【座談会】データサイエンティストたちが考えるDX – 後編
~❝現実的な夢❞を提供する存在に~

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■座談会出席者
株式会社ブレインパッド アナリティクス本部 アナリティクスサービス部

・(前列左)田村 潤
・(前列右)岡崎 祥太
・(中段)辻 陽行
・(後列左)原 真一郎
・(後列右)兵藤 誠

※各人のプロフィールは後述。

データ基盤構築と明確な意志を持つことがDXのスタート

DOORS DX、すなわちデータ活用プロジェクトを企業がスタートするとき、どういったことを意識すべきでしょうか。

 まず、データ分析基盤環境を整備することは非常に重要です。それもオンプレミスの環境ではなく、クラウド環境が理想です。

クラウド環境で分析基盤を構築する魅力の一つとしては、分析した結果を各種SaaSとの連携によってマーケティング施策にシームレスに繋げられることが挙げられます。セキュリティ面について心配される方もいらっしゃると思いますが、この点に関しては様々な対策が施されており、最近ではセキュリティポリシーが非常に厳しい銀行等の金融会社様でも、クラウドサービスでデータ分析基盤の構築を行う事例が増えてきています。

 データ基盤構築はマストですね。僕が経営者だったら、そもそもデータ分析なくして経営するのは正直怖いです。データというファクトがないと、意思決定において、自分の経営が良かったのかどうかもジャッジできません。自分の経営の実像を知るためにもDXを進めたいというモチベーションを持つことになると思います。

兵藤 データがないと売上が落ち込んでいるけど理由がわからない。他にやりようもないので、「みんな、もっとがんばれ!」みたいな根性論話なってしまいますよね。

岡崎 データ活用を前提とした分析基盤の構築は簡単ではありません。事前に実施する分析のイメージを持っていないと、必要なデータの連携漏れ、適切なデータ保持期限の設定などが出来ず、活用されない基盤となります。

兵藤 また、それぞれの部署で達成したい目標やKPIが違うことが起こりがちなので、「KPIの共通理解化」も必要です。

社員一人ひとりは「全体最適が重要」と理解しているのですが、マーケティング・販促部署では会社全体の売上を増やすのが目標です。しかしブランド担当部署ではそれぞれのブランドの売上増が目標になります。 マーケティング・販促部署はメーカー内でのブランドチェンジが起こったとしても全体の売上が増えれば良い。しかし、ブランド担当部署からしたらそれはそれで大問題です。

 たとえば、作ったモデルが「省力化」を目的とした場合、ある部署をなくすためにモデルを作っていると誤解を受けることがあります。プロジェクト推進者に経営陣の支援がない場合、プロジェクト自体が暗礁に乗り上げてしまうこともあります。
DXを推進していくためには、一プレイヤーの頑張りだけでは限界があり、全社的な共通のDXのビジョンなり目標が必要だと思いますし、KPIを達成するためにどこかの部署が損をするということになれば、当然ながらそれならやりたくないという話になってしまいます。部署云々よりも人事評価に依存する部分というのは、どうしてもありますね。

DOORS なるほど。人事評価ですか。

 我々がそこまで口を出すかという話なのですが、本当に業務を変革したいのであれば、評価制度にまでメスを入れないと難しいと個人的には思います。DXを推進していく過程でこういうことが起こり得るということを先に説明しておくことも僕らの役割なのかもしれません。

データサイエンティストは、❝現実的な夢❞を語れる存在だ

DOORS DXブームの今、データサイエンティストができることは他に何があるでしょうか?

兵藤 「こういうものを使えば、こんなことができて、こんなにうれしいことがある」と伝えることでしょうか。それも分析の専門用語を一切使わずに。そうすることでクライアントに夢を持ってもらう。

 その夢も飛躍しすぎて「サイエンスフィクション」になってしまってはいけない。「現実的な夢」であるべきです。そして現実的な夢を提供するのはデータサイエンティストの役目だと思っています。

DOORS みなさんは元々データサイエンスに携わりたいということでブレインパッドに入社したと思うのですが、どういったことにやりがいを感じているんでしょうか?

