生成AI活用の知見共有と業務実装を加速:富士山・アルプス アライアンス生成AI共有発表会レポート

執筆者
公開日
2026.05.27
更新日
2026.05.27

2026年3月6日、ブレインパッドオフィスにて、しずおかフィナンシャルグループ(以下、しずおかFG)・山梨中央銀行・八十二長野銀行の3行が集い、現場の業務を効率化するための生成AI活用アイデアについて共有・意見交換を行う「生成AIアイデア共有発表会」が開催されました。今回の記事では、イベントの概要や当日の様子についてご紹介します。

本記事の執筆者
  • コンサルタント
    田村 純
    Tamura Jun
    会社
    株式会社ブレインパッド
    所属
    データタレントエクスペリエンスユニット
    大学院修士課程を修了後、 2023 年に新卒で株式会社ブレインパッドに入社。 入社後はコンサルタントとして、小売・金融業界を対象としたデータ可視化プロジェクトに携わり、分析業務の内製化支援に従事。そのほか、社外参加者を招いた勉強会やデータサイエンティスト向け採用イベントの企画・運営など、人財や組織開発の観点での支援も複数経験。

イベント実施に至った経緯

本イベントは、しずおかFG、山梨中央銀行、八十二長野銀行の3行が包括業務提携を締結し発足した「富士山・アルプス アライアンス」の取り組みの一環として実現しました。

きっかけの一つとなったのは、しずおかFGで行われた行員向けの生成AIアイデアコンテストです。自行内で生成AIの活用方法を検討・発表する本取り組みを受けて、「こうしたアイデアや実践は、アライアンス内でも共有したら面白いのではないか」「せっかくなら3行それぞれの取り組みや発想も持ち寄って、互いに刺激を受けられる場にしよう」といった機運が高まりました。

こうした背景のもと、しずおかFG、山梨中央銀行、八十二長野銀行の3行がそれぞれ発表を行い、生成AI活用のアイデアや業務への応用可能性について共有・意見交換を行う場として、本イベントが企画されました。

隣接地域に拠点を置く3行が連携し、各行が独自に検討してきた生成AI活用のノウハウやアイデアを持ち寄ることで、互いの発想を学び合いながら、3行全体としてのAI活用レベルを高めていくことが本イベントの狙いです。

地方では、生成AI活用に関する知見や情報を集めることが難しいという課題があります。こうした状況を踏まえ、各行の担当者がアイデア発表や意見交換を通じて人的ネットワークを構築し、自行内では得にくい知識や経験を吸収するとともに、視野を広げることも目的としています。

ブレインパッドは、本イベントにおいて企画パートナーとして参画し、企業における生成AI活用の文化醸成を後押しすることを目的に、イベント全体のとりまとめ、関係者との調整、参加チームへの生成AI活用に関する有識者アドバイス、当日の進行・司会、会場や懇親会の手配など、企画から運営までを支援しました。

さらに今回は、一般社団法人金融データ活用推進協会(FDUA)の岡田拓郎代表理事も、参加行より「3行が集う生成AIのイベントが開催される」との話を聞きつけ、金融業界全体のDXを牽引する立場から、アドバイザーとして参画いただくこととなりました。専門的な知見から各チームへのフィードバックや助言をいただける、より心強い体制での開催となりました。

【参考】
しずおかFGの生成AIアイデアコンテストについて
ブレインパッド、静岡銀行・山梨中央銀行・八十二長野銀行による 「富士山・アルプス アライアンス 生成AIアイデア共有発表会」の開催を支援


交流会当日の様子

開会挨拶

当日は弊社の大会議室でイベントを開催しました。会の始めにはしずおかFGの榎本執行役員より開会の挨拶があり、本イベントを通じてそれぞれの銀行における生成AI活用が一層促進されることを期待する旨のコメントをいただきました。

各行の生成AI活用アイデアの共有

続いて、本イベントのメインプログラムである、各行による生成AI活用アイデアの発表が行われました。各行からは営業店、本部、グループ会社など、さまざまな部署・立場の方々が参加し、それぞれの現場ならではの視点から独自のアプローチが紹介されました。

発表されたアイデアは多岐にわたりました。例えば、日々の業務で発生しがちなヒューマンエラーの防止に生成AIを活用するアイデア、属人化しがちな業務プロセスを標準化・効率化するためのツール開発、引継ぎ業務を支援するシステムの構想など、現場の根深い課題に対して様々な観点からの提案がなされました。

特に印象的だったのは、どの発表も現場の課題を極めて高い解像度で捉えていた点です。対象となる部署や業務、それに対する解決策まで具体的に示されており、説得力のある提案ばかりでした。

