携させられるかどうかも重要です。
マルチチャネル化
OMOでは複数のチャネルの存在が前提となっています。そのため、オンラインとオフラインの両方でさまざまなチャネルを作り、顧客との接触機会を増やす必要があります。マルチチャネルとは、複数のチャネルを提供することです。
マルチチャネル化を進めると、自社のビジネスを改善するために役立つデータも収集しやすくなります。チャネルを連携させるオムニチャネルも意識しながら、複数のチャネルをフル活用してOMOマーケティングにつなげましょう。
データ分析
OMOマーケティングを実施すれば、オンライン・オフライン問わず顧客の行動に関するデータをリアルタイムで収集できるようになります。詳細なデータが手に入るため、それをしっかり分析してさまざまなマーケティング戦略の改善のために活用できます。
商品やサービスの状態や提供方法を顧客のニーズに近づけられれば、顧客体験の質も向上させられます。OMOは顧客体験を重視する戦略であるため、分析と改善を常に繰り返しながら日々変化する顧客のニーズに対応する必要があります。
OMOを推進するうえで意識したいポイント
OMOが一般的になれば、よりたくさんの企業がサービスや商品とおしてニーズに合った最良な顧客体験を提供できるようなります。ただし、先述したとおりOMOの推進のためには、オフラインとオンラインのそれぞれで集めたデータを統合して活用できる仕組みが必要です。
中国では、有名企業もOMOに積極的に取り組んでいます。今後は日本国内でもOMOが広まり、O2Oやオムニチャネルよりさらに新しいマーケティングの手法として認知されるようになるでしょう。よって、OMOに対応するために準備を整えていく必要があります。
また、OMOではさまざまな個人情報を扱うため、取り扱いには要注意です。セキュリティ対策にも力を入れましょう。
まとめ
OMOを取り入れることで顧客体験の質を向上させられる可能性があり、企業の売上アップも期待できます。
OMOマーケティングのためにデータの統合や活用を進めるためには、CDP/プライベートDMPがおすすめです。
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記事公開日:2021年6月23日
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