GXとは?グリーントランスフォーメーションの定義から経済産業省の取り組みや事例を解説

公開日
2023.09.26
更新日
2026.03.11

GX(Green Transformation:グリーントランスフォーメーション)とは、カーボンニュートラルや温室効果ガス削減を軸に、製造業やサービス業、地域社会、さらには産業構造全体を変革していく取り組みを指します。単に環境負荷を減らすだけでなく、社会全体の持続可能性を高め、企業活動や地域経済のあり方そのものを見直すことが目的です。

近年では、気候変動の加速や資源制約、脱炭素社会への国際的な要請を背景に、GXの推進が企業や自治体にとって喫緊の課題となっています。例えば、政府が毎年発表する「ものづくり白書2025年」では、製造業におけるGXの取り組みが「産業競争力維持・強化の鍵」と明言されており、多くの企業が経営戦略の中でGXを重要テーマとして位置付けるようになっています。

本記事では、トレンドキーワードとして注目される「GX」の定義や、 SDGs・ ESG経営 との関連性、なぜ今「GX」が重要なのかといった背景をわかりやすく整理し、さらに企業・自治体の具体的なビジネス取組事例まで幅広くご紹介します。

【関連記事】
ものづくり白書2025のポイント解説 – 製造業が直面する課題と戦略的方向性 | DOORS DX

GX(グリーントランスフォーメーション)とは?

GXとは「Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)」の略で、カーボンニュートラルや温室効果ガス削減のために取り組む活動や変革のことです。

ここでは、GXの定義や意味を具体的に解説します。

GXとは?何の略でその定義とは

GXとは「Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)」の略で、カーボンニュートラルや温室効果ガス削減のために取り組む活動や変革を指します。

日本は、2035年度に2013年度比で60%の温室効果ガスの削減、そして2040年度までに73%削減すること、さらに2050年までにカーボンニュートラルを実現することをNDC(温室効果ガス削減目標)表明しています。

これらの達成には、GX推進による社会システムの変革や数多くの企業の協力が不可欠です。そのため政府は多くの企業がGXに取り組むよう促しています。

補足として、経済産業省はGXを以下のように定義しています。

CO2などの温室効果ガスを排出する化石燃料をできるだけ使わず、太陽光や風力などクリーンなエネルギーを活用する経済や社会システムへの変革
引用:「GX」 カーボンニュートラルに向けた新たな巨大市場

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルは、二酸化炭素やメタンなどを含む温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、全体としてゼロにすることです。日本では2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすると宣言しています。

温室効果ガスは可能な限り削減できればいいものの、排出量をゼロとすることは困難である分野も多いため、植林や森林管理などによって吸収や除去できる量を差し引いて、実質ゼロとする計画です。そのような産業構造の転換や技術革新を加速させるGXへの貢献が求められています。

補足として、経済産業省はカーボンニュートラルを以下のように定義しています。

「温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする」、つまり、温室効果ガスを「排出する量」から「植林や森林管理などを通じて吸収する量」や「地中に埋めることなどにより除去する量」を差し引いてプラスマイナスゼロにすることを意味しています。
引用:カーボンニュートラルって何?「経済産業省」

脱炭素とは

「脱炭素」は、温室効果ガスの中でも大きな割合を占める二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにすることです。

化石燃料への依存を減らし、再生可能エネルギーなどクリーンエネルギーの導入を加速させることや、省エネルギー化を徹底することなどがあります。GXは、脱炭素を経済成長のチャンスとして捉え、産業構造そのものを変革しようという戦略的なアプローチです。

補足として、栃木県では脱炭素を以下のように定義しています。

地球温暖化の原因となっている温室効果ガス、主に二酸化炭素(CO2)の排出量を可能な限り削減する取組
引用:今日からはじめる脱炭素ガイドブック「栃木県」


GXが求められている背景

GXが注目される背景には、いくつかの社会的・経済的要因があります。主に以下の4つが挙げられ、企業や自治体にとって対応が求められる理由となっています。

  • 温室効果ガスによる地球温暖化の懸念
  • EUによる脱炭素化の推進
  • 日本政府による最重要課題への位置付け
  • ESG投資市場の拡大

ここでは、それぞれの要因について、具体的な内容も合わせて解説します。

温室効果ガスによる地球温暖化の懸念

GXが求められている最大の背景として、温室効果ガスによる地球温暖化の深刻化が挙げられます。世界では異常気象の増加が顕著で、暴風雨・洪水・干ばつ・熱波などの災害発生件数は1970年から2019年の50年間で約5倍に増加したと報告されています。その主因は、人間の産業活動による温室効果ガス排出とされています。

