【BrainPad × Snowflake 合同イベント開催レポート】Snowflake Summit 2026 Recap -AI Data Cloud のビジネス実装ロードマップ-

公開日
2026.07.16
更新日
2026.07.16

2026年6月に開催された世界最大級のデータ・AIの祭典「Snowflake Summit」。今年は世界から2万人以上が参集し、日本からはAPJ最多の400人以上が参加するなど、日本企業のSnowflakeへの注目度の高さが目立ちました。

同サミットにおいてSnowflakeは、「今年はまさにデータとAIの“新たな時代の幕開け”になる」と宣言。AIエージェントと「人」がタッグを組んで自律的に業務を変革する「エージェンティックエンタープライズ(Agentic Enterprise)」へ本格的に注力していくことが発表されました。

ブレインパッドは、今年のサミットのテーマである「Making AI Real for Business」を日本企業が実現するため、Snowflake社と合同でエンタープライズ企業向けのRecapイベントを開催しました。AI導入をPoCで終わらせず、実ビジネス稼働へと導くためのロードマップについて、経営・技術それぞれの視点から語った当日のセッションの要点をレポートします。

本記事の執筆者
  • セールス
    小林 真悠子
    Mayuko Kobayashi
    会社
    株式会社ブレインパッド
    所属
    ビジネスディベロップメント&イネーブルメントユニット
    役職
    アライアンスセールス
    シンクタンク系SIにてアプリケーションエンジニアを経験。流通小売り業界向けシステム開発を担当後、2024年にブレインパッドに入社。 アライアンスセールスとして、クラウド各社との協業による提供価値向上に従事。

イベント概要

  • イベント名:【BrainPad × Snowflake】Snowflake Summit 2026 Recap -AI Data Cloud のビジネス実装ロードマップ-
  • 開催日時:2026年7月9日(木)18:00 – 20:30
  • 開催形式:オフライン開催(会場:ブレインパッド本社 六本木ティーキューブ 11階 セミナールーム)
  • プログラム・セッションタイトル:
    • 【第1部】セミナー
      • Snowflakeセッション:「Snowflake Summit 2026 ハイライト」
        (Snowflake合同会社 シニアパートナーソリューションエンジニア 髙橋 達矢 氏)
      • 技術セッション:「データサイエンティストが語る、Snowflake活用による現場への価値の届け方」
        (株式会社ブレインパッド エグゼクティブデータサイエンティスト 中道 亮介 / リードデータサイエンティスト 木村 真也)
      • 経営層セッション:「Making AI Realの実現に向けて」
        (株式会社ブレインパッド 副社長執行役員 COO 西村 順)
    • 【第2部】懇親会(19:30 ~ 20:30)

本記事でご紹介するRecapセミナーの全編動画と、各登壇者が使用した講演スライド資料(Snowflakeセッション・BrainPad技術セッション・BrainPad経営セッション)を、以下の特設ページよりお申し込み後にご視聴・資料ダウンロードいただけます。

AIの実ビジネス導入に向けた具体的な戦略策定に、ぜひお役立てください。
セミナー動画のご視聴はこちら


本イベントのキーコンセプト

今回のRecapイベントでは、以下の3つのテーマを中核(キーコンセプト)として、各登壇者がビジネス・技術の両面から深いインサイトを提供しました。

  1. Making AI Real(AIの実ビジネス稼働): 実証実験(PoC)から抜け出し、エンタープライズ規模でAIを本番実装するための具体的なロードマップとプラットフォームのあり方。
  2. Agentic Enterpriseへの進化: 単なる業務効率化にとどまらず、最新機能を活用して自律的に動くAIエージェント群を構築し、ビジネスプロセスそのものを構築するアプローチ。
  3. 即時活用とガバナンスの「両立」: 現場のビジネス要件に応えるアジリティと、AIを陳腐化させない「腐らないコンテキスト」の設計、さらには「認知的降伏」などの人間側のリスクを回避するガバナンスの徹底。

【Snowflakeセッション】「Making AI Real」を実現するSnowflakeの最新ビジョン

Snowflake 髙橋氏のセッション

第1部では、Snowflakeの髙橋氏にご登壇いただき、Summit 2026の全体ハイライトとして以下のコアメッセージをお話しいただきました。

「System of Action」への進化

Snowflakeが提唱するAgentic Enterpriseの世界では、AIが分析結果を出すだけの「System of Insight」から、AIエージェントが自律的にツールやアプリと連携して成果をアウトプットする「System of Action」へとビジネスプロセスが変わります。人間はマニュアル作業から解放され、エージェントをコントロールし、最終的な「承認」を担う役割へとシフトします。

差別化要素は“データとコンテキスト”