各発表後の質疑応答では、参加者から積極的に質問や意見が寄せられました。「アイデアを実現する際、現場の担当者目線やセキュリティの観点ではどのような点に配慮が必要か」といった、単なる技術的な関心にとどまらない、実際の導入・運用を見据えた実務的な質問も多く見られました。

最後に、ブレインパッドから生成AI活用のユースケースとしてビジネスマッチングアプリの紹介も行いました。本アプリは、生成AIを活用して取引先企業同士のマッチング候補を自動で抽出・提案するもので、地方銀行の法人営業における新たな価値創出を支援するツールとして開発しました。現在、有償PoCの対象企業を募集しておりますので、ご関心のある方はぜひ下記よりご確認ください。

【参考】
ブレインパッド、「金融機関向けビジネスマッチングエージェント(仮称)」のPoCパートナーを先着3社限定で募集開始


講評

すべての発表が終わった後、各行の役員およびゲストより、本イベント全体に対する講評が行われました。各講評者からいただいたコメントをご紹介します。

榎本 裕己 執行役員(しずおかFG)

「どのアイデアも課題ドリブンで、実際の業務改善に直結する内容になっていたのが良かったと思います。実装に向けて大変なことも多いと思いますが、諦めずにこのアイデアを実現させてほしいと期待しています」

代永 茂樹 常務執行役員(山梨中央銀行)

「現場起点・顧客起点でアイデアが考えられていて素晴らしいと思いました。また、生成AIでなければ解決できない課題に踏み込んでいた点も評価したいです。今後は、今ある現場のフローをどう効率化するかという視点に留まらず、事務そのものを見直していくような、より抜本的なアプローチにも期待しています」

馬場 智義 常務執行役員(八十二長野銀行)

「グループ会社の社員や、DX専門ではない方が発表されていたのがとても印象的でした。新しいことに前向きに挑む姿勢を高く評価したいと思います。どの銀行も似たような課題を抱えていることがわかりましたので、今後も3行で協力しながら取り組んでいきたいと考えています」

岡田 拓郎 代表理事(FDUA:金融データ活用推進協会)

「各チーム非常にレベルの高い発表だと感じました。複数の金融機関が集まれば、単独では難しいことも実現できるようになると思いますので、今後もこの座組を大事にしてほしいと思います。共通の課題が多いということは、共通の解決策もあるということなので、これからも協力しながら金融業界全体を盛り上げていってください」

鵜飼 武志 上席執行役員(ブレインパッド)

「非常にレベルの高い発表で、私自身も大変勉強になりました。ブレインパッドの社員も負けていられないと感じています。技術的な進歩が目覚ましい中で、AIの活用を推進するのは技術ではなく人であり、その人たちが生み出す体験が周囲に伝播していくことで組織全体が変わっていくのだと思います。本日この場で得られた体験や生まれた感情が、皆様の業務推進の原動力になることを願っています。」

記念撮影

最後には参加者全員での記念撮影を行いました。

さらに富士山・アルプス アライアンスにちなんで、手でアライアンスの”A”を模したポーズでも撮影しました!

交流会

プログラム終了後は、食事を用意して参加者同士の自由な交流の時間が設けられました。

発表内容の深掘りから、発表での課題感に対する共感の声、さらには日常業務や地域の話題など、リラックスした表情で談笑される姿が多く見られました。運営としても、参加者同士のつながりが深まっていく様子を目にすることができ、本イベントの企画・運営に携わって本当に良かったと感じる瞬間でした。

参加者の声

イベント終了後に実施したアンケートでは、参加者から多くの前向きなフィードバックをいただきました。定量的な満足度評価でも高い評価が得られたほか、「他行のアイデア発表を聞き、新しい視点の考え方や似通った課題が確認できた」「各行共通で抱えている課題・テーマに対し、協力すればより業務効率化ができるのではないかと感じた」など、各行の課題の類似性への気づきや、解決に向けてアライアンス間の連携を図りたいといった旨のコメントが多く見られました。

※満足度調査アンケート回答結果

まとめ

本イベントが一過性の取り組みにとどまらず、アライアンスの重要性への気づきを生み、今後につながる機会となったことを大変嬉しく思います。地方銀行発のAI活用モデルが、やがて全国の金融機関にとっての参考事例となり、ひいては地方経済の活性化や金融業界全体のDX推進に貢献していくことを期待しています。

また、ブレインパッドとしても、今回挙がったアイデアや課題に対してどのような支援ができるのかを改めて確認する機会となりました。今後もAI活用の促進に向けて、同様の共有会を積極的に開催していくとともに、発表の中で挙がった課題に対する支援の在り方についても、社内で引き続き議論を深めていきたいと考えています。

本イベントにご参加いただいた3行の皆様、そしてご協力いただいた関係者の皆様に、改めて感謝申し上げます。


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株式会社ブレインパッドについて

2004年の創業以来、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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