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データ分析とは?定義や代表的な手法、活用イメージを解説

公開日
2023.08.31
更新日
2024.02.22

株式会社ブレインパッドは「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」を企業のPurposeに据え、「データ分析」を主眼に、さまざまなサービスを提供しています。

では、そもそも「データ分析」とは何を指すのか。本記事では、ビジネスにおける「データ分析」とは何かについて、定義やメリット、代表的な手法などをデータサイエンティストの視点から解説します。

監修:池田 裕章(株式会社ブレインパッド アナリティクスコンサルティングユニット※所属・肩書は記事公開時のものです)

データ分析の定義/機械学習との違い

データ分析とは、人間の様々な活動によって蓄積された数値や文字で表現された情報を、目的に応じて分類・整理し、適切に解釈・利用することで価値ある知見を得ようとする取り組みのことです。

IT技術の発展と共に企業は膨大なデータを蓄積するようになっており、これらのデータには企業活動において有用と考えられる様々な情報が詰まっていますが、そのままでは単なる記号の羅列に過ぎないため、適切に処理し、企業活動に活かすことが、ビジネスにおけるデータ分析の役割と言えます。

データ分析と同じような意味で使われる用語として「機械学習」がありますが、機械学習はデータからパターンやルールを機械(コンピュータ)自身に学習させる手法の総称で、機械学習は予測や判別の自動化や人の行動の模倣、特徴の抽出を行う手法やアルゴリズムを指すものなので、データ分析は機械学習よりも広い意味で使われることが多いと言えます。

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なぜデータ分析が重要視されるようになったのか

近年、PCやスマートフォンの普及に伴ってIT化やデジタル化が社会的に強力に推進され、世の中に大量のデータが存在する状況になっています。

結果として商品の購入やアンケートの回答など、限定的な状況でしか手に入らない顧客やユーザーの情報が様々な形で手に入るようになりました。

しかし、ビッグデータとも呼ばれるこれらの大量の情報は、有益な情報だけでなく企業が目的とするものとは無関係のノイズとなる情報も大量に含まれているため、有用な知見を抽出するために適切な分析設計や前処理が必要になります。

既に多くの先端的な企業では様々な方法で収集したデータを効果的に活用し、サービスにおけるユーザーエクスペリエンス(UX)の向上や業務の効率化によって成果を上げており、情報を上手く活用できる企業とできない企業に明確な競争力の差が生じるような状況になっています。

さらに近年では、生成AIに代表されるAI関連技術の発展もあり、以前は活用が難しかった画像や文章、音声などのデータの活用も進んで来ており、ビジネスにおいてデータ活用の有無が、企業が発揮できるパフォーマンスに明確に影響する時代になってきたと言えるでしょう。

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データ分析が使われるシーン

小売業界

データ分析の活用領域は様々で、例えば小売業界であれば ID-POSに記録されている購買データを用いて優良な顧客に対して特別なクーポンを提供したり、各店舗の商品の売れ行きから需要を予測し、在庫状況と組み合わせて余剰在庫を削減する際などにデータ分析が活用されています。

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EC業界

EC業界であればサイトに来訪したユーザーの商品購入履歴や閲覧履歴に基づいて、個々人にカスタマイズしたレコメンドを行うことで、売上の向上が期待できますし、広告業界であればユーザーの行動情報に基いて興味・関心を反映させたセグメントを作成して効率的な広告配信を実施することができます。

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製造・金融業界

その他にも製造業ではカメラで撮影した画像から不良品を検知したり、金融業界であれば顧客のクレジットカードの利用情報からリスクスコアの算出を行うなど、様々な業種・業界でデータ分析に基づいたビジネス活動が実施されています。

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データ分析で得られるメリット

データを活用することで得られるメリットには様々なものがありますが、主に下記のような点があげられます。

現状の問題点を可視化できる

ビジネスの現場においては、勘や経験、あるいは思い込みで意思決定を行っている場合も多く、課題認識が間違っていたり、非効率的なアプローチを取っているようなケースが存在します。

