【後編】DX・OMO時代における消費者起点によるデータ利活用の取り組み

[執筆者]
DOORS編集部

デジタルシフトが進む中、店舗でのエンゲージメントをオンラインで活用する、顧客の嗜好や価値観からプロモーションする商品を選択する、といった顧客起点の施策に対するニーズが高まっています。本記事では、無人店舗におけるリアルとデジタルを融合したデータ活用の事例について紹介し、今後のDXにまつわる課題について解説します。

※本記事は、2021年3月5日に開催されたオンラインセミナー「DX・OMO時代における消費者接点を強化した取り組みについて」の内容をもとに編集、記事化したものです。

オンラインセミナー第二部では、株式会社セキュアの取締役事業開発部長・平本洋輔氏が「店舗での活用ソリューション『SECURE AI STORE LAB』の取り組みについて」のテーマで登壇されました。

以下は、平本氏の講演内容を編集、記事化したものです。

無人化店舗におけるリアルとデジタルの融合

2020年7月に「AI STORE LAB」という無人化店舗を開設しました。この店舗の運営を始めた背景には、小売業におけるAI利用の実証があります。多くの企業では、AIを活用するのに、「どこから手を付ければよいのか」、「費用対効果が上がるのか」といった共通した懸念が見受けられます。AI STORE LABの運用は、これらの課題解決を目指す取り組みです。

AI STORE LABを開設するにあたり、実際に運用できる店舗を作ること、手作業を削減し業務の効率化を図ること、データを活用できる状態にすること、ロスを削減することをテーマとして取り組んでいます。

AI STORE LABの仕組み

AI STORE LABは会員制の実店舗であり、個人情報・クレジットカード情報・顔写真を事前に登録しています。入退店および決済には顔認証が利用され、商品を手に取ってゲートに向かうと、自動で商品が認識される仕組みです。画面に表示された商品情報に問題なければ、決済を完了し、退店する流れになっています。

店舗の管理者側には、どの棚に何の商品がいくつ並んでいるかをまとめたダッシュボードが提供されます。リアルタイムに情報が更新され、商品を補充するタイミングでは、販売機会ロスを防ぐために画面のポップアップやメールで通知されます。

AI STORE LABでは化粧品も扱っていますが、高価な化粧品は窃盗の標的になりやすいです。そこで、大量の商品が一度に無くなった際には、万引きの疑いがあるとして、管理者に通知が送信される仕組みを実装しました。

また、AI STORE LABではリアル店舗での行動データを可視化するため、店舗全体での行動分析に加え、棚単位での分析も実施可能な仕様にしました。どの商品がどの程度の頻度で顧客に触られているか、といった単位での分析が可能です。棚ごと、商品ごとに人気の有無を理解でき、デジタルマーケティングで用いられているようなCTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)といった指標も算出できます。さらに、棚の前にいる顧客の年齢・性別・感情を解析して、狙ったターゲット層にリーチできているかの分析も可能です。

商品連動サイネージを設置し、手に取った商品に関する口コミを自動で表示する仕組みも実装しています。電子値札を採用しているので、リアルタイムに価格を変更したり、表示したQRコードからEコマースサイトへ誘導したりすることも可能です。

コロナ対策として現在は入場人数の上限を4名としています。技術的な観点では5坪程度の店舗で8人ほどが同時に利用できる点を検証しました。

OMOを導入した新しい店舗運営の在り方

取組時の留意点として、100%の認識精度が得られないことを考慮したシステム設計があります。具体的には、セルフレジの商品認識が正確でない場合には、手動で数量変更する運用も用意しました。エラー許容度を考慮し、自動化とコストのバランスを取るという方針です。

また、無人店舗でのユーザー体験を改善するため、顧客が楽しめるような施策が必要だと考えました。商品に連動した口コミをサイネージに表示したり、化粧品の試供品を置いたりといった工夫をしています。自動化できる部分はAIに任せながら、接客に特化した美容部員を配置し、顧客満足度を高める取り組みも行っています。

これからの店舗運営では、さらなるDX化を推進することが求められています。DX化には、レジや在庫管理業務の効率化、販売機会や時間の創出、さらには万引きによるロスを削減する取り組みも含まれます。また、無人店舗で単に商品を売るだけではなく、Eコマースサイトでは得られない新しいユーザー体験が、今後のリアル店舗に求められるでしょう。そして、OMOの観点から、リアルとデジタルのデータを融合し、個別最適化されたマーケティング施策を打っていく必要があります。

これからの店舗に求められること

デジタルシフトが進む中、店舗でのエンゲージメントをオンラインで活用する、顧客の嗜好や価値観からプロモーションする商品を選択する、といった顧客起点の施策に対するニーズが高まっています。そこで、ブレインパッド社が持つデータ分析基盤が、オフラインに強みを持ったセキュア社の店舗におけるサービスを補完して、新たな価値を生むことを目指しています。
D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)のトレンドもあり、店舗がモノを売るだけの存在ではなくなってきました。今後は、AI STORE LABを横展開し、小売企業を誘致しての新たな店舗体験や分析データを提供できるようなビジネスモデルを検討中です。また、AI STORE LABは現在6坪程度の小規模店舗の形態を取っていますが、棚単位のOMOソリューションとして展開する方法も考えています。

WRITER執筆者プロフィール

株式会社ブレインパッド

DOORS編集部

ブレインパッドのマーケティング本部が中心となり、主にDXにまつわるティップス記事を執筆。また、ビジネス総合誌で実績十分のライター、AI、ディープラーニングへの知見が深いライターなど、外部クリエイターの協力も得て、様々な記事を制作中。

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