 現実的な夢を提供するというのは、とてもチャレンジしがいのある仕事だと思っています。

岡崎 はじめは、いただいいた課題を、データサイエンスを用いて解けるようになることに喜びを感じますが、徐々に「解くべき問いを考えられるようになること」に喜びを感じるようになります。興味が、自分の役割が変わるにつれて変わっていくと思います。

DOORS 仕事の幅を広げたいということでしょうか?

岡崎 「よりインパクトを出すためには」「よりクライアントの役に立つには」と考えているだけです。結果として、仕事の幅が広がるかもしれませんが、目的ではありません。人の役に立ちたいという気持ちはみんな持っていると感じています。

 ここにいるメンバーはみな、最初の頃はクライアントに向き合うというよりもデータサイエンスが好きでそちらにばかり目が向いていたと思うのです。しかし大きな仕事を任されるうちに、与えられた問題を解くだけでは提供できる価値に限界があるということがわかってきた。問題の本質に向き合い、場合によっては問題自体を設定し直すほどのドラスティックな発想や行動力がないと真の意味でクライアントの役に立てないということに気がついたということです。
こうなるともう、データサイエンスだけでは解けない問題になってきて、もっとクライアントの事業ドメインについて知らないといけないとか、日々運用している人たちの気持ちを考えないとダメだとか、いわば”アナログ”なものに目が向くようになってきます。そういう過程を経て、今の心境になっているのだと思います。

兵藤 まったくその通りだと思います。分析をしている時間よりも、「今はこうなっているんだけど、これはこうしたほうがいいのでは」とか「そもそも今後どうすべきなのだったっけ?」と考えたり、クライアントと擦り合わせたりする時間のほうがずっと増えました。

DOORS データサイエンティストだけでは解けない問題が増えてきて、コンサルタントと一緒に動くことが増えているけれど、それは自分自身の価値を発見するためには必要不可欠な取り組みで、そうしたことを続けているうちになるべくして今の視点が養われてきたのではないでしょうか。

まだまだ話は尽きない感じですが、残念ながら時間が来てしまいました。世間一般としては、データサイエンティストと聞いても何をしているのかわからない方も多いでしょうが、今回の座談会で、データサイエンティストはデータサイエンスだけでなく、様々な課題に取り組んでいて、人の役に立つことがモチベーションになっている、つまり、❝いい意味❞で普通の人間だということが伝わったのではないかと思います。 長時間のインタビュー、ありがとうございました!

お話を伺った方

辻陽行 
株式会社ブレインパッド
アナリティクス本部 アナリティクスサービス部 副部長


機械学習を用いた需要予測や判別問題に関する事例を担当。プロジェクトの立ち上げから機械学習アルゴリズムの仕組み化の支援までを主に担当。

原真一郎 
株式会社ブレインパッド
アナリティクス本部 アナリティクスサービス部

マーケティング領域におけるデータ分析を用いた顧客の意思決定支援を数多く担当。状態空間モデルを用いた来店人数予測や、広告出稿の最適化などを実施。

岡崎祥太 
株式会社ブレインパッド
アナリティクス本部 アナリティクスサービス部

各種業界にて、需要予測、人員配置最適化、適正在庫シミュレーション等の様々な分析サービスを提供。業務に合わせたテーラーメイドの分析ロジック構築を担当。

田村潤 
株式会社ブレインパッド
アナリティクス本部 アナリティクスサービス部

ソフトウェア業界では自然言語処理アルゴリズム開発、Web業界では広告プロダクト改善を支援。また、エンタメ業界ではデータ活用コンサルティング、分析支援に従事。

兵藤誠 
株式会社ブレインパッド
アナリティクス本部 アナリティクスサービス部


顧客の購買予測や施策の最適化など、CRMに関する分析を主に担当。データ分析組織立ち上げ支援や組織KPI設定支援など、データ利活用に関するコンサルティングも行う。
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WRITER執筆者プロフィール

株式会社ブレインパッド

DOORS編集部

ブレインパッドのマーケティング本部が中心となり、主にDXにまつわるティップス記事を執筆。また、ビジネス総合誌で実績十分のライター、AI、ディープラーニングへの知見が深いライターなど、外部クリエイターの協力も得て、様々な記事を制作中。

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