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DX推進やデータ分析などの部署で行っているデータ分析の成果が出ないという悩みを、多くの企業が抱えています。そうした悩みの解消に向けて、株式会社ブレインパッドでは、データサイエンティストがクライアントの状況に沿ったカリキュラムを設計し、講師を担当する「実践直結型データ分析研修」を提供しています。この研修のカリキュラム設計に携わり、講師を務める株式会社ブレインパッドのデータサイエンティスト3名に、研修の目的やカリキュラムの特徴、期待される効果などについてお話を伺いました。
DOORS編集部(以下、DOORS) まず「実践直結型データ分析研修」の企画意図をお聞かせください。
株式会社ブレインパッド・馬場はるか(以下、馬場) そもそも「実践直結型データ分析研修」立ち上げの背景には、DX推進に取り組む企業が増加しているものの、成果を実感できているのはその中の6割にも満たないという現状があります。

株式会社ブレインパッド・阿部智和(以下、阿部) データ分析の手法を学ぶ際に、その手法を何に使うのかという問いに答えられないことは少なくありません。今回の研修についてのミーティングで我々が議論したのも「分析の目的は何か」という点でした。
株式会社ブレインパッド・坂本遼(以下、坂本) 目的が曖昧なままになってしまうという問題は、データサイエンティストが現場でよく経験するものです。分析の目的をしっかり定義していないために、成果が出づらくなっているケースが見受けられます。
馬場 ビジネスサイドの方が具体的にこういう分析をしてほしいという依頼を持ってきてくださる場合も、提示された分析方法が最適なものではなかったり、回答を出すべき問いが想定とは異なったりすることがあります。目的の曖昧さには、さまざまな種類があると感じています。我々が現場で感じている課題に即して、研修内容を検討しようと考えました。
分析することによって何がわかるのか、どのようにビジネスが進むのかを、我々3人で改めて探っていきました。データ分析をビジネス成果に繋げるための条件を明確にする必要があったのです。
坂本 機械学習や集計といった手法を用いて企業の課題などを解決する一連のプロセスを分析と呼ぶのであれば、ビジネスの部分は分析において非常に重要になります。
データ分析関連の書籍などで多いのは、どちらかといえば狭義の分析のノウハウを扱った内容だという印象を持っています。テキストなどで独学をしていくと、分析のノウハウを得ることはできるけれど、なかなか成果に繋がらないように感じます。
阿部 ブレインパッドに入社後、データ分析について学んでいく中でも同じことを感じました。どうすれば学んだ手法が成果に繋がるのかと悩んだ経験は、数多くあります。
坂本 今回の研修の価値は、教科書や参考書に載っていない、分析を使って成果を得る知見を提供することにあると考えています。
DOORS この研修のカリキュラムには、どのような特徴があるのでしょうか。
阿部 研修カリキュラムのモデルケースは、Day1からDay4までの4日間で構成されています。
まず、Day1では機械学習の基本を学び、具体的な分析手法の使い方なども学習。Day2とDay3では、実務のストーリーに沿って、与えられたテーマに適した手法の選定や実践的な分析・設計、示唆出しなどを行います。Day4はワークショップ形式で、優先的に取り組むべきテーマに関するディスカッションを、我々と一緒に行います。
「分析手法⇒課題から分析目的・手法を設定⇒ビジネスに活かすためのテーマの選定」といったように、研修が進むにつれて取り扱う範囲が広がっていくことが、大きな特徴です。
馬場 学びやすさを重視してカリキュラムを設計した結果、意図せずデータサイエンティストの成長過程と同じ流れになっていることに気づきました。
指示された仕事の進め方を初日に学び、次に設計や示唆を与える業務へと学習範囲を広げ、最終日には分析のテーマは何か、どのようにしてビジネスに活かしていくのかを理解していくという流れです。

ビジネス成果に繋がるデータ分析のフロー
阿部 データサイエンティストとしての成長を凝縮させたような4日間になっていますよね。
坂本 私が担当したDay2とDay3では、実案件ベースの理想的な流れをストーリーとして提示し、受講者の方々が実際の業務での使い方をイメージできるように配慮しました。使用した資料も、私自身が仕事を通して学んだことを言語化、体系化したものです。リアリティを持ってデータ分析の考え方を得ることのできる研修内容になったと自負しています。
DOORS 分析の実務をストーリーとして意識できるようになると、目指すべきゴールにたどり着きやすくなり、データサイエンティストとしての成長速度も早くなりそうですね。
馬場 カリキュラムを設計する際に、私は普段どういう仕事をしているのかを改めて考えました。カリキュラム策定の初期段階に、私たちの仕事とは何なのかをみんなで話し合ったことがあります。そうした準備を経て、私たちデータサイエンティストが実際に仕事でしていることや考えていることを詰め込んだカリキュラムを作ることができました。
阿部 書籍やWeb上の情報から取ってきたものではなく、自分たちの経験を振り返りながら作り上げたカリキュラムであることが、この研修のポイントです。

