DX人材育成の方法と成功事例を解説！企業が実践するステップとよくある課題とは

DX人材育成とは？

DX人材育成とは、企業が従業員に対してデジタル変革を推進するために必要な知識やスキルを身につけさせ、企業のDXをリードする人材を体系的に育成することです。DX人材は大きく2種類に分類され、どちらも現代企業の競争力強化に欠かせない存在です。

• DXに必要となる技術系スキルを持つ人材
• DXの本質であるビジネス変革を推進する人材

ところが、現在ではITエンジニアの深刻な人材不足が続いており、新規採用による即戦力確保は困難な状況が続いています。厳しい人材獲得競争のなか、社内でDX人材を育成する重要性が急速に高まっています。

具体的な育成方法としては、「社内研修制度の充実」「外部ベンダーによる専門的な教育プログラムの活用」「OJTを通じた実践的スキル習得」などが挙げられます。DX推進には全社的な連携が不可欠であり、社内の現状を理解し、部署間をつなげられる人材の育成こそが成功の鍵となります。

なぜ今、DX人材育成が重要なのか？

経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」問題は、IT人材不足によって日本全体のGDPが年間12兆円も減少するという衝撃的な予測です。しかし、この課題は、DX人材育成に本格的に取り組む企業にとって大きな成長機会ともなり得ます。

以下に、現代の企業にDX人材育成が重要である理由を解説します。

DX人材不足が企業成長の大きな障壁に

経済産業省の試算によると、国内のIT人材不足は中位推計では2025年に約36万人、2030年に約45万人と見込まれています。別の高位推計では、将来的に最大79万人が不足すると予測されています。

この人材ギャップは「2025年の崖」問題として、年間12兆円ものGDP損失を引き起こすとされています。人材不足は単なる採用難にとどまらず、レガシーシステムの維持困難やDX施策の停滞を招き、企業競争力を大きく損なう要因となります。

特に深刻なのは、人材不足が障壁となり、AI・IoT・ビッグデータといった先端技術の活用が進まず、デジタル変革の波に乗り遅れる企業が相次ぐ点です。

解決策としては、社内育成プログラムの充実に加え、既存社員のアップスキリング（技能向上）を積極的に推進することが重要です。外部からの人材確保と並行して、内部人材の能力開発に投資することで、持続可能なDX推進体制を構築できます。

【参考】
DXレポート～ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開～｜経済産業省
DXレポート2（中間取りまとめ）｜経済産業省
DXレポート2.1（DXレポート2追補版）｜経済産業省

グローバル市場競争の激化

現代のビジネス環境において、DX推進は企業の「生き残り戦略」として位置づけられており、デジタル変革への対応力が競争優位性を決定する重要な要素になっています。グローバル市場では、テクノロジーを駆使した革新的なサービスや効率的なビジネスモデルを展開する企業が急速にシェアを拡大しており、対応が遅れた企業は市場から淘汰されるリスクに直面しています。

DX人材不足が深刻化すれば、技術革新や新規事業展開が遅れ、国際競争力の低下につながります。急速に進化する技術に対するスキルギャップの拡大や、優秀な人材の国外流出も課題として挙げられます。

解決策としては、「継続的な人材育成」「グローバルな人材交流の促進」「デジタル教育への積極的な投資」が鍵となります。DXに対する戦略的投資を惜しまず、変化に柔軟に対応できる組織文化を醸成することで、激化する競争環境を乗り越えるための基盤を築けます。

DX人材育成によって得られるメリット

「外部のコンサルタントに任せればDXは進むだろう」このような考えを持つ経営者は少なくありません。しかし、自社の業務や文化を理解した人材がDXスキルを習得することで、外部依存では得られない競争力を生み出せます。

ここでは、DX人材育成によって得られる具体的なメリットについて解説します。

社内DX推進のスピードアップ

外部人材に依存したDX推進では、契約交渉や情報共有に時間を要し、プロジェクトの進行が遅れることが少なくありません。外部パートナーは自社の業務フローや企業文化への理解が浅いため、現場に適した解決策を見つけるまでに長期間を要する課題があるためです。

一方で、社内にDX人材を育成すれば、既存業務への深い理解をベースとした迅速な課題解決が可能となります。現場の課題や改善ポイントを具体的に理解しているため、効率的なDX施策を短期間で立案・実行できます。

市場環境の変化が激しい現代において、スピーディなDX推進は競合他社との差別化要因となる大きなメリットです。社内人材による機動的な対応力は、企業の競争優位性を大幅に向上させる重要な要素といえるでしょう。