各国はNDC(国別温室効果ガス削減目標)を掲げ、排出削減に向けた取り組みを強化していますが、従来の省エネ施策だけでは限界があることも明らかです。

そこで注目されているのがGXです。GXは再生可能エネルギーの導入、エネルギー転換、低炭素素材の採用、循環型ビジネスモデルの推進などを通して、排出量の削減と企業成長の両立をめざす取り組みであり、温暖化リスクを抜本的に抑制できる手段として期待されています。

【参考】
IPCC(政府間パネル)第5次評価報告書

EUによる脱炭素化の推進

GXが世界的に加速した背景には、EUによる脱炭素化の強力な政策が影響しています。EUでは世界に先駆けて、2005年からEU-ETS(排出量取引制度)を導入し、国・企業ごとに排出枠を設定し超過分の購入を義務付けることで、排出削減のインセンティブを制度として機能させました。

さらに2021年には欧州グリーンディールを柱とする「欧州気候法」を公布しました。2050年までのカーボンニュートラルを法的に義務化し、2030年までに温室効果ガス排出量を1990年比55%以上削減するという高い目標も掲げています。

こうした取り組みが波及し、各国の政策・産業にも波及し、脱炭素を基軸とした経済競争の時代が始まったといえます。

日本政府による最重要課題への位置付け

日本でもGX推進は国の最重要政策として位置付けられています。政府は2023年に公表した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」において、GXを克服すべき最大の課題として重点投資分野に指定しました。特に脱炭素技術への投資や産業構造の転換を進めるため、今後10年間で150兆円超の官民GX投資を目指すと宣言しました。

政府もGX経済移行債として20兆円以上の国債発行を進め、企業の脱炭素投資を後押ししています。GXは環境対策にとどまらず、産業競争力強化や雇用創出、経済成長の機会として捉えられており、日本企業にとってGXは「やるかどうか」ではなく「どのように取り組むか」という段階に入っています。

ESG投資市場の拡大

GXが注目される背景として、世界的なESG投資市場の拡大も不可欠な要素です。ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)を考慮した投資活動や経営、事業活動を行うことを指します。近年、ESG投資は増加しており、企業価値評価に非財務情報を活用する潮流が広がっています。

世界持続的投資連合(GSIA)によると、世界のESG投資残高は2014年の18.3兆ドルから2020年には35.3兆ドルへと約2倍に増加しており、ESGを軽視する企業は長期成長リスクが高いとみなされ、投資対象から外される可能性が高まっています。

GXの推進はESGのE(環境)に該当し、脱炭素経営を進める企業ほど投資家から評価されやすくなります。資金調達力・株価安定性の向上につながる観点からも、GXは企業経営の競争力強化に直結する取り組みとして注目されているのです。

【関連記事】
ESGとは?企業の取組事例やESG経営導入ステップをわかりやすく解説 | DOORS DX

【参考】
経済産業政策局、産業技術環境局、資源エネルギー庁|「事務局説明資料(グリーン社会の実現)」


日本政府や各省庁によるGX推進の取り組み

ここまで、GXが注目される背景や重要性について解説しました。それを踏まえ、日本政府や各省庁では、GXの推進に向けてさまざまな取り組みを進めています。

具体的には、政策の策定や支援制度の整備、企業や自治体との連携促進などが挙げられます。ここでは、政府が実施している代表的な活動について解説します。

  • GX実行会議
  • GX推進法
  • GX脱炭素電源法
  • GXリーグ

GX実行会議

「GX実行会議」とは、GX推進に必要な施策を検討するために開催されている会議です。内閣総理大臣やGX実行推進担当大臣、GXの有識者で構成されています。

議長は内閣総理大臣、副議長にGX実行推進担当大臣(経済産業大臣を兼務)・内閣官房長官が務めるほか、環境大臣・財務大臣・外務大臣・有識者(産業・エネルギー・金融・地域など)で構成されています。

2022年7月に第1回会合を開催。2023年2月には「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定され、2023年5月には「GX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)」が成立し、制度化が進みました。

【参考】
GX実行会議の開催について「内閣官房」

同会議の参考資料には、今後10年を見据えたロードマップの全体像が掲載されており、これからどのようにGXを進めていくのかの道筋が示されています。

GX実行会議における大きな論点は、エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXの取組施策策定と、上に示したロードマップの取りまとめです。

【参考】
GX実行会議における議論の論点「内閣官房」

この基本方針では、GXを加速させるための今後10年間のロードマップが示されており、企業・産業界・自治体がどのようなステップでカーボンニュートラルを実現していくのかの方向性が明確化されています。

