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【前編】DX・OMO時代における消費者起点によるデータ利活用の取り組み

公開日
2021.08.10
更新日
2024.02.21

OMO(Online Merges with Offline)は、リアルとデジタルを融合し、一貫性のあるユーザー体験を提供するという考え方です。リアルとデジタルのどちらか一方では、顧客が抱える真のニーズや価値観を捉えられないため、消費者起点でデータを統合し、マーケティングやサプライチェーンを活用する取り組みが求められています。本記事では、データ利活用が求められる背景やその課題について解説します。

※本記事は、2021年3月5日に開催したオンラインセミナー「DX・OMO時代における消費者接点を強化した取り組みについて」の内容をもとに編集、記事化したものです。

オンラインセミナー第一部では、株式会社ブレインパッドのビジネス統括本部 製造チーフアカウントマネジャーの小林英之が、「DX・OMO時代における消費者接点を強化した取り組みについて」のテーマで登壇。

以下は、小林の講演内容を編集、記事化したものです。

OMO時代におけるデータを活用した組織運営

コロナ禍を受けて消費者がEコマースの利用を増やしたように、消費者行動のデジタル化が進んでいます。また、消費者の嗜好やライフスタイルが多様化しているため、企業は個別最適化された対応に迫られるようになりました。消費者がオンラインやオフラインで取った行動に関するデータを収集し、消費者に対してパーソナライズしたアクションを取ることの重要性はますます高まっているのです。ユーザー体験を向上させ、消費者とのエンゲージメントを高める施策が必要となっています。


消費者起点によるバリューチェーンの最適化

消費者に対してパーソナライズな体験を提供するためには、消費者を起点として、企業のマーケティングやサプライチェーンを最適化する取り組みが求められています。多様化する消費者のトレンドを把握するために、自社データのみならず、ソーシャルメディアや店舗のPOS、統計や検索履歴を統合し、消費者のペルソナ分析や商品分析を進めていきます。この分析から消費者の嗜好や商品の反応を導き出し、企画・生産から販売に至るバリューチェーンの最適化に活用する取り組みが増えてきました。

消費者を起点として、企業のマーケティングやサプライチェーンを最適化する取り組みが求められている

ある消費財メーカーでは、ソーシャルメディアを活用して顧客の声を分析する施策を実施しました。自社および競合の製品に対する反響や、キャンペーンの反応、季節性商品のトレンド把握、利用シーンなどを特定。ソーシャルメディアのデータを時系列に分析し、その後のマーケティング施策に反映させたという事例があります。

バリューチェーンの最適化に関して、消費者の情報を需要予測に反映させるケースもありました。従来は、在庫ロスや過剰生産ロスを防ぎたい生産側と、欠品ロスや売り上げ機会損失を避けたい販売側の需給調整は手作業で行っていました。ブレインパッドでは、消費者動向を需要予測につなげ、人手で行われていた作業を自動化し、AI(人工知能)を活用して効率化を図る取り組みを行っています。

バリューチェーンを最適化するには、「組織横断的な取り組み」が必要です。具体的には、ビジネス・マーケティング側で立案した方針を、現場のオペレーションに落とし込んでいきます。一方で、実行した施策について効果検証を行うことで、ビジネス側にフィードバックし、ユーザー体験を見直すことが可能になります。これらの判断材料となるのは、自社データや外部データを統合したデータ基盤です。データ基盤に蓄積されたデータを元に、機械学習や分析アルゴリズムによって作業を効率化させます。また、データ戦略を推進する人材の育成や、DX(デジタルトランスフォーメーション)組織を立ち上げて組織横断型の施策を推進する組織の支援が求められるようになりました。

「2024年問題」で日本の物流になにが起きるのか、より深く知りたい方はこちらもご覧ください。

組織を横断するデータガバナンスの整備

データ利活用を推進する上では、情報活用に関するプロセスやポリシーを定義・統制するデータガバナンスに課題を抱える企業が多く見られます。従来は情報システム部門がデータを統制していましたが、現場でいかにデータを活用できるようにするか、マスターデータをいかに管理するかといった課題が挙がってきました。さらに、個人情報保護の規制が強まっていることを背景に、消費者行動の追跡に関して新たな手法やポリシーを設ける必要が出てきています。

全社的なデータガバナンスを整備するため、部署ごとにサイロ化されたシステムを用いるのではなく、組織横断的にデータを統合し、マーケティングやサプライチェーンの最適化に活用する取り組みを行う企業も少なくありません。現場の業務でも、データの利活用を推進し、ガバナンスを徹底させる運営組織の立ち上げが必要になっています。

リアルとデジタルを融合させたOMOの取り組み

従来はリアル店舗とデジタル機器での体験を切り分けて考える方法が主流でした。しかし、今後は、リアルとデジタルが融合されたOMO(Online Merges with Offline)の考え方に基づき、それらを区別することなく施策を打っていく時代に変わっていくと考えられています。

これまでの顧客基盤・ビジネス特性を活かして、新施策とリアル施策の融合、OMO化が進展している

たとえば、化粧品業界において、顧客向けサービスをアプリで行い顧客の価値観を理解した上で、パーソナライズされた施策を実施する、というケースがありました。オンラインでの情報とリアル店舗で得られた情報を統合し、顧客の価値観に関してセグメンテーション分析を行い、各セグメントに対する最適な施策を導き出すことが狙いです。また、マーケティング部門がデータを抽出・加工し、意思決定を行えるようBI(ビジネスインテリジェンス)環境を提供しました。マーケティング部門における施策の立案例としては、ROI(投資対効果)やLTV(顧客生涯価値)の分析が挙げられます。

OMOでは店頭における顧客情報の活用が重要視されるようになっています。購買に至った売り上げデータに限らず、購買に至らなかった商品の情報も取り入れて、マーケティング施策に反映する必要があるでしょう。

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【後編】DX・OMO時代における消費者起点によるデータ利活用の取り組み



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