DOORS DX

ベストなDXへの入り口が
見つかるメディア

Google Cloud と考えるデータ活用の内製化

公開日
2023.04.05
更新日
2024.03.06

企業のDX推進について考える場合、最近では「内製化」が注目のキーワードになっています。人材や組織、データ基盤など様々な要素を含めて、企業は変革を迫られています。

実際に、企業として内製化が必要な要素なのか、内製化はどのような視点で取り組めば成功するのか、といった課題に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社の梅川真人氏をお迎えし、内製化前提、エンジニアレス、アジャイルというコンセプトで企業課題を解決するプラットフォームである Google Cloud とともに、2022年11月には Google Cloud  の内製化支援パートナーにも選ばれたブレインパッドが考える、「データ活用による内製化」の進め方についてお話しします。

※本記事は、2022年12月19日にオンライン配信された「 Google Cloud  と考える「データ活用の内製化」」のレポート記事です。

【関連】

【参考】日本企業のデジタル トランスフォーメーションを支える  Google Cloud  の内製化支援パートナーのご紹介 <データ編>

■登場者紹介

  • 梅川真人
    グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
    パートナーエンジニア, データアナリティクススペシャリスト

国内SIerに入社後、基幹システムの開発・運用に従事。2015年よりMapR Technologies, Inc.にて Hadoop / Spark ディストリビューションのプリセールスエンジニアとして主に通信、製造業を担当。2020年グーグル・クラウド・ジャパン合同会社入社後、パートナー様向けにデータアナリティクスプラットフォーム普及を支援。企業のデジタルトランスフォーメーションを推進すべく日々邁進中。

  • 神野雅彦
    株式会社ブレインパッド
    執行役員 内製化サービス推進 および 金融インダストリー責任者

大手IT企業、外資系企業、海外駐在、日系コンサルティング会社および外資系コンサルティングファームを経て、ブレインパッドに参画。戦略コンサルタントとしての経験を活かし、顧客企業のデータドリブン企業への変革、DX推進体制の強化、データ組織・人材開発の伴走支援、金融領域の活性化、デジタル基盤を含むトランスフォーメーションを実現するためのビジネス開発、プランニング等を担う。2022年10月より現職。一般社団法人金融データ活用推進協会(FDUA)標準化委員会委員長代行。

※所属部署・役職は取材当時のものです。

DX推進において「内製化」が求められる背景と内製化の定義

写真左から、株式会社ブレインパッド・神野雅彦、
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社・梅川真人氏

ブレインパッド・神野雅彦(以下、神野) みなさんこんにちは、ブレインパッドの神野雅彦です。今回は、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社から梅川真人様をお呼びして「 Google Cloud と考えるデータ活用の内製化」をテーマにお話しします。

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社・梅川真人(以下、梅川氏) よろしくお願いいたします。

神野 本日は次の4つのトピックに分けてお話しします。

  1. DX推進において「内製化」が求められる背景と内製化の定義
  2. 内製化に対する Google Cloud の考え方・思想
  3. 内製化によってもたらされる変化
  4. 両社での取り組みによる今後の展望

では早速、1つ目のトピックに入っていきましょう。

神野 DXというバズワードが出現してから時間が経ち、現在はあらゆる企業で「DXの内製化」に注目が集まっています。ブレインパッドのお客さまも、内製化に焦点を充てたDX施策を展開する動きが強まっており、ご支援させていただいております。

内製化が求められる背景について梅川さんはどう思われますか?

梅川氏  Google Cloud でも内製化の支援は増加傾向にあります。一方で、DXや内製化に対する課題もよく聞かれるようになってきました。内製化が求められる背景には、大きく分けて課題が2つあります。1つは、IT人材の少なさ、2つ目はIT・ビジネス部門の連携です。

2つ目のIT・ビジネス部門の連携に関してでですが、旧来のIT部門はビジネス部門と切り離されていました。しかし、DXを推進する場合は、IT部門とビジネス部門を一体化した上で、様々なニーズに応えながらシステム改善を行っていかなければなりません。

DX推進に成功している企業では、IT部門とビジネス部門の連携が密にできていることに加え、データドリブンで判断するカルチャーも醸成しています。そのため、DX推進には、企業内部でIT人材の確保を行うことが大切ですね。

神野 IT人材の不足とIT部門とビジネス部門の連携は、ブレインパッドとしても課題だと感じています。

内製化はアウトソーシングの反対となる言葉です。言葉そのものは数十年前から使われていましたが、内製化が意味するレベルが高まっていると感じています。ブレインパッドとして、内製化の定義は「人・モノ・技術を社内のリソースでまかなっていく」ことだと考えています。

ただ、必ずしも全てを自社内で進めて行くという流れではなく、外部のビジネスパートナーと協力しながら進めていくという考え方がDX推進・内製化のポイントになっています。

内製化というワードに注目が集まり始めたのはここ5年ほどであり、DXやデジタルという言葉が注目を浴びた影響です。そして、言葉の定義の前に、ITとビジネスは両輪で動かさなければなりません。「どちらかを動かせば、どっちも動く」ということではなく、ブレインパッドとしては「どちらも動かすことで価値が生まれる」と考えています。