外部依存からの脱却と内製化の実現

外部人材中心のDXプロジェクトでは、重要なノウハウが社内に蓄積されず、将来的に自立した推進力を持てなくなるリスクがあります。また、外部依存は高額なコンサルティング費用の継続的な発生、緊急時における対応の遅れといった弱点も抱えています。

社内DX人材を育成しておけば、自社の業務特性に最適化されたノウハウが組織内に蓄積され、持続的なイノベーションの創出が可能となります。内製化は外部コストの削減効果だけでなく、市場変化への即座な対応力も飛躍的に向上させます。

社内環境を熟知した人材が主導するDXは、企業固有の課題に対して精密で効果的な解決策の提供が可能です。長期的には、内製化による競争力強化が企業成長に大きな価値をもたらします。

全社的な意識改革に貢献

日本企業のDX推進に関する調査では、「現場レベルでの意識不足」「経営層からのトップダウンアプローチのみに頼った施策」といった失敗事例が数多く報告されています。単発的な取り組みでは、組織全体への浸透が困難であるという現状が浮き彫りになっています。

社内DX人材の育成においては、部門間の壁を越えたコミュニケーション促進と協力体制の強化をもたらし、全社規模での意識変革を加速させることが可能です。DX人材が現場と経営陣の橋渡し役となることで、DX推進の意義と効果が組織全体に広がります。

継続的な人材育成に取り組めば、DXを特別な取り組みではなく日常業務の一部として捉える文化が定着し、企業全体の競争力向上へとつながります。

DX人材育成で重視すべき5つのスキル

「プログラミングさえできればDX人材になれる」という考え方は、すでに古いものになりつつあります。独立行政法人情報処理推進機構（IPA）の最新調査によると、真のDX推進には技術スキルに加えて、ビジネス変革力やコミュニケーション能力など、多角的な能力が求められることが明らかになっています。

具体的にどのようなスキルを身につければ、自社のDX推進を担える人材となれるのか、以下で詳しく見ていきましょう。

1. ビジネス変革スキル

ビジネス変革スキルとは、DXによって業務プロセスやビジネスモデル全体を根本から見直し、再設計する能力のことです。「戦略的思考力」「業務プロセスの再構築能力」「組織横断的なマネジメント力」が、主な構成要素となります。

これらのスキルは、単なるデジタルツールの導入にとどまらず、競争力向上や新規事業の創出へと結びつける変革を推進する力を指します。例えば、従来は店舗販売が中心だった小売業が、オンラインプラットフォームを取り入れてビジネスモデルを再構築する際の全体設計力がこれにあたります。

また、部門を超えた調整力や経営的視点での意思決定力も必要です。例えば、ビジネスアーキテクトのような役割では、DX戦略の立案から実行まで一貫して担当し、製造業やサービス業におけるデジタル化を牽引する責任を負います。

2. データ活用スキル

データ活用スキルは、「データ分析」「データマネジメント」「BI（ビジネスインテリジェンス）ツール」の理解と実践的な応用力のことです。企業が蓄積する膨大なデータを活かし、市場動向や顧客ニーズを正確に把握して、戦略的な意思決定を支援する能力が中核となります。

ITシステムから得られるビッグデータを読み解く力は、DX推進の基盤となります。例えば、営業部門での売上予測・顧客分析、マーケティング部門での効果測定・施策最適化など、各部門の業務課題解決に直結する価値を提供できます。

データドリブン経営の実現には、個人のアップスキリングだけでなく、組織全体にデータ活用文化を浸透させるリーダーシップ、AI予測分析などの先端技術も含めた総合的なデータ活用力が求められます。

3. テクノロジースキル

テクノロジースキルには、プログラミング・システム設計の基礎知識から、クラウド・AI・IoTといった最新技術の理解と実際の業務への応用力が含まれます。求められるのは、知識を習得するだけでなく、自社の課題に対してどの技術をどう活用すれば解決につながるかを示す応用力です。

具体的には、IT部門の専門職だけでなく、現場の業務担当者にも基本的なテクノロジー理解を持たせることで、戦略や施策のアイデアを技術的な観点から検討できるようになります。専門職種と連携しながら、現場のニーズを技術的な解決策に結び付ける役割を担える人材が、DX推進において大きな価値を発揮できるでしょう。

テクノロジーに関しては日進月歩で進化し続けるため、新しい技術への適応力も必要な能力となります。

4. セキュリティスキル

セキュリティスキルとは、情報セキュリティマネジメント・ネットワークセキュリティ・データ保護に関する知識・実際の運用における実践能力のことです。DX推進によってデジタル化が加速するなか、顧客情報の漏洩や不正アクセスといったリスクから企業を守る重要な役割を果たします。