GX実行会議の最大の論点は、「エネルギーの安定供給を大前提としたGXの実行」です。日本は化石燃料への依存度が高くエネルギー自給率が低いという課題を抱えており、ロシアによるウクライナ侵攻を契機に、海外依存によるリスクが顕在化しました。したがって、日本が持続的な経済成長を維持しながら脱炭素を実現するためには、再エネ・次世代エネルギーの強化と同時に、供給の安定性を両立させる政策設計が不可欠です。

また、政府はGX実現を加速する資金調達として「成長志向型カーボンプライシング構想」を発表し、20兆円規模のGX国債発行を決定。官民合わせて10年間で150兆円規模のGX投資を生み出すことを目指しています。

これには、CO₂排出に価格をつけるカーボンプライシングの導入や、民間資金を誘発する新たな金融スキームの活用などが含まれており、GXが国家施策と金融政策の両面から推進されていることが特徴です。GX実行会議は単なる政策議論ではなく、企業・自治体の投資判断の基準となる指針を示す重要な役割を担っており、日本の産業構造転換と持続可能な経済成長の実現に向けた司令塔として位置付けられています。

【参考】
GX実現に向けた基本方針(案)について

GX推進法

GX推進法は、以下の6つに関する法案です。

  • GX推進戦略の策定・実行
  • GX経済移行債の発行
  • 成長志向型カーボンプライシングの導入
  • GX推進機構の設立
  • 進捗評価と必要な見直し

【参考】
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案【GX推進法】の概要

GX推進法は脱炭素社会へ円滑に移行するための法律であり、正式名称は「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」です。第211回国会において成立し、2023年6月30日に施行されました。

【参考】
「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の施行期日を定める政令」及び「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」を閣議決定しました (METI/経済産業省)

これにより、成長志向型カーボンプライシングの導入や、民間企業によるGX投資の支援について法律が成立したため、GX投資が円滑に進められるようになりました。そのため今後は「今後10年を見据えたロードマップの全体像」の動きがより円滑に進むと考えられます。

GX脱炭素電源法

「GX脱炭素電源法」は、電力の安定供給や温室効果ガス排出削減を目的に、原子力発電所の運転期間延長を可能にするものです。日本のエネルギー自給率が低い状況下で、既存の原子力発電所を最大限活用し、脱炭素化を進めることが狙いです。

脱炭素を目指しながら電気を安定供給するためのGX脱炭素電源法では、「地域と共生した再エネの最大限の導入促進」と、「安全確保を大前提とした原子力の活用・廃炉の推進」を掲げています。

原子力発電所の運転期間に関しては、「原則40年、最長60年」というこれまでの枠組みは維持されますが、停止期間を運転期間から除くこととなりました。これにより、実質的に60年以上の稼働が可能となります。

GXリーグ

GXリーグは、経済産業省が主導する企業連携組織で、GXを推進する企業や、官・学が連携して持続可能な成長を目指す場です。GXリーグでは、温室効果ガス削減に貢献しつつ、経済・社会・環境が好循環する社会を目指しています。

【参考】
GXリーグ

GXリーグの活動はこちらのnoteでもご紹介されているので、気になる方はあわせてご覧ください。GXリーグには2024年時点でトヨタや東京電力、日本生命など多くの業界の747社を超える企業が参画しており、GX推進に取り組んでいます。

【参考】
GXリーグの参画企業一覧

各省庁の役割もGXリーグと連動しています。経済産業省はGX経済移行債や成長志向型カーボンプライシング構想を中心に、企業のGX投資・技術開発を後押しし、制度整備を主導しています。環境省は自治体・中小企業のGX支援、脱炭素の地域モデル創出、省エネ・再エネ導入補助などの現場施策を展開しています。国土交通省は都市・交通・建設インフラのGX促進や低炭素インフラ整備を進めています。

GXリーグは脱炭素の義務化に留まらず、GXを「成長戦略」として位置づけ、市場創造・技術革新・社会実装を官民連携で進める点が特徴です。脱炭素への対応は、いまや企業のコストではなく競争力獲得の源泉となりつつあります。GXリーグの活用を通じて、企業が自社の排出削減だけでなく、ビジネスモデル・製品・サプライチェーンを含めた変革を進められるかが、これからの市場優位性と持続的な成長を左右することになるでしょう。

