研修から実践へ。データ・AI活用が続く組織をつくるTXサービス

公開日
2026.10.07
更新日
2026.10.07
研修から実践へ。データ・AI活用が続く組織をつくるTXサービス_バナー

ブレインパッドには、研修を終えても現場でのデータやAIの活用が思うように進まないという相談が寄せられています。データ基盤や専門組織を整え、大規模な研修まで実施した企業でも、学んだことを業務で使う段階でつまずくことがあります。

研修で身につけた知識を、日々の業務で使えるようにするには何が必要なのでしょうか。取り組む人への支援や周囲への広げ方まで考えると、人材育成とともに、学んだ人が活躍できる組織をつくることが課題になります。

ブレインパッドが2026年1月に提供を開始した「データタレントエクスペリエンスサービス」(以下、TXサービス)は、人材の採用・育成から、実践、評価・キャリア形成、文化醸成までを支援するサービスです。データやAIを使うことが組織の日常になるよう、研修の前後も含めて支援します。

本記事では、サービスを率いる鵜飼と奥園の考えを交えながら、TXサービスが生まれた背景と具体的な支援内容をご紹介します。

本記事の登場人物
  • コンサルタント
    鵜飼 武志
    Ukai Takeshi
    会社
    株式会社ブレインパッド
    所属
    産業基盤事業 責任者
    データタレントエクスペリエンスユニット 統括
    役職
    上席執行役員 CSO(Chief Strategy Officer)
    2023年に当社へ参画。戦略コンサルタントとして培った"業務・組織改革"および"新規事業開発"に関する豊富な経験を活かし、データや生成AIを起点とした業務変革の構想策定からユースケース設計、効果創出に向けた業務適用までを強みとする。様々な業界のクライアント向けに、分析・データ活用組織の立ち上げ、生成AIと既存業務を融合させた新しい業務の設計、属人的な運用管理の構造改革のプロジェクトに従事。2024年に執行役員、2025年に上席執行役員に就任し、2026年より現職。
  • データサイエンティスト
    奥園 朋実
    Okuzono Tomomi
    会社
    株式会社ブレインパッド
    所属
    データタレントエクスペリエンスユニット
    役職
    ユニット副統括
    化粧品通販企業にて新規獲得向けの広告、既存顧客向けの販促部署のマネジメント、データ分析部署の立ち上げに従事。2010 年にブレインパッド入社。大手 EC 通販をはじめ、通信教育・Web サービス・大手化粧品ブランド・アパレル・放送業界・大手 BtoB サプライ等のデータ分析プロジェクトにプロジェクト責任者およびマネジャー、データサイエンティストとして携わる。これまで分析プロジェクトで携わった企業は 40 社以上。受託分析支援に加えて事業会社内のデータ活用促進に向けたコンサルティング支援やデータ分析部署の立ち上げにも従事。近年はブレインパッドのデータ活用人材育成サービス事業の責任者として、企業がビジネス成長するためのデータ活用実現に向けた方針策定や施策支援を、幅広い業界において推進している。

研修で得た知識を、現場の実践へ。TXサービスが生まれた背景

ブレインパッドは、2013年からデータ活用人材の育成サービスを提供してきました。専門人材の育成を続ける中で見えてきたのが、学んだ知識を現場での実践につなげる難しさです。鵜飼は、研修後の企業から寄せられた相談が、TXサービスを考えるきっかけになったと振り返ります。

分析プロジェクトと人材育成の両方に携わってきた奥園も、企業自身がデータ活用を主導する難しさを感じていました。技術の領域を外部パートナーに任せきりにすると、社内で判断し、取り組みを進める力が育ちにくくなります。研修で専門知識を学ぶことに加え、その知識を実際の業務で使う機会が必要でした。

奥園によると、コロナ禍に入った2020年頃から専門家以外にもデータ活用が広がったことで、大手企業からの研修依頼が相次ぎました。近年は、研修で学んだ内容を自分の仕事にどう結びつけるかという相談が増えています。

さらに、生成AIの登場で、専門家以外の社員にもAIに触れる機会が広がりました。だからこそ社内で一緒に試し、学び続ける環境が、これまで以上に求められるようになっています。鵜飼は、ブレインパッドのこうした学びあう社風をお客様から評価されてきた経験から、組織づくりのノウハウも支援に生かせると考えました。

