DXの成功の鍵となる「よいデータ/AI活用テーマ」を見つける方法

執筆者
公開日
2026.07.28
更新日
2026.07.28

AI活用のプロジェクトを立ち上げたものの、気がつけば現場に定着せずに単発の取り組みで終わってしまった。研修で人材を育てたはいいものの、次に何をさせるかが決まらない。そんな経験をお持ちではないでしょうか。

日々生成AIやAIエージェントの話題が飛び交うなか、その技術を自社の中期目標にどう落とし込めばよいかに頭を悩ませているという話は後を絶ちません。

ブレインパッドがデータ活用の現場に20年以上携わる中で見えてきたのは、この停滞の多くが技術力や投資規模の不足ではなくその手前でつまずいているという事実です。すなわち自社の経営課題に効く、筋のいい「よいテーマ」を定義できていない。多くの企業がここで止まっています。

本記事では、企業のAI活用/DXで陥りがちな3つのパターンを紐解きながら、経営効果に繋がるテーマを探索する実践的なアプローチをご紹介します。

https://www.brainpad.co.jp/services/professionals/value-discovery.htmlより抜粋)

本記事の執筆者
  • コンサルタント
    橋浦 由帆
    Yuho Hashiura
    会社
    株式会社ブレインパッド
    所属
    データタレントエクスペリエンスユニット
    ビジネスコンサルタントとしてブレインパッドに参画。データを起点としたCRM・マーケティング戦略の立案や、デザイン思考を用いた新規事業のテーマ探索・アイデア創出を手がける。生成AIを活用した新規サービスの立ち上げから事業戦略の策定まで、構想から実装までを一貫して支援。

AI活用が行き詰まる3つの典型パターン

数多くの企業のデータ・AI活用を支援してきたなかで、共通した行き詰まり方があります。技術の未熟さよりも、取り組みの設計そのものに原因があるケースが大半です。ここでは、相談の場で繰り返し聞かれる3つのパターンを見ていきます。

パターン1:単発の成果で終わってしまう

事業部の困りごとを吸い上げてAIで解決できそうなテーマを選んで試してみたり、単発のテーマとしてはうまくいったものの、それに続くテーマが生まれない。こうした声をよく耳にします。

なぜそうなるか。原因としては、足元の小さな改善テーマにばかり目が向き、「どうなりたいか」という将来ビジョンを描けていないことが挙げられます。このような状況ではたまたまよいテーマに取り組めても、その後が続きません。

パターン2:育成した人材の目指す先が決まっていない

もう一つ深刻なのが、「育成した人材の実践力を伸ばすテーマが見つからない」という問題です。DX推進組織を立ち上げ、研修で分析スキルを学んだ。ところが次のステップが用意されておらず、せっかく学んだスキルを実践する機会がない。社員のモチベーションは下がり、組織全体の動きが停滞していきます。

研修そのものの質が低いわけではありません。むしろ、育った人材に「どのテーマに取り組んでもらうか」の設計が抜け落ちているために、研修で習得したことが業務に活かされないのです。人材育成とテーマ創出は両輪であり、どちらが欠けても推進力は失われます。

パターン3:AI時代に向けた次のアクションが見えない

経営層からはAI活用時代に乗り遅れるなと発破がかかる一方、具体的には何をすればよいか、中期計画にどう織り込めばよいかが見えない。生成AIやAIエージェントという言葉は飛び交うものの、AIエージェントとの共生に必要な環境や基盤の検討が進んでおらず、また自社にとってのなりたい未来の姿も描けていない。これも非常に多い悩みです。

では、こうした3つのパターンを突破するために、そもそも「よいテーマ」とはどう定義されるべきなのでしょうか。


「よいテーマ」とは何か ~経営効果に繋がるQuick Win~

ブレインパッドがたどり着いた定義は、非常にシンプルです。よいテーマとは、経営効果に繋がる、確かなQuick Winだと考えています。小さくても早く成果が見え、その成果が経営指標に跳ね返る。この両方が揃っていなければ、テーマは単なるアイデアで終わります。

