DOORS DX

ベストなDXへの入り口が
見つかるメディア

DX認定制度&デジタルガバナンス・コードとは?概要と認定を受けるメリット

公開日
2021.04.02
更新日
2024.02.21

近年、政府(特に経済産業省)は民間企業のDX推進の遅れに強い懸念を示しており、その促進に向けた環境整備を行ってきました。その一環として2020年に発表されたのが、「DX認定制度」および「デジタルガバナンス・コード」の2つです。どちらも、国から「DXにおいて先進的な企業である」とのお墨付きを与える制度です。

今回は、政府資料を基にしてこの2つの制度の考え方や申請方法などをご説明するとともに、企業が認定を受けるメリットについて考えます。

(DXの定義や意味をより深く知りたい方はこちらもご覧下さい)
【関連】「DX=IT活用」ではない!正しく理解したいDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?意義と推進のポイント

DX認定制度/デジタルガバナンス・コードの概要

新しく設定されたDX認定制度およびデジタルガバナンス・コードについて、政府の資料を参考に概要をご説明します。それぞれ、どのような形で民間企業のDXの役に立つのか理解しましょう。

DX認定制度とは?

DX認定制度は、国が申請者である事業者に対して「DXに関する優良な取り組みを実施している」ことを認定する制度です。情報処理推進機構(IPA)が問い合わせを受けて審査し、経済産業省が認定手続きを行います。2020年11月9日からWeb申請の受付を開始しており、2021年3月2日時点で25社が認定事業者として認定を受けました。事業者一覧が、以下のIPAホームページにて公表されています。

【参考】DX認定制度 認定事業者一覧の公表について

この制度は、2020年5月に施行された「情報処理の促進に関する法律」の改正法に基づいています。この法律では、企業のデジタル面での経営改革・社会全体でのデータ連携/共有の基盤づくり・安全性の構築について規定しています。新たに国が定めた「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応している企業だけが、国から認定を受けることができます。

デジタルガバナンス・コードとは?

デジタルガバナンス・コードは、DX認定制度のために設けられた認定基準です。企業価値の向上に向けて、経営者が実践していくべき内容がまとめられています。対象となる企業は、大企業や中小企業といった企業規模、法人・個人事業主といった形態を問わず、広く一般の事業者です。

デジタルガバナンス・コードによって、国はDXの取り組みの自主的・自発的な推進を促そうとしています。特に、ステークホルダー(顧客や投資家を始め、従業員や金融機関、取引先、パートナー、地域社会など)との対話に進んで取り組んでいる企業に対して、これまで以上に資金や人材、ビジネス機会が集まる環境を整備していくことを目指しています。

デジタルガバナンス・コードの4つの柱

デジタルガバナンス・コードは、以下の柱から構成されています。

1:ビジョン・ビジネスモデル
2:戦略
 2-1:組織づくり・人材・企業文化に関する方策
 2-2:IT システム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
3:成果と重要な成果指標
4:ガバナンスシステム

それぞれ「柱となる考え方」「認定基準」「望ましい方向性」「取組み例」が記載されています。これらに基づき社内改革を進めることで、国から先進的な事業者として認定を受けるための条件が整うことになるのです。

デジタルガバナンス・コードに示される「企業のあるべき姿」

デジタルガバナンス・コードを読むと、DX推進に向けて国が望ましいと考える企業の姿を読み取ることができます。DX推進に向けて何をすべきか、4つの柱に沿ってご説明します。

ビジョン・ビジネスモデルの認定基準とあるべき姿

ここでは、経営ビジョンやビジネスモデルに関する基準です。デジタル技術による変化を受けて、経営ビジョンの策定とビジネスモデルの設計を進め、ステークホルダーに対して「価値創造ストーリー」として発信していくべきとされています。認定基準は、これらを公表していることです。

ほとんどの企業が、経営ビジョンやビジネスモデルを公表しているはずです。ポイントは、これらがデジタル技術を絡めたものになっているのかです。デジタル技術によって自社の強みの強化や弱みの改善がなされ、新たな価値を社会に対して提供することが重要です。

DXはデジタル技術を活用した経営改革です。その推進には、単なる技術の導入にとどまらない全社的な取り組みが求められます。ビジョンやビジネスモデルを最初の柱に掲げたのは、このようなDXの特徴が影響していると考えられます。

