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CDPを活用したスピーディーなデータ収集、加工

執筆者
公開日
2023.05.16
更新日
2024.03.06

プロダクトビジネス本部 カスタマーサクセス部でお客様向けのコンテンツ作成やニーズ分析を担当している菊地笑(えみ)です。

このたび、ブレインパッドが開発・販売しているデータビジネスプラットフォームRtoasterシリーズのCDP(カスタマーデータプラットフォーム)であるinsight+を利用して、Rtoasterのお客様へのアンケートデータを、エンジニアではない私が自力で加工してみました。その効果や使用感について共有したいと思います。

【関連】マーケターが「本来の仕事」をするためのCDPを目指して

本記事の執筆者
  • カスタマーサクセス
    菊地 笑
    会社
    株式会社ブレインパッド
    所属
    XaaSユニット
    美容業界を経て2016年にブレインパッドに入社。自社プロダクトRtoaster、L2Mixerの顧客支援に数多く従事。現在は自社プロダクトのカスタマーサクセスにて、自社プロダクトをより顧客にわかりやすく発信するコンテンツや、イベント運営を担当。

Rtoasterのお客様から寄せられていた声

Rtoasterは、個別に最適化された顧客体験を自動化し、ビジネス価値を最大化するデータ活用プラットフォームで、大きくaction+、insight+、reach+の3つの製品で構成されています。それぞれ、action+はweb・アプリの最適化プラットフォーム、insight+はCDP、reach+はマルチチャネルメッセージングサービスです。

action+を運用するお客様の声で、「施策によって、顧客データやアイテムデータの加工をしたり、施策結果を深掘りするための分析をしたいという思いはあるが、データ加工の為にエンジニア(またはパートナー)の工数や予算を確保できない」という悩みが目立っていました。

insight+を使えばエンジニアがいなくても、マーケターが自力で加工できるはずなのですが、まずは自分で使ってみる必要があると考えました。エンジニア経験のない私でも簡単にデータ加工ができるのであれば、自信を持ってお客様にお勧めできるからです。

実際に使ってみて、エンジニアを稼働させなくてもマーケターや現場部門の方が自分自身でデータを加工することが可能だとわかりました。以下に詳細をお話しします。

「売上・客数予測による販促計画策定」など5つの成功事例を収録。

今あるデータとアンケートデータを結合して分析したかった

今回、私が実施したことは、Rtoasterのお客様へのアンケートデータとその他のデータを結合させて、分析することでした。

アンケート結果を分析するためには、それぞれ別々の場所に格納されているアンケート結果と、私たちが持つRtoasterの顧客データと結合する必要があります。

満足度といったアンケートの回答結果と、顧客の契約内容や営業担当者、action+の利用機能などの顧客情報をかけ合わせて、顧客の満足度と顧客属性に関連があるのか分析するイメージです。
これを実現するには、別々の場所に格納されているデータの結合や加工が必要になります。

一般的にデータの結合(加工)をする際には、エンジニアに依頼することになります。ブレインパッドでも基本的にはそうなのですが、多忙なエンジニアの工数を確保するのは難しいことです。作業自体はすぐ終わることでも、エンジニアにはプロダクトを開発・保守するという本業があります。お客様の声に「データ加工の為にエンジニア(またはパートナー)の工数を確保しづらい」とありましたが、それは私たちもまったく同じことなのです。

そこで思い付いた解決策が社内でもinsight+を活用するということでした。insight+の便利なところは、「マーケターがマーケティングに必要なデータを蓄積しておいて、必要な時に使える場所を提供する」というものです。これは「データの収集→統合・加工→セグメント作成&ターゲット抽出→他システムへの出力や配信」(図)といった一連の流れをほぼコーディングレスで、つまりエンジニアになしで実現することを意味しています。であれば、その機能を使って、エンジニアに頼らずに自力でアンケート結果を加工・分析しようと思い立ったのでした。

insight+は、セグメントなどをノーコードで作成可能です。多少複雑なデータ加工が必要な場合は、SQLを使用して対応することも可能です。
私はエンジニアではないので「SQL入門」といったレベル(Group文が使える程度)の知識ですが、データの結合、フラグ付けなどの今回の加工も、問題なくできました。


データの入力、加工、出力の一連の流れをすべてinsight+のUIで定義できる

では、実際の操作を見ていきましょう。

下がinsight+のホーム画面です。

ここから「接続先」を選ぶと、接続先の一覧が出てきます。一覧にない新しい接続先とつなぎたい場合も操作画面から必要な情報を入力すれば、簡単に一覧に追加することができます。

加工処理は複数のジョブで構成されることが普通です。処理順序のある複数のジョブの集まりをinsight+ではワークフロージョブと呼びます。これはUI上で、ジョブを線でつなげることで定義できます。

上の画面が実際に作成したワークフロージョブです。処理内容を簡単に説明すると、①Googleクラウドからデータを取得、②①で取得したデータをinsight+内のテーブルに格納、③それらを加工し、2つのSFTPサーバーに分割して配置するといった処理になります。
画像の1つ1つの四角い箱がジョブです。ジョブはひとつずつ実行することも可能ですが、画像のように、最初のジョブが終わったら次へ、という処理をさせることも可能です。

