DX推進とは?目的・進め方・成功事例・課題まで徹底解説

公開日
2025.06.13
更新日
2026.08.10
DX推進とは? 取り組むメリットや課題から成功事例まで徹底解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、企業の業務プロセスやビジネスモデル、組織文化を根本的に変革する取り組みを指します。
DX推進とは、この変革を実現するために、戦略を策定し、組織・人材・業務プロセスを変えていく一連の活動です。
しかし、単にITツールを導入するだけでは、真の変革は達成できません。DX推進には、組織文化の刷新や人材育成、経営層の強力なコミットメントが不可欠です。

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本記事では、DX推進の意味・目的から具体的な進め方のステップ、企業が直面する課題と対策、業界別の成功事例まで体系的に解説します。DXに本格的に取り組もうとしている経営者や担当者の方に向けて実践的な内容となっていますので、貴社の変革への第一歩としてご活用ください。

目次

DX推進とは?

DXとは、単なるITツールの導入にとどまらず、デジタル技術を駆使してビジネスプロセスや組織文化そのものを変革することを意味します。

効率化によるコスト削減だけでなく、顧客体験の向上や競争力の強化にも及びます。

参考として、経済産業省によって策定された「デジタルガバナンス・コード」では以下のようにDXを定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
参考:
「デジタルガバナンス・コード」における「DX」の定義

DX推進は、DXを企業内で促すための取り組みであり、社内でデジタル化を進めるだけで終わらせず、デジタル技術の導入による組織や業務変革を行い、企業としての競争優位性を築くことが目的です。
政府でもDXを成長戦略の柱と位置付けており、指標の整備や支援策を講じています。

一方で、DX推進には「人材不足」「社内意識の壁」「レガシーシステム」などの課題が伴います。
効果的に推進するには、全社的なビジョンの共有と段階的な実施が必要となります。

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DXと似た概念である「CX(コーポレートトランスフォーメーション)」「SX(サステナビリティトランスフォーメーション)」「GX(グリーントランスフォーメーション)」との違いについては以下の記事で詳しく解説しています。
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SXとは?ビジネス事例や国内の取組状況・DXやGXとの関連性


DX推進の3つの指標

国は、企業のDX推進のために、さまざまな指標を発表しています。
中でも「DX推進指標」「デジタルガバナンス・コード」「自治体DX推進計画」は重要な指標です。

DX推進指標とガイダンス

経済産業省が提供する「DX推進指標」は、経営者や社内関係者が、DX推進に向けた現状や課題の認識を共有し、次のアクションにつなげるためのガイドラインです。

この指標をもとに自己診断を行うことで、DXの取り組み状況を客観的に把握し、改善に向けた具体的なアクションプランを立案する手がかりを得られます。

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デジタルガバナンス・コード

デジタルガバナンス・コード」は、企業のDX対応を促すために経済産業省によって策定されました。このコードは、企業がデジタル技術を適切に活用して経営を改革する手引きとなります。

デジタルガバナンス・コードには、以下の項目が含まれています。

  • 経営ビジョン:デジタル技術による社会や競争環境の変化を踏まえた経営ビジョンを策定・公表する
  • 戦略:人材や技術活用の戦略を明確にする
  • 成果目標:デジタル化の成果を測るための指標を設定し、公表する
  • メッセージ発信:経営者自らがデジタル戦略について対外的にメッセージを発信する
  • リスク管理:データの海外移転を前提としたリスク管理の重要性が高まっているため、サプライチェーン全体でデータ収集を考慮する

また、2024年に制定された「3.0版」では、AI(人工知能)などのデジタル技術の発展を見据えて、企業のビジネスモデルの抜本的な改革を促す内容となっています。

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自治体のDX推進計画

総務省は、自治体が優先して取り組む施策と国の支援内容をまとめた「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」を策定しました。

この計画では、地方自治体がデジタル技術を活用して行政サービスの提供方法や業務プロセスを変革し、住民の利便性や満足度を高めることを目指しています。

重点項目には、例えばマイナンバーカードの普及促進、セキュリティ対策の徹底、行政手続きのオンライン化および情報システムの標準化が含まれます。


DX推進で企業が得られる3つのメリット

日本政府は、企業の競争力を強化するためのDX推進を国家戦略と位置付けて、積極的なサポートを行っています。
DXによって得られるメリットとして、「業務効率改善とコスト削減」「顧客体験向上と競合優位性の獲得」「新たなビジネスモデルの創出」が挙げられます。
それぞれのメリットについて、以下で詳しく見ていきましょう。

