【前編】ESG経営とデータサイエンス
~BrainPad DX Conference 2022~特別ゲスト対談

[執筆者]
DOORS編集部

3月23日に開催した「DOORS-BrainPad DX Conference2022」。
3000人を超える視聴申し込みをいただいた本イベントの内容をお届けいたします。

今回は、

  • インクルージョン・ジャパン株式会社 取締役 吉沢 康弘氏
  • 株式会社ニューラル 代表取締役CEO 夫馬 賢治氏
  • 伊藤忠商事 IT・デジタル戦略部デジタル戦略室長 関川 潔氏
  • 株式会社ブレインパッド 代表取締役社長 草野 隆史

による、「ESG経営とデータサイエンス」と題した特別ゲスト対談の様子を詳しくみていきましょう。

DX推進をきっかけに、これからはESGを意識した経営の意思決定の変革が求められています。本講演では、日本を代表するESGオピニオンリーダーたちと、ESGにDXが必要な理由、ESGになぜデータサイエンスが求められるのか。その関係性を議論します。

はじめに

ブレインパッド・草野 隆史(以下、草野) 今回は特別ゲスト対談ということで、ESG経営とデータサイエンスに関してのディスカッションをしていきます。

それでは登壇者のご紹介です。まずは、インクルージョン・ジャパン株式会社の取締役 吉沢 康弘さんです。ESGを絡めた投資に関して、日本のリーダーシップをとっている方でもあるため、今日は詳しい話を伺えればと思います。

次に、伊藤忠商事株式会社のIT・デジタル戦略部デジタル戦略室長である関川潔さんです。今回は事業会社代表として、伊藤忠がESGに対してどのように取り組んでいる注力しているかをお伺いしたいと考えています。

最後に、業界の権威として、株式会社ニューラルの代表取締役CEOの夫馬賢治さんにオンラインで特別にご参加いただいております。

ESG経営と日本企業の現状

草野 日本や世界の状況、ESG経営、ESG投資がどのような状況なのか、夫馬さんからご説明お願いできますか?

株式会社ニューラル・夫馬 賢治氏(以下、夫馬氏) ESGという言葉は、2018年に日本へ入ってきました。4年経って、ESGという言葉は少しずつ日本にも浸透してきているのではないでしょうか。世界では2006年に登場し、世界で見ると15年不動かつ一貫してコンスタントに伸びてきたものだといえます。

世界的に見れば、ESGは「短期的に消えるものではない、長期的に続いていく動きだ」とみられている状況です。日本でいえば、直近1年くらいは大企業だけではなく、スタートアップの中でもESGという言葉が特に注目されています。

今日も話題になると思いますが、世界的に見れば情報開示が進んでいる状況ですね。大企業だけでなくサプライチェーンも含めて考えると、あらゆる企業がデータ開示していくという機運がこの1年高まっています。今まで測定していなかった数字や会社で把握していなかったデータを、社内にとどめずに社外へ開示してくことが求められる時代が目前という状況です。

草野 ESGが日本に広まっていくきっかけは何だったのでしょうか。

夫馬氏 SDGsという言葉と相まって、企業が社会的な問題に対して向き合っていくべきだという雰囲気があります。世界にESGという言葉が生まれた2006年には、「地球の社会は危機的状況であり、政府や国際機関の資金だけでは救うことができない。本丸は民間の金融機関だ」という意識はすでにありました。

そして、2006年には国連責任投資原則が発足しました。略してPRIと呼ばれています(※)。このPRIで、投資プロセスと投資先とのエンゲージメントにESGを入れるという概念が確立されました。

今では、日本では積極的に向き合うべきだと話しています。しかし、主要金融機関では2006年時点で「我々が本丸だ」という声が強くなっていた状況でした。そういう感覚の差をふまえて、自発的に生まれた動きだといえますね。

(※)国連責任投資原則(PRI: Principles for Responsible Investment)2006年に国連主導で発足したESG投資の世界的なプラットフォーム。署名機関は財務情報に加えて、「環境(Environment)|社会(Social) |ガバナンス(Governance)」に関する視点をその投資プロセスにおいて取り入れることが求められる。