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蓄積されたデータを適切に分析することで、現在の企業活動におけるボトルネックを明らかにし、客観的な事実に基づいて意思決定を行うことができるようになります。

例えば、ある商品の売上が伸び悩んでいるとして、どのようなユーザーの購入率が低いか、購入数に問題があるのか、リピート率が低いのかなど、問題を具体的に特定し、対策として適切なアクションを取るために必要となる情報を得ることができます。

このように、合理的な打ち手を考える上で、適切なデータの収集と分析は必要不可欠と言えるでしょう。

過去の情報から未来を推測できる

企業活動においてどのような施策を実施したときにどれぐらいの収益が見込めるか、あるいはどれぐらいのコストがかかるか、といった費用対効果の試算や将来の需要や変動の見積もりを行うことは非常に重要です。

データを適切に活用することで、過去に実施した事例に基づいて将来何が起こるかをある程度の妥当性をもって推測することができるようになります。

もちろん完全に新規の施策の効果推定や新商品の需要予測など、未知の事象に対しての予測には限界がありますが、効率的な施策を検討するために予測や推測を活用することは有用です。

効率的なアクションを取ることができる

具体的な施策やアクションを実施する際にもデータ分析は活用できます。

代表的な例はいわゆるパーソナライズドマーケティングで、個々の顧客の行動や購買情報に基づいて興味・関心を推定し、その人個人に適した商品のレコメンドによって購入率の向上や情報の提供による顧客のロイヤリティが高まることが期待できます。

データ分析の代表的な手法と活用イメージ

データ分析に用いられる手法も目的に応じて様々な種類があります。ここでは主にマーケティングで用いられる典型的な手法について紹介します。

クロス集計分析

クロス集計表と呼ばれる2次元の表としてデータを集約し、カテゴリやグループの比較を行う分析手法です。

例えば、性年代別の購入有無や店舗ごとの商品購入数など比較したい目的に応じて項目を指定し、必要に応じてグラフを用いて可視化することで直観的にも理解しやすく、納得感のある結論を得ることができます。

シンプルな分析手法ですが、目的に応じて軸を選択することで、柔軟な分析を行うことができ、適切な設計をした上で実行すれば誰が見ても明らかな結果を導くことができるため、応用範囲が広いです。

一方で、軸が多くなると個々のセルのデータが少なくなり、結果が安定しなかったり、因果の解釈やバイアスの除去など統計的な知識がないと誤った解釈をしてしまうケースもあるため、利用する際には注意してデータを確認する必要があります。

RFM分析

顧客行動に関して、最終購買からの経過期間を意味するリーセンシー(Recency)、特定期間における購買回数を意味するフリークエンシー(Frequency)、特定期間における合計購入金額を意味するマネタリー(Monetary)の3つの軸で分析を行う手法です。

顧客と良好な関係を構築することを目的とするCRM(Customer Relationship Management)において優良顧客を定義する際に用いられます。

クロス集計分析の一種と考えることもできますが、マーケティングの文脈で顧客のステージを分類し、それぞれの状況に応じたアプローチを検討するといった使われ方をします。

アソシエーション分析

商品やサービスの併売傾向を調査するための分析手法で、どの商品が一緒に購入される可能性が高いかを明らかにすることを目的としています。

代表的な例として、あるドラッグストアにおいてビールと紙おむつが一緒に買われやすいという傾向をアソシエーション分析によって見つけたという話があり、一見すると関連がなさそうな商品間の隠れた関連性を見つけられる可能性があります。

手法としては非常にシンプルである一方で、直観的に「当たり前」と感じられるような結果が出やすいので、具体的なマーケティング施策を検討する際は背景にある顧客の生活スタイルや購買に関する仮説を考えて、多面的な視点で効果的なアプローチを検討するといった工夫が必要になります。