1.業務効率の改善とコスト削減

DXを導入すると業務の生産性が向上し、コストも抑えられます。

業務プロセスを自動化してシステムを統合すると、作業時間が短縮され、人的ミスも減ります。さらにペーパーレス化により消耗品の使用量が減り、追加のコスト削減につながります。

デジタルツールの活用により、バックオフィス業務全般にわたる作業の自動化が進み、担当者はルーティンワークから解放されて、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。

こうした無駄の削減により、担当者は戦略立案などの高付加価値業務に時間を振り向けられる点が、大きなメリットです。

2.顧客体験の向上と競合優位性の確立

DXは多様なデジタルチャネルを通じて顧客との接点を増やせます。
また、AIやIoTなどを活用した顧客データ分析を活用して、サービスの個別最適化が容易となり、パーソナライズされた提案やサポートが可能です。
これらによって、顧客満足度の向上や、市場の変化に適応した競合他社との差別化となり、業界内での優位性を確立することができます。

3.新たなビジネスモデル創出

DXによって蓄積したデータや高度な分析基盤を活用することで、従来にはなかったサービスや収益モデルを生み出せます。

たとえば、製品の利用データを分析して新サービスを提供したり、他社とデータ連携することでプラットフォームビジネスを展開するといった形で、DXは事業モデルそのものの革新につながります。

こうした取り組みは顧客満足度を高め、市場の変化に柔軟に対応しながら競合他社との差を広げる要因になります。結果として業界内で優位に立つことができます。

企業のDX推進取組状況

日本の企業におけるDX推進の取り組みは、全体として年々取り組みが増加しているものの、業種や規模によって進捗に大きな差があり、特にサービス業や従業員規模の小さい企業ではDXの取り組みが遅れています。
以下で、DXの取組状況を企業規模や業種別に整理しました。

日本企業全体のDX取組状況

IPA(情報処理推進機構)が発行した「DX動向2025」によると、DXに取り組んでいると回答した企業は、2021年度の55.8%から、2024年度は77.8%と約8割に到達しました。日本企業のDX推進が着実に広がり、もはや「取り組むかどうか」ではなく「どのように成果を出すか」が問われる段階に入っています。

国際比較でみると、日本の77.8%は米国(76.8%)とほぼ同水準、ドイツ(68.1%)を上回っており、DX推進への取り組み姿勢そのものは世界トップ水準に達しています。

一方で、「DXにより成果が出ている」と回答した企業の割合には大きな差があります。日本は57.8%にとどまるのに対し、米国は87.0%、ドイツは81.7%と8割を超えています。取り組みの「量」では世界水準に追いついた日本企業にとって、今後の課題は取り組みの「質」と「成果」であることがデータから明らかです。

従業員規模別のDX取組状況

従業員規模別でDXの取組状況を見ると、DXに取り組んでいると回答した企業は「1,001人以上」の企業では96.1%、「100人以下」の企業では47%と、依然として大きな差があります。大企業のDX推進がほぼ飽和状態にある一方、中小企業ではまだ半数以下にとどまっており、規模による格差は引き続き課題です。

業種別のDX取組状況

業種別で取組状況を見ると、情報通信業がいずれの国でも8割を超えており、サービス業の取組割合が他業種より低い傾向はDX動向2024と同様に継続しています。比較的生産性が低いとされるサービス業で、DXの取り組みが遅れていることが改めて示されています。

日本のDXが抱える「成果の質」の課題 ─ 日米独比較

DX動向2025では新たに日米独の3か国比較が実施されており、日本のDX推進が次のステージに入っていることが示されています。

DXへの取り組み割合では日本は世界水準ですが、そこから生まれる「成果」には大きな隔たりがあります。DXを通じた業務プロセスの最適化方針を見ると、日本企業の46.0%が「個別最適化」(部門単位の改善)にとどまるのに対し、米国は70.7%、ドイツは59.9%が「全社最適化」を志向しています。

また、DXの成果指標(KPI)を設定している企業の割合は日本27.4%に対し、米国89.8%・ドイツ82.7%と、「測定できないものは改善できない」という経営の基本が実践されているかどうかで大きな差が生じています。

DX推進の「量」では世界に追いついた日本企業にとって、次の課題は「部分最適から全社最適へ」「成果指標なき推進から測定可能なDXへ」という質の転換にあります。

DX推進を妨げている企業の課題

日本企業のDXには、理想と現実の間にギャップがあります。
DX推進指標では、35項目の指標について各企業が自社の成熟度を6段階で自己評価します。レベル0は「未着手」、レベル5は「グローバル競争を勝ち抜ける」状態を示します。