戦略の認定基準とあるべき姿

次は戦略に関する基準です。ここで言う戦略とは、前述のビジネスモデルを実現する方策を指しています。変革シナリオとして戦略が構築されており、合理的な予算配分が行われるととともに、重要な経営資産であるデータを活用していることが望ましいとされています。

戦略は、組織づくり・人材・企業文化に関する方策と、ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策の2つに分けられます。DX推進に際して、既存の組織や企業文化が壁となって立ちはだかりやすいため、システム環境の整備とともに挙げられていると考えられます。

前者に際しては、DX推進の専任組織と責任者の設置が特に重要です。既存の仕組みを維持したままデジタル技術だけ導入しても、経営改革にはつながりません。また後者については、レガシーシステムの最適化や、先進テクノロジーの導入や検証のための体制づくりが重要です。

成果と重要な成果指標の認定基準とあるべき姿

戦略推進に向けて、ゴールとなる成果指標を定める必要があります。戦略の達成度を測る指標が定められ、外部に公表されているかどうかが認定基準です。定量的な指標だけではなく、定性的な指標を含んでいてもかまいません。

具体的には、ITやデジタル戦略の達成度がビジネスのKPIで評価されていなければなりません。また、このKPIが最終的に財務的な成果へつながることも大切です。

ガバナンスシステムの認定基準とあるべき姿

ガバナンスシステムとは、具体的には経営者および取締役会のリーダーシップおよびコミットメントを指しています。経営者がDX推進に際してリーダーシップを発揮するとともに、取締役会は経営者の取り組みを適切に監視する必要があります。

認定基準は、経営者の対外的なメッセージ発信、経営者のリーダーシップに基づく課題把握、サイバーセキュリティの推進の3つです。必要な場合には、DX推進部署の責任者とコミュニケーションを取るとともに、取締役会や経営会議における報告・議論を進めることになります。

認定を受ける企業のメリットと申請方法

デジタルガバナンス・コードの内容は、DX推進を積極的に進める企業であれば当然実施しているべきものばかりです。企業が認定を受ける必要性は、どこにあるのでしょうか。企業が認定を受けるメリットと申請方法、審査の流れについて整理しましょう。

国のお墨付きでブランディングに貢献?認定のメリット

前述の通り、DX認定制度によって先進的な企業に資金や人材などが集まることが意図されています。認定を受けることで、国から「DX推進の先進的な取り組みを行う事業者である」とお墨付きがもらえます。企業名はホームページに公開されるため、ブランディングに大きく貢献するでしょう。

また、DX推進に役立つのもメリットです。デジタルガバナンス・コードは政府の提示してきた「DXの実現に必要なアクション」をまとめた内容となっているため、効果的に推進プロジェクトを進めることができます。

制度のWeb申請方法と審査の流れ

DX認定制度は、Webで申請できるようになりました。事前に行政サービスへのログインアカウントである「GビズID(gBizID)」の取得を申請し、「DX推進ポータル」へログインできるようにします。また、IPAのホームページから申請書および申請チェックシートがダウンロードできるため、こちらを利用します。

申請書一式をDX推進ポータルから提出すると、通常60日程度で審査結果が通知されてきます。通知はメールで行われます。

まとめ

DX認定制度とデジタルガバナンス・コードは密接に関係しており、国から認定を受けるために必要な内容がデジタルガバナンス・コードにまとめられています。こちらを見て認定に必要な条件を揃えるとともに、DX推進をこれから開始する企業、現在進めている企業はプロジェクトが適切に走っているかをチェックできるでしょう。

ぜひ、デジタルガバナンス・コードを確認し、「あるべきDXの在り方」をチェックしてください。

【関連】政府は「DX銘柄」をなぜ選んだのか?DX銘柄2020の内容と選定企業の傾向
【関連】経産省・東証が選定する「DX銘柄2020」の注目企業の成功事例を紹介
【関連】DX推進に必要となる「プライバシーガバナンス」の意義と取り組み内容

(参考)
経済産業省「デジタルガバナンス・コード」
経済産業省・情報処理推進機構「DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)」

ガバナンス関連記事はこちらもおすすめです

データガバナンスとは?データ管理体制の重要性

このページをシェアする

あなたにおすすめの記事

Recommended Articles

株式会社ブレインパッドについて

2004年の創業以来、「データ活用を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

メールマガジン

Mail Magazine