坂本 我々の持っている知見を集約して、研修のカリキュラムを設計できたと思います。
阿部 研修前にお客さま側のデータ分析チームに入念なヒアリングをさせていただき、抱えている課題などをじっくりと伺います。どんな業務に時間がかかっているか、どんな部分で手が止まってしまうのかといった点を、事前にインプットすることが重要です。
DOORS この研修のカリキュラムは、お客さまの要望に応じてカスタマイズできるとのことですが、具体的にはどのようなカスタマイズが可能なのでしょうか。
阿部 お客さまの課題感や扱っている事業テーマに即して、研修で使用する分析ストーリーやテーマをカスタマイズできます。お客さまへの綿密なヒアリングを実施し、研修で提供する価値が最大限になるようにカリキュラムを柔軟に変更します。
研修日程についてもカスタマイズ可能です。カリキュラムのモデルケースで4日間にしている期間を1~2日間延長する、あるいは短くするなどの対応を行います。基本的には、数日から1週間ほどの期間が適切だと考えています。また、続けて実施するだけでなく、例えば1週間に1回の頻度での実施も可能です。
DOORS 受講者の人数やスキルレベルについてはどのような想定をしているのでしょうか。
阿部 我々との会話を重視した研修なので、受講者数は15名程度までを想定しています。
坂本 技術面など狭義の分析スキルがあるに越したことはないですが、そこまで高度な技術を持っていなくても問題ありません。データ分析に関する基本的な知識があれば大丈夫です。
研修内容と目的に合致しているのは、キャリア2~5年ほどの比較的若手のデータサイエンティストの方々や、さまざまな分析手法を身につけているが成果に結びつかないことに悩んでいる方々だと考えています。
DOORS 初回の研修中に印象に残っている、受講者の方々の反応や変化などを聞かせていただけますか。
坂本 印象的だったのは、受講者の方々がたいへん活発に質問してくださったことです。皆さんのモチベーションが高く、興味を持って研修に参加していただいたので、質問も積極的に出していただけたのだと思います。加えて、カリキュラムがストーリーベースで実務に紐づいているので、ご自身の仕事に関する疑問を出しやすかったのだと考えています。「こういうときにこうしたのですが、あなたならどうしますか?」といった、非常に具体的な内容の質問も多かったです。
阿部 研修では我々ブレインパッドのデータサイエンティストの経験をお客さまにお話ししますが、他の職場のデータサイエンティストの経験は、私自身も聞きたいです。自分とは異なる職場で活動するデータサイエンティストの経験を直接聞く機会は、とても貴重なものだと思います。