3つの要素の掛け算が鍵を握る

この定義を満たすテーマは3つの要素の掛け算から生まれます。

1つ目は、お客様のドメイン知識です。業界の構造も、業務の悩みも、顧客の理解も、最もよく知っているのは当事者である企業の方々にほかなりません。テーマの“種”は、常に現場にあります。

2つ目は、データ・AI活用の成功パターンです。ブレインパッドは2004年の創業以来、1,400社を超える企業の支援を通じて、何が経営効果に結びつき、何が空回りするのかという知見を蓄積してきました。200名を超えるデータサイエンティストと100名規模のコンサルタント、そしてエンジニアが、それぞれの業界で「何が効くのか」を見極める目を養っています。

3つ目が、ビジョンです。どれだけ技術と知見を掛け合わせても、他社の模倣で終わってしまうテーマから、独自の経営効果や強みを生み出すことは困難です。ビジョンを定め、その企業ならではのユニークさを生み出すことが不可欠です。

なぜ、他社の模倣では続かないのか

生成AIの登場で、アイデアを量産すること自体のハードルは大きく下がりました。しかし量産されたアイデアは、そのほとんどが他社でも発想可能な内容です。結果として導入しても差別化につながらず、現場の熱量も続きません。

では、この「よいテーマ」をどうやって見つけるのか。ブレインパッドはデザイン思考を用いて上の3つの要素を統合し、参加者から意見とアイデアを引き出します。デザイン思考を用いることで、単なる課題解決ではなく人間中心の視点から問題を定義し直し、分析テーマやサービスの行き詰まりを解消していきます。

それでは、具体的なプロセスをご案内します。


3日間で経営効果につながるテーマを見つけるプログラム

ブレインパッドがご提供するのはビジョンデザイン、課題・価値デザイン、テーマデザインの順で設計された3日間の共創プログラムです。各日で達成する目標が設定されており、最終日には実行可能なテーマ候補が手元に残る構成になっています。

1日目:ビジョンデザインありたい姿から逆算する

初日は、ありたい姿から逆算してビジョンを描く時間です。ここでいきなり「AIで何ができるか」を議論しないことが、最大のポイントになります。

多くの企業が、最初のアイデア発想で行き詰まります。それを解きほぐすために、ブレインパッドは数百件に及ぶ海外のAI活用事例をインプットとして持ち込みます。

事例はあくまで、発想を広げるための補助線です。そのまま分析テーマに取り入れるのではなく、「どの顧客の、どの体験を変えたいのか」という原点の問いに立ち返るきっかけとして使います。数百件の事例に触れて生まれたインスピレーションを呼び水とし、「誰の、何の課題を解決したいか」へと問いを具体化していきます。

2日目:課題・価値デザイン|現場の声とビジョンを結ぶ

2日目では、描いたビジョンと現場の課題を突き合わせます。ビジョンだけでは絵空事に終わり、現場の課題だけでは日常の延長に終わる。両者を突き合わせて初めて、解くべき価値の源泉が見えてきます。

特に重要なのは、課題の裏側に隠れている「なぜその課題が起きるのか」を掘り下げることです。表層の困りごとだけを集めると、解決しても効果の小さいテーマばかりが並びます。現場のベテランが暗黙知で処理してきた判断をどうデータ化するか、サイロ化した情報をどうつなぐか。こうした泥臭い現場の問いに向き合う時間が、2日目のコンテンツの中核です。

3日目:テーマデザイン|実行可能なテーマに落とし込む

最終日では課題解決に必要なデータ・AIの解像度を高め、実行可能なデータ・AI活用のテーマに落とし込みます。

ここで作られる成果物は、単なるアイデア一覧ではありません。実行可能なテーマ候補を分類し、優先順位をつけ、意思決定できるように文書化します。この一連の流れで言語化された「実行可能な経営テーマ集」こそが、最大のアウトプットです。