サミット内で語られた「AIにとって信頼はアクセラレーターである」という言葉の通り、強固なガバナンスが効いたデータ基盤があって初めて、企業はAIエージェントを安全かつ最大限のスピードで活用できます。他社と差がつく勝負所はAIモデルの性能ではなく、信頼できる自社データとビジネス上の文脈(コンテキスト)の整備です。あらゆる企業がデータ、AIモデル、アプリを統合し、ガバナンスされたエージェント型行動を実現できる時代になってきており、Snowflakeはその実現に向けて安全な基盤を提供していくという発信がされていました。

「Can we(できるか)」から「Shall we(やろう)」の時代へ

今回のサミットの全体スローガンは「Making AI Real for Business(ビジネスにおけるAI活用を現実に)」です。AI活用はもはや「技術的に可能か」を検証するPoCのフェーズを終え、「いかに実際の業務へ組み込むか」という本格的な実稼働フェーズへと完全に移行しています。Snowflakeとともに「できるか?」ではなく「やろう!」としてAI活用本格化の波に乗りましょうと締めくくりました。

【技術セッション】データサイエンティストが語る、Snowflake活用による現場への価値の届け方

ブレインパッド 中道と木村のセッション

「腐らないコンテキスト」の作り方

続いて、ブレインパッドのリードデータサイエンティスト 木村より、現場の技術者目線で「Snowflake CoWork(旧 Intelligence)」の高度な活用法と、AIを本番運用に耐えうるものにするための「コンテキスト管理」について解説しました。

セッション冒頭、木村は自然言語でデータを操作できるCoWorkのパーソナルエージェントのデモを実演。裏側に大量に格納された有価証券報告書のオープンデータから、「昨期のバランスシートのグラフを作って」と指示すると、わずか10秒で鮮やかなグラフが自動生成されました。CoWorkだけでは時間がかかる処理も、セマンティックビューによって裏にコンテキストを事前に仕込み処理時間を短縮化しています。さらに、出来上がったグラフを「Artifacts」機能で保存し、そのまま経営会議用のPowerPointに貼り付けるという、人が手を動かさずに完結する一連のフローを提示しました。

また、ブレインパッド副社長執行役員 COO 西村の過去の音声データから思考の型を学習させた「ペルソナ西村AI(Skills機能)」を呼び出し、「Snowflake SummitのRecapイベントでこの後登壇する予定ですが、意気込みをお願いします」と問いかけました。西村AIの回答が似ているかどうかはこの後の登壇のお楽しみとして会場の笑いを誘いました。このSkills機能を使った仮想上司は、実業務でも、チャット上で上司の視点を持った資料レビューを行うことができ、懇親会でも導入に興味を持たれたお客様が多かったです。

最後に木村はコンテキスト管理の重要性を説きます。「コンテキストは腐っていく」。コンテキストに着目する企業が増えていますが、整えただけでは不十分です。業務のやり方が変わった際には、裏に仕込んだコンテキストを更新しないと、AIはそれが正しいと思って答え続けます。これを防ぐため、コンテキストを情報の鮮度に応じて以下の3層に分けて管理・運用するアーキテクチャを提唱しました。

  • Why(価値観・思想):企業や個人の根本的な考え方。変化しにくいため「Skills」に静的に実装する。
  • How(判断の型・着眼点):ベテランの思考プロセス。これも「Skills(自然言語+Python)」として実装し、Gitなどのコード資産と同様にバージョン管理を行って改善サイクルを回す。
  • What(データ定義やメタデータ):日々変化する情報。Cortex Senseなどを用いてAIに動的に生成・参照させる。

情報鮮度の違いを見極め、最適な置き場所に分離し、バージョン管理を徹底すること。コンテキストもバージョン管理の対象と見なす必要があります。改善には人が入ることを前提に、サイクルを回していくことでコンテキストの整備は進むとして、コンテキスト管理の重要性を説きました。

コンテキスト管理の重要性

「即時のビジネス活用」と「データマネジメント」の両輪戦略

次に、ブレインパッドのエグゼクティブデータサイエンティストの中道が登壇し、Snowflakeの進化によって「AI活用の主役がエンジニアからビジネス部門へと変わってきている」と話しました。そこで生じる「即時のビジネス活用」と「時間のかかるデータ基盤整備」のジレンマに対し、中道は「完璧なDWHの完成を待たず、同時並行で進めるべきだ」と断言します。

中道は、CoWork周辺の機能を活用した「即時のビジネス活用」の具体例として、以下の4つの機能を組み合わせた法人営業のユースケースを紹介しました。

  • Automations:商談の朝に、本日のタスクや顧客ニュース、競合アラートを自律的に通知させる。
  • Artifacts:チャットで深掘りしたインサイトやグラフを保存し、チームでシェアする。
  • Skills:企業調査などの複雑な手順をマニュアル化し、AIに自律的に実行させる。
  • MCP:SlackやCRMなど、Snowflake外のシステムと連携し、商談後の議事録やフェーズ更新をシームレスに行う。