企業や地方自治体のGX推進事例

ここからは、GX活動に対する具体的なイメージを持っていただくため、4つのGX取組事例をご紹介します。

企業:ENEOSホールディングス株式会社

ENEOSホールディングスは、「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の両立」を掲げ、事業の大規模トランジションを推進しています。2040年に温室効果ガス73%削減、2050年に排出実質ゼロを実現することを長期目標とし、国内最大級のエネルギー企業としてGXを牽引しています。

主な取り組みは以下の通りです。

  • 製油所・事業所のデジタル化によるエネルギー効率最大化
  • 燃料転換・再生可能エネルギー導入の拡大
  • CCS(CO₂回収・貯留)やCCUS(CO₂回収・有効利用)の技術実装
  • バイオマス燃料・水素・合成燃料(e-fuel)の開発
  • 低炭素型素材/リサイクル素材の事業化・サーキュラーエコノミーへの進出

単なる環境対応に留まらず、「GXを競争優位の源泉にする」という姿勢が特徴で、カーボンニュートラル対応型の素材・燃料・エネルギーの新市場開拓にも積極的です。

【参考】
ENEOSグループ 第4次中期経営計画 カーボンニュートラル基本計画 2025年度版

自治体:兵庫県伊丹市

兵庫県伊丹市は、2021年の「伊丹市ゼロカーボンシティ宣言」以来、GXを都市戦略と位置づけ、官民・企業・金融機関・住民が連携した脱炭素モデルを推進しています。GXを「地域経済の強靱化と社会価値創出の手段」と捉える政策設計が特徴です。

主な取り組み内容:

  • 地域企業の省エネ・再エネ投資支援(金融機関との協働)
  • 自治体×エネルギー企業×地元産業によるGXプラットフォームの構築
  • 公共施設の再エネ導入・ZEB化(ゼロエネルギービル)
  • 二酸化炭素排出量データの可視化による住民参加型のGX推進
  • GX人材の育成と小中学校への教育プログラム

伊丹市のGXは「脱炭素×地域金融×産業振興」が三位一体で進む点が全国的に注目されています。

【参考】
環境省 地域主導の再エネ・地域脱炭素に関する取組事例集

自治体:山形県庄内町

山形県庄内町は、強風という地理的特性を活かした風力発電に全国で最も早く取り組んできた自治体で、GXの成功モデルとして評価されています。1980年代から風力発電導入を開始し、再生可能エネルギーを地域の経済循環に組み込んできました。

主な取り組み内容:

  • 大規模風力発電施設の設置(2021年度に22.5kW規模の風力発電所運用開始)
  • 町内の年間消費電力量の約60%を再エネで供給(2021年度時点)
  • 風力発電による収益を地域振興・防災整備・福祉に再投資
  • 再エネ発電関連産業の創出と地元企業参加型のエネルギー運用

庄内町は「環境価値の最大化=地域成長」と捉え、単なる省エネではなく“エネルギー自給 × 地域経済の潤滑”という新しいGXの姿を示しています。

【参考】
環境省 地域主導の再エネ・地域脱炭素に関する取組事例集

GX推進による3つのメリット

企業がGXを推進していくことで、さまざまなメリットを享受できます。環境負荷の低減や脱炭素化への対応にとどまらず、企業の競争力向上やブランド価値の強化、社会的信頼の獲得など、事業活動に幅広い効果をもたらします。

ここでは、代表的な3つのメリットについて詳しく解説します。

1. 企業価値の向上と投資促進

GXに取り組む企業は、社会・環境への配慮を示すことで企業価値を高められます。地球温暖化や資源枯渇への危機感が高まる中、環境負荷の少ない製品やサービスを提供する企業は、消費者や取引先から選ばれやすくなっています。脱炭素への取り組みを明確にすることで、ブランドイメージや信頼度向上につながります。

ESG投資市場が拡大する中、環境に配慮する企業は長期的な成長が見込める企業として評価され、投資対象となりやすくなります。GXの取り組みが外部団体や行政、メディアに認知されることで露出が増え、社会的認知向上につながります。環境意識の高い人材の支持も得られ、優秀な人材確保にも寄与します。

2. コスト削減とエネルギー効率化

GXは、中長期的にコスト削減とエネルギー効率向上を実現します。エネルギー・資源の最適化により、工場・オフィス・物流などのエネルギー使用量を見える化し、ムダを省くことで電力・燃料費などを削減できます。

高効率設備の導入や製造工程の最適化など、省エネ技術への投資もランニングコスト抑制につながります。自社敷地への太陽光パネルの設置や再生可能エネルギーの調達により、エネルギー調達費の削減や価格変動リスクの低減も期待できます。