例えば、あるテーマは半年以内に試せる小さなQuick Winとして位置づけ、別のテーマは3年後の事業変革を見据えた中期テーマとして整理する。そうしたポートフォリオの設計まで含めて持ち帰れるため、翌週から現場の動きが変わります。経営会議に持ち込んだときに「なぜこのテーマから始めるのか」を説明できる根拠が揃っているのも、このプログラムの特徴です。

アイデア発想を支えるサポートAI

「アイデア出しに慣れていない」という不安の声を、参加者の方々からよく耳にします。そこで開発したのが、プログラム専用のサポートAIです。

人間のバイアスを外し、より深く自由に考えるためのサポーターとして、ワークショップをサポートします。具体的には、次の3つを担います。

  1. 問いをサポート|表面的な課題設定で終わらせず、本当に解きたい問いを浮かび上がらせる
  2. 発想をサポート|デザイン思考を用いて固定観念を外し、型にとらわれないアイデア発想を後押しする
  3. 議論をサポート|会話内容と参加者の思考パターンを可視化し、次のアクションに繋がる深い洞察を引き出す

初心者の方でも、熟練のデータサイエンティストと対話するように、アイデアを磨いていける仕組みです。

では、こうしたプログラムを実施し、ブレインパッドと共創する価値は、どこにあるのでしょうか。

共創プログラムが生み出す3つの価値

ワークショップと聞くと、楽しかっただけで終わってしまった、社内会議と変わらなかったという経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ブレインパッドの共創プログラムにおける従来型のワークショップとの違いは、3点ございます。

価値1:データサイエンティストが現場の悩みに並走する

第一の違いは、データサイエンティスト・コンサルタント・エンジニアが実際にワークショップに加わる点です。先進技術と業界知見を持つ専門家が現場の悩みに並走することで、アイデアの発想から実装可能性の検討まで、一気通貫で進みます。

現場が「これはできるのか」と感じた瞬間に、隣にいる専門家が「この技術を使えば実装可能です」と返せる。この即時のフィードバックが、発想を枯らさずに広げていく原動力になります。

価値2:アイデアが企画に、そして経営効果に落ちる

第二の違いは、アイデアを企画に落とすまでを一気通貫で伴走する点です。生成AIを使えばアイデア自体は量産できます。しかし、経営効果に繋がるアイデアを選び抜き、意思決定可能な企画書にまで仕上げるプロセスには、依然として経験と方法論が必要です。

成功した事例に共通するのは、技術導入ではなく「どの業務の、どんな効果を狙うか」が最初から設計されていることです。ブレインパッドは、1,400社を超える支援で培った経験をもとに成功と失敗のパターンを見極め、データ/AI活用のアイデアを、先進性と実現性のバランスがとれた企画へと磨き上げていきます。

アイキャッチ

デザイン思考ワークショップから生まれた分析テーマと、その後の成果

価値3:サポートAIがアイデア発想を支える

さらに、サポートAIが初心者の方を支えます。アイデア出しが得意でない方でも、AIとの対話を通じて発想の質を底上げできることで、ワークショップの成果を特定の“発想上手”にゆだねることなく、現場の声を幅広く掘り起こせるようになります。

おわりに

AI・データ活用がうまくいかないとき、原因は技術や予算だと考えられがちです。ですが本当の分かれ目は、経営効果に繋がるテーマを見つけられているかどうかではないでしょうか。その一つの解として、ドメイン知識と成功パターン、そしてビジョンの掛け算が、その問題解決の糸口になると考えています。

ブレインパッドは、ビジョンデザイン、課題・価値デザイン、テーマデザインの3日間で、皆さんと一緒に経営効果の起点を設計するプログラムをご用意しています。
一社単独では描けなかった未来を、AI・データ分析のプロと共創する。その選択肢を、ぜひ次の一手として検討してみてはいかがでしょうか。

プログラム アイキャッチ

3日間で経営効果につながるデータ/AI活用テーマを見つけるプログラム詳細はこちら


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株式会社ブレインパッドについて

2004年の創業以来、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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