草野 夫馬さんからみて、日本が「12年」も遅れた理由はどこにあると思いますか。

夫馬氏 様々な理由がありますが、最大の理由は「言語ギャップ」ですね。日本に登場した2018年までの間に、英語の経済メディアでは頻繁に気候変動の問題やESGという言葉が出ていました。加えて、サステナビリティやサステナブルファイナンスという言葉も頻繁に出ています。

しかし、残念なことに日本のメディアは情報源も含めて国内に閉じているため、外のメディアで当たり前の言葉が日本に入ってこない状況が12年間続きました。

そして、2018年に広まり始めたのもメディアではなく、日本の年金基金が始めたことがきっかけでした。年金基金が始めたことを国内の動きとしてメディアが取り上げ、広まったというのが正しいでしょう。今でも海外と日本の経済情報は断絶している状況です。

草野 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がPRIに比準といいますか、投資しないと自国の年金に投資してもらえなくなるということで関心がいったという流れですよね。

夫馬氏 その通りです。日本のGPIFが2020年になってもPRIに署名していないとしたら、おそらくESGという言葉やSDGsという問題が知られることはほぼなかったのではないかと考えています。あの時GPIFがPRIに署名した際、日経新聞に初めてキャッチアップされたことで、日本に広まったといえます。このエピソードは、日本と海外の壁を少し打ち壊すきっかけになりました。

インクルージョン・ジャパン・吉沢 康弘氏(以下、吉沢氏) そういった機関投資家の話がある一方で、資金でいえば市中の銀行とか中小企業の方々にもESGについての話があるかと思います。日本の地方銀行などのESGへの取り組みの流れはどのような状況でしょうか?

夫馬氏 足元の話でいえば、徐々に広がっている状況です。ただし、地方には地方銀行や信用金庫、信用組合など数が多く、温度差があります。どのようにここまで来たかというと、環境省の力が大きかったためです。

2018年に年金基金が動くのと同時に、世界の気候変動の問題が世界的に大きくなりました。気候変動に対応するため、日本の省庁の中で真っ先に金融の力で政策に生かしてこうと動いていこうとしたのは環境省でした。

環境省は2019年に「ESG金融ハイレベル・パネル」を立ち上げます。そこでは生保業界や損保業界のトップ、日本投資業投資顧問業協会のトップ、信金協会のトップ、全銀協のトップ、第1・第2地銀協会の会長、信用金庫協会会長など、あらゆる会長が一堂に集められた状況です。

「第1・第2地銀協会の会長は当初一体何が始まっているのかわからない」、「何か気候変動とか言っていることから、我々はペーパーレスをやっているとか植林とかにも以前から力を入れています」という話をしていましたね。地銀協会が浮いていることがわかるほど、情報が入ってきていない状態でした。しかし、今では三回目まで行われており、徐々に会話も進化していったといえるでしょう。

総合商社の現状

伊藤忠商事・関川 潔氏(以下、関川氏) 夫馬さんの目から見て、国際社会の中で、「総合商社のESGに関する感度」はどの程度でしょうか?

夫馬氏 今までESGなどCSR部門では話されていましたが、この1年で各事業部の人も自分のことのように考える動きがやっと始まりました。裏を返すと2020年までは営業部の人には関心がないテーマでした。

総合商社に初めてESGの波が来たのはエネルギー(特に石炭)の話でした。2020年までは不満があって、「なぜ環境部やCSRはこんなに自分たちの事業の邪魔をしてくるのか」という感想が多かったと思います。やっと「ここ1年で時代・経済環境が大きく変わって来ているんだ」ということが理解された状況になってきたなと感じています。

関川氏 商社は一般炭(石炭)の権益を各社もっていまして、それが社会的責任という意味合いで悪者扱いされ、その事業から撤退していく動きは良くみますね。伊藤忠としても、地熱発電や廃棄物処理発電、次世代燃料への投資も行っています。また、生活商品部門が大きい一方で、ESGの取り組みが進むのは資源・エネルギー系からです。