画面の内容に沿って入力していけば、簡単にジョブを作成することが可能です。
下の画面で、後から編集することも可能です。

入力先と出力先、使用するデータセットやファイル、エラー処理などが設定・編集できるようになっています。

もっと複雑なワークフローであれば、エンジニアに作成を依頼するケースもあるかもしれません。今回私が実施した内容のレベルであれば、insight+上で簡単に設定できます。実際、私は簡単なSQLを書いたものの、あとはほとんどUI上で操作して設定を完了させることができました。
また、自分で作っているので、修正などもクイックに対応できたのがよかったです。

他の分析ツールとの連携もエンジニアに頼らずにできる

Qualtricksとinsight+をどのように連携するかについて詳しく知りたい方の参考として、私たちのシステム構成を簡単に説明します。

統合したいデータをすべてinsight+に集め、insight+上で加工します。そして加工したデータは、insight+から、それぞれのツールが受け取りやすい場所に出力します。

Rtoasterにまつわる情報や契約内容などは、insight+以外の場所に格納されています。
それぞれのデータをinsight+に集めて加工しています。
加工したデータは、可視化や分析、次のアンケート配信の為に、各ツールが取得しやすい場所に自動出力しています。

この後の処理としては、これもブレインパッドが開発・販売しているビジュアル分析ツール 「BrainPad VizTact」用のデータをinsight+で作成し、解約しそうなお客様はアンケートにどのような回答をし、また実際にはどんな操作をしているか、といった分析ができればと考えています。

統合したいデータをすべてinsight+に集め、insight+上で加工します。そして加工したデータは、insight+から、それぞれのツールが受け取りやすい場所に出力します。

Rtoasterにまつわる情報や契約内容などは、insight+以外の場所に格納されています。
それぞれのデータをinsight+に集めて加工しています。
加工したデータは、可視化や分析、次のアンケート配信の為に、各ツールが取得しやすい場所に自動出力しています。

この後の処理としては、これもブレインパッドが開発・販売しているビジュアル分析ツール VizTact用のデータをinsight+で作成し、解約しそうなお客様はアンケートにどのような回答をし、また実際にはどんな操作をしているか、といった分析ができればと考えています。

プロダクト担当者だけで客観的な会話のベースが作れる

エンジニアに都度依頼しないで済むのはスピードアップにつながるだけでなく、ちょっとした細かい修正が自由にできることでもあります。この自由度が高まるということは実際に自分でやってみて得た気づきでした。これはとても大きな利点だと思います。

またinsight+にはデータのプレビュー機能があります。マーケターが自分でデータ加工をする時に、意図通りにプログラムが動いたのか不安になることがあると思うのですが、プレビュー機能のおかげで、プログラムによって処理したテーブル内のデータを見ることができる為、安心して進めることができました。

またUIでワークフローが作成できることも私のようなエンジニアでない者にはとてもありがたいことです。エンジニアから見たら当然のことだと思うのですが、エンジニアでない者にとっては、こういうUIがないと意図した順番通りにジョブを動かすのはなかなか難しいことです。仮に動作したとしても、本当に順番通りに動いているのか確認する方法さえよくわかりません。また必要な準備もわからないために漏れが発生することが多いのですが、insight+ならUIに従って設定していけばいいので、準備の漏れもなくなります。

分析の際は、このデータだけで足りるのかとか、もっとデータを増やすとどうなるのかといったことはやってみないとわからない面があり、常に不安です。データを足したり減らしたりすることもUIでいろいろと試せるので、大いに不安が解消されます。見たい切り口を変えるのにも、データを変える必要がありますが、それも簡単にできるます。

さらに、チーム内での改善アクションに、分析結果から導き出した数値を用いる流れができ始めました。今まではそれぞれの担当者の定性的な判断で施策を実行していました。しかし今回の取り組みで、数値による客観的な分析結果が得られるようになりました。共通の議論のベースができたことで、これまでは担当者が一人で悩んでいたことも、部内で検討できるようになり、より良い施策が打てるようになったわけです。このようなことがエンジニアを介さず、思い立った時に担当者だけで行えるようになったのは画期的なことだと言っていいでしょう。

これまでもエンジニアにお願いできる内容に関しては大きな制約はなかったのですが、時間の関係で頻繁に依頼するのは不可能でした。試したいことを試したい時に試せるのは施策の精度を向上させる(すなわち業務目標を達成する)上での最重要成功要因の1つだと考えます。

まとめ

当社が提供するレコメンドエンジンであるRtoaster action+のお客様から、「施策によって、顧客データやアイテムデータの加工をしたり、施策結果を深掘りするための分析をしたいという思いはあるが、データ加工のためにエンジニア(またはパートナー)の工数や予算を確保できない」という声が、私たちカスタマーセンターに寄せられていました。

社内のデータ加工・分析をするにあたり、お客様と同じ悩みに直面し、自分でも活用してみることにしました。

実際に使ってみてわかったことは、エンジニアではない私でも本当にエンジニアに依頼せずに自力でデータが加工できるということでした。これは、上記の悩みを改善することができる結果だと感じました。

それだけではなく、施策の結果分析の幅が広がり、これまでは各担当者が経験と勘に基づいて定性的に判断していたことが、数値化されることで、客観的な根拠をベースとしたチームでの討論が可能になったことは、更に大きな成果でした。

実感をもって、「同じ悩みを抱えるマーケターには、insight+を一度使ってみていただきたい」と思っています。


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株式会社ブレインパッドについて

2004年の創業以来、「データ活用を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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