クラスター分析

データセット内の似た特性を持つグループを見つける手法です。

マーケティングにおいては、アンケート結果や購買データなどに基いて顧客の傾向を分類し、それらの傾向に基づいたアプローチを検討するといった用途に用いられます。

データ間の「距離」に基づいてグループ化が行われ、段階的にグルーピングを行っていく階層的クラスタリングと、クラス数を最初に指定してグループを作る非階層的クラスタリングが存在します。

距離の定義方法やクラスタ数の決め方、使用するアルゴリズムなど様々な点がクラスタ構造に影響するので、マーケティングの目的に適したクラスタを構成するためにはデータ構造やアルゴリズムに対する理解が必要になります。

回帰分析

入力データ(説明変数)と出力データ(目的変数)の間の関係性を定量的に求める分析手法で、機械学習の文脈では教師あり学習に分類されます。

多くの実用的な応用があり、例えばダイレクトメールの反応率を推定して反応が良いと予測される顧客にのみにメールを送るような施策を実施したり、過去のプロモーション施策と商品購買情報から施策実施時の商品の販売数を予測するといった用途で活用されます。

分析においては、説明変数と目的変数との関係を数学的なモデルで表現しますが、学習のさせ方や内部パラメータの持たせ方が異なる様々な手法が提案されており、分析の目的や求められる精度、計算負荷や実行時間などに応じて適切な手法を選択することが求められます。

上記に挙げた手法以外にも、多くの有効なアプローチが提案されているため、多様な問題解決に対応することが可能です。

しかし、目的に応じた適切な手法選択と分析設計の実施が必要であり、データの不正確な取り扱いや誤った前提に基づいて分析を実行してしまうと、誤った解釈に繋がる可能性があるので注意が必要です。

データ分析の進め方

データ分析の進め方は、目的や利用可能なデータなどの状況に応じて柔軟に検討する必要がありますが、一般的なデータ分析プロセスのフレームワークとしてPPDACサイクルが存在します。

PPDACサイクルは、Problem(問題)、Plan(計画)、Data(データ)、Analysis(分析)、Conclusion(結論)の5つのプロセスからなり、問題の定義から分析の計画を立て、データを収集して分析を行い結論を出すという一連のステップを表現しています。各ステップで実施する内容は下記の通りです。

Problem

解決すべきビジネス上の問題を明確にし、分析で解決方法を提案できる課題に落とし込む。

Plan

事前知識を用いて仮説を設定し、仮説検証のために利用するデータや分析手法の計画を立てる。

Data

計画に従い、必要なデータを収集し、分析を実行しやすい形式に整形・加工する。

Analysis

収集されたデータに対して統計や機械学習などを用いて分析を行い仮説を検証する。結果が仮説と異なる場合、その結果を考察し新たな仮説検証につなげる。

Conclusion

分析結果に基いて最初に設定した課題を解決するアクションを提示する。

分析が当初計画した通りに進むことは少なく、問題や疑問が生じる度に上記の各ステップを何度も行ったり来たりすることになります。また結論が出たとしても、アクションの結果に対して新たな課題が生じた際も再びサイクルが始まるので、継続的な改善を行っていくことになります。

まとめ

データ分析は、様々な種類のデータから価値ある知見を引き出すプロセスと言えますが、IT技術の発展とデジタル化が急速に進む中でその重要性が近年ますます高まっています。多くの企業が既にサービス改善や業務効率化にデータ分析を活用しており、データ活用の有無が明確な競争力の差になる時代を迎えています。この手法は小売業界やEC業界、製造業など幅広い領域で活用されており、蓄積されたデータを活用することで客観的かつ効率的な意思決定を行うことが可能になっています。

データ分析には様々な手法があり、適切に活用することでビジネスの売上向上、顧客満足度の増加、コスト削減など多岐にわたるメリットを得ることができます。ただし、そのためにはデータの適切な扱いや手法の選定、分析プロセスに関する適切な理解が必要になることも合わせて認識しておくことが重要です。

弊社ブレインパッドは長年データ分析を専門として様々な企業のデータ活用を支援させていただいているので、もしデータ分析に関するご相談やお悩みがあればお気軽にお問い合わせいただければと思います。

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