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【シリーズ】データガバナンスがもたらすもの-第7回 シリーズの振り返りから考える「内製化」の本懐

公開日
2022.12.21
更新日
2024.02.22

本シリーズではこれまでデータガバナンスの概念、データガバナンスを実現するための方法、さらに現在の日本におけるデータ活用の問題点等について議論してきました。今回は、当社執行役員 内製化サービス推進 神野雅彦と、2022年12月にブレインパッドにジョインしたビジネス統括本部 データビジネス開発部 シニアマネジャー 小坂真司とでこれまでの本シリーズのインプット、振り返りを行い、なぜ「内製化」が必要なのか、議論しました。

■登場者紹介

  • 神野雅彦
    • 執行役員 内製化サービス推進および金融インダストリー責任者

大手IT企業、外資系企業、海外駐在、日系コンサルティング会社および外資系コンサルティングファームを経て、ブレインパッドに参画。戦略コンサルタントとしての経験を活かし、顧客企業のデータドリブン企業への変革、DX推進体制の強化、データ組織・人材開発の伴走支援、金融領域の活性化、デジタル基盤を含むトランスフォーメーションを実現するためのビジネス開発、プランニング等を担う。2022年10月より現職。一般社団法人金融データ活用推進協会(FDUA)標準化委員会 委員長代行。

  • 小坂真司
    • ビジネス統括本部 データビジネス開発部 シニアマネジャー

大手独立系SI企業、大手監査法人等を経てブレインパッドに参画。主に金融機関向けのシステム構築やITリスクコンサルタントを経験。これまでの経験を活かし、データガバナンスや金融機関向けのサービス開発を担当予定。

写真左から、小坂真司・神野雅彦

本連載の記事一覧

ブレインパッドに参画する理由

ブレインパッド・神野雅彦(以下、神野) お久しぶりです。前職では本当にお世話になりました。

ブレインパッド・小坂真司(以下、小坂) こちらこそ。お世話になりました。

神野 また一緒に仕事ができることを本当に嬉しく思います。早速ですが、このたびブレインパッドに参画してくれた動機を聞かせてもらえますか。

株式会社ブレインパッド
執行役員 内製化サービス推進
神野雅彦

小坂 私はずっとデジタルをテーマに仕事をしてきたのですが、前職ではデータ活用そのものずばりの案件にあまり携われませんでした。ベンダーと組んで仕事をしてきたものの、ベンダーは自社のツールを導入したい、私たちコンサルタントはツールにこだわらず問題解決がしたい、お客様はとにかく問題解決したい、というように微妙に噛み合わないことが多かったのです。そのような状況では、お客様とデータ活用やデータドリブンを進めていくのは困難だと感じていました。 

ブレインパッドは、これまでもずっとデータ活用に取り組んできた会社ですし、最近ではクライアントの成長に重点を置いていると聞きました。自分が目指す仕事ができるのではないかと思い参画させてもらった次第です。

株式会社ブレインパッド
ビジネス統括本部 データビジネス開発部
シニアマネジャー 小坂真司

神野 私も同じ動機でブレインパッドに参画したので、シンパシーを感じます。

さて私がブレインパッドに参画してから、データガバナンスを大きなテーマに据えて、DOORSメディアに様々な記事を掲載してきました。まずは、これまでの記事の主な内容について、小坂さんと一緒に振り返っていきたいと思います。

小坂 承知しました。


攻めのデータガバナンス

神野 まず最初の2回についてです。

【シリーズ】データガバナンスがもたらすもの-第1回 「データガバナンス」とは何か?
【シリーズ】データガバナンスがもたらすもの-第2回 データガバナンスの進め方

データビジネス開発部の櫻井シニアマネジャーと、かなり真面目にデータガバナンスについて語っています。まだ初回でしたので、ちょっと硬すぎたかもしれません。小坂さんから見てどうでしたか。 

小坂 至極真っ当なことをおっしゃっているなあと感じました。データガバナンスの上にITやデジタルガバナンスがあり、さらにその上にコーポレートガバナンスがあるというところを分かりやすく話されていると思います。日本企業ではデータガバナンスが進んでいないという部分も納得感がありました。データガバナンスの現状の説明としては的を射ているのではないでしょうか。 

神野 ガバナンスというと守りのイメージがありますが、それだけではない「攻めのガバナンス」もあることを強調した内容になっています。「攻めのガバナンス」についてどう考えますか。

小坂 ガバナンスは元来、目標を達成するために行うものです。目標、すなわちビジョンがないので「攻めのガバナンス」が効いていない会社が多いと思っています。何をしたいのかを明確にすることが大切です。

