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ブレインパッド、DXアンケート調査の結果を発表。DXを成功に導くカギとは?

2020年6月2日

※2023年11月1日より、最新記事は弊社別サイト(DOORSメディア)に掲載しています。データ活用、DXの最新情報をぜひご覧ください。

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『DOORS-BrainPad DXConference-』でDXについてのアンケートを実施。151名からご回答頂きました。

ブレインパッドは2020年2月19日(水)に、創業来初の大型カンファレンスとなる「DOORS-BrainPad DX Conference-」を開催しました。このカンファレンスは、DX(デジタルトランスフォーメーション)にどう取り組んでいけば良いのか悩みを持つ企業の皆さまに向けて、各業界の最新の取り組みや成功事例に触れていただく「扉」となることを願い開催しました。

当日の来場者は300名を超え、日経BP、東洋経済新報社をはじめ、20名のメディア記者が来場する注目度の高いイベントとなりました。

来場者には、DXの推進領域や推進度合い、DX推進に必要となる各種IT人材の有無、DXを進めるにあたっての課題といったアンケートも実施。結果合計151件の回答がありました。

一般的なDX調査レポートと比較するとサンプル数はやや小さくなりますが、日ごろから業務でDXに対して向き合っている企業の回答者が多く、さまざまな示唆を得られる貴重な情報になりました。

このレポートではその中から興味深かったインサイトを中心にお届けします。

ブレインパッドが考えるDXの領域の定義

ブレインパッドではDXの対象を下図の5領域に定義しています。

まずトランスフォーメーションの対象として、三角形の左側は「社内インフラ」、右側は「顧客接点」のデジタル化と捉えています。トランスフォーメーションの向き先が内向き(社内)か、外向きか(顧客か)と言い換えてもよいでしょう。

そして三角形の一番下のレイヤーは、DXの目的が「合理化」、真ん中のレイヤーは「収益増強」としています。最後に三角形の一番上の部分に位置するのが新たな市場創出を目的とした、新規デジタルビジネスと定義しています。

またブレインパッドがこれまでさまざまなクライアントのデータ分析・DX支援案件をさせていただいた経験から、DXの難易度は下から上に行くほど高くなるという仮説をもっていました。

今回この5領域ごとに、DXの取り組みの進捗状況と成果をアンケートでお聞きしました。
なお進捗状況と成果の選択肢は以下の6段階としました。

1. 取り組みの成果が出ていて、発展が期待できる

2. 取り組み成果が出ているが、限界を感じている

3. 取り組んでいるが、成果が感じられない

4. 取り組もうとしていて、道筋が見えつつある

5. 取り組もうとしているが、道筋が見えていない

6. 取り組むつもりがない/わからない

 

現時点でDXの”成果あり”は25%以下、領域によっても大きく異る取り組み・成果

この設問への回答は、下図の通りとなりました(有効回答数=124)。

取り組みをしている/していないで分けてみたとき、①オペレーションのデジタル化、②接点チャネルのデジタル化がそれぞれ35.4%、33.6%と高く、次いで④サービス/製品のデジタル化の29.8%、⑤新規デジタルビジネスの創出の20.5%と概ね上に行けば行くほど取り組んでいる割合が低いということで、難易度が高くなるという仮説に符合する結果となりました。
しかし、意外であったのが③意思決定のデジタル化の取り組みが19.8%で最も低い結果となったことです。

また、成果があった/まだないで分けて集計した結果も同様の傾向を示しました(上の方が成果ありの割合が低いが、③意思決定のデジタル化と⑤新規デジタルビジネスの創出では、③の方が低い)。

取り組んでいる割合が難易度と相関しているとすると意思決定のデジタル化は、新規ビジネスの創出と同じくらい難易度が高いのか、または意思決定のデジタル化は他と比較して成果を何と捉えるかが見えづらいことがその原因なのかもしれません。

DX推進のリーダー役「ビジネスプロデューサー」が現在”いる”比率は3割強、不足しがちなのはデータサイエンティスト/AIエンジニアか

DXを推進していくためには、DXプロジェクトを推進するリーダーを中心に、ITのシステム設計ができる人材、データ解析・AIエンジニア、UXをデザインする人材など、プロジェクトの要件により、さまざまな能力・スキルを持ったチームを組成することがカギになってきます。

そこで、現在進めている/進めようとしているDXプロジェクトにどのような人材がアサインされているのか、また将来的に必要と感じているのかを質問。
なおDXを推進する人材の種類については以下の6タイプとしました。