企業が信頼性を維持し、法的コンプライアンスを遵守するためには、技術的な対策だけでなく組織全体のセキュリティ意識向上が必須です。従業員への継続的なセキュリティ教育や、インシデント発生時の迅速な対応体制構築も、セキュリティスキルにおける重要な要素となります。

サイバー攻撃の手口が巧妙化する現代においては、予防から対応まで包括的なセキュリティマネジメント能力を持つ人材は、企業のDX推進において欠かせない人材となります。

5. パーソナルスキル

パーソナルスキルとは、コミュニケーション力・リーダーシップ・問題解決能力・変化への柔軟性・ストレスマネジメントなど、対人関係と自己管理に関わる総合的な人間力のことです。

組織横断的な協力体制を構築し、部門間の利害調整を行いながら変革を推進するには、高度なコミュニケーション能力とリーダーシップが必要です。また、DXによる業務変化に対して前向きに取り組む柔軟性と、プレッシャーの中でも冷静な判断を維持するストレス耐性も重要な要素となります。

DX推進は技術だけでなく人と人との連携に左右されるため、パーソナルスキルの有無がプロジェクトの成否を大きく左右します。そのため、リーダーシップ研修などを通じて、変革を牽引する推進力と変化に適応する順応力を継続的に強化することが求められます。

DX人材育成のために実施すべき研修

「全社員にプログラミング研修を受けさせる」「管理職にAI講座を受講させる」といった単発的な研修だけでは、DX推進の成果にはつながりにくいのが実情です。真に効果的な人材育成を実現するには、対象者のレベルと役割に応じて戦略的に設計された研修プログラムが不可欠です。

ここでは、成果の最大化につながるDX人材育成研修について解説します。

全社員向けの研修

全社員を対象としたDXリテラシー習得型研修は、組織内でデジタル変革に対する共通認識を形成するために不可欠です。全員が同じ基礎知識を持つことで、部門を越えた円滑なコミュニケーションが可能となり、DX推進プロジェクトにおける連携が円滑になりやすくなります。

研修においては、DXの定義や必要性から始まり、AI・IoT・クラウドといったデジタル技術の基礎概念、データ活用の重要性、セキュリティの基本知識まで幅広くカバーします。技術的に難しい内容に関しては、身近な事例や比喩を用いて分かりやすく説明することで、非IT部門の社員にも理解しやすい内容に仕上げることが重要です。

全社員がデジタル活用への基本姿勢を身につけることで、日常業務の中でも自然に活用の機会を見いだせるようになり、組織全体のDX推進力向上につながります。また、変化への抵抗感を軽減し、前向きな変革意識を醸成する効果も期待できます。

マネジメント層向けの研修

マネジメント層を対象としたAI・データ活用研修は、経営戦略レベルでのDX推進力を強化するために必須です。管理職が適切な技術理解を持つことで、投資判断やリソース配分において的確な意思決定を下せるようになり、DXプロジェクトの成功可能性を高められます。

具体的な研修内容としては、AI技術の可能性と限界、データ分析による意思決定支援、デジタル投資のROI評価方法などを実践的に学習します。デジタル技術の全体像を把握し、自社にとって最適な活用方法を見極める力を養成することが目標となります。

また、部門横断的なプロジェクトマネジメント能力やリーダーシップ開発も重要な要素です。マネジメント層がDX推進のリーダーシップを発揮することで、組織全体の変革スピードが加速し、費用対効果を意識した人材育成につなげられます。

業界特化型の研修

業界特化型研修は、各業界特有の業務プロセスや規制要件に合わせて設計されており、一般的な研修では得られない実務に直結するスキルを習得できます。例えば、「食品業界の品質管理システム」「製造業の予知保全」「医療業界の電子カルテ活用」「金融業界のフィンテック導入」のような研修が挙げられ、業界ごとの具体的な課題解決アプローチを学べます。

同研修は、各業界の最新動向やベストプラクティスを豊富に盛り込んだケーススタディにより、受講者は自社の状況に置き換えて考える力を養えます。業界特有の技術要件や法規制への対応方法も含めることで、実際の業務で即座に活用できる知識とスキルを体系的に習得できます。

また、業界に精通した講師による専門的な指導であれば、より現場での適用可能性が高まり、研修効果の定着率向上が期待できます。業界特化研修を通じて育成された人材は、自社の業務理解と最新技術知識を兼ね備えた現場で即戦力として期待されます。