例えば、DX推進や内製化は、業務効率化だけを追いかけても片手落ちになってしまいます。そのため、ブレインパッドは「価値をもたらすIT・デジタルはどういったものか」・「データ活用というものはどういうものか」をポイントにおいてご支援を進めています。

Withコロナの時代においては、オンラインを活用して事業を進めていかなければなりません。必然的にオンライン・デジタルを使用することで、情報はデータ化され、蓄積されたデータを活用できる環境は既に出来上がっているといえます。そのため、データを活用しなければならないという意識は広がっていると感じています。

そして、企業は「客観的に分析して良し悪しを判断する」ことが求められています。少子高齢化やSDGsといった社会課題を踏まえた上で、企業は継続的な成長を行っていく必要があります。

そのため、企業の経営層は「成長を維持する」「サービスや商品の価値を向上するためにデジタルを活用する必要がある」といった課題に直面しているとブレインパッドは捉えている状況です。

内製化に対する Google Cloud の考え方・思想

神野 では、ここから次のテーマである「内製化に対する Google Cloud の考え方と思想」について、梅川さんにお話を伺いたいと思います。特に今年からは、 Google Cloud は内製化やパートナープログラムの策定など、活発的な動きを行っていますよね。

梅川氏 直近のクライアントの共通の課題は、旧来のシステム開発・改善のギャップにあるといえます。DX推進のためには、ソフトウェア開発の内製化だけでなく、データ分析や機械学習の活用の内製化も行わなければなりません。

そのうえで、旧来の大企業の内製化の流れは、ビジネス部門が要望を吸い上げ、情報ビジネス部門が要求仕様書を定義し、システム会社や企画から運用まで任せられるシステムインテグレーター(SIer)に発注するという流れが一般的でした。要求通りのサービスや製品が責任をもって作り上げられていくものの、数ヶ月から年単位の開発期間が必要です。

そして、Withコロナや、顧客のニーズがどんどん変わっていく世界においては、旧来の手法では対応が難しくなった面も出てきています。

 Google Cloud ではそういった状況を受けて、ソフトウェア開発や、データ活用や機械学習の内製化に対するパートナープログラムも発表しました。ブレインパッドにもパートナーとしてご協力頂いています。

【参考】日本企業のデジタル トランスフォーメーションを支える  Google Cloud  の内製化支援パートナーのご紹介 <データ編>

データ分析や機械学習の成果についてお客さまと話すと、課題提起とPDCAがポイントになるという認識は広まっている状況ですね。そして、「大量のデータを高速で処理できる」、「画像や文章・紙といった非構造化データから知見を得る」といった複雑な仕組みが必要となっています。

そのため、「複雑な仕組みを複雑に感じさせずにデータアナリストだけで実行できる」サービスや商品が求められています。 Google Cloud の各種データアナリティクスサービスもそういったニーズに応えるために作られました。

神野  Google Cloud の内製化プログラムにはブレインパッドも尽力していきたいと感じています。実際にブレインパッドも、これまでのノウハウ、内製化支援などの知見を活かし、企業のデータ活用・分析の内製化を支援する新サービス「BrainPad DAY(ディー・エー・ワイ)」の提供もスタートしています。

【関連】データ活用の内製化支援オファリング 「BrainPad DAY」

内製化によってもたらされる変化

神野 では、ここからは内製化によってもたらされる変化についてお話ししていきましょう。

企業はサービスや商品の開発だけでなく、継続して成長するために「変革する必要がある」という理解が進んできたと思っています。

例えば、「ビジネスモデルを変革するための考え方を身につけたい」「変化に対応する能力を身に着けたい」といった点を求める企業が増えているところは、これまでと大きく異なる状況です。

これまではベンダーに依頼する流れが一般的でした。しかし、現在は内部で対応しなければならないという認識に変わり、データやデジタルを使いこなすことが求められていますが、まだまだ難しいといえます。実際に、データやデジタルの一部を使っている企業は多いものの、使いこなせる段階に至っている企業は少ないためです。

つまり、データやデジタルを使っているだけでなく使いこなせる状態になるような高いリテラシーがなければ、DXの推進は難しいといえます。ブレインパッドとして、使いこなすという言葉の定義は「データがビジネスの価値、企業の価値に対して貢献しているかどうか」としています。

考え方として、定性・定量的にビジネスへの影響力を把握できるかという点が大切です。そのため、使いこなせる状態を目指さなければ内製化の意味はないと感じています。内製化に必要なのは「企業として、システムとITを融合させたうえでデジタル的な観点を身に着けること」です。両方をクリアして、はじめてビジネス的な価値を評価できると考えています。

その先の未来として、ブレインパッドが目標としている「日本経済の活性化」につながっていくと捉えています。 

また、ビジネスとITを分けてしまう場合は、内製化への理解が追い付いていない状態です。今までのスタイルは、ビジネス部門が要望を吸い上げ、情報ビジネス部門が要求仕様書を定義し、システム部門に任せるという流れだったとしたら、「企業全体がデジタルを使いこなす・活用する」「ITとビジネスの両輪で進めて行く」という概念を根付かせることが内製化の第一歩です。