現状でDX推進人材が「いる」と回答したのは、職種によって異なりますが、20~33%程度となりました。

各DXの領域で約20~35%が取り組みを実施しているという結果と概ね符合する結果です。

個別にみると、DXを推進するリーダー的な役割である「プロデューサー」人材が現状でいる割合が33%と最も高い一方、IT設計をする「アーキテクト」、データ解析を行う「データサイエンティスト/AIエンジニア」、ユーザ向けデザインを行う「UXデザイナー」が20%程度と相対的に低い結果となりました。

ビジネス側のリーダーや企画職をまずアサインしてDXの企画・実行を進めながら、システムを設計する人材、データを扱いビジネスにフィードバックする人材、UXを構築する人材を徐々に巻き込んでいくというプロジェクトの進め方が、この結果に表れているのかもしれません。

もう一つ興味深いのは、「現状いる」と「現状いるが将来も増員が必要」の対比です。
UXデザイナーは現状いる(が将来は増員はいらない)22名に対して、「現状いるが将来も増員が必要」と回答した方は11名と半数になっている一方、データサイエンティスト/AIエンジニアは、現状いる12名に対して将来も増員必要が21名と逆の結果となりました 。

UXエンジニアは、プロダクト作成や改善のために一定数の人材いればビジネスが回る一方、プロダクトを作り、データを貯め、そこからデータによる改善/モデルの改善を行っていくプロセスに入ると、データサイエンティスト/AIエンジニアはより一層重要度を増して、さらなる人員の補充が必要になってくるのかもしれません。

"成果あり"企業のDX人材とは?

ここまでDXの領域と取り組み度合い/成果度合いと、DXを推進するにあたって必要な人材の結果を見てきましたが、この2つの集計を掛け合わせ、どんな人材がいると成果が出やすいのかを見ていきます。

取り組みの成果が出ているグループ(「取り組みの成果が出ていて、発展が期待できる」と「取り組みの成果は出ているが、限界を感じている」の合算)とそれ以外グループとを比較して、DX人材がいる割合を調べたところ、総じてどの領域、どのDX人材でも現状「いる」割合が高い傾向にありました。

またいづれかの領域で成果のあったグループとそれ以外のグループで、各DX人材が現在いるかどうかを比較してみました。

各DX人材ともに、「現状いないが将来は必要」の比率は成果ありグループ、成果なしグループともに、あまり差がみられませんでしたが、成果ありグループは、どのDX人材も「現状いる/将来も増員必要」の方が明らかに高い結果になりました。
また、その差が特に大きかったのは、アーキテクトとプログラマ/エンジニアとなり、言わばITの設計、実装を担うDX人材の有無がプロジェクトの成否を分けるカギと言えるかもしれません。 

DX実現に足りないものはやはり"人材"

最後の質問ではDX実現に足りないものを複数回答で調査しました。

結果、DX実現において最も大きな課題は人材・スキルであることがわかりました。
次いで社内のDXに対する意識、DX実現におけるビジョン、プロセス、成果の可視化となり、攻めのITに対する投資金額は4位という結果となりました。

現場でDXを推進していく際の課題・障壁としては、DXのための投資金額もさることながら、DX人材の確保がより切実であるということを示唆していると考えます。

DX成功のカギは人。チーム編成はビジネス側とIT設計・実装チームとのタッグが有効

ここまでの結果から、DXを成果に結びつけていく方法が、おぼろげながら見えてきたと思います。

まずDXを新進するにあたって優秀なDX人材の確保が最優先すべき課題となります。
そのためにまずDXを推進するビジネス側のリーダー的な役割である「プロデューサー」職を配置。このプロデューサーが中心となってDXを推進する体制・組織づくりとビジネススコープを決めていきます。
プロデューサーが企画・設計したビジネス要件を実現するために、次に「アーキテクト」と「エンジニア・プログラマ」とのチーム編成が、成功確率を上げるための重要な要素と考えられます。

加えて、どの領域から手を付けるべきかも成功するための大きな要素となっています。
これからDX化を推進していくためには、新規ビジネスの創出といった(魅力的ではあるが)難易度の高い領域から手を付けるのではなく、オペレーションのデジタル化、接点チャネルのデジタル化といったピラミッドの下のレイヤーから始め、成果が徐々に見え始めたところで、上のレイヤーの領域にチャレンジしていくことが成功確率を上げるためのポイントとなります。

またそのころにDX推進チームとしても、ビジネスデザイナー、データサイエンティスト/AIエンジニア、UXデザイナー等のDX推進人材のバリエーションを拡大していくというのが、トップを説明していくのにも有効かもしれません。

本レポートはこちらよりダウンロードいただけます。

DXを成功に導くカギとは?

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ブレインパッドでは、データ活用・分析領域を中心に、数多くのDXプロジェクトをご支援しております。以下、DXに関する事例を資料にまとめて詳細を解説しています。ご興味がありましたら、是非こちらもご確認ください。

 

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