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【後編】「日本列島総DX化」へ一体となって取り組むヤフー、そしてブレインパッド~ヤフー・データソリューションの全貌と未来~

公開日
2021.07.13
更新日
2024.03.08

DS.ANALYSISサービスにおけるヤフーとブレインパッドの役割分担

編集部 DS.ANALYSISは、ヤフー様とブレインパッドが共同でクライアントへデータ分析サービスを提供していますが、その中での役割分担はどのようになっているのでしょうか。

森氏 チームとして一緒になって分析サービスを提供しているので完全に役割が分かれているわけではないのです。強いて言えば、ヤフーが自社サービスで提供してきた結果、得られているデータなどの資産について深く理解しているのがヤフー、その資産を使って具体的な分析実施を担うのがブレインパッドです。

田浦 先にもお話したように、DS.ANALYSISとブレインパッドの受託データ分析はクライアントの課題解決のためにさまざまな分析を行うという面においては同様のサービスです。そのため、私たちのノウハウが活かせないかは常に考えています。ただブレインパッドのノウハウをそのまま適用しても合わないケースも当然あるため、ヤフー様のサービスの中でどう役立てられるかという観点で考えることになります。
そうした中で、ただ分析をするだけではなく、ヤフーのビッグデータをより価値のあるものにするために、新しい分析手法にチャレンジしてみたり、横展開できそうな分析はパターン化したりもします。これは、こういう支援が一番求められていると思うからです。

株式会社ブレインパッド
アナリティクス本部 アナリティクスサービス部 
リードデータサイエンティスト 田浦 將久

編集部 DS.ANALYSISとブレインパッドの受託分析の大きな違いは、そこにヤフーのビッグデータがあるかないかだと思いますが、データがあることによる難しさはありますか。

田浦 ヤフーのビッグデータは種類も多く、膨大なので、その分クライアントの期待値も高くなることですね。当然ですが、クライアントの課題によっては、分析でできることとできないことがあり、万能ではないことを説明し、納得いただくのがなかなか大変です。

編集部 ヤフー・データソリューション、特にDS.ANALYSISでブレインパッドをパートナーとして選定してくださった理由は何だったのでしょうか。

森氏 ヤフー・データソリューションの提供以前から、ヤフーはブレインパッドに分析をお願いしていた経緯があります。ヤフーは膨大なデータを取り扱うサービスを提供していますから、エンジニアは数多く在籍してるのですが、以前はデータサイエンティストが今ほどは多くなかったのです。またDS.ANALYSISは、単にデータ分析をするだけではなく、提案・報告・提言といったコンサルティングサービスを含んだサービスなのですが、ヤフーはビジネスユーザー向けのデータ分析に関わるコンサルティングの経験がありませんでした。

ヤフー・データソリューションは経営方針に基づく戦略的なサービスですから、立ち上げ当初からロケットスタートが求められました。したがって、ヤフーでの業務実績もあり、データ分析コンサルティングの経験もノウハウもあるブレインパッド以外の選択肢はあり得ませんでした。


一体となって取り組むヤフーとブレインパッド

編集部 ブレインパッド側のメンバーが受け持つ仕事は主にどのようなものでしょうか。

田浦 先ほど森さんがおっしゃったように、完全な分担、線引きはありません。案件開始前のプリセールスとして、クライアントの課題を伺い、そもそもヤフーのビッグデータで分析ができるのか、できるとしたらどのような分析が可能かを考えるところから参加します。提案に値するとなれば提案書を作成することになりますが、私たちが提案書の作成に参加することもあります。受注後に実際に分析するところはもちろん、その後の報告やプレゼンテーションにも関わることが多いく、DS.ANALYSISのすべてのプロセスに関与させていただいています。

森氏 契約上、委託元・委託先という関係ではありますが、私たちから壁を作っているつもりはありません。日々の現場でのあらゆる意思決定に際して、ブレインパッドと議論させてもらっていますし、何らかの問題が発生したときもやはり両者で集まって話し合うようにしています。中長期的なビジョンとして、より社会的インパクトのある大規模で高度なサービスが実現できないかを考える場にも参加してもらっています。

田浦 私たちは委託先という立場ではありますが、壁を感じたことは一切ありません。一緒に仕事を進めていく上で、ブレインパッド側が困っていることがあれば率直に相談させてもらっています。私たちとしては、ワンチームでやらせていただいていると感じています。

森氏 同感です。

ヤフー株式会社
テクノロジーグループデータ統括本部
データアプリケーション本部 データソリューション部
アナリシスリーダー 森 泰介氏

ヤフー・データソリューションの仕事としての面白さとブレインパッドの貢献

編集部 ブレインパッドのメンバーとして、ヤフー・データソリューションに関わることの喜びや面白さはどういうところにありますか。

田浦 データサイエンティストとしては、さまざまなデータが大量にあるというだけで、かなり恵まれていると感じます。分析しても分析してもさらにできることがたくさんあり、それだけで面白くてたまりません。仮説を立てるためにちょっとした事前分析をすることも多いのですが、たびたび意外な発見があります。たとえば「レシピ」というキーワードで検索する場合、性別で分析すると、女性の場合は素材がサブキーワードになるのに対して、男性の場合は料理名が多いとわかると、なるほどそういうものなのかと感じ入るわけです。

あとはヤフー・データソリューション事業の立ち上げから参加させてもらっていることにも感謝しています。そんな機会はそうそうあるものではありません。光栄なことです。

田中 社会に対してインパクトを与えるという意味で、日本を代表する企業と一緒に仕事をさせていただいていることに大きなやりがいを感じます。また田浦と同じく、データサイエンティストとして膨大なデータを分析できることに楽しみを感じます。データの中では特に、検索データを持っている会社は少ないですから、それだけで、データサイエンティストとしてはワクワクしますね。