TXサービスは、このような課題意識から生まれました。研修を受けた人が実践の機会を得て、学びや成果を周囲と共有できるよう、人材育成と組織づくりをともに支援します。

株式会社ブレインパッド・奥園 朋実

データ・AI活用を組織に根付かせる仕組みと、支援の進め方

関心・参加・挑戦を広げる「文化醸成サイクル」

TXサービスでいう「文化醸成」とは、データやAIを使う人が増え、その取り組みが組織の中で続いていく状態をつくることです。そのために、ブレインパッドは次の5つのポイントを重視しています。

  1. DX企業として社内外から注目を集めること。
  2. 経営層や事業責任者が推進する意思を示し、現場の活動を支えること。
  3. DXやAI活用に関わっている人がより積極的になっていくこと。
  4. DXやAI活用に興味がない人の関心を引き上げること。
  5. DXやAI活用に関わっている人の挑戦意欲をさらに高めていくこと。

取り組みが知られ、経営層の支援を得ることで、実践する人が活動しやすくなります。その様子を見た周囲の人も関心を持ち、新たな参加や挑戦につながっていきます。ブレインパッドが「文化醸成サイクル」と呼んでいるのは、この循環です。一部の専門家や推進担当者の活動を、組織全体へ広げることを目指しています。

セミナーから成果の発信まで、5つのステップで支援

この循環をつくるために、セミナー、コミュニティづくり、研修、実践、成果の発信という5つのステップをつなげて支援します。

  1. セミナー:先進事例や、データ・AI活用で実現できることへの理解
  2. コミュニティづくり:関心を持った人が集まり、学び合う場の形成
  3. 研修:自ら取り組む意欲を持って、必要な知識やスキルを習得
  4. 実践支援:ブレインパッドの専門家とともに、学んだことを業務で実践
  5. 成果の発信:取り組みや成果を社内外に伝え、次の参加や挑戦を促進

研修の前にセミナーやコミュニティづくりを置くのは、学ぶ意欲を持ってもらうためです。参加者が先進事例を知って「面白そうだ」「自分もやってみたい」と感じてから学び、専門家の支援を受けながら業務で試すところまで進めます。

実践の後には、その取り組みを周囲に伝える機会を設けます。発信する内容は、先進的な成果や売上に直結する大きな数字に限りません。鵜飼が重視しているのは、小さなチャレンジも社内外に伝えていくことです。

身近な部署の工夫を知れば、関心がなかった人も自分の仕事で試せると考えやすくなります。経営層にも取り組みが伝わり、支援を得られるよう、成果の発信まで支えます。

株式会社ブレインパッド・鵜飼 武志

目指すのは、お客様自身がデータ活用を進められる組織

お客様自身がデータを使い、業務や事業の改善を続けられるようにすることは、ブレインパッドが大切にしてきた考え方です。奥園がその原点として挙げるのが、創業者から受け継いだ「ブレインパッドが常にクライアントの横にいてはいけない」という言葉です。

内製化・自走化までを支援するには、知識を教えることに加えて、業務の進め方や組織の体制まで一緒に考える必要があります。ブレインパッドには、営業、コンサルタント、プロジェクトマネージャー、データサイエンティスト、データエンジニアなど、多様な職種のメンバーがいます。お客様の課題に応じて、必要な専門家が支援に加われることが強みです。

内製化を進めるための組織づくりと、経営層の役割

組織づくりと人材育成を一体で進める

ブレインパッドが内製化を支援してきた企業の一つが、りそなホールディングスです。データサイエンス室の立ち上げに伴う組織運営の全体設計や運用から、自走化に向けた人材育成までを支援しました。同社が目指していたのは、自社の社員が高度なデータ活用を実践できる体制です。研修と実務を通じて社員のスキルが高まり、ビジネス上の成果にもつながっていきました。

その後、同社のデータサイエンス部は、2023年8月時点で40数名の組織になっています。こうした組織づくりと人材育成の支援経験が、TXサービスの設計にも生かされています。

自走化の支援は、業務の内容、達成したい目標、必要な人材の過不足を確認し、計画を立てるところから始まります。鵜飼は、この要件定義を最初の重要なステップと位置づけています。

特定の担当者にすべてを任せていると、その人の退職によって、積み上げてきたノウハウまで失いかねません。経営層には、組織の体制を変える意思を持ち、継続して支えることが求められます。

マネジメント層への働きかけという点では、三菱UFJ銀行の取り組みも参考になります。同行は、人材育成を経営課題に位置づけ、約1,500名のマネジメント層に「AI・データ利活用実践研修」を実施しました。講義と実務を想定した演習を組み合わせ、研修終了から数カ月で17件以上の新規プロジェクトが立ち上がったと報告されています。