IPAの調査によると、目標とされるレベル3に対して、2023年度の平均は1.26にとどまりました。現場だけでなく管理職や経営層の意識を変える取り組みが進まず、DX進展を妨げる要因となっています。

以下で、企業のDX推進を阻む構造的な課題を解説します。

社内意識や文化の壁

DXを進めようとしても、社内の考え方や文化に壁があると計画が前に進みにくくなります。企業の中には昔からの業務のやり方や価値観が根強く残るところもあり、それが新しいデジタル技術への抵抗につながっています。

社内意識と文化を変えるには、まず小さな改善から始め、時間をかけて段階的に実施する方法が効果的です。

人材不足とスキルギャップ

DX推進のためには、デジタル技術に精通した人材が必要ですが、多くの企業で確保が難航しています。特に、AIやデータサイエンス、クラウド技術など先端分野において、専門人材の需要が高まる一方で、供給は追いついていません。

加えて、既存の従業員に対するスキルアップの機会も限られているため、社内育成が進まず、人材不足とスキルギャップがDX推進を妨げる障壁となっています。外部から専門家を獲得すると同時に、社内人材の育成にも注力する必要があります。

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DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に必要な人材とは? スキルセットと日本の現状

レガシーシステム

多くの企業には、長年使い続けてきたレガシーシステムが残っています。こうした旧式のシステムが老朽化し、DX推進の足かせになっています。

レガシーシステムは他のシステムと連携しづらいため、データ活用や業務効率化も進みにくい状況です。内部構造がわかりにくいブラックボックス状態となり、保守を担う技術者も高齢化していることから、次世代への技術継承が難しくなっています。

加えて、刷新には多額の費用と長い期間が必要となるため、経営層がリスクを懸念し、移行を後回しにするケースもあります。

DX推進の具体的な進め方・5ステップ 

DX推進を成功させるには、場当たり的な取り組みではなく、段階を踏んだ体系的なアプローチが必要です。以下の5ステップを参考に、自社の状況に合わせてカスタマイズしてください。

Step1 ─ 現状分析と課題の可視化 

DX推進の第一歩は「現状を正確に把握すること」です。業務プロセス・使用システム・人材スキルを棚卸しし、どこにボトルネックがあるかを明確にします。定量的なデータ(処理時間・エラー率・コストなど)と定性的な現場の声を組み合わせて課題を可視化しましょう。

経産省が提供する「DX推進指標」を活用した自己診断も、現状把握の有効な手段です。

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DXを推進するためのアクションプランは?経産省「DX推進指標」を参考に

Step2 ─ DX推進の目標設定とロードマップ策定 

現状分析を踏まえ、「3年後にどのような状態を目指すか」という明確な目標(KGI・KPI)を設定します。その上で、短期(1年)・中期(3年)の達成マイルストーンを設けたロードマップを策定します。DXの優先領域(どの部門・業務から着手するか)もこの段階で決定します。

目標は「業務工数を30%削減」「顧客満足度スコアを10pt向上」のように定量化することが重要です。

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DX戦略とは?企業が押さえるべき重要性と事例から学ぶ実践ロードマップを紹介
変革プランナーにとってのDX推進の急所 第5回 DXキャンバスとその使い方

Step3 ─ 推進体制・人材の整備 

DX推進は特定の部署だけでは実現できません。経営層のコミットメントのもと、専任のDX推進チームを設置し、各事業部門との連携体制を構築します。

CDO(最高デジタル責任者)の設置や、事業部門横断の推進委員会設立も有効な打ち手です。外部のDX専門人材の採用と、社内人材のリスキリングを並行して進めることが、持続的な変革の基盤となります。

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企業DX推進に必要な4つの基盤と橋渡し役の存在

Step4 ─ 優先領域でのPoC(概念実証)と実装

計画に基づき、効果が見込める優先領域から実装を開始します。最初から全社展開を目指すのではなく、小規模なPoCで効果を検証し、成功事例を積み上げてから横展開する「スモールスタート」が鉄則です。

PoC段階では「失敗を許容する文化」が重要です。試行錯誤を通じた学びがDX推進のスピードと精度を高めます。

Step5 ─ 効果検証と継続的改善(PDCA) 

実装後は、設定したKPIに基づいて効果を定期的に検証します。DXは一度の取り組みで完了するものではなく、継続的なPDCAサイクルのもとで改善を重ねることで、変革の深度と範囲が広がっていきます。