株式会社ブレインパッド
アナリティクス本部 アナリティクスサービス部 
リードデータサイエンティスト 田中 基裕

編集部  ブレインパッドのメンバーがヤフー・データソリューションの仕事を楽しみ、それにやりがいを感じていることは良くわかりました。

ヤフー様から見て、ブレインパッドが貢献していると感じるのはどういうところでしょうか。

森氏 さまざまな角度から貢献をしていただいていると思います。その中でも一番大きいのは、ヤフー側にデータ分析のコンサルティング経験がなかったことをカバーしてもらったことでしょうか。コンサルティングにおいては手法うんぬんよりも、クライアントのどの課題を解くかという問題設定のほうが重要です。クライアントにとって価値のある分析をするためには問題設定を間違わないことに尽きますが、そこに至るまでのヒアリングや認識合わせにノウハウが必要なのです。今でこそヤフーにもその知見が蓄積されてきて、ヤフーはデータソリューション事業をやっているのだと胸を張って言えるようになりましたが、そうなるまでにどれだけブレインパッドの知見に助けられたことか。

寺田氏 クライアントからの相談があれば、そこに人をアサインしなければなりませんが、ヤフー社内の人材だけでは捌ききれません。高いスキルとノウハウを持つブレインパッドのメンバーがそばにいてくれることで、臨機応変なアサインが可能になっています。

また東急不動産様の事例を先ほどお話ししましたが、分析の観点としてたとえば韓国コスメが重要などということは、どうしても男性が多くなりがちな職場なので、普通はなかなかわからないことです。大量のデータがあり、それを分析するだけでも楽しい、面白いというブレインパッドならではの視点ではないかと思います。

「日本のトレンドを把握するならヤフー」となった今、さらに目指す先は?

編集部 ヤフー・データソリューションが特に向く用途は、生活者の興味関心を可視化することと、エリア特性とそこに訪れる人の属性や特徴を可視化することだと伺いました。おそらくその分野では既に他の追随を許さないのではないかと思います。今後は、どのような展望を考えておられるのでしょうか。

寺田氏 もう少し広い言葉で言えば、「日本のトレンドを把握するならヤフー」というポジションにいるということだと思いますが、それだけでは事業としては限界があります。もっと難しい課題にチャレンジしていかないといけませんし、それができてこそ日本のDX推進に貢献していると胸を張って言えるようになると思っています。

とはいえヤフーのデータが急に変わるわけではありませんので、日々の積み重ねで高度化していくしかありません。

ヤフー株式会社
CDO データソリューション事業本部 クライアントソリューション部
部長 寺田 幸弘氏

森氏 私も同感で、もっと難しい課題に取り組む必要があると思っています。寺田が言うようにヤフーのデータが急に変わるわけではありませんが、現時点で使い切っているわけではありません。

また、100を超えるサービスを持っていますが、その掛け合わせのパターンは膨大であり、まだまだ試していないものがあります。ヤフー社内でも、広告配信部門などと連携して、分析結果を広告配信に活用するといったことを進めていく必要があります。そこにショッピング部門を巻き込めば、さらにビジネスが広がります。

編集部  さらに高度な課題に取り組むことや、まだ使われていないデータの活用、あるいは社内サービスの掛け合わせの推進といった展望があるということですね。その中でブレインパッドに期待することは何でしょうか。

寺田氏 解決した課題については業界を超えて横展開をしていく必要があると考えています。その点、ブレインパッドにはさまざまな業界との取り引きがあります。横展開のノウハウも持っていますから、そのエッセンスをぜひ提供してもらいたい。またクライアントに響く説明の仕方や、分析の世界で差別化するためのアプローチなども吸収させてもらえればと考えています。

森氏 今までもそうしてもらってきていますが、個々の案件における分析をどんどん研ぎ澄ましてもらいたいですし、中長期的なビジョンを共有した上で新しいことに一緒にチャレンジしてもらえればと考えています。

編集部  より難しい課題とはたとえばどういうものでしょうか。

寺田氏 需要予測や商品評価といった課題です。これらは現在のヤフーのデータではなかなか難しいのです。ではどうすれば、可能になるようなデータが集められるのか、そのあたりから考えなければなりません。

編集部  ヤフー様からの期待に対して、ブレインパッドとして努力・チャレンジしたいことは何でしょうか。

田浦 分析の幅と深さの両方を広げることですね。森さんがおっしゃるようにヤフーのデータにはまだまだ使われていないものがたくさんあります。そういったものをどう活用するかを考えるのが幅を広げるということであり、組み合わせることでより高度な課題を解決することが深さを広げるということです。

田中 私は大型案件を担当することが多く、当然ながら案件に携わる期間も長くなることから、クライアントの要望に答えた満足のいく分析が行えていると思っています。一方で、そのクライアントに最適化された分析になっているため、これを抽象化・汎用化して、業界を超えた横展開が求められていると感じています。ヤフーのデータは、データサイエンティストにとって面白いだけでなく、とてつもなく大きな価値があります。その価値を顕在化して世の人たちにぜひ知ってもらいたいと常々思っています。プロジェクトマネジメントの支援ももちろんですが、データサイエンティストとして、もっともっと多くの人にヤフーのデータを使ってもらえるようにしていきたいと考えています。

寺田氏 分析プロセスだけでなく、プロジェクトマネジメントの効率化もこれからです。そこもぜひ一緒に考えていってもらいたいですね。

※DXの定義や意味をより深く知りたい方はこちらもご覧下さい
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株式会社ブレインパッドについて

2004年の創業以来、「データ活用を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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