経営層自身がAIを使い、現場の実践を後押しする

取り組む意思を示し、現場の活動を継続して支えることを「スポンサーシップ」と呼びます。その意思を伝える行動の一つが、経営層自身によるAIの実践です。

奥園は、経営層に対して「筆頭実践者」であってほしいと伝えています。施策の承認に加えて、自らAIを使い、その可能性を知ることも経営層の役割だと考えているためです。鵜飼自身も、日常的にAIを使い、その魅力や経験を周囲に発信しています。

新しいやり方を試しても、慣れた業務に戻ってしまうことはあります。経営層が使い続ける姿を見せ、現場の取り組みに関心を寄せることは、社員が実践を続けるための支えになります。施策開始後も現場の実践を支えられているか、振り返る必要があります。

身近な体験と社内の働きかけで、AI活用の仲間を増やす

身近な体験から、AIに触れるきっかけを作る

経営層や推進担当者の意欲が高まっても、まだAIに関心を持っていない社員はいます。そうした人に、業務での活用方法を説明するだけで興味を持ってもらうのは簡単ではありません。鵜飼が工夫しているのは、習い事や子育てなど、日常生活に近い使い方から伝えることです。

例えば、鵜飼自身は趣味の社交ダンスで、ボイスレコーダーとAIを使い、練習の分析に役立てています。ほかにも、「世界に1枚だけのトレーディングカードをAIで作ってみよう」という企画や、自己紹介文をもとにAIで画像を生成し、誰の紹介かを当てるゲームを、AIに触れるきっかけとして挙げています。

RAG(検索拡張生成)を使った社内の問い合わせ対応などは、業務での活用例として有用でも、なじみのない人にはイメージしにくいことがあります。まずは、身近で楽しさや便利さを感じられる使い方を試してもらい、AIへの関心につなげます。

社内発信とエバンジェリストの活動で、参加を広げる

参加する人を増やすうえでは、社内への発信も欠かせません。「うちは古い会社だから」「うちの技術力ではできない」と感じている人も、身近な部署の取り組みを知れば、自分たちにもできることがあると気づきやすくなります。社内報などを使い、社内でどのような活用が進んでいるのかを伝えていきます。

その活動を続けていくために、エバンジェリストの存在も重視しています。エバンジェリストは、社内でデータやAIの活用を広げる役割を担う人です。部署や年齢を問わず、関心の高い人や、周囲を巻き込める人が担うことが多く、社内の活動を主導します。

ブレインパッドは、外部の専門家として、活動のきっかけや専門的な助言を提供します。それを自社の活動として根付かせるには、社内で働きかける人が必要になります。エバンジェリストを中心に、お客様自身が企画や実践を進められるように支援します。奥園の「私たちは、主人公ではありません」という言葉も、こうした支援の姿勢を表しています。

経験から得た知恵を共有し、誰もがデータ・AIを使いこなせる未来へ

TXサービスを通じて、鵜飼が実現したいと考えているのは、誰もが「息をするように」データやAIを使うことと、経験から得た知恵を組織で共有できるようにすることです。

鵜飼が着目しているのが、KKDと呼ばれる「勘・経験・度胸」です。否定的に語られることもあるKKDを、日本企業が培ってきた強みと捉えています。経験豊富な社員が持つ、言葉にしにくい知恵を、AIを通じてデータや論理で説明できるようにし、若手社員も判断に生かせるようにすることを目指しています。個人が持つ暗黙知を共有できるようになれば、経験の差を補い、日本企業の競争力を高めると期待しています。

一方、奥園が力を入れたいと考えているのは、経営層のAIリテラシーを高めることです。人材への投資を成果につなげるには、現場の努力に加えて、その取り組みを理解し、支える上司の存在も必要だと感じています。こうした経営層への働きかけを通じて企業のDXが進み、その先に誰もが幸せに暮らせる社会を見据えています。

TXサービスの伴走期間は、通常6カ月から1年です。その間に徐々にブレインパッドの関与を減らし、お客様自身が取り組みを進められる状態を目指します。研修で学んだ人が業務で試し、その経験を周囲に伝えることで、新たに参加する人が増えていきます。こうした実践が続く組織を、お客様とともにつくっていきます。


このページをシェアする

あなたにオススメの記事

株式会社ブレインパッドについて

2004年の創業以来、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

メールマガジン

Mail Magazine