定期的なレビュー会議の設置と、経営層へのダッシュボード報告を仕組み化することが、変革の継続を支えます。

業界別DX推進の成功事例

DXを推進するにあたり、すでにDXに成功している企業の事例は、有益な参考材料となります。
ここでは3社の成功事例を取り上げ、それぞれが直面した課題、取り組みの内容、そして得られた成果を紹介します。

小売・エネルギー業のDX推進事例 ─ 生成AIを活用した業務変革

生成AIを活用してゼロコストを実現した事例

小売電気事業者である「東京電力エナジーパートナー」は、顧客や従業員から集めた自由記述式のアンケート分析に多くの時間と労力がかかり、迅速なフィードバックが難しい状況にありました。

そこで、生成AIの一種である大規模言語モデル(LLM)を活用して、自由記述式アンケートの自動解析に取り組みました。
ChatGPTを用いてアンケート内容を分類・要約し、重要な意見を抽出できるシステムを構築した結果、従来人手で行っていた分析作業が大幅に効率化され、迅速なフィードバックが可能になりました。
また、顧客や従業員からの声を的確に把握できるようになり、サービス改善や業務改革に活用されています。

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ChatGPTで記述式アンケート解析がゼロコストに|LLMを経営効果に変えた!東京電力エナジーパートナーの生成AI活用事例

金融業のDX推進事例 ─ データ活用で変わる銀行経営

金融サービスのデジタル化に成功した事例

金融サービスを展開する「りそなホールディングス」では、銀行業務においてデータ活用が限定的であったため、業務効率と顧客サービスの改善に苦戦していました。

そこで同社は、データサイエンスを経営戦略の中核に据え、データ活用の基盤を整備しました。具体的な施策として、データ分析人材の育成やAI技術の導入、データガバナンスの強化を実施しました。
これらの取り組みにより業務効率が向上し、顧客満足度も高まりました。さらにデータに基づく経営に舵を切ったことで、持続的な変革を推進する新しい銀行の姿が形になりつつあります。

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組織・体制整備のDX推進事例 ─ 全社変革を定着させる仕組みづくり

DX実現のために社内体制整備に成功した事例

クレジットカードを扱う「ビューカード」では、顧客体験(CX)と従業員体験(EX)の向上が求められていましたが、データ活用の体制が整っておらず、効果的な施策の実施が難しい状況でした。

課題を解決するため、デジタル戦略部を中心となり、全社的にデータ活用を浸透させる仕組みを構築しました。具体的にはデジタルマーケティングを内製化し、顧客データの分析を通じて、個々のニーズに応じたサービスを提供する体制を整えました。

これらの取り組みにより、顧客満足度が高まり、従業員のやりがいも向上しました。このDX推進は単発で終わらず、継続的な変革を生むサイクルが社内に定着しています。さらに、データドリブンな組織文化の醸成にも成功しています。

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【前編】CXとEXの両輪による変革を目指す「ビューカード流DX」―デジタル戦略部による顧客体験と従業員体験向上の取り組み<DX事例> | DOORS DX

業界別DX推進のポイント 

DXの推進方法や課題は業界によって異なります。製造業では生産ラインのデジタル化、金融業ではデータガバナンスの整備、小売業では顧客体験の向上など、それぞれ固有の取り組みが求められます。以下では主要4業界の特徴をまとめます。

製造業のDX推進 ─ IoT・スマートファクトリー化

製造業のDXでは、工場のIoT化(スマートファクトリー)・サプライチェーン管理の高度化・ものづくりのデータ活用が主な取り組みです。経産省「ものづくり白書」でも製造業DXの加速が提言されており、デジタル技術を活用した生産効率の向上と品質管理の高度化が求められています。

金融業のDX推進 ─ データ活用と顧客体験向上

金融業では、データサイエンスの活用による個別最適化された顧客サービスの提供、AI審査・不正検知の自動化、バックオフィス業務の効率化が進んでいます。規制対応とイノベーションのバランスをどう取るかが金融DX固有の課題です。

小売・流通業のDX推進 ─ EC・オムニチャネル化

小売・流通業では、実店舗とECの融合(オムニチャネル化)・需要予測の高度化・物流自動化が主な取り組みです。顧客データを活用したパーソナライズドな購買体験の提供が競合優位性の鍵となります。

マーケティング領域のDX推進 ─ データドリブン化

マーケティングDXでは、デジタル広告の自動最適化・MA(マーケティングオートメーション)の導入・顧客データ基盤(CDP)の構築が重点領域です。データに基づく意思決定と迅速なPDCAが実現することで、従来のマーケティング手法と比較して大幅なROI向上が見込めます。