DX人材育成を成功させる6つのステップ

多くの企業がDX人材育成に取り組んでいるにも関わらず、期待した成果を得られずに挫折してしまうケースが後を絶ちません。その理由は、体系的なアプローチが不足していることにあります。成功企業に共通するのは、明確なビジョンから始まり、評価・改善まで一貫したプロセスを踏んでいることです。

ここでは、DX人材育成を成功させるために推奨される6段階のステップを解説します。

1. 自社のDX戦略とビジョンの明確化

DX人材育成を成功に導く第一歩は、自社が目指すDXの方向性を明確に定めることです。経営層が主導して、現在の課題を洗い出し、理想とするDXの姿を具体的に設定する必要があります。

例えば「顧客体験の向上」「業務効率化」「新規事業創出」など、自社が重視する価値を明確にすることで、育成すべき人材の要件や必要なスキルが自然と見えてきます。

この段階で戦略とビジョンを固めることにより、後続の育成計画全体に一貫性が生まれ、効果的で無駄のない人材育成につながります。育成の目的が曖昧なまま進めると、効果的な人材育成は実現できないため、詳細な検討を行うようにしましょう。

2. 必要なDX人材像とスキルセットを定義

自社のDX戦略が決まったら、具体的にどのようなスキルや素養を持つ人材が必要であるかを詳細に定義します。技術スキルだけでなく、「ビジネス変革を推進するリーダーシップ」「部門を横断したコミュニケーション能力」「変化に対応する柔軟性」なども含め、幅広いスキルを組み合わせた能力要件を設定することが重要です。

要件定義が曖昧だと、育成プログラムの方向性がぶれてしまい、期待する成果が得られません。データサイエンティスト・デジタルマーケター・システム企画担当者など、役割ごとに必要なスキルレベルを具体的に整理することで、効果的な育成計画の基盤が整います。

この段階で丁寧に要件を定義することが、後の育成効果を大きく左右するため、十分な時間をかけて検討することが求められます。

3. キャリアパスの設計と対象人材の選定

定義したスキル要件をもとに、DX人材としてのキャリアパスを設計し、育成対象者を選出します。まず、スキルマップやデジタルスキル診断ツールを活用して、現在の社員のスキルレベルを可視化し、理想とのギャップを明確にします。

対象者の選定では、既に専門スキルを持つ人材だけでなく、学習意欲が高く変化に前向きな社員、各部門でリーダーシップを発揮できる人材など、多様な観点から候補者を検討することが重要です。全社的なDX推進を想定すると、技術者に限定せず営業や企画部門といった他の部門からも、積極的に人材を候補に含めることが大切です。

明確なキャリアパスを示すことで、対象者のモチベーションと学習意欲の維持向上が可能となります。

4. 育成プロセスの立案と実行

効果的な育成プログラムを構築するため、座学研修・OJT（実業務を通じた学習）・ワークショップ・ケーススタディなど、多様な学習手法を組み合わせた育成プロセスを設計します。特に実務に直結した演習やPoC（概念実証）を積極的に取り入れることで、知識の定着と実践的な応用力を効果的に高められます。

具体例としては、以下のようにリアルな業務環境での学習機会を提供するのが効果的です。

• データ分析研修では実際の業務データを用いた分析演習を実施
• デジタルマーケティング研修では小規模な広告運用を体験させる

外部講師に委任する場合においても、将来的な内製化を見据えて社内講師の育成を並行して進めることが、長期的に機能する人材育成につながります。

5. 成果の評価と改善

育成効果を最大化するため、DX推進の目標達成に向けた具体的なアクションプランを策定し、KPIや成果指標を設定して定量的に評価できる仕組みを構築します。

例えば、以下のような指標を用いて、育成プログラムの効果を測定します。

• デジタルツールの活用率向上
• 業務効率化による工数削減
• 新規デジタルサービスの企画数

上記のような指標を用いて定期的なフィードバック収集を行い、育成プログラムの内容や人材配置の見直しを行います。成果が見えやすい小規模プロジェクトから着手し、成功事例を社内に積極的に共有することで、DX推進に対する全社的なモチベーション維持と学習文化の定着につなげられます。

評価結果をもとにした改善サイクルを継続的に回すことが、長期的な人材育成を成功させるポイントです。

企業によるDX人材育成の成功事例

国内大手企業は、独自の研修プログラムや組織体制を整備し、各事業部門でDXを担う人材の育成を進めています。ここでは、三菱UFJフィナンシャル・グループ、東京電力エナジーパートナー株式会社、島津製作所の具体的な成功事例を紹介します。