そして、企業全体で取り組んでいくということは、従業員も内製化に関わっていかなければなりません。一個人が「ビジネス・IT、両輪で進めて行く」という観点を持つことは難しいものの、「組織としてデジタルやデータを活用できている・使いこなせているという、企業全体の組織的な能力をどうやって身に着けるか」というポイントがブレインパッドとしても重要です。

データを使いこなす観点からすると、データマネジメント部門が全体の旗ふりをしながら、内製化を進めていけば、これまでの情報システム部門・ビジネス部門とは異なった体系で新しいデジタルの活用方法を浸透させていくことが可能だと感じています。

データを使用するうえで、経験と勘で判断する旧来からの意思決定の手法に対しては、「データを加味しましょう」とアドバイスしています。データを加味することでファクトを明確に伝えられるだけでなく、より強力な意思決定や迅速にビジネスを回すことができるようになるためです。

また、データドリブンが加速していけば、ビジネスを高度な意思決定によって、高速で回すことが可能です。そういった点からもブレインパッドとしてサポートしていきたいですね。

加えて、データ活用によって組織全体がデータドリブン化され、意思決定が高速になると時間的余裕が生まれます。今までの業務量が減少したり、付加価値を生むための時間を創出したりすることが可能です。

デジタルを活用できるという強みが全社に浸透した状態になれば、時間的余裕があるため、次のビジネスやもっと価値を生む事業を検討することに時間を割くこともできるでしょう。これがデータ活用によるクリエイティブ・エコノミー(創造的産業によって作られる経済圏)の定義です。これは、ブレインパッドが Google Cloud と協力して目指す内製化のポイントでもあります。

では、梅川さんが思う内製化による変化についてお話を伺いたいと思います。

梅川氏 企業内で、クリエイティブエコノミーという考え方を浸透させることで大きなメリットが生まれるというのは、私も同感です。DXやRPAがワードとして流行した際、業務が効率化されることによって残業時間が減少し、給与が減るといった話もありました。しかし、その考え方を変えない限り企業の生産性は向上しません。

個人が日々行っている業務が効率的なのか、どこか自動化できるところがないのかを考え、余裕を作るという意識が大切です。そして、余裕ができた部分でクリエイティブな付加価値を検討することで、企業としての成長やスキルアップにつながるといえます。

自動化できる部分に関しても、今までは外部に頼っていたものの、内製化によって低コストでの生産やスピーディーな事業サイクルを回すことが可能になると思います。

 Google Cloud とブレインパッドの取り組みによる今後の展望

神野 ここからは Google Cloud とブレインパッドの取り組みについて、今後の展望をお話ししていきます。ブレインパッドとして、企業のデータ活用・分析の内製化を支援するサービス「BrainPadDAY(ディー・エー・ワイ)」を提供しつつ、 Google Cloud と協力することでお客さまにどのような価値を提供できるでしょうか?

梅川氏 お客さまが実行したいのは、「データから明確な価値を出す」ことです。従来であれば、データを活用するための人件費やプラットフォームなども含めたインフラは、コストをかけて整える必要がありました。

一方、 Google Cloud ではデータを使いこなすための環境がフルマネージドで提供されています。そのため、これまで考えられてきたコストを削減したうえで、インフラを整えるためのマネジメントも不要です。「データから明確な価値を出す」ことに注力できるようになる点が魅力だといえます。

また、データが各業務プロセスやシステムごとに異なるサイロになっていたとしても、セキュリティを担保しつつ、柔軟に解消していくことも可能です。ただし、目的が異なる組織の壁を超えていくのは、プラットフォームの利便性が高かったとしても難しいでしょう。ですから、戦略的なパートナーシップを組んだうえで組織を変革していかなければなりません。

パートナーとしてのブレインパッドの印象は、 Google Cloud のパートナー経験が長く、豊富という点が特徴です。独自の内製化の知見があることに加え、データ分析のプラットフォームとしての実績を Google Cloud が認定したものであるデータアナリティクスのスペシャライゼーションも取得していただきました。

【参考】ブレインパッド、 Google Cloud ™ パートナースペシャライゼーション プログラムで、機械学習およびマーケティング分析のスペシャライゼーション認定を取得

経験・認定どちらもあるというのは、パートナーとして、お客さまの信頼や安心感につながる材料だと感じています。今回発表した内製化プログラムをお客さまに活用してもらうことで、データドリブンな企業への変革の支援を行いたいですね。

神野 ぜひ、今後とも共にお客さまの課題を解決していきたいと思います。データドリブンや内製化は場合によっては、表面的な言葉だけで終わってしまうケースも少なくありません。ブレインパッドとしての実績も含め、 Google Cloud との強固な提携によってお客さまをサポートしていきたいと思っています。

梅川さん、本日はありがとうございました。

関連記事

このページをシェアする

あなたにおすすめの記事

Recommended Articles

株式会社ブレインパッドについて

2004年の創業以来、「データ活用を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

メールマガジン

Mail Magazine