馬場 私と阿部さんが担当したDay4でも、印象深い経験をしました。
分析テーマ出しのワークショップで、最初に受講者の方々から解決したい課題を書いていただきました。私たちが想定していたのはビジネスに紐づく課題だったのですが、挙げられた中には具体的な分析テーマも含まれていました。ですが、その際に「ビジネス課題を書きましょう」といったコメントはせずに「その分析で何がわかり、サービスの何を解決できるのか」について皆さんで議論したのです。
その結果、事業のボトルネックになっていることが課題であり、その課題解決のために分析があるのだと自ら気づいていただけました。研修を通して、課題と分析の関係性を身につけてもらえたと思います。
阿部 あのときは受講者の皆さんの間で、そうではない、こうでもないという議論が起こっていましたね。
馬場 今取り組もうとしている分析、自社の事業に関する課題だと思っているテーマを出していただいたので、非常に活発な議論になりました。時間が足りなかったほどです。
阿部 解決したい課題を出すのは、想像以上に難しいものです。どうしても手法の話になりがちなのです。それがないと何ができないのかという部分まで遡らないと、本当の課題を特定できませんから。
馬場 それが、成果に結びつく分析アプローチのための重要な問いなのだと思います。
阿部 データ分析に関しては手法が目立つので、つい狭い範囲で語りたくなるんですよね。
坂本 Day3の最後に、各受講者から一言ずつコメントをいただきました。皆さんのコメントを聞く限り、私たちが意図した「分析目的の重要性」「ビジネス課題を考える上で手法はあくまで手段」といった点を理解していただけたと感じました。すぐ仕事に使えそうだ、具体的なイメージが湧いた、抱えていた疑問がクリアになったなどの声が多く寄せられたので、実践に直結した研修になったと考えています。
DOORS 講師と受講者、どちらもデータサイエンティストだという点も、この研修のポイントのひとつでしょうか。
阿部 現場で分析をしている人同士で話をするので、悩みを共有することができますね。
坂本 私も、受講者の皆さんから共感できる悩みを数多く聞かせていただきました。
阿部 どうしても解決できそうにないことでも、経験豊富な人に尋ねると意外と早く解決したり、納得できたりすることがあります。我々も先輩のデータサイエンティストに質問や相談をして、スキルやノウハウを身につけてきました。
馬場 データサイエンティストが数多くいる会社ならではのメリットを、我々は享受できています。この会社で得た知見を受講者に伝えることが、ブレインパッドが研修を開催する価値であり、意義だと考えています。
DOORS 皆さんが思い描いている「実務で成果を出すことのできるデータサイエンティスト」とは、どのような条件を備えた人材なのかを説明していただけますか。
馬場 私の頭の中に浮かぶのは、分析によって実際に成果を生んでいるブレインパッドの先輩の方々です。その人たちは、相手がほしいと思っているものをしっかりと提示して、ひとつ先を見据えた対応をすることで、相手の仕事を前進させています。
ある先輩に、成果を出す仕事をするためには何が必要なのかと尋ねたことがありました。その先輩から言われたのは「永遠に泥臭くやりましょう」ということです。
私たちはお金をもらって自由研究をするわけではないので、お客さまを動かすために地道に泥臭く仕事をする必要があると話してくださいました。例えば、キャンペーン実施後の検証で、うまくいったかどうかで話を終わらせるのではなく、相手が納得できる解像度で検証結果を説明した上で、今後に繋がる提言をするといったことです。本気で考えてフィードバックをもらおうとする姿勢が必要なのです。仕事に対するそういった姿勢を意識しようと思いました。
阿部 私も馬場さんと同じことを考えていました。お客さまを動かすためには、地道に仕事に取り組んでいく姿勢が必要不可欠です。
あえて加えるなら、分析すれば何とかなるわけではないので、事前に共通認識を持つことが重要だと思っています。まず、データ分析が魔法の杖ではないことをお客さまに理解していただく必要があります。我々が出すことのできる成果について、事前に入念なコミュニケーションを取るべきです。「分析してもらえば、何か出て来る」といった期待のされ方は、少し違うと思います。
坂本 データ分析は魔法ではないと分析者ではない方々に伝えることは、とても重要だと思います。相手と話し合うことによって、分析というものが何なのかをしっかりと非分析者にも理解してもらうことは、成果を出す分析者に必要な要素のひとつです。
馬場 相手を主語にして、相手の視点から説明するといった工夫も必要になりますね。
坂本 そのためには、視野の広さが重要だと感じています。データサイエンティストは分析のために分析しているわけではありません。ビジネスの課題やその背後にあるより大きな課題などを解決するために、分析を使うことが求められます。ときには、自分が行った分析を捨てる勇気も必要です。広い視野を持ってドライに判断することが重要だと思っています。
阿部 まさに自由研究ではないということですね。
坂本 高度な分析技術を持っていないと課題に対して適切なアプローチができないので、技術を磨くことは必要です。ただし、技術を磨いた上で、強い武器を使うか弓矢を使うかの選択は、どちらが成果に繋がりやすいのかを考慮して判断しなければいけません。そういった判断をしながら、さまざまな立場の人々と会話をして仕事を進めることができる人が、成果を生むデータサイエンティストだと思います。

馬場 さらに、ビジネス側の目的まで動かすようになるデータサイエンティストもいます。そうなると、分析人材にとどまらず、コンサルタントのような役割を担うことになります。分析だけではない、その人の価値を有するわけです。
DOORS そうした分析人材像を持つようになったきっかけは何だったのでしょうか。
阿部 失敗ではないでしょうか。今回は成果に繋がらなかったという失敗を繰り返すことで、成功するための要因や条件などを考えるようになりました。
馬場 私も、結果的に使われることのなかった分析の積み重ねが、成果を出すことを意識するきっかけになったと思います。
坂本 データサイエンティストとして仕事を始めたばかりの頃は、データを集計して結果を出すことに終始していました。「その分析は何のためですか?」と先輩に言われて自分の仕事を振り返ることで、目的を考えることの重要性を理解するようになったと思います。
データサイエンティストとしての経験を積んでプロジェクトマネージャー的なポジションになると、直接お客さまから突っ込まれるようになり、またその範囲も広がり内容も抽象的になります。そうした状況では、分析の目的や成果を考えなければ、仕事を円滑に進めることはできません。
DOORS 最後にDOORSの読者の方々へのメッセージをお願いします。
坂本 ひとつのチームで仕事をする際には、共通の言語での会話が必要です。同様に研修では、分析官同士が目的を意識したデータ分析について共通言語で会話できるようになります。研修で交わした会話をきっかけにして、これから学ぶべきものを発見してもらいたいと思っています。普段の分析現場においても、同僚と同じ言語で議論や相談ができるようになるはずです。
馬場 「一緒に悩みましょう」と、私は伝えたいです。我々が模範解答を持っているわけではありません。先輩のデータサイエンティストと一緒に仕事をする感覚で、研修期間を過ごしてもらえればと考えています。
阿部 この研修には、ディスカッションや質疑応答といった講師と受講者がコミュニケーションを取る機会が豊富に用意されています。我々との会話を通して得た新しい知見やノウハウを、ご自身が今抱えている悩みや問題の解決に活かしてもらいたいですね。
DOORS 本日はありがとうございました。
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