どのような取り組みによってDX人材育成を成功させ、実際のビジネス成果に結びつけているのか、彼らの実践から学ぶべきポイントを詳しく解説します。

1. 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの成功事例

三菱UFJフィナンシャル・グループは、ブレインパッドと共同でマネジメント層を対象とした「データ活用のリテラシー向上研修」を設計・開発し、組織全体のデータドリブン経営を推進しています。

具体的には、68,000名以上の研修実績を持つブレインパッドのノウハウを活用し、「eラーニングの必修化」「外部資格取得支援」「デジタルスキル認定制度」といった多面的な施策を通じて、グループ全体のDX人材基盤を段階的に強化しています。

主な研修内容は、既存の「AIビジネスプランナー養成講座」をベースに、デジタルリテラシーの意識改革とマネジメント力強化を狙ったカスタマイズ内容で構成。座学と実践的演習を段階的に組み合わせ、BIダッシュボード活用やAI上流工程企画など、実務に直結するスキル習得を促進する設計となっています。

理論と実践を組み合わせることで、知識の定着と応用力の向上を同時に図っている点が特徴で、2024年度からの本格展開によりマネジメント層のデータ活用力強化を通じたDXリーダー人材の輩出が期待されています。

【参考】
ブレインパッド、三菱UFJ銀行のマネジメント層を対象とする「データ活用のリテラシー向上研修」を協働設計｜株式会社ブレインパッド

2. 東京電力エナジーパートナー株式会社の成功事例

東京電力エナジーパートナーは、2023年に自社開発の人材育成プログラム「EP Data College」を開始し、半年間の育成カリキュラム（基礎座学3ヶ月・実務課題演習3ヶ月）を通じて事業部におけるデータ活用力を実践的に強化しています。データ分析技術だけでなく、プロジェクトマネジメントやBIツール活用まで幅広くカバーし、社員が主体的に取り組むデータ活用文化の定着が目標。同プログラムには60名を超える受講生が参加し、Pythonコーディングの習得や営業ルートの効率化など、具体的な業務改善成果を創出している点が注目されています。

このほか、ブレインパッドとインフォバーン社との共創型ワークショップにより課題発見能力を向上させ、継続的な成果につなげる取り組みも行っています。

当事例は、DX推進室を含めた組織横断的な協力体制を整備することで、単発の研修に終わらせず、DXの真の効果創出に結びつける仕組みを構築している点が成功の要因といえるでしょう。

【参考】
半年で事業部のデータ活用人財を育て、業務定着を加速｜東京電力エナジーパートナーの育成カリキュラム｜DOORS DX Media
DXの壁は「デザイン思考」で破る。東京電力エナジーパートナーが選んだ共創型ワークショップ

3. 株式会社島津製作所の成功事例

島津製作所では、製造プロセスのデジタル革新に向けた専門人材育成プログラムを展開し、AIやIoTの導入を支える技術者・管理者を対象とした実践的な研修を通じて生産性と品質の向上を実現しています。

DX推進を短期的な成果にとどまらず、長期的な視点で捉え、技術・人材・組織の一体的強化による持続可能な成長モデルを構築しており、各要素が相互に補完し合う包括的なアプローチを採用。技術導入だけでなく、部門間の連携強化・ナレッジ共有・データ活用の定着を目的とした組織改革も併せて進行している点が特徴的です。

同社の事例は、国内外で高い評価を受けるDX推進の先駆的な事例として知られており、製造業におけるデジタル変革の模範的事例となっています。

技術革新と人材育成を両立させた取り組みは、他企業にとっても参考となるモデルです。

【参考】
ブレインパッド、島津製作所のDX推進におけるデータ活用人材を育成｜株式会社ブレインパッド

まとめ：DX人材育成は企業の競争力を左右するカギ

多くの企業で深刻なIT人材不足が課題となるなか、DX人材育成は競争力を維持・強化するうえで欠かせない戦略となっています。外部人材に依存する従来のアプローチには限界があり、自社の業務や文化を理解した人材がDXスキルを習得することが、持続的な競争力につながります。

DX人材育成の成功のポイントは、明確なビジョン設定から始まり、当記事で紹介した5つのスキルを体系的に鍛え上げ、継続的な評価改善を行うことにあります。成功事例が示すように、戦略的な人材育成プログラムは成果につながりやすいことが分かります。

DXに関する豊富な実績を持つブレインパッドでは、各企業の状況に応じた人材育成支援を行っています。DX人材育成に課題を感じている企業は、一度ご相談いただくのも有効な選択肢です。