これらの即時活用を安全にスタートさせるための最適解として、メダリオンアーキテクチャの「Gold層(用途限定の活用データレイヤー)」に対してのみ、手元のExcelデータやCSVデータなどを用いてシンプルなデータマートを準備し、小さくAI活用を始めるアプローチを推奨しました。

まずはGold層でビジネス現場からのフィードバックを得ながらUIやプロンプトを洗練させます。そして、裏側の全社データマネジメント基盤(新DWHなど)の整備が追いついたタイミングでデータマートへのデータ投入バッチ処理を差し替えれば、ユーザーのUIを変えることなく裏側のデータ切り替えが可能です。

また、「Skills」の開発においては、「要因分析」や「キャッシュフロー判定」といった細かいスキルから作り始め、それらを束ねて「財務分析スキル」へ、さらに「企業調査スキル」へと親スキル化していくことで、AIが文脈を読んで適切な子スキルを自動選択する高度なエージェント群が構築できるアプローチを解説しました。

即時のビジネス活用は、ビジネス部門との協働なくしては実現しません。即時活用・フィードバック・データ整備をループで回していくことが重要であることを強調し技術セッションは幕を閉じました。

部分的・即自的なデータ活用のスライド

【経営層セッション】Making AI Realの実現に向けて

ブレインパッド 西村のセッション

セミナーの締めくくりとして、副社長執行役員 COOの西村より、エグゼクティブの視点からSummitのインサイトを紐解き、日本企業が陥りやすい「DX戦略の落とし穴」について鋭く切り込みました。西村は、現地のエグゼクティブ限定セッションで得られたインサイトを以下の4点に集約しました。

  • 「データ戦略」なくして「AI戦略」なし:データに接続されていないAIは一般的なチャットAIに過ぎず、投資対効果は得られない。
  • 最大の壁は「技術」ではなく「人と組織」:経営層自らがAIを使い倒し、人事評価も「特定の専門スキル」から「変化への適応力」へシフトすべき。
  • 業務の「自動化」ではなくビジネスの「再発明」:既存業務の代替にとどまらず、顧客体験を含めたエンドツーエンドのプロセス再設計が必要。
  • ガバナンスとアジリティの両立:AIは脆弱性を即座に突くため、アクセス制御などの強固なデータ基盤投資を最優先すべき。

西村は、日本企業の多くが「作成したAIエージェントの数」をKPIにしたり、目先の自動化(Quick Win)に終始している現状を危惧します。実際、Snowflake社内でも自由に開発を許可した結果、1ヶ月で約2万個ものエージェントが乱立し、検索も管理も不能なカオス(Agent Sprawl)に陥った事例を紹介。「1ペルソナ・1エージェント」を基本とし、それらを束ねるオーケストレーターを配置するなど、アーキテクチャの構造化が不可欠だと語ります。

さらに西村は、AI時代における最も深刻なリスクとして扱う側の人間の「認知的降伏(Cognitive Surrender)」を挙げました。

例えば、AIが「クーポンを配った人は、購買金額が2倍でした」という統計結果を出してきたとします。しかし、そもそも「元々よく買う顧客(ロイヤル層)にだけクーポンを配っていた」という前提が抜けていれば、施策効果を示す分析という意味で間違った分析となります。悪意なくもっともらしい嘘(統計の罠)を出力するAIに対し、人間が考える能力を放棄してしまうことの恐ろしさを指摘しました。

ブレインパッドでは、こうしたビジネス利益を損なう「13の潜在リスク(落とし穴)」を定義しています。AIが民主化され処理スピードが上がるからこそ、最後に人間が正しく判断するための「深い業務理解」と「適切な分析設計」の伴走が、これまで以上に重要になると強調し、セミナーを締めくくりました。

当日のセミナー動画・講演資料ダウンロードのご案内

イベント終了後の懇親会では、軽食を交えながら活発な情報交換が行われ、データとAIに対する皆様の熱量の高さを改めて実感する夜となりました。

ブレインパッドは、「データ活用の民主化」と「AIの民主化」の違いを正しく見極め、経営トップのビジョン策定から高度なアーキテクチャ実装、現場への定着化までを一気通貫で伴走支援いたします。

データ基盤の構築やAIエージェントの実装、社内のデータ活用人材育成などに関するお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

見逃し配信・資料ダウンロードのご案内

本記事でご紹介したRecapセミナーの全編動画と、各登壇者が使用した講演スライド資料(Snowflakeセッション・Brainpad技術セッション・Brainpad経営セッション)を、以下の特設ページよりお申し込み後にご視聴・資料ダウンロードいただけます。

AIの実ビジネス導入に向けた具体的な戦略策定に、ぜひお役立てください。
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2004年の創業以来、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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