神野 収益を上げるなど、企業目標を達成するためには、「攻めのガバナンス」が肝になります。ビジョンから「攻めのガバナンス」にまでしっかり落とし込んでいくことが大切です。しかし、それができている企業はまだまだ限られていると言えます。

小坂 「守りのガバナンス」は簡単です。ルールを作ってモニタリングして、ギャップがあれば「守りなさい」と言えば済みます。しかし「攻めのガバナンス」は、目標・ビジョンを立てる必要があるのですが、それ自体が難しいんですよね。

データガバナンスに必要な組織組成・人材育成

神野 続いて、データガバナンスを実現するための組織を作り、人材を育てるという話に入っていきました。

【シリーズ】データガバナンスがもたらすもの-
第4回 組織組成・人材育成とデータガバナンス(前編)
【シリーズ】データガバナンスがもたらすもの-
第4回 組織組成・人材育成とデータガバナンス(中編)
【シリーズ】データガバナンスがもたらすもの-
第4回 組織組成・人材育成とデータガバナンス(後編)

デジタル・データといっても使うのは結局人なので、人材を育成することはもちろん、デジタル・データを使いこなすための組織を作らなければなりません。もちろん「そんなことはわかっているよ」という話をよくききますが、実際には具体的に踏み出す行動を取ることが出来ない状況を目にします。見ている私たちからすれば「歯がゆいなあ」という印象です。小坂さんから見て、思うところはありましたか。

小坂 ビジョン・人・組織の3つが揃っていないとデータガバナンスを回すことはできません。どの企業もデータは持っているのに使いこなせていないのは、人と組織を育てることができていないからです。それは組織をどう作るのかをわかっていないからでしょう。今ある組織でできるのか、組織を一から作り直さないといけないのかということさえ理解されていないのだと思います。

以前のやり方を変えないといけないのか、変えたら何かいいことがあるのか、あるいはハレーション等のリスクがあるのかといったことを経営層がつかみきれず、一歩踏み出せないということがずっと続いているように思います。だからデジタル化でいえばペーパーレス化など、効果がわかりやすい取り組みに終始しているのではないでしょうか。

あと、日本では組織を変えること自体が大変な文化がありますし、人材がいないことが組織を変えられないことの言い訳にもなっている気がします。

神野 キーワードとして、「リスキリング」、データ活用に必要な「3つの力」(見つける力・解く力・使わせる力)、「キャリアモデル」といった考え方があることを、お客様にお伝えしています。どの企業も人を大事にしているのは確かです。しかし現状の向き合い方では駄目で、良い意味で変わっていかなければなりません。それができていないのです。

リスキリングのコンセプト

小坂 新たな技術・知見を身につけてもらうリスキリングが進んでいなくて、今ある能力で対応することばかりを考えているように思います。足りなければ外から人を連れてくればいいと考えているんですね。その理由として、「そもそもデータ人材・デジタル人材を採用していないから」とよく言われます。リスキリングとは真逆の発想です。

神野 少子高齢化で人を採ることが難しいことも企業課題ですね。若手社員が少ないので、ベテランも含めて企業内で人を育て直すことがどうしても必要になっています。そこに具体的な動きを取ることができていないところがありつつも、しっかり向き合って育成に成功している企業も多くあります。成功企業があるのだから、今後「内製化」は大きなトレンドになっていくと思います。

データ活用が進まない日本企業

神野 続いて、データ人材やデータ組織といった話を踏まえて、さらにデータドリブン経営についてまで、コンサルタント系の3人の役員(取締役 執行役員CGO(Chief Growth Officer):関口朋宏、執行役員 プロフェッショナルサービス事業統括 ビジネス統括本部長:西村順、神野)でかなり自由に討論しました。

【シリーズ】データガバナンスがもたらすもの-
第6回 データ活用のあり方と攻めのデータガバナンス(前編)
【シリーズ】データガバナンスがもたらすもの-
第6回 データ活用のあり方と攻めのデータガバナンス(後編)

日本のDXやデータ活用がうまくいっていない原因は何かというと、データから事実を読み解いてアクションを起こす、というデータを「使いこなす」力がまだまだ弱いからではないでしょうか。では、今後どうしていったらいいのかという話がでてくると思うのですが、小坂さんの意見はどうですか。

小坂 まさに今の日本企業が抱えている問題の核心を突いていると思います。たとえばDWHなどは多くの企業が持っていますし、使ってもいます。しかし使っているのはデータの一部ですし、誰かからデータを使いたいと言われたら必要なデータを集めてきて使えるようにしているだけなんですね。

