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AIでの検品精度はここまで到達している。

公開日
2020.10.30
更新日
2024.03.07

※本記事は、ブレインパッドが運営する人工知能ブログ「+AI」に掲載されている記事の転載版になります。

工場の生産ラインをカメラが監視し、撮影した画像/映像をAIが分析して不良品・異物などの夾雑物を発見する「検品技術」が、既に多くの製造業で導入・活用されています。
スマートファクトリー化や人材不足による業務効率化が叫ばれる昨今、製造業ではこうした自動化の取り組みを推進していくことが、いまや欠かせない状況です。

そこで今回は、近年ますます精度が上がっているAI×検品の現状・事例を紹介します。

導入企業が増えている、AIによる検品作業の自動化

近年、AI・IoT技術の台頭によって「スマートファクトリー化」や「Industry 4.0」が提唱されるなか、製造業ではAI・IoTなどのIT技術を活用した業務効率化・コスト削減・品質向上といった取り組みがされるようになりました。

その取り組みの1つとして、食品・機器メーカーなどを中心とした各種製造業の生産ラインでは、従来作業員が目視で行っていた不良品の「検品業務」をAIを用いた画像分析技術で自動化する企業が年々増えてきています。


検品業務をAIで自動化するべき、3つの理由

製造業において、生産ラインの検品業務をAIで自動化することはもはや必須となりつつあります。その理由としては、次の3つの事由が挙げられます。

少子高齢化により人材確保が難しいから

現在、製造業をはじめ各業界で年々人材の確保が難しくなっています。そこで取るべき対策の1つが、AIや機械の力を借りて業務を省人化し、人員を機器では代われない意思決定や生産性の高い業務に回す取り組みです。特に、従来の検品業務では1つの生産ラインに複数人が立って不良品・異物混入などの目視検査を行うケースも珍しくなく、AIの画像分析で検品業務の一部または全てを自動化すれば省人化を実現することが可能です。

コスト削減になるから

AIの画像分析技術の活用により、検品業務を自動化 / 省人化することで固定費として発生している人件費を削減することが可能です。発見された不良品は、ロボットアームと連動して自動的に取り除くこともできます。

不良率低減が可能だから

また、AIによる検品は人が目視で行うよりも早いうえに、見落としなどのエラーを減らすことができ、検品精度が高くなります。検品精度が高くなることで、製品の品質や信頼に関わる不良率を低減することが可能です。


AIによる検品を導入した事例:キユーピー株式会社様

実際、既にこの技術を導入した企業では業務効率改善・検品精度向上等の効果を得ることに成功しています。例えば、食品の研究・開発や製造・販売を行う、キユーピー様もAI×検品の技術を導入している企業の1つです。同社は、検品業務において抱えていた次のような課題をAIにより解決しました。

課題:食品原料検査が大きな作業負荷に

キユーピー様では、ジャガイモなどの食品原料は個体ごとに大きさがまばらで、品種も多種多様であったため、従来は不良品の検査や仕分けを自動化することができませんでした。
そのため、原料検査はスタッフを多数動員して長時間に渡り目視で行っており、作業従事者に掛かる負荷が非常に高く、労働環境の改善が長らくの課題となっていました。

解決策:AIの深層学習で、不良品を発見するシステムを構築

そこで、キユーピー様では工場の製造ラインを流れる食品原料をカメラで撮影し、コンピュータが良品・不良品を判別するアルゴリズムを構築しました。
このアルゴリズムを構築するために、製造ラインに流れる食品の動画を深層学習(ディープラーニング)の画像認識技術を用いて解析する技術が用いられており、事前に検知精度や検知速度の評価を行うことでシステムの実現可能性を検証しています。また、教師なしの深層学習の手法を使ったことで、汎用性が高いシステムを構築しています。

当事例の場合は、「良品のみ」を学習するシステムを構築しており、良品として判別されなかったものは全て不良品として検知されるようになっています。この”異常検知”型のアルゴリズムにより、検品の精度・速度の両立を実現することができています。
(※アルゴリズムには、Google のオープンソース化された深層学習ライブラリ「TensorFlow」を使用しています。)

改善効果:検品精度・速度を改善

このようにAI×検品のシステムを構築したことで、キユーピー様では従来課題であった現場作業者の労働時間・負担の軽減や、食品原料検査の効率化などに着手しています。
現在も、原料検査の速度を上げ生産効率向上に取り組まれています。

以上のように、AI×検品によって不良率低減による「品質アップ」や、業務効率化による「コスト削減」などのメリットを得ることが可能です。


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2004年の創業以来、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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