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米国サンフランシスコで開催中の「Snowflake Summit 2026」。Day2の本日は、昨日の盛況ぶりの影響からか、開始1時間以上前から会場前が早くも熱気に包まれていました。

そんな期待感の中で幕を開けたDay2は、午前のPlatform Keynoteが主役の一日となりました。冒頭では共同創業者のBenoit Dageville氏がSnowflakeのアーキテクチャの原点を振り返り、続いてEVP of ProductのChristian Kleinerman氏が登壇。製品の最新発表とライブデモ、そしてUnder Armour、Samsungといった先進ユーザーとの対談が次々と披露されました。
本記事では、このPlatform Keynoteで示された技術の進化から、ブレインパッドが注目した最新トピックを速報でお届けします。
冒頭、EVP of ProductのChristian氏から、Snowflakeの根幹である「3つの基本原則(データ・コンピュート・ユーザーの統合)」と、データサイロ化の歴史が語られました。
現在はAIエージェントを活用する「エージェンティック・エンタープライズ」の時代ですが、AI専用の独立したシステム(孤立したAIスタック)を組むことは、過去のサイロ化の過ちを繰り返し、ガバナンスの崩壊を招くと警告されています。
「データがAIを賢くし、AIがデータを高速・シンプルにする」という単一プラットフォームの優位性を示したうえで、Christian氏による「魔法のようなAI機能(ACT1〜4)」の発表へと鮮やかに繋がっていきました。
また、今回のアップデートで記憶に残ったのは、既存の2つのサービスの改名の部分でした。

サービスの改名としては、
「Snowflake Cortex Code」⇒「Snowflake CoCo」
「Snowflake Intelligence」⇒「Snowflake CoWork」
と変化しました。
「CoCo」についてはユーザー間で自然に広まった愛称を元に改名し、「CoWork」についてはツールの適用範囲(スコープ)が当初の想定よりもはるかに広範になることで、変更となったようです。
今回は、その2つのサービスアップデートを中心に紹介します。

第1幕では、データを扱うあらゆる場面から摩擦を取り除くことにフォーカスしていました。データの取り込みから処理、アプリ化までの各レイヤで続々と新機能が発表される中、以下の機能に目がとまりました。
Cortex Trainingは、汎用AIの精度向上が目覚ましい中、どれほどモデルが強力なるかを実際に試してみたいと思いました。Snowflake Runtimeについては後述しますが、Streamlit以外の出口に注力している方向性に期待を寄せています。

データの保護にとどまらず、エージェントの振る舞いやコストまで含めて「安心して任せられる」状態づくりも1日目から続く共通のテーマのようです。
セマンティックレイヤの重要性が至るところで言及される中で、コンテキストの整備にかかる負荷は依然として高いままであり、その問題を解決する一手になることを願っています。

組織やプラットフォームを越えてデータを「動かさずに」つなぐ仕組みも大きく前進しました。共有・連携まわりの主な3つを取り上げます。
これらは、データのサイロ化を生んできた境界を、いずれもコピーなしで越えさせるものです。データのサイロ化が解けることで、「社内にデータを集約する」ことから、ソース側に統制を残したまま社内外とデータを共有・流通させることになると感じています。

最後に、ここまでの要素を束ねるパーソナルなワークエンジンとしてのCoWorkです。一人ひとりに付く専属エージェントの「精度」と「ガバナンス」の進化に言及していました。
後半には、SamsungのJohn Suh氏が登壇し、Galaxy S26のローンチを支えるCoWork上のエージェント「SIA」と、AIで業務プロセスそのものを作り替える”AX”を紹介。データ職ではない約1,000人の経営層・営業・マーケティング担当が日常的に使っているという規模感が、利用者像の広がりを物語っていました。
CoWorkは「質問に答えるだけの道具」から「一人ひとりに付く専属ワークエンジン」へと位置づけを変えました。マルチエージェントの振り分け、ユーザーメモリ、スケジュール実行、そしてメールやSlackとの連携(MCP経由)が加わっています。

デモでは、自動実行とMCP連携により、毎朝6時にブリーフがメールで届き、分析結果がSlackに共有される様子が示されました。ユーザーが外部ツールも含めて自ら情報を取りに行くだけでなく、必要な情報が向こうから届く、その両方向を備えた設計になっていた点が印象的です。現状、業務部門ではM365 Copilotなどがすでに浸透している企業も多く、使い方の棲み分けは論点になりますが、必要なデータへのアクセス性とガバナンスの近さでは、CoWorkに分があると感じます。
一方で、全社員がSnowflakeを日常的に使う世界には、まだ距離があるのも正直なところです。MCPによる業務ツールとの連携は整いつつありますが、それはいわば「業務ツールとAIエージェントをつなぐ配線整備」にあたる段階です。ビジネスユーザーの業務に本当に組み込めるかは、その配線の先で、現場の判断や行動へ自然につながるかにこそかかってくると見ています。
AIに渡す文脈の質を底上げする仕掛けとして、Horizon Contextが紹介されました。Horizon Catalogの一部として、各所のシグナルを集めてエンリッチし、CoCo・CoWork・Cortex agentsに渡すものです。従来から議論されてきたセマンティックレイヤを、運用しやすい形で補強する位置づけと理解しました。