DX推進を成功させる組織・人材づくり

DX推進に必要な人材とスキルセット 

DXを推進するには、データサイエンティスト・AIエンジニア・デジタルマーケターといった専門人材だけでなく、ビジネス課題とデジタル技術を橋渡しする「DXトランスレーター」が特に重要です。また、経営層が自らデジタルリテラシーを高め、変革の方向性を示す「トップのコミットメント」がすべての基盤となります。

社内育成(リスキリング)と外部採用の組み合わせ

人材確保には、社外からのDX専門人材採用と社内人材のリスキリングの両輪が必要です。デジタルツール研修・オンライン学習プラットフォーム・OJTを組み合わせることで、「DXを自走できる組織」を段階的に育てられます。一方、採用だけに頼るとコストが高く、文化の定着も難しくなるため、社内育成との連携が不可欠です。

DX推進を継続させる組織体制の構築

CDO(最高デジタル責任者)の設置や、部門横断のDX推進委員会の組成など、変革を継続的に推進する組織体制の構築が鍵です。特定部門に閉じた活動ではなく、全社横断での連携体制を整備することで、DXが「一過性のプロジェクト」で終わらない土台を作ります。

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DX推進の課題については、経済産業省が警鐘を鳴らしてきた「2025年の崖」も重要なキーワードです。以下の記事でより詳しく解説しています。
2025年の崖とは?経産省が示す日本企業DXの現状と課題・対策
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進における日本企業の課題と解決策
変革プランナーにとってのDX推進の急所 ─ 第2回 DXと今までのIT活用の大きな違い〜
変革プランナーにとってのDX推進の急所〜第3回 変革プランナーにとって必須のスキル〜

よくある質問(FAQ):DX推進に関する疑問

Q1. DX推進と「IT化(デジタイゼーション)」の違いは何ですか?
A1. 「IT化」は、紙の書類を電子化するなど、既存の業務プロセスをデジタルに置き換えて効率化・コスト削減を図ることを指します。一方、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、IT化を前提とした上で、ビジネスモデルや組織文化、顧客体験そのものを根本的に変革し、新たな価値や競争優位性を生み出すことを目的としています。IT化はDXを実現するための「手段」の一つと言えます。

Q2. DX推進は、どの部署(誰)が担当・主導すべきですか?
A2. DX推進は情報システム部門(IT部門)だけに任せるべきではありません。全社的な変革を伴うため、経営層の強力なコミットメント(トップダウン)のもと、CDO(最高デジタル責任者)を設置し、事業部門とIT部門が連携する横断的なDX推進チームを組成することが理想的です。現場の課題を理解する事業部門と、技術を理解するIT部門の橋渡し役となる「DXトランスレーター」の存在も鍵となります。

Q3. 中小企業でもDX推進は可能ですか?何から始めるべきですか?
A3. はい、可能です。大規模なシステム刷新から始める必要はありません。まずは「現状分析と課題の可視化」を行い、ペーパーレス化や定型業務の自動化(RPA導入など)といった身近で効果が見えやすい領域から「スモールスタート」で始めることをお勧めします。小さな成功体験(PoC)を積み重ねることで社内の理解を得ながら、段階的に適用範囲を広げていくアプローチが効果的です。

Q4. DX推進に必要な人材が社内にいない場合、どうすればよいですか?
A4. 外部からの「専門人材の採用」と、社内人材の「リスキリング(学び直し)」を並行して進める必要があります。採用だけでは社内文化の定着が難しいため、業務に精通した既存社員に対してデジタルツール研修やOJTを実施し、DXを自走できる人材へと育成することが持続的な変革の基盤となります。初期段階では、戦略策定や伴走支援を行える外部パートナー(コンサルタント等)の活用も有効な手段です。

まとめ|DX推進は企業成長の鍵

DX推進は、単にデジタル技術を導入するだけの取り組みではありません。企業のあり方そのものを見直し、事業の競争力を高めるための根本的な変革を意味します。

DXの成功には、経営戦略と現場の実行を両立させ、社内意識を変革し、必要なスキルを備えた人材を育成することが欠かせません。加えて、短期的な成果だけにとらわれず、長期的な視点で取り組む姿勢が求められます。

本記事では、DX推進でよく挙がる課題と、成功事例から得られる実践ポイントを整理しました。これらを踏まえ、自社に合ったDX戦略を描き、変革を着実に進めてください。
デジタル変革をやり遂げた先には、企業の新たな成長の可能性が広がっています。

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