生活消費部門として、例えばタイヤの原料である天然ゴムをトレーサブルにして環境保護とか労働搾取をやめさせるとかの類の動きなどもあります。

なぜ、そんな動きをするかというと利益になることが分かっているからです。短・中期的に稼ぎになっている場合、フロントにいる各産業のメンバーがそう感じて着手するか、社会的にダメでしょと言われて仕方なく辞める・減らしていく、どちらかだなと感じているのが現状です。

夫馬さんの話を聞いていると、世界的には長期的に見て会社の利益になるような取り組みはこれだというところをもっと勉強しなければならないと思いました。「世の中の企業活動上のルールは変わってきているよ」ということを理解しないと、日本企業の取り組みは促進されないですね。

ESGの自分ごと化

草野 「ようやく自分ごとに感じるようになった」というお話ですね。この辺で、吉沢さんに自分ごと化するとはどういうことか、お話しいただいてもよろしいでしょうか?

吉沢氏 自分ごと化とは、具体的な勝ちパターンが見えて初めて自分ごとになるという私の仮説からです。例えば、以下のように営業戦略のPDCAを推進すると、儲かると思うから自分ごと化できるでしょう。対して、英語社内公用語化といわれたときに自分ごとになってない会社は正直多いと感じます。

前提としてあるのは、「やったところでほんとに会社は儲かるのか」と疑問に思うことが多いため、微妙な手ごたえとなることも少なくありません。ブレインパッドさんが提供しているDX化についても同じく、DXを自分ごと化するというよりは「収益が上がるモデルが作れているから自分ごと化できる」という考え方です。この仮説に当てはめて考えると、まだ日本はESGと言われたときに勝ちパターンはあるのかピンと来ていないため、自分ごと化ができていないと思います。

ESGの面白い事例があります。ヨーロッパでは、データ保護の観点からGDPRなどの様々な規定があります。そして、iPhoneユーザーであれば、去年の4月くらいからアプリを入れると「本当にトレースさせていいですか?」と聞かれるようになりました。これはアップルのESGを使った戦略の一部です。

これによって、フェイスブックを中心に「他社のアプリにトレースをしない」選択をしたユーザーは96%ほどになりました。フェイスブックの戦略は、ユーザーの好みに合わせて広告が出せるかによって広告の価値が高まっていく仕組みです。トレースしないを選んだことにより、この仕組みが使えなくなってしまいます。

こちらは広告経由の新規アプリインストール数の経路別割合が表示されているグラフになります。大部分をフェイスブックが占めていたものの、トレースの可否を選択できるようになったことで逆転し、アップルの広告比率が高くなった。アップルはこうして勝ちパターンを作っていきました。

また、パーム油というものがあります。少し前までは生活石鹸などに使われていたり、ヤシノミ油としのぎを削っていたりしたものでもありました。しかし現在は、ESG的には危険の宝庫として認知されています。主に東南アジアで作られており、きちんと管理しないと児童労働しているところから調達してきてしまう可能性があるためです。

そうすると、「ほとんどの会社はESGを守っているのですか?」と聞かれたときに、「うちはパーム油を商品にできません」となります。そのため、日本では花王、海外ではユニリーバなど限られた企業だけがパーム油を使っている状況です。

膨大な投資を行ってパーム油を使えるようにしているため、他の会社はこのブランドを使えないということになります。そういう感じで勝ちパターンを作り、ここまで来てようやくESGが自分ごと化するといえます。

草野 では、日本企業がESGを自分ごと化するためにどんなステップを踏んで、何を見ていけばこの部分ができるようになるのでしょうか?