マーケティングなどデータ活用が進んでいる領域もありますが、それ以外ではごく一部しかデータを使いきれていません。いざ使いたいとなっても、どこにデータがあるかもよくわからないし、データの場所がわかったとしてもどうすれば使えるかがわかりません。つまり使いたくなってもすぐに使えないので利用が進まない――ということを、大手金融機関の方がおっしゃっていました。

データをすぐに使えないと過去の検証にしか使えません。今後どうするかの判断につながっていかない状況が「データを使いこなせていない」ということです。そうなる理由は、組織の縦割りがある上、会社全体でデータ活用の方針がないからです。そこが一番の問題ですね。

神野 3人の役員の間でも、「データを見ているのは間違いない。しかし使いこなせていない。データをどう科学的に見るのか、それを経営にどう生かすのかという視点を持つためには、我々が提案している人材育成や組織組成によってサイロの壁を越えることが必要だ」という話になりました。

小坂 データをどう使っていいのか経営層を含めてわかっていないことが多く、その結果今までのデータ活用の範囲にとどまっていて、データドリブンな経営とか、新しいビジネスモデルを作るところまで至っていないと思います。

神野 理解の深い経営層とデータドリブンをやっていきたい若手がいて、その間にどうしていいかわからない中間層がいるという例も出てきました。別にミドルマネジメントを悪く言いたいわけではなく、データの重要性がわかっていても行動の仕方がわからないので行動できないのが現実なのでしょう。あるいはデータ分析はRやPythonを使ってゴリゴリ回していくイメージがあり、分析に取り組むことはできても、事業に貢献するデータ分析はできないということなのかもしれません。

お客様があるテーマで施策を作りたい、たとえばマーケティングデータからキャンペーンをプランニングして結果分析をしたい、といったことは、元々ブレインパッドが得意とするところで引き合いも多い。一方で、ビジョンから経営戦略が導き出され、事業戦略や施策に落とし込む過程で、データを使ってできることは数多くあります。このような状況に対しても提案できるのですが、先ほど述べた3階層がデータ活用に関して全部共通認識できていないと、提案を通すのは一苦労です。

内製化が進んでもベンダーの仕事はなくならない

神野 この状況を解きほぐす手段としては、「エグゼクティブ・ワークショップ」が考えられます。CxOクラスに実際のデータを使ってもらい「データ分析とはこういうことだ」とまず認識してもらう。データサイエンスはBIツールが出すレポートとは違うものだと理解してもらう。そしてデータドリブンを実感してもらうことができたらいいなと考えているところです。

小坂 それはいいと思いますね。データを使いこなせていない人は、レポートを見ることが、すなわちデータを使いこなせていることだと思い込んでいるように思います。それが誤りであることを会社全体に浸透させるには、まずはエグゼクティブ層に理解してもらい、そこから社内に浸透させていくことが必要だと思いますね。エグゼクティブが理解できている企業でしたら、取り組みの進み方も速くなると思います。なぜなら、我々が取り組んでいる「伴走する」ということへのイメージが湧きやすいからです。

神野 現場でデータサイエンスをしている側も、いかに管理層や経営層のツボを押さえて、理解される、つまり意思決定に貢献する報告をするか――これは文化醸成の一貫であるという話もありました。

小坂 データサイエンティストが提示するFACTを経営層がしっかり受け止めることも大事ですね。

神野 現場と経営層のしっかりした役割分担と連携から導出されるのが「内製化」です。我々としては内製化を通じてお客様の変革をサポートしていきたいと考えています。小坂さんにもぜひ手伝ってほしいです。

小坂 私もぜひやっていきたいです。

データ活用内製化へのキーサクセスファクター/KSF

神野 内製化の実現によって、発注者と業者という関係ではなく「対等なビジネスパートナー」になることを目指しています。内製化が進むとベンダーの仕事がなくなると考える人がいますが、それは大きな勘違いです。我々はお客様が次のステージに上がるサポートをしているのであって、内製化はあくまでその手始めです。サポートはずっと続くわけで、その中には次のビジネスを一緒に考えることも含まれています。そうなると協業を推進する対等なビジネスパートナーにならざるをえません。

小坂 それが個社だけでなく、最終的には業界全体のビジネスパートナーになっていけばいいなと思います。

※第8回では、引き続き神野と小坂が対談。金融業界のデータガバナンスに関するブレインパッドの抱負について語ります。

【データガバナンスに関連する記事】
データガバナンスとは?データ管理体制の重要性

この記事の続きがこちら
【シリーズ】データガバナンスがもたらすもの-第8回 金融業界とデータガバナンス



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株式会社ブレインパッドについて

2004年の創業以来、「データ活用を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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