あわせて発表されたCortex Senseは、データ・ビジネス定義・運用知識を自動で束ね、エージェントの精度を底上げするとのこと。「CoCo/CoWorkで24%だった精度が、Cortex Senseありで83%まで上がる」という数値が示されました。ただしこれは「すべてのモデルに効くわけではない」「コーディングエージェントの文脈での比較」といった但し書きの付いた数値であり、この差がどんな条件で再現するのかは我々もまだ腑に落ちきっておらず、半信半疑なのが正直なところです。
セマンティックレイヤの補強そのものは歓迎ですが、肝心なのは「このコンテキストを誰が生み出し、誰が直し、どう承認して回すのか」という人の運用設計です。これを組織内で定着させるためのオーナーシップとレビュー設計は依然として重要度が高いと感じます。
ガバナンスのデモは、CoWorkの画面上で行われました。営業オペレーション担当としてVIPの連絡先一覧を求めると値はマスクされ、データを外部ステージへエクスポートしようとするとdata movement policyに弾かれる。登壇者が「これはユーザーエラーでもAIエラーでもなく、ポリシーによる正規のブロックだ」と言い切った瞬間が象徴的でした。LLMが「出そう」と判断しても、実行時にデータ層で決定論的に手が止まる設計です。

なんの制約もない中でClaude Codeなどを実行したことによる事故は多発していますが、それをSnowflakeのガバナンスを利かせられる点は非常に魅力的でした。
そしてこの境界を外部システムまで広げるのが、Opening Keynoteでも発表されたNatomaの買収です。NatomaはMCPゲートウェイで、エージェントが社外のSaaSやAPIを叩く際に、誰が要求し・どの権限で・許可してよいかをtool-call単位で検証し、監査まで残します。これまで手薄だった「エージェントが外に手を伸ばす層」まで統制が回るようになれば、規制の厳しい企業でもエージェント活用を本番投入しやすくなると考えています。
これまでSnowflakeでは「データアプリの出口はStreamlit」が推されていた印象がありましたが、コーディングのハードルが下がった今、Streamlitだけでは正直物足りない場面も増えてきました。今回発表されたSnowflake Runtimeは、Node.jsを実行でき(Pythonも近日)、フルのReactアプリをSnowflake上で動かせるというものです。デプロイはsnow app deployの一発。あわせてStreamlit HostingのGAも発表されました。
これまで分析チームと、それを業務アプリに仕立てる開発チームの間にあったハンドオフが消え、PoCから本番までの谷が一層浅くなります。しかも効くのはRuntime単体ではなくCoCoとの組み合わせで、「何を作りたいかを記述するとCoCoがアプリを生成し、Runtimeがガバナンス境界の内側に配る」という流れです。
ただ、現状はpublic previewでReactは動くがPythonは近日公開という段階で、最近周囲で流行っているTypeScriptのNext.jsとPythonを組み合わせたフルスタック開発を実現するにはもう一歩、という温度感でした。
Platform Keynote終了後はブースを中心に会場を回りました。会場で集めるSwag(ノベルティ)も、Summitの楽しみのひとつです。今年は全体的に昨年より一段と豪華に感じました。

特に印象に残ったのが、Olympic Zoneのバスケットボール・フリースローチャレンジです。シュートを決めて(結果的には抽選によって)Snowflake仕様のバスケットボールを獲得しました。使わずに取っておこうと思います。
会場のグッズ売り場でもいくつか買い求め、各社のブースでは企業オリジナルのグッズも受け取りました。歩きながらおみやげが増えていくのも、会場を回る楽しみでした。

最新テックの発表はもちろんですが、現地での熱い交流もSnowflake Summitの大きな醍醐味。会場では参加者の皆さまと意気投合し、光栄なことに一緒に記念写真を撮影させていただく場面もありました。画面越しでは味わえないこのリアルな熱気と繋がりこそ、現地参加ならではの最高のお土産です。



改名された「COCO」のTシャツ着てますね
1日目のOpening Keynoteでも語られた「コンテキスト」や「ガバナンス」というキーワードが、すでに技術的に落とし込まれていることを実感する一日となりました。
ただし、今回の目玉の多くはプライベートプレビューやパブリックプレビューの段階にあり、性能や精度の数字も、登壇者自身が「但し書きつき」と断っていたとおり、単一の顧客・特定条件での値が中心でした。
「本番で任せる」というテーマに対して、機能側がまだ追いついていく途上にある、という温度差は確かにあります。だからこそ、手放しで驚くのではなく、自分たちの現場で確かめるという宿題を持ち帰ることになりました。明日のBuilders Keynoteやセッションを通して、その実態にもう一段踏み込めることを楽しみにしています。
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