夫馬氏 やはり、飛び抜けている会社がありますね。例えば、小売りでは海外でも名前が出てきている丸井グループや、P&Gなど行動が早い企業をベンチマークする花王、サプライチェーンだとブリヂストンもあります。同社は海外の会社を買収したり、競合が海外の会社だったり海外進出もしている状況です。そういう会社は、日経新聞に頼らなくても自然と事業を行う中で、海外の情報が入ってきます。そのため、マルイを除き、そういう企業の動きは早いといえます。グローバル企業はグローバルな競争の中で引っ張られます。

草野 丸井グループが日本を中心にしているのに高い感度なのは、経営者の感度が高いことが要因なのでしょうか?

夫馬氏 その通りです。実際、6年前ぐらい動いているその要因は、丸井グループのいろんな社員に聞いたときに社長の名前を挙げていることからわかります。

当初丸井グループの各部門は「こんなことしたらコスト上がる」「やる必要ない」と反対していました。しかし、青井社長は譲らず、社員同士でなぜやるのかを議論させる場を作りました。早くから部門横断で「これはどうして長期的にやる意味があるのか」といった議論を部長などの役職者も集めて行い、社長の意見がミドルマネジメントの意見になり、それが浸透していったという流れです。

吉沢氏 先ほど、海外の動きや情報をどれだけ取れているかという点が勝負と言っていましたよね。どうやって丸井グループの青井社長は情報を手に入れたのでしょうか?

夫馬氏 社長がESGの情報収集するのは、実際は忙しくかなり難しいといえます。青井社長に関しては、まさに「先行者利益」です。早くから動いたことでいろんな場に登壇し、国外で登壇することもあります。

その際に、周りの経営者や有識者から話を聞くタイミングがあります。登壇回数が多ければその分質問される機会も増えていくことから、またとない情報源になっているという状況です。

吉沢氏 先週大手住宅メーカーの代表と話をした際、COP26について話したらドン引きするくらい詳しかったですね。その社長はCOP26に登壇するような方で、海外の人も気を遣うような感じでした。やはり、そのループに入っていくことが効果的なのでしょうか?

夫馬氏 登壇するということは恥をかけない、そのため、周囲のスタッフも含めて勉強することになります。そのため、登壇する機会があるかないかは、会社のESGについて調査するという機能が回るか回らないかというのと同義だといえるほどです。そのため、グローバルな場に登壇するのはすごく大事です。

草野 グローバルという言葉からすると、グローバルの輪の中に日本は入っているのでしょうか?入るにはどうしたらいいのか、今はどういう状況なのでしょうか。いまの日本がルールメイキングに参加できているイメージができませんが。

夫馬氏 結論から言えばほぼ入れていません。そして、実は「入れないのではなく入らない」という選択をしています。「まだ空いていますよ」といっても、日本は敷居を高く感じてしまい、ためらうケースが非常に多く、大きい商社やメガバンクもそうです。

確かにいろんなルールを作ったり、本部がヨーロッパになったりすることは多い状況です。しかし、彼らは自分たちの会社だけが入れるようなルールも作ってないし、ヨーロッパだけで閉じるようなフォーラムも作っていません。そのため、積極的に彼らはヨーロッパ以外の国を招き、ヨーロッパ以外の国も積極的に参加していきますね。しかし、日本は「しかるべき部署がないし、誰が行く?」と言っているうちにずっと様子を見てきてしまった状況です。

吉沢氏 COP26を例にすると、国内同士でそれぞれのルールを作ってその中で完結していました。それをマーク・カーニーさんが主導して、カーボンクレジットのマーケットを統合してすごい規模まで成長させようとレポートにも書いています。

COP26でもその方向に行くことになっています。そういう時に意外と日本の企業は気づきません。ルールはこれをやってはいけないということだけで決まるわけではありません。背景には意図があります。

こちらはカーボンクレジットのマーケットを表したものです。市場として大きくなっていくと、結果的に大豆を作れなくなっている森林を、大豆でつぶさずカーボンクレジットを生み出した方が結果的に儲かるため、みんな森林を保護するというその枠組みを作ろうという意図があります。