余剰予算は、新規事業投資、製品品質向上、価格競争力強化など、企業成長につながる施策に活用可能です。GXは、コスト削減と企業成長の両方を兼ね備えた取り組みです。

3. イノベーション創出と新市場の形成

GXは、温室効果ガス削減だけでなく、産業構造、製品、サービス、サプライチェーンの変革とイノベーション創出の機会です。

経済産業省の資料では、脱炭素製品・サービスを製品の付加価値として捉え、「製品のGX価値」を創出・可視化することで産業競争力を強化するとしています。

低炭素素材(例:グリーンスチール)、水素、再生可能エネルギー由来の部材、循環型技術、カーボンフットプリント対応製品などが、GXで新たな価値を生み出す対象です。

企業がこれらの技術・ビジネスモデルを先行導入し、GX価値を明確化して調達・供給チェーンで優位性を取ることで、国内外市場で差別化できます。

GX製品市場の創出には「需要側施策」が重要で、政府・自治体・公共調達・企業が脱炭素製品を優先的に購入・調達するアクションが定められています。製造事業者、部材サプライヤー、需要家が連鎖して脱炭素型ビジネスを加速させる「GXバリューチェーン」です。

GXを進めるためには「脱炭素投資→製品・技術→市場化」の流れをスムーズにするための制度・金融支援・指標整備が必要です。

GXは「環境・脱炭素対応」だけでなく、新たな産業・製品・技術のエコシステムを創るための枠組みであり、企業にとっては成長の機会を伴う「イノベーションドライバー」です。

GXでよくある質問(FAQ)

GXに関するよくある質問(FAQ)をまとめました。GXの基本的な考え方や企業・自治体での具体的な取り組み、政策の影響など、読者が疑問に思いやすいポイントを整理して回答しています。

Q1. GXとDXやSXの違いは?

DX、GX、SXはいずれも企業価値の向上を目指す戦略的取り組みですが、それぞれの焦点や目的は異なります。

  • DX(デジタルトランスフォーメーション):デジタル技術を活用して業務効率や競争力を高める取り組み
  • GX(グリーントランスフォーメーション):環境問題への対応を通じて、持続可能な成長を促進する取り組み
  • SX(ソーシャル・トランスフォーメーション):社会の持続可能性と企業の継続的な発展を両立させる取り組み

DX、GX、SXは互いに関連しており、単独で進めるのではなく、連携して推進することでより大きな成果が得られます。例えば、GXの取り組みとして再生可能エネルギーを導入することは、環境負荷の低減や持続可能な社会の実現に寄与するだけでなく、SXの観点からも企業の社会的責任を果たす重要な手段となります。

また、DXによるスマート農場の導入は、人手不足の解消や効率化に貢献すると同時に、持続可能な農業の実現にもつながります。

Q2. GXはSDGsやESGとの関連性は?

GXは、SDGs(持続可能な開発目標)で掲げられた「気候変動対策」「エネルギー転換」「産業と技術革新」といった項目と密接に関連しています。特に、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」は、GXの主要テーマのひとつです。

また、ESG経営という投資・経営評価の観点でも、「E(環境)」の領域は、脱炭素化、再生可能エネルギーの導入、資源循環などGXの取り組みと重なります。そのため、GXはSDGsの目標達成を支える具体的な行動であると同時に、ESG評価を高めるための重要な施策としても位置づけられます。

Q3. GXを始めるには何から始めれば良い?

GXを企業で始める際のステップを以下に示します。

  1. 現状の「環境負荷・エネルギー使用・温室効果ガス排出量」の可視化
  2. マテリアリティ(重要課題)を明確化
  3. 脱炭素のロードマップと指標を設定
  4. 具体的な設備投資・再エネ調達・AI・デジタル技術活用による最適化
  5. 成果のモニタリング・改善という流れが推奨されます。

特に、AIやIoTなどDX技術を活用してエネルギー最適化や排出予測を行うことが、GXを効率的かつ戦略的に進める鍵となります。

まとめ|GXは「持続可能な成長」への鍵

本記事では、GXの定義や注目されるようになった背景、企業・自治体の取組事例などを解説しました。GXを効率的に進めるには、DXによるデジタル化が欠かせません。

DXとは「企業がデジタル技術を活用し、業務、組織、プロセス、企業文化・風土を変革すること」を指します。本記事のGX取組事例でもご紹介したように、GX実現の裏にはDXがほとんど絡んでいることが分かります。GXを考慮するとはつまり、デジタル技術の活用余地を見出すことです。

DXの詳細や推進方法については以下の記事から知ることができますので、あわせてご覧ください。

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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?その意味や今なぜ求められているか、わかりやすく解説【2025年最新】 | DOORS DX


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