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2025年7月11日、ブレインパッドオフィスにて、複数の金融機関のデータサイエンティストが集い、知見の共有や交流の促進を行う「若手データサイエンティスト交流会」が開催されました。イベントの概要や当日の様子についてご紹介します。
本イベントは、ブレインパッドがプロジェクトを通じて関係を築いてきた静岡銀行との会話をきっかけに実現しました。「銀行に勤める若手のデータサイエンティストに対し、刺激になるようなアイデアはないか」という静岡銀行からの依頼がブレインパッドに寄せられたことが、本企画の発端です。
この声を受けて実施事項を検討した結果、ブレインパッドが媒介となった銀行間の若手データサイエンティストによる交流会の開催が決定しました。ブレインパッドの既存クライアントや、静岡銀行のアライアンス先とのつながりを起点に、静岡銀行、りそなホールディングス、ゆうちょ銀行、山梨中央銀行、中国銀行、三井住友銀行の計6行が集い、交流の機会が実現しました。
特に地方においては、データサイエンティスト同士がつながる機会が限られており、分析に関連する知見や情報の収集が難しいという課題があります。今回の交流会は、そのような状況を打開し、各行の若手人材が案件共有やグループワーク、懇親会を通じて人的ネットワークを構築し、自行内では得られにくい知識や経験の吸収、視野の拡大を図ることを目的とし、金融業界におけるデータ活用の推進に向けた新たな一歩とすることを目指しました。
【参考】
【前編】静岡銀行のデータ利活用高度化の取り組み-「ビジネスに始まり、ビジネスに終わる」を、「あるべき姿」より「目指すべき姿」を徹底
静岡銀行におけるデータ利活用の高度化に向けた取り組みについて
当日は弊社の大会議室でイベントを開催し、ブレインパッド フィナンシャルインダストリーユニット統括の鵜飼が開会の挨拶を務めました。現在の日本企業ではDX体制の整備が進む一方、国際基準でみるとビッグデータ活用度は依然として低い水準に留まっています。今回の若手データサイエンティスト交流会がそれらの課題を解消し、データ活用を経営成果へと結びつけるための一助となることを強く期待する旨を、参加者に伝えました。
最初に行われた案件共有セッションでは、各銀行および弊社が実際に取り組んだ分析課題やユースケースについて、それぞれの背景・目的・進め方・得られた成果に至るまで、具体的な事例紹介が行われました。単なる成果発表にとどまらず、課題設定の工夫や、分析対象データの選定理由、業務部門との連携体制、結果の現場への定着状況といった、実務に即した視点からの説明がなされ、参加者の関心を集めました。
発表後の質疑応答では、分析手法そのものに関する技術的な質問だけでなく、「どのようにして業務部門の協力を得たのか」「データ活用に対する現場の理解をどう醸成したのか」など、プロジェクトの実現性や社内浸透のプロセスに踏み込んだ問いも多く寄せられました。それに対して発表者側からは、現場の巻き込み方や合意形成の工夫、組織文化との向き合い方など、経験に基づくリアルな知見が共有され、単なるノウハウを超えた深い学びの機会となりました。
こうした実践的なやりとりを通じて、参加者同士が課題意識や工夫を共有し合い、自行の取り組みに活かすための多くのヒントや視点を得ることができる、非常に有意義なセッションとなりました。
続いて行われたグループディスカッションでは、各銀行の行員とブレインパッド社員による混成チームを複数編成し、「組織にデータ活用を浸透させるには」「データドリブン文化を醸成するには」といったテーマのもとで意見交換が行われました。ディスカッションでは、各行が実際に抱える業務上の課題や、データ利活用に関する現場での悩みや工夫を出発点とし、メンバーがそれぞれの立場や経験を踏まえて率直に意見を述べ合いました。
特定の業務における成功体験や、データ活用の壁となっている組織内調整、推進体制の課題など、実務に根ざした具体的なトピックが多く取り上げられ、実践的な議論が展開されました。
各々の視点からデータ活用を進めるためのアイデアや方針を共有・集約し、最後にはチームごとに発表を行い、ほかの参加者とも知見を共有しました。ディスカッション全体を通じて、参加者同士が実務課題に対する共感を深めるとともに、今後の取組みに向けた気づきやヒントを得る有意義な時間となりました。
最後には、ブレインパッド社内の飲食スペースを活用して懇親会が開催されました。リラックスした雰囲気の中で、各銀行の行員同士やブレインパッド社員との間に自然な会話が生まれ、普段業務上では接点の少ない他行の参加者同士が交流する貴重な機会となりました。
各社が直面する課題やデータ活用の取り組み状況について、形式にとらわれず率直な意見や実感が交わされ、イベント全体の延長線として実りある対話が続きました。
また、グループワークでの議論をきっかけに生まれた関心や共通点をもとに、参加者間で連絡先の交換や今後の連携に向けた話も見られるなど、情報交換やネットワーキングが活発に行われました。データ活用に対する各社の温度感や考え方の違い・共通点を知るうえでも、有意義な時間となりました。
そのほか、懇親会からの参加者がいたり、雑談などを楽しむ時間があったりと、業務的ではないカジュアルな交流の場にもなっていました。
参加者からは、実務への貢献と新たなつながりの創出という双方の観点で、当日の会話や開催後のアンケートで多くの前向きな声が寄せられました。
「自行でも応用できそうなユースケースを学ぶことができた」「各銀行の取り組みや課題感を通じて、自行とのギャップや強み・弱みを改めて認識する機会になった」といった声が聞かれ、他行の取り組みに触れることで、今後の業務改善や推進方針の検討につながる実践的な気づきを得られた意見が多く見られました。
また、「普段接点のない他行の同職種の方と直接話すことができ、単に事例を知るだけでなく、交流を深められたことで貴重な経験になった」といった声もあり、ネットワーキングの観点でも大きな価値があったことが示されました。
中には、「率直に他行と意見交換できた体験が非常に新鮮で良かった」「意気投合した他行の担当者と、2行での意見交換会を企画しようという話で盛り上がった」といった具体的な行動に発展した例もあり、今回の取り組みが単発のイベントにとどまらず、今後の連携や継続的な学びのきっかけとなっている様子がうかがえました。
このような交流会は、今回で終わりにせず継続的に実施していきたいと考えています。
参加者の感想として、銀行同士の交流機会には需要があるとの声が多く寄せられており、「ぜひまた参加したい」との期待も見られました。また、「次回はこうした要素を取り入れてほしい」といった具体的なご意見もいただいたため、それらを踏まえ、次回以降はより内容を充実させたイベントへとアップデートしていく方針です。
イベントを通じて、技術的な知見の共有や参加者同士のつながりをさらに広げ、ブレインパッドを起点に、金融業界におけるデータ活用を一層促進するきっかけを生み出していきたいと考えています。
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