もちろん、うちの会社にとって利益になる戦い方は何かといった思惑がセットになり、フィードバックがかかることで、ロビイングします。いろんな影響力を持つ現場に行き、念を押して委員会に入り、普段ビジネスでやってることを、こういう枠組みで行うだけです。しかし、この場に参加していない場合、全部決まった後に後出しじゃんけんとなることから、日本はぼろ負けします。

そのため、ルールメイクにちゃんと入っていくという姿勢が大切ですね。

関川氏 商社も含めて、事業会社が新しいビジネスモデルを作るという活動と同じですね。そのため、日本は商社を含めてなかなか国際舞台に立たないって話から、言葉と意識の壁があるのかと感じました。

「あまり関係ないかな」と、自分ごと化していないのだと思います。サステナブル組織は、CAO(Chief Administrative Officer)の管下にあるものの、経営戦略やリスク管理部隊の管下にありません。そのため、「義務や責任だなって意識から、新しいゲームルールができていると感じても、新しいビジネスモデルを作るチャンスだ、稼ぐチャンスだ」という認識が薄くなります。

伊藤忠グループだったら、どのポートフォリオだったらチャンスがあるのかといった「事業戦略側が本気になることで、企業としての自分ごと化ができる」と思いましたね。排出量取引の話を聞いて、企業は短・中期の利益を求めなければならないものの、環境課題の解決は長期目線ですよね。長期的な目線で得られる利益を短期利益に換算するゲームルールの方法論として、排出量取引なるものができたのかなと感じています。

そして、企業もカーボンクレジットで稼げるという仕組みをもっと勉強したら短・中期利益にできるようになるため、もっと能動的に入ってくるとも思いました。

草野 世界的に価値観の変動が起り、様々なビジネスチャンスが生まれているため、義務感的ではもったいないという意識で、商機として取りに行かなければならないと思います。

今からでもだいぶ遅いでしょうけど、さっきの話みたいに新しいルールメイキングが行われているなら、今からでも行かなければならないということですね。

関川氏 吉沢さんがチャートを作ってくれていたものを見て思ったのは、「DXとESGはお題が違うものの、共通論点が多い」と感じました。
伊藤忠のDX推進をやってく中でここ3~4年苦労したのは、経営陣にデジタル技術の重大性の認識・理解とか社員に浸透させるとか、短期的なコストをどう中・長期的に回収していくかという短期利益と長期成長の話でした。

DXを推進するうえで、制度や枠組み、環境を作りました。しかし、「様々な産業にいる社員たちがESGを本業の中に混ぜながら動いていく」というきっかけや動機を与える社内の仕組みづくりを行う必要があるなと感じています。そのため、まずは意識差やギャップ差、利害を乗り越えるような仕組みやルールを作らなければならないと強く思いました。

吉沢氏 その意味でのDXとESGの決定的な違いは、「ESGは、他の企業を巻き込んだエコシステム、バリューチェーンを持ってないと力を発揮しない」ということです。その辺を社内で変革しようといったとき、中に対するベクトルとセットで、外をどうやって巻き込んでいくかという部分がESGは一つレベルアップしているため、さらなる挑戦といえますね。

関川氏 課題の大きさが違いますからね。

吉沢氏 例えば、農業で畑の中に微生物を復活させて農業を行うとすれば、炭素が吸着してカーボンクレジットとして高い価値を発揮します。しかし、バリューチェーンがあるため、 一緒くたに有機農法を行えば価値が出るわけではありません。

まず、どこの土地でやったらこの価値が高まるか、逆に言えば今やせ細っている土地は、どこかをいろんなデータベースから探してくる作業が入ります。

次に、化学肥料を使わないため、どのような最新の器具を使えばいいのかを考えて作っていく農耕器具メーカーが必要です。そして、それをやってくれる農家を探すという流れになります。

その後、炭素吸着したかを測量するための衛星技術を使って測量するベンチャーも必要です。最後に吸着したこと確認できた場合は、ブレインパッドのようにDXが得意な会社がデジタルデータ化して取引しやすくして、最後に金融機関が入ります。

このように、多種多様なプレイヤーが入ってきて、初めて大きい営みができてくるため、自社だけではなく、周りに声をかけしていろんなエコシステムを作る必要があります。この流れが大きなポイントです。

草野 機会としての勝機はあるとしても、行なえる企業は一社の中でのいわゆるDX、IT化レベル、ビジネスモデル変化程度だとなかなか難しいと感じました。少し大きな動きや運動論、提携なども構想して動かなければならないわけですね。

吉沢氏 今、ESGアクセラレーターというものを行っています。去年の夏、このプレスリリースを出した当日に、「zeroboard」という会社の社長がメッセージをくれました。「ESG投資をするんですか?僕すごいベンチャー作っています」と言われて、出資することにしたという流れがありました。

また、三菱UFJ銀行とzeroboardと一緒にエコシステムを作るという話が出て、提携が始まって、「じゃあうちも」という会社が増えています。こういうつながりを作っていくことで、エコシステムや大きいビジネスモデルを作ることにつながると感じました。そして、それが自分ごと化になっていくと。

草野 実際そういう問題や意識は、若い人の方が敏感であるため、ベンチャーが増えていますよね。

吉沢氏 彼らの面白いポイントとして、この領域のベンチャーにいる人は金融業界出身が多いところですね。zeroboardの社長も外資系金融機関出身です。やはり、エコシステム作り、最後はグローバルレベルの取引にしなきゃならないという意識が結構強いことから、感度が高い人が活躍し始めたと実感しています。

草野 商機に向かって動きだしている人もいるということですね。伊藤忠的にはどうですか?

関川氏 お話を伺うなかで、もっと考えればできることが多いと思いました。商社は、自分自身である程度サプライチェーン上のポートフォリオを持つため、意外と自作自演できる土俵があるはずです。

今もDX周りでもサプライチェーンの最適化をブレインパッドと一緒に行っています。しかし、複数の小売、卸、メーカーをつなぐサプライチェーンの最適化の裏では色々な根回しや交渉、利害が反するところをどこかで吸収するという仕組みで取り組んでいる状況です。そのため、ESGの取り組みに関しても「いろんな人をつなげていくような活動の中で新しい事業モデルを作っていく」という動きは、商社は親和性が高いと思いました。

草野 本来得意そうですよね。

関川氏 あと、もう一個農業の話を聞きたいですね。伊藤忠は、食品サプライチェーンの最上流として、海外に農場を持っています。例えば、東南アジアでバナナやパイナップルの大きい農場を持っている場所に対して、カーボンクレジットを生むという新しい技術を応用するといった仕組みを、僕は不勉強だったのですが、うちの食糧部隊が取り組んでいくものと期待しています。

実際、これだけ新しい技術を投資すれば、カーボンクレジットを生むといった計算は、試算すればすぐ出てきますよね。中・長期目線で、経済合理性が見えるならいけるはずです。

吉沢氏 実際、結構話に出るものの、意外とエコシステム作るときにうまくいかないのは、似たようなアセットを持っているもの同士が喧嘩しやすい点です。

例えば、重工系のメーカーと衛星最新テクノロジーの会社があるとしましょう。重工系メーカーも最新テクノロジーを持っているとなったとき、どっちに強みがあるか、木材をやるとか言ったとしても、実はお互い木材マーケットを持っているとか、お互いを警戒します。

商社は基本何も持ってないって認識されているため、誰からも警戒されません。そのため、重要な役割を背負っているのでは?と体験して思いました。

関川氏 「商社の新しい役割」がここにあるということですね。持ち帰って議論したいと思います。

WRITER執筆者プロフィール

株式会社ブレインパッド

DOORS編集部

ブレインパッドのマーケティング本部が中心となり、主にDXにまつわるティップス記事を執筆。また、ビジネス総合誌で実績十分のライター、AI、ディープラーニングへの知見が深いライターなど、外部クリエイターの協力も得